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192-衆-予算委員会-2号 平成28年09月30日

○とかしき委員 おはようございます。自由民主党・無所属の会、とかしきなおみでございます。
 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 九月二十六日、本会議での総理の所信表明の演説の中で、総理はこのようにおっしゃいました。ひたすらに世界一を目指す気概、そしてオンリーワンで世界を席巻するたくみのわざ、こういう皆さんが挑戦し続ける限り、日本はまだまだ成長できる、皆さん、今こそ、臆することなく、自信を持って世界一を目指していこうではありませんか、このように力強く訴えられたわけであります。
 ということで、きょうは、これを受けまして、日本の世界一、これは健康長寿でありますけれども、これを生かして、まちづくりの中で国の成長を目指していこう、こういうテーマで質問させていただきたいと思います。
 ことしの七月、実は私、厚生労働副大臣を務めさせていただいたときに、マレーシアの会議に参加をさせていただきました。
 このマレーシアの会議は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジということで、閣僚フォーラムということで、アジアやアフリカの二十五カ国のそれぞれの厚生大臣が集まって、日本の皆保険制度、医療制度をモデルにして、それぞれの国でこういった制度を取り入れることができないか、日本を目標にして自分たちの国も制度を整えていこうよ、社会保障制度を整えていこうよ、そういう会議でありました。後ろにはロックフェラー財団とか世界銀行とかがおりまして、そして資金的なバックアップをするという会議でございました。まさに、この会議に出ますと、日本というのは世界の中で大変評価が高い、そして日本の医療制度というのは大変すぐれているということがよくわかりました。
 では、振り返って、今度国内の方を見てみますとどうなのかということでありますが、国民の皆さんからすれば、多分世界の中の評価というのはほとんどわかりませんので、当然、過去との比較を見ていくしかありません。ですから、保険料や税金もふえていく、これから負担がどんどんふえていくのではないか、高齢社会になって労働力も落ちてくるから社会保障の費用負担がふえてきて生活が苦しくなるんじゃないか、だったら、不安だからお金をためておこうよ、こういう気持ちがどんどん強くなっていって、経済がまさにロックして動かなくなっているというのが今の日本の現状ではないか、このように考えます。
 そして、これは別に個人の人たちだけ、国民の人たちだけではなくて、企業も全く同じような状況に陥っておりまして、設備投資とかに投資しないで、むしろ内部留保で抱えていた方がいいのではないかと。内部留保も、財務省の調べによりますと、最新ですと三百六十七兆円ということで、日本のGDPが五百兆円でありますから、その約七割ぐらいが内部留保に回っているという状況であります。
 これは何でそうなるのかといいますと、やはり企業からすれば、将来、日本の国が何を目指しているのか、どの産業を強くしようとしているのか、それが明確に見えない。ゴールが、この国が十年後、二十年後、世界の中でどういう位置を占めていくべきなのか、これを明確にしておくこと、わかりやすくしておくことが今大切ではないか、このように思います。
 そのときに、ちょうど安倍総理が九月二十一日のニューヨークで、金融ビジネスの関係者の皆さんに向けてスピーチをなさいました。人口動態が重荷かボーナスかというスピーチをなさったわけですが、その中で総理が、日本の人口動態は逆説的ですが重荷ではなくボーナスである、こういうふうにおっしゃったわけでありますけれども、総理は具体的にこのボーナスというのは何を意味していらっしゃるのか、その意図をぜひお聞かせいただければと思います。
    〔委員長退席、西村(康)委員長代理着席〕

○安倍内閣総理大臣 人口動態については、我々はもちろん、一億総活躍社会をつくっていくという中において、少子高齢化、人口動態に真正面から取り組んでいく考えでありますが、同時に、私がさきのニューヨークにおける講演の中で、日本の人口動態は逆説的ですが重荷ではなくボーナスなのですと申し上げたのは、我が国の少子高齢化が我々に改革のインセンティブを与え、ロボットからAIまで、新技術の活用による生産性向上につながるという未来志向の思いからであります。
