190-衆-内閣委員会-3号 平成28年02月26日
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
きょうは、先日の大臣所信に対しての質疑ということでお時間を頂戴しましたので、内閣委員会に関係する大臣及び副大臣にお越しいただきました。政府参考人の皆さんも来ていただいておりますが、余り細かいことは聞きませんので、ぜひ大臣、副大臣でお答えいただければありがたいと思います。
まず最初に、きょうは六本ぐらい大きく質問を用意したんですけれども、一つ目には、一億総活躍社会の実現ということについてお尋ねをしたいと思います。
まず、総論的にお伺いしたいのは、安倍総理は施政方針演説で、一億総活躍社会への挑戦を始めます、そのように明言をされました。また、加藤一億総活躍社会担当大臣も先日の所信表明で、一億総活躍社会の実現は安倍内閣の最重要課題です、このように述べられたわけでございます。
私は公明党の一億総活躍推進本部の事務局長を仰せつかっておりまして、昨年十一月二十四日に党として提言をまとめまして、総理に申し入れをさせていただきました。
我が党は、安倍総理が掲げる一億総活躍社会とは一人一人が輝き活躍できる社会、そのように位置づけて、全ての人が自己実現できる社会を目指して取り組みを進めたいと考えておりまして、そういう視点から、一億総活躍社会の実現に与党としてしっかりと協力し、また政策についても、さらに磨いてさらなる提言等を行ってまいりたい、そのように考えているわけでございます。
きょうは、給与法は別にして、今国会初の内閣委員会でございますので、安倍内閣の最重要課題と言われております一億総活躍社会について、ぜひ加藤大臣の方から、一億総活躍社会とはどういう社会で、安倍政権は何ゆえその実現を目指すのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 公明党におかれても一億総活躍推進本部を設置いただきまして、また委員におかれては、事務局長をお務めになり、先般の緊急対策をまとめるに当たってもいろいろ議論をリードしていただいておりましたこと、改めて感謝申し上げたいと思います。
その上で、この一億総活躍社会でありますけれども、安倍総理も申し上げておりますように、これからの我が国の経済成長というものを考えたときに、やはり少子高齢化という構造的な問題がございますし、きょう発表された国勢調査でも、大正以来初めて国勢調査での人口が減少するということになっております。また、さらにこれからの先行きを見ても、高齢化は進み、人口が減少するという試算が出されているわけであります。
そうした少子高齢化さらには人口減少ということになってまいりますと、労働供給が減少していくということのみならず、将来の経済規模の縮小、生活水準の低下そして経済の持続可能性を危うくするのではないか、こういう将来に対する不安、懸念というものが出てきている、それが今における消費や投資にも大きな影響を及ぼしているのではないか。
それを乗り越えていくためにも、少子高齢化という構造的な問題に正面から取り組み、そして、やはり我々の目指す社会というのは、先ほどお話がありましたように、若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、さらには一度失敗をされたような方々も、それぞれが包摂をされ活躍できる、そういう一億総活躍社会というものを実現していくことが必要だと思っております。
また、そうした一億総活躍社会を実現するに当たりましては、今回の新しい三本の矢、第一の矢で強い経済を実現し、その成長果実をもって第二、第三の矢である子育て支援や社会保障の基盤を強化していく。
こういうことを通じて子育てや介護と仕事が両立しやすくなっていくことによって、さまざまな方々が例えば働くという形で参加をされていく。そして、そのことによって単に労働参加率が上がるというだけではなくて、さまざまな方々が参加することによっていわゆる多様性が社会により持ち込まれ、そのことが、イノベーションを通じて生産性の向上を図っていくという意味においてまた成長に寄与し、経済が社会基盤の安定を持っていく、そういう成長と分配という新たな好循環をつくっていく。
そういう意味では、新たな経済社会システムを構築していこう、そういう意味における元年であり、またそれを目指すという意味において最重要課題だというふうに位置づけているところでございます。