 生産人口が減少していくという現実の前で立ちすくむのではなくて、もう経済は成長していかないんだといって立ちすくむのではなくて、例えば、我々安倍政権ができてからでも三百万人生産年齢人口は減少しているんですが、名目GDPは六・九%ふえたんです。労働人口が減っていけば絶対に経済は成長しないということではないわけでありまして、むしろそれをきっかけとしていろいろなことをやっていこうじゃないかということであります。
 議員の御指摘の健康・医療分野においても、高齢化が進む中で、健康長寿社会の実現に向けて、再生医療やゲノム医療などの先端的な研究開発や、保険外サービスやICTシステムなど、新産業の創出に官民一体となって取り組んでいきたいと考えているわけでありまして、多くの国々がこういう課題に今後直面してくるわけでありますが、我々は最もそれに先駆けてこの課題に直面しているわけでありますから、この課題を克服するためにさまざまな取り組みをしていくということにおいて、課題先進国としての、いわばそれを強みにしていきたい、こう考えているところであります。

○とかしき委員 ありがとうございます。
 私も総理の考えと全く同じでありまして、高齢社会を強みに変えていって、そして改革のインセンティブはむしろ日本がいっぱい持っているのではないか、このように今考えているわけであります。ということで、日本は高齢社会を強みにする、アベノミクスの成長戦略はまさにここがポイントなのではないかな、このように思います。
 ということで、皆様もよく御存じのように、健康寿命、これは日本、我が国は世界で一番であります。これの意味するところは、世界の人たちから見れば、多分日本は一番健康で長生きできるノウハウを持っている国ではないか、こういうふうに世界の人たちは見ているはずであります。
 そして、二番ではだめなんでしょうかとある党首の方はおっしゃっておりましたけれども、これはあえて言いますけれども、二番ではだめで、一番でないと絶対だめなんです。一番は、やはりビジネスチャンスは一番にしか手に入れることができません。フロントランナーで走っていくわけですから、そこには蓄積されたノウハウというものがどんどんたまってまいりますので、そこにビジネスチャンスがたくさん生まれてくるので、ですから、みんなビジネスをしている人は一番を目指していくわけであります。
 ということで、チャンスをどうやって生かしていくのか。先ほど総理もおっしゃいましたように、私も国際会議に出ると、先進国の方が特に、日本の高齢化はどうやって乗り越えていくつもりなんだ、私たちにそのノウハウを教えてほしい、こういうことを結構言われます。ということで、やはり高齢社会を上手に生かしてアベノミクスの矢を飛ばしていくことがこれからは必要ではないかと思います。
 では、日本の国内の今の状況なんですけれども、どうなのかといいますと、実は日本人は、日本は今欲しいものがない社会になっております。お金があっても欲しいものがない。バブル崩壊後、実は個人所得、デフレが二十年近く続きましたが、それでも日本は貯蓄をずっとふやし続けている、七百兆円もふやしていく。こんな国は多分、世界じゅう日本しかございません。金融資産も、一九九〇年のころは一千兆円でしたけれども、現在は千七百兆円ぐらいある、こういうふうに言われております。
 ですから、アベノミクスの経済効果を高めていくためには、ためるというところから、もっとお金を使ってもらう、こういう産業をどんどん育成していくことが大切ではないかというふうに思います。高度成長の時代は労働力がありますので、物をつくって輸出して国を富ませていくことができますが、今日本が踏み込んでいる成熟社会では、労働力は残念ながら落ちますけれども、その分ソフトや情報を生かした産業をいかに育てていって、国内にいかに世界からお金と人を呼び込んでいくか、こういうことが大切ではないかというふうに思います。
 ということで、では国民の皆さんが一体何にお金を使いたいと思っているのかということなんですけれども、この資料をごらんになっていただければと思います。
 高齢者になるほど、実は健康意識がだんだん大きくなってきます。若いときから高齢者に向かって、大体八割から九割の人たちはみんな健康に対して興味があるわけです。さらに、その意識は年を重ねるごとに強くなっていく傾向があります。ということは、高齢者の皆さんは、若者も含めて、健康に対して意識が非常に強くなっているわけであります。