○佐藤(茂)委員 成長と分配の好循環という言葉に象徴されるように、後で申し上げますけれども、アベノミクスの成果も一つ一つ出てきまして、ひところよりは、デフレも脱却できるのではないか、そういうような段階になってきました。
こういうときに、少子高齢化社会という構造的な日本の社会の問題にどう取り組んでいくのか、一億総活躍社会というのはそういう意味での非常に挑戦的な取り組みではないかと思っておりまして、またこれからも政策をしっかりと議論させていただきたいと思っているわけでございます。
ことしに入りまして、一月二十九日にことし初めての、全体としては第四回の一億総活躍国民会議というのが行われました。
そのときに安倍総理はプランについて、プランというのは、これからニッポン一億総活躍プランというのをどうしていくのかということが焦点になるわけですね。昨年の十一月二十六日には緊急に実施すべき対策ということで取りまとめられて、これは、補正予算であるとか来年度予算案、あるいはこの通常国会に関連する法案という形で一つ結実しているわけですが、これからニッポン一億総活躍プランというものをどういうものにしていくのか、これが焦点に当たるわけです。
それについて安倍総理は、一月二十九日の国民会議の際に、プランについて、生産性向上問題のほか、特に次の三点を骨格としたいと考えます、第一に働き方改革です、第二に子育て、介護の環境整備です、そして第三に成長と分配の好循環のメカニズムを示すと述べられ、三つの骨格を明らかにされ、その上で、第一の矢については石原経済再生担当大臣を中心に、第二、第三の矢については加藤一億総活躍担当大臣を中心に策定を指示された、そのように伺っております。
そこで、策定を指示された両大臣に、きょうは総論的で結構ですので、お答えいただければありがたいと思うんです。
まず、成長と分配の好循環のメカニズムという骨格を含め、第一の矢を担当される石原大臣は、総理の指示を受けて、プランの内容としてどういうものを策定されるつもりなのか、所見を伺いたいと思います。
○石原国務大臣 佐藤委員にお答えしたいと思います。
もう御存じのとおり、第二ステージの第一の矢は、これまでの三本の矢を束ねて一層強化して、名目GDP六百兆円という目標を明確にさせていただきました。そんな中で、今委員が御指摘になりましたように、昨年の十一月に一億総活躍社会実現のための緊急対策というものを加藤大臣を中心に取りまとめられた。
御質問は、この後、第一の矢の部分の担当者としてどんなことを考えているのかということだと思うんですけれども、今、春闘、花盛りでございますけれども、賃金、所得の向上を引き出す供給側の強化ということがやはり一つ重要ではないかと認識しております。
そして、賃金、所得の向上や潜在ニーズの顕在化を通じて、昨年の十—十二のQEを見てもやはり消費が残念ながら弱いわけですから、消費を喚起する政策をつくっていく。そして、今、佐藤委員が御指摘されたように、成長と分配の好循環を実現するための新しいシステムを構築していくというような形で検討を進めさせていただいているわけでございます。
経済財政諮問会議におきましても引き続き精力的に議論を今の点に関してさせていただきまして、ニッポン一億総活躍プラン、これは加藤大臣を中心に取りまとめられますけれども、そこに反映できるよう、もう少しブラッシュアップをこれから進めてまいりたいと考えております。
○佐藤(茂)委員 もう一点、指示をされました加藤大臣にお伺いしたいのは、そのときに総理から、働き方改革及び子育て、介護の環境整備という骨格を示されました。そういう骨格も含めて、第二、第三の矢を策定される加藤大臣としては、このプランの内容としてどういうものをこれから検討されていくのか、御答弁をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 今、第一の矢については石原大臣から御説明がありましたけれども、第二、第三の矢については私を中心に策定させていただいております。
まず第一に働き方改革でありますけれども、同一労働同一賃金の実現など、非正規雇用労働者の待遇改善、また定年延長企業の奨励等の高齢者雇用の促進、そして総労働時間抑制等の長時間労働の是正、これらについて具体的な方向性を取りまとめたいと思っております。
第二点の子育て、介護の環境整備でありますけれども、保育、介護人材の確保のための介護職及び保育士の待遇改善の具体的な方向性を取りまとめたいと思っておりますし、あわせて、こうした保育や介護分野における生産性の向上と働き方改革についても取り上げていきたいと考えております。
第三に、若者、女性、障害や難病のある方々の就業の促進、あるいは格差を固定化させないための子供の教育問題、こういったことも取りまとめたいというふうに思っております。
この中身については、一億総活躍国民会議で毎回テーマを決めて、有識者の方々に入っていただいております、そういう方々を含めて集中的に御議論いただき、この春のプラン策定につなげていきたいと思っております。
○佐藤(茂)委員 今、両大臣から、これからのプランの構想というか、どういうものを入れていくのかということも大体御答弁いただきましたので、また引き続き与党の一角として、私も党に持ち帰って、そういう政策を我が党内でもしっかりと議論させていただきたいと思っております。きょうのところはこれぐらいにいたします。
大きな二点目として、きょう、就任されて間もない石原経済再生担当大臣に質問をさせていただきたいと思うんです。
一月二十一日、これは大臣に就任される前、前大臣のときですが、本年第一回の経済財政諮問会議が行われまして、こういう資料、資料二とつけられているんですが、アベノミクスの三年間の成果、こういうデータが示されました。中身を拝見いたしますと、十項目にわたって、安倍政権が誕生する政権交代前と比較しての成果がわかりやすく示されたものだと思っております。
例えば、概要では、十五年以上続いたデフレ状況を転換、物価の基調はプラスに転換、名目GDP、実質GDPはともに増加と、この段階でございますが。さらに、GNIについて見ると、実質では二〇一二年十—十二月期と比べて約二十一兆円増加したであるとか、あるいは企業収益は過去最高であると。さらに、倒産・失業、賃金のところでは、二〇一五年の倒産件数は二〇一二年と比べて約三割減少し、二十五年ぶりの低水準であるということであるとか、失業者は五十三万人減少というように、わかりやすい数字をしっかりとまとめていただいているわけですね。さらに、有効求人倍率も、全国は確かに上昇したんですが、全都道府県で上昇している、地方七県においては過去最高水準を記録しているということであるとか、あるいは女性、少子化ということでいうと、女性の就業者数は百二万人増加した、正規雇用者数は三十一万人増加したというような、数字的に本当にわかりやすい、アベノミクスとしてこれだけの数字を上げてきたんだ、そういう成果が一月に出されているわけでございます。
ただ、それと比較いたしまして、ことしの一月以降だけ見ても、幾つかマスコミで世論調査をしているわけでございますが、なかなかその数字のような実感が国民に伴っていない。
例えば、ちょうど同時期の一月二十二日から二十四日に調査した一月二十五日付の日経新聞を見ますと、アベノミクスによって今後も景気がよくなると思わないは四九%、よくなると思うが二七%なんですね。つい先週の例えば読売の世論調査、二月十六日付で見ますと、安倍内閣のもとで景気の回復を実感していますか、実感していませんか。実感しているが一六%、実感していないが七七%。きょうも同じく読売の朝刊に、アベノミクス、評価せずが五七%だという見出しで、今後景気回復を期待できると答えた人は三四%、期待できないは六五%だった、景気回復を実感していないは八四%に達した、そういう報道が出ているわけであります。
石原経済再生担当大臣にぜひお聞きしたいのは、前大臣から政策を継承されて、数字上の経済再生とともに、大事なのはやはり、今企業業績が上がっているという一部上場企業だけではなくて、地方の中小企業あるいは商店街、そして国民が景気の回復を実感できるような、そういう経済再生のかじ取りをぜひお願いしたい。ことしはそういう意味では正念場ではないかと思っておるんですが、その方策も含めて、石原大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま佐藤委員が、大変わかりやすくアベノミクス三年の成果を御説明いただいたと思います。
やはり大きく変わってきているのは、所得と雇用の環境というものが改善している、そして、委員御指摘のとおり、大企業は過去最高益を記録する。
これからはやはり、今委員御指摘のように、中小零細そして地方の方々が、先ほど好循環の中での果実という形が重要であるというような御認識をお示しされておりましたけれども、そういうものを多くの方々が感じていただけるような成果を出していかなければならないと思っております。