 そして、では一体どれぐらいお金を使っているのかというのがまた次の表なのでありますけれども、若い六十五歳未満の勤労世帯、これから見ますと、教育に一番お金を使うんですけれども、高齢者の無職の世帯、これが普通の方と比べて一・三九倍保健医療にお金を使うという傾向が見えます。
 そして、平成二十六年の厚生労働省の労働白書によりますと、六十五歳以上の四一・五%が五千円以上健康の維持のためにお金を使ってもいいよ、こういうふうに言っているわけであります。
 ですから、日本人は今、物は余り要らないけれども、でも欲しいのは絶対健康だ、健康で長生きすることに関してはお金を使っていきたいと思っているわけです。誰も寝たきりにもなりたくないわけでありますし、認知症にもなりたくないわけであります。ですから、なるべく健康を維持して、そのためにお金を使っていきたい。
 では今どうなっているかといいますと、残念ながら、フィットネスクラブとか健康食品とか、それぐらいしかお金を使うところがなくて、健康を維持するために楽しくお金を使うところが全くない。そういう産業は日本には全くないということなので、ここをもっとこれから強化していくべきなのではないかというふうに考えます。
 日本の医療は、今、かかりつけ医師、かかりつけ薬剤師、こういうふうに患者を中心とした医療に変わりつつあります。やはり患者のニーズに応えて、そして患者さんの人生にどれだけ医療が寄り添っていけるのか、こういう価値観へのシフトが今医療の中で行われているわけでありますけれども、これからの地域医療というのは、病をなるべく発症させないように健康管理をするために、地域医療というのが大きな役割を担ってくるのではないか、このように考えるわけであります。
 ということで、将来、病を発症させないようにする予防医療、これを地域医療としてもっと積極的に手がけていくべきではないか、このように思うんですけれども、塩崎大臣、いかがでございましょうか。
    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

○塩崎国務大臣 先生がおっしゃるとおりだと思いますが、これからのキーワードは、やはり、健康づくり、予防、重症化予防、これが基本ではないかというふうに考えております。
 これまで、開業医の皆さん方など身近な医療機関においても従来から、健診とか予防接種とか、健康づくり、病気の予防について重要な役割を担っているからこそ、これだけ寿命も延びたということであろうと思います。
 健康づくりには、しかし、個人の自主的な取り組みを促すために、それぞれの地域の実情に応じた環境の整備というのが必要だということで、さまざまな地域の取り組みを、例えば「健康寿命をのばそう!アワード」というような表彰をつくっていくなどの、他の地域への横展開というものも意識してやっていかなければならないというふうに考えています。
 御地元の吹田市民病院では一千人を超える参加者に対して肺機能検査を行うイベントを開催したというふうに聞いておりまして、肺の疾患予防あるいは禁煙の啓発活動が行われているということでございますし、また、薬局につきましては、これからかかりつけ薬局というのが定着をしてくるんだろうと思いますけれども、あす十月一日から、地域のかかりつけ医を初めとした医療機関などと連携をしながら、薬に関することを含めて、健康の維持あるいは増進の相談を行う薬局というのが健康サポート薬局として地域住民の健康づくりや予防に積極的にかかわる取り組みを開始するということになっております。
 事ほどさように、地域で日ごろの予防、そしてまた健康づくり、重症化予防というものをどういうふうにやっていくかというのはこれからますます大事になってくると思いますので、私ども厚生労働省としても引き続きこうした取り組みを進めてまいりたいというふうに思います。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 ここからは、大阪の吹田市と摂津市で今現在取り組んでいるプロジェクト、これは予防医療を中心としたプロジェクトなんですけれども、それを御紹介しながらちょっと質問を進めさせていただきたいと思います。
 実は、これは健都という名前でございます。健都プロジェクトと言われておりますけれども、これは町を挙げて循環器の病を減らしていこうという方法であります。
 駅前に、吹田と摂津にわたる土地なんですが、三十ヘクタールの土地があります。JR沿線上の新大阪から三駅目の非常にアクセスのいいところに三十ヘクタールの更地がございます。そこを使って新しく町をつくっていこうということで、国立循環器病センターが、これはもう移転が既に決まっております。その横に吹田市民病院、さらに国立循環器病センターの裏には医薬基盤・健康・栄養研究所が移転してくること、これも決まっております。ということで、医療機関と研究機関が集中してこの町にやってきて、さらにここには住宅もできますし、そして公園もあるということで、ある意味町の機能を全て持っているのがこの駅前の状態であります。今これは工事に入っているところで、二〇二〇年完成予定で動いております。
 このまちづくりのポイントは、高齢社会もいいものなんだ、そして幾らでもまだ地域でビジネスチャンスを生み出せるんだよということを世界に証明して、行く行くは観光地も目指していこうよ、こういうことを考えているわけであります。
 特徴は三つありまして、まず一つ目は、日本だけが商品化できる予防医療の情報をビジネスにしていこう、こういうふうに考えているわけであります。
 これは何で循環器の病に注目したのかといいますと、循環器というのは、実は、死亡率、御存じのように、一位はもちろんがんであります。これが二八・七%。次に、循環器の脳と心臓の疾患、これを合わせますと二五・五%。ほぼ、がんとそんなに遜色のない死亡率であります。
 さらに、これにかかっている医療費の方を考えますと、循環器の病というのは結構お金がかかりまして、長く患って体に障害を背負ってしまう場合もありますので費用がかかりまして、医療費が一番かかるのは実は循環器の病であります。五・四兆円。二番目にかかるのががんで三・四兆円ということで、非常に医療費もかかるし、体への負担も大きい。
 ところが、循環器の病は、ありがたいことに、がんと違って非常に明確に予防ができることであります。食事と運動のバランスがきちっととれればこれは予防することができるということで。誰でも好きなものを好きなだけ食べて、なるべく楽して運動したいわけであります。その技術開発を町を挙げてしていって、そして予防医療の情報でビジネスをどんどん生んでいこうよ、こういうまちづくりを目指していこうというふうに考えているわけであります。
 大阪は、ありがたいことにといいますか、健康寿命が実は最下位に近くて、男女とも四十四位、四十五位ということで、これ以上下がりようのない状況でありますので、これからは逆を言えば測定しやすい、データがとりやすいのではないか、こういうふうにも言えるわけであります。
 ということで、今までのようにモラルに訴えて、頑張って町をつくっていこうよ、これだと三年ぐらいで飽きてしまいますけれども、こうやってビジネスを起こしてみんなで稼いでいこうよ、こういう町も挑戦していこうよというのが一つ目の特徴であります。
 二つ目は、今お話しさせていただきましたように、地域医療は予防医療を中心にしてやっていくべきだ。
 今、ありがたいことに、技術が進んできまして、発症しそうな病というのがわかるようになってきましたので、それをなるべく発症させないようにどういう健康管理をしたらいいのかというので、地域の医療機関、お医者さんや薬剤師さんとかがしっかり健康管理をして、それで体を病気にならないように維持する。
 もちろんこれは皆保険制度の外の話でありますから、実費をいただかなくてはいけません。ということは、患者さんが納得をしていただけるようにどれだけ付加価値のある情報発信、カウンセリングができるか、これは医療関係者の人たちの腕の見せどころ、こういうふうにもなりますし、自由にアイデアを出して付加価値をつけていくこともできるのではないか、このように考えております。
 そして、三番目なんですけれども、このように言いますと、今までの保険料と違って実費で負担しなくてはいけないとなると、しんどいねという声も当然上がってまいりますので、それでしたら、このプロジェクトのまちづくりに皆さんも参加してくださいよということで、市民の皆さんにも経済活動の一翼を担っていただこうと考えております。食事と運動のバランスについて勉強していただいて、市民の皆さんには外から来た人たちに食事と運動のバランスを指導してもらう人になってもらおうと思っております。