まだマクロの数字で分析がし終わっていないんですけれども、佐藤先生等々も応援をしていただきました地域振興券は、私、大臣をさせていただく前まで党の方の中小企業・小規模零細事業調査会の会長で全国を回った感じでは、どこへ行きましても、これは大変よかったよ、消費を喚起する政策としてはよかったんじゃないかというようなお褒めのお言葉をいただきました。
その一方で、地方に行きましても労働人口が非常にタイトになってきている。もう悲鳴に近いような、人が足りないよというような話も聞いております。それによって人が足りないのであるならば、いい人を雇うために中小でも自信を持って賃金を上げていただいて、いい人を採っていただいて仕事をしていただく。それがまた消費の好循環につながるというのが、二十年間デフレが続いていて、やっとアベノミクスでデフレではない状態をつくり出すことはできたんですけれども、やはり心理としてはデフレマインドが強く出ている、これを払拭するところがこれからもう一つ大切なアベノミクスの政策ではないか、こんなふうに考えているところでございます。
○佐藤(茂)委員 ありがとうございます。
官房長官はもうちょっとお待ちください。最後にお聞きしたいんです。
きょうは、ちょっとこれから同一労働同一賃金の実現について加藤大臣にお伺いしたいと思うので、石原大臣、もし公務等がおありでしたら。よろしいですか。
それで、先ほどの一月二十二日の安倍総理の施政方針演説の中で「本年取りまとめるニッポン一億総活躍プランでは、同一労働同一賃金の実現に踏み込む考えであります。」、そういうように明言されました。政府の方でも既に一億総活躍国民会議等の場で議論を開始されたと伺っておりますし、公明党も、私が本部長をしております雇用・労働問題対策本部の中に同一労働同一賃金の実現に向けた検討小委員会を設置いたしまして、我が党の古屋範子さんに小委員長になっていただいて、議論を開始したところでございます。
最初に、共通して持っておかないといけないのは、同一労働同一賃金という考え方とはどういうことなのかということ、何かということだと思うんですね。
私は、一般に、この同一労働同一賃金というのは、労働に対して同じ賃金を支払うべきという考え方だと認識しております。つまり、職務内容が同一あるいは同等の労働者に対しましては同一の賃金を払うべきという考え方だと考えておりますけれども、この同一労働同一賃金というのを進めるということであるならば、その考え方について、これはどういうことなのかということについて、まず政府の見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 今お話がありましたように、同一労働同一賃金とは、職務内容が同一あるいは同等の労働者に対して同一の賃金を支払うべきだという考え方だというふうに思っております。
また、これから正規、非正規の労働者間の問題あるいは今の非正規労働者の待遇改善といった問題を考えるに当たりましては、基本的に、非正規労働者であるということをもって賃金が低いということについては、合理的な理由がない限りやはり問題があるのではないか、こういう観点から議論していくべきじゃないかと思っております。
○佐藤(茂)委員 ありがとうございます。
そういう観点から、昨年十一月の段階での緊急に実施すべき対策には入っていなかった同一労働同一賃金にまで踏み込まれたのだろうなというように推測いたしますので、次に質問を予定していたことは飛ばします。
一般に、同一労働同一賃金という考え方はEU諸国に定着しておりまして、特にEU諸国において、性別、人種などの個人の意思、努力で変えられない属性等を理由として賃金等の労働条件に関する差別的取り扱いを禁止する原則として確立してきた概念と言われております。
そういう意味では、これからヨーロッパを参考にしていかないといけないと私も思っているんですが、ただ、一説には、日本とヨーロッパの賃金に関連する雇用慣行の違いというものがありまして、欧州は職務給が広く普及し、日本は職務給が普及しておらず職能給である、要するに職務プラスキャリア展開ということが一般的なので、つまり、職務給というのは職務の困難度、重要度を評価し賃金を決定するんだけれども、職能給は労働者の職務を遂行する能力により賃金を決定する、そういう慣行の違いから日本への同一労働同一賃金原則の導入は難しい、そういう議論をされる方も学者やあるいは経済界の中にもいらっしゃるわけでございます。