 というのは、食事と運動のバランスというのは、ダイエットをなさった方はおわかりになると思いますけれども、一人でやると結構しんどいんですが、誰かと一緒だと結構できるので、それにつき合ってあげる人を市民の皆さんに、そしてそれに対してちゃんと報酬をいただくということで、このまちづくりに参加すると経済活動の一翼も担える、そういうまちづくりを今考えているわけであります。
 詳しいことは吹田市のホームページを見ていただければわかるんですけれども、今こういう町をつくろうということで、イノベーションパークには、この考えに賛同する企業もあわせて、食事と運動のバランスを楽してとれる方法を技術開発する企業を一緒に誘致して、そして町をいろいろなアイデアで循環させていく挑戦をしていこうというふうに考えております。
 さらに、ここは地域で雇用を生むわけでありますから、地域で比較的長距離で通勤するのが困難な方、例えば高齢者とか、子育て中の方とか、介護をしている方とか、障害をお持ちの方とか、こういう方々がなるべく地域で仕事ができるようにしていきたいな、このように考えております。
 特に高齢者の方々、今、引退してしまうと、家でやることがなくてごろごろして、年に数回の旅行だけが楽しみ、こういう方が非常に多いわけでありますけれども、これでは非常にもったいないということで、なるべく高齢者の皆さんに、事業を起こしたりとか、今までのノウハウを地域に生かしてもらう、こういう挑戦もしていただけたらありがたいかな、このように思っております。そして、先ほど言いましたように、高齢者や障害者や子育て中や介護中の皆さんを雇用してもらうような事業を起こしていただけたらありがたいなというふうに思っております。
 厚生労働省は、生涯現役起業支援助成金、これは既に導入していただいておりますけれども、この高齢者の起業支援についての取り組みと今後の方針について教えていただけますでしょうか。

○塩崎国務大臣 年齢にかかわりなく働くことができる生涯現役社会を実現するというのは、これから高齢化が進む中で大変重要でありまして、中高年の方も、それまでの経験を生かして、起業、業を起こすということについて、それを含めて、いろいろな形での就業機会というのが提供されるようにしていくことが大事なんだろうというふうに思います。
 このため、中高年の方々が業を起こす、起業によってみずからの就業機会をつくっていくということとともに、中高年の方を雇い入れた場合に助成をするという、今御指摘をいただいた生涯現役起業支援助成金というものを今年度創設いたしたところでございます。
 当然のことながらこれから高齢化が進むわけでありますので、この助成金の積極的な周知をしていこう、そしてまた中高年の方の起業支援をしっかりして、生涯現役社会の実現を推進して、若い人も、そして高齢者の皆さんも元気に活躍していただくというふうに考えております。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 健康産業というのは、やはりこういう地域のまちづくりと一体化させていくというのがすごく重要であるというふうに考えます。
 例えばテーマを決めて、認知症を予防する町だとか、iPSを使った先端医療を取り入れた町だとか、例えば地域の伝統医療を体験したり学んだりできる町、これなんかは沖縄なんかは非常に向いているのではないかなというふうに私は思います。
 とにかく成功事例をつくって、地域で、それぞれの地域の特徴を生かしながら健康産業を生かして、そして市民の人たちを巻き込んでいろいろなビジネスを起こしていく、こういう挑戦をしていくのがいいのではないかと考えておりますけれども、健康長寿の国だからこそ優位性のある健康産業の育成についての支援、経産大臣はどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○世耕国務大臣 民間による健康産業の育成というのは非常に重要だと思っています。
 ただ、それは地域ごとにいろいろ事情があるわけです。今お話しの吹田市、摂津市は、やはり循環器センターという高度医療機関があるということで、それを軸にしたまちづくりをされています。
 そういった地域の事情に対応するために、経産省としましては、自治体や医療・介護関係者、農業、観光、スポーツなどの多様な民間事業者の連携を促進するために、地域版次世代ヘルスケア産業協議会の設置促進に取り組んでいます。全国でもう既に三十の協議会が設置をされております。