政府としては日本とヨーロッパの雇用慣行の違い及び同一労働同一賃金原則の日本への導入の難しさをどのように認識しておられるのか、きょうはとかしき厚労副大臣が来ておられますので、御答弁いただきたいと思います。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
今、佐藤委員から御案内いただきましたように、欧州の方では、職務の困難度や重要度を加味して賃金を決定していく職務給が中心でございまして、日本の場合は、職務の内容ではなくて、むしろ勤続年数や職務を遂行する能力を加味して賃金を決定していく職能給が一般的でございます。
ということで、ちょっと考え方にそれぞれ違いがございますので、すぐそのまま一緒にしていくというのはなかなか難しい現状があるというのが今の状態でございます。
以上でございます。
○佐藤(茂)委員 そういうことなんですが、ただ、やはり先を行っているヨーロッパの事例というものをつまびらかにこれから研究していく価値はあると私は思うんですね。
ヨーロッパ諸国の同一労働同一賃金に関する制度というものを見ますと二つに分かれておりまして、一つは、先ほど申し上げました、性別、人種等を理由とする差別的取り扱い禁止原則、こういう原則と、それとともに、二つ目は、雇用形態を理由とする不利益取り扱い禁止原則というのがございます。雇用形態というのは、まさにパートタイム労働であるとか有期契約労働、あるいは派遣労働等の雇用形態を理由として賃金等の労働条件に関する不利益取り扱いを禁止する。
こういう二つの原則がヨーロッパの場合はあるということなんですが、この二つ目の方に客観的あるいは合理的理由があれば例外が許容される、そういう制度にヨーロッパはそれぞれなっております。
例えば、フランスでは、提供された労働の質の違い、あるいは勤務年数の違い、キャリアコースの違い、企業内での法的状況の違い、採用の必要性、緊急性の違いなどでこの例外が許容される。あるいは、ドイツでは、学歴であるとか資格、職業格付の違いなどによって、賃金の違いを正当化する客観的な理由と認められているというようにされているわけでございます。
ですから、先を行っていると言われるヨーロッパでも、同一労働に対し常に同一の賃金を支払うことが義務づけられているわけではなくて、今申し上げましたようなさまざまな、労働の質であるとか勤続年数あるいは学歴、資格、そういうものの違いによっては不利益取り扱い禁止原則の例外ということにされているわけでございます。
こういう欧州の事例も参考にしながら、どういうものが賃金等の労働条件に関する不利益取り扱い禁止原則の例外になり得る合理的な理由なのか、どういうものが不合理な理由なのかということをしっかりとやはり精査していくというか研究していく必要があるんじゃないのか。
というのは、日本の場合、最終的にもしこれを導入したとしても、今度、使用者といいますか会社側にも、あなたの賃金をこういうように差をつけたのはこうこうこういう理由からですということも明確にしてあげる、そういうルール、ガイドラインというものを明確に示すことによって、理論的には日本にも欧州のような同一労働同一賃金原則の導入は可能になってくるのではないか、私はそのように思うんです。
ぜひ加藤大臣に、欧州のような同一労働同一賃金原則の導入の可能性と課題について御答弁をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 先ほどとかしき厚労副大臣からお話がありましたように、欧州は職務給、日本は職能給、そして雇用環境が異なるから、日本への同一労働同一賃金をそのまま、今言ったそういう認識のもとではめ込むのは難しいのではないかという議論は確かにあります。
しかし、今委員御指摘のように、ヨーロッパにおける特に判例等々をいろいろと研究させていただきますと、同一労働同一賃金と言われているヨーロッパにおいても、労働の質、勤続年数、キャリアコース等の違いは考慮に入れている、またそういったことをベースとした判決が出されているというふうに承知をしております。
そういったことを考慮すれば、日本でもそういった意味での同一労働同一賃金の導入というのは可能ではないかというふうに思います。
大事なことは、どのような賃金格差が正当でないと認められるのかといったことを一つ一つ整理して、やはりガイドラインをまとめてそうした事例を示していくということがまず必要になってくるんじゃないかな。
そういう意味からも、法律家などから成る専門的検討の場を立ち上げて欧州での法律運用実態の把握等を進めていきたいと思っておりますし、また、先般の国民会議で安倍総理からは、その上で、できない理由は幾らでも挙げることはできる、大切なことは、どうやったら実現できるか、ここに意識を集中していただきたいという指示がございましたので、そういった方向にのっとって対応していきたい、こう思っております。
○佐藤(茂)委員 私も、総理が強い決意で、どうやったら実現できるのか、そういう新たな一歩を踏み込もうとされていることについては与党としてもさらに議論をしてまいりたいと思うんですが、具体的にやはり数字の上で成果を上げないといけないと思っているんですね。
というのは、最近厚生労働省から、フルタイム労働者に対する非正規の一つのパートタイム労働者の賃金水準の国際比較というものをいただきました。フルタイム労働者の時間当たり賃金に対するパートタイム労働者の時間当たり賃金の割合というのが、フルタイム労働者を一〇〇とすると、日本は二〇一三年時点で五六・八である。ところが、ドイツは二〇一〇年時点で七九・三、フランスは二〇一〇年時点で八九・一等々、ほかは割愛しますが、ヨーロッパは、日本のような五六・八ではなくて、大体八〇%前後あるんですね。パートタイム労働者という一点で見ても、賃金の割合というのは八〇%ぐらいいただかれている、日本は五六・八%と、非常に賃金差が大き過ぎるわけでございます。
今回、政府の中で、そういう国民会議等でされている欧州の事例を学んで同一労働同一賃金の議論をされる中で、結果として、最終的にそういうパートタイム労働者も含めた非正規労働者の皆さんの賃金差が少しでも縮まって待遇改善に結びつけることというのは極めて大事であって、その具体策をぜひニッポン一億総活躍プランに盛り込んでいただきたい、そのように考えますけれども、再度、加藤大臣の決意を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 御指摘のように、我が国の場合、欧州各国と比べて正規で働く方々と非正規で働く方々の格差はやはり大きいというふうに私も認識をしております。また他方で、例えば女性においては、結婚、子育てもあって、三十代半ば以降はみずから非正規雇用を選択されているという方が多い、こういう実態もあります。そういったことを踏まえて、さまざまな多様な働き方の選択を広げていくためにも、非正規雇用で働く方の待遇改善をさらに徹底していく必要があるというふうに思います。
そういった観点に立って、これから取りまとめますニッポン一億総活躍プランにおいても同一労働同一賃金の具体的な方向性を示していきたいと思っておりますし、また公明党内においてもいろいろ御議論があろうかと思いますので、そういった御示唆もいただきながら取りまとめたいと思っております。
○佐藤(茂)委員 ここでがらっとかわりまして、官房長官、済みません、お待たせいたしました。
一つは、北朝鮮の核実験、弾道ミサイルへの対応について二点ほどお伺いしたいんです。
米中が、特に二十三日にアメリカのケリー国務長官と中国の王毅外相がワシントンで会談されて、北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議について、結果的には、彼らが語っている言葉で、重要な進展があり、近く合意する見込みだ、そのように強調されて、これまでよりも強い内容の決議案が近くまとまる見通しである。きょうの朝もさらに、今度は国連の中でもそういう方向になってきているという趣旨の報道がございました。
この米中の大筋合意で北朝鮮への制裁決議が前に進むことについての日本政府としての受けとめ方を、ぜひ菅官房長官にお伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 対北朝鮮制裁に係る安保理決議でありますけれども、今委員から御指摘がありましたように、米国と中国との間で採択に向けて大きな進展があったということは私も報告を受けています。その後、日本時間の本日未明に安保理非公式会合が開催をされて、現在は、関係国間で採択に向けた最終調整が行われるという報告を受けています。
我が国としては、安保理非常任理事国として、日米韓の強固な連携を保ちつつ、他の主要国とも緊密に協力しながら、強い措置を含む採択を一貫して目指し、今日まで全力で取り組んでまいりました。
今回、現実問題として、採択に至るまでの今は最終段階だというふうに思っていますので、今後もその目的のために全力を尽