 例えば、温泉地におけるヘルスツーリズムの取り組みなどが生まれてきております。さらに、地域に根差した健康産業を支援するために、産業競争力強化法に基づくグレーゾーン解消制度を活用した民間事業者の健康産業への参入促進ですとか、あるいは地域の観光資源を活用したヘルスツーリズムのサービス品質の評価を行う第三者認証制度の構築などを行って、事業環境の整備を図っているところであります。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 やはり、日本は今、活性化するには成功事例をつくっておくこと、これが大切だと思います。町をつくって、ああ、ああいうふうにやればうまくいくんだ、高齢社会もすごくいい社会なんだということを証明する場所を幾つかつくっておくこと、これがこれからは重要ではないか、さらにそれを頑張っていけば観光資源にも十分なり得るのではないか、このように考えております。
 ということで、総理に、生涯活躍のまちということで、高齢社会の特徴を生かして、強みを生かしていくということでこういう構想を考えているんですけれども、総理のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 生涯活躍のまちについては、中高年の方々が希望に応じて地方や町中に移り住み、地域のさまざまな世代の方々と交流しながら健康で活動的な生活を送れるようにすることで、地方への新しい人の流れをつくっていくことにつながっていくと思います。その実現に向けた自治体の取り組みを、具体化のための手引作成、関係府省による支援チームの形成、そして交付金や指定等の手続の簡素化などを通じて支援しています。
 また、地域の魅力を最大限に生かした稼げるまちづくりについては、住民、事業主、地権者等が主体となった美しい町並みや人を引きつける地域ブランドの形成、そしてコンパクトシティーにおける波及効果が高い商業施設の整備や商店街の機能強化といった取り組みを情報面、人材面、財政面で支援するとともに、地域の優良な取り組み事例を収集して全国展開を促すこととしております。
 こうした施策を着実に進めて、地方創生に全力で取り組んでいきたいと思います。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 それでは最後に、高速増殖炉「もんじゅ」についてちょっと確認ということで。
 二十一日に原子力関係閣僚会議が開催されたと伺っておりますけれども、この会議前後一週間ほど「もんじゅ」については各新聞、マスコミが随分取り上げておりまして、「もんじゅ」が廃炉になるのではないか、廃炉があたかも既定路線のように決定していたような見出しが躍っております。
 そこでちょっとお伺いしたいんですが、「もんじゅ」について政府で今決まっていることは何なのか、整理整頓してお伺いしたいのと、ちょっと時間がないのでまとめてお聞きしたいと思いますけれども、高速炉開発の方針、具体的に今後どのようにお進めになるつもりなのか、これをあわせてお聞きしたいと思います。

○松野国務大臣 「もんじゅ」につきましては、九月二十一日に開催された原子力関係閣僚会議において、廃炉を含め抜本的な見直しを行うこととし、その取り扱いに関する政府方針を、高速炉開発の方針とあわせて、本年中に原子力関係閣僚会議で決定することとしております。したがいまして、今後の高速炉開発の方針の策定と切り離して、現時点で「もんじゅ」の廃炉を決めたわけではありません。
 文部科学省といたしましては、原子力関係閣僚会議の決定に従い、年内に結論を出すべく、地元の意見をしっかりと踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
 あわせまして、高速炉開発の今後の方針でございますが、我が国において今後も核燃料サイクル政策を堅持し、高速炉開発を推進していく必要があると考えております。このため、今般、原子力関係閣僚会議において、年末までに今後の高速炉開発の方針を決定することといたしました。
 また、経済産業大臣を中心に、文部科学大臣、原子力研究開発機構及び高速炉開発にかかわる民間事業者にも参画をいただきまして、高速炉開発会議を立ち上げ、国内の高速炉開発の司令塔として本方針案の検討、策定を行うということでございます。
 引き続き、本方針を基礎として高速炉開発の具体化を図っていく方針であります。

○とかしき委員 ありがとうございました。終わります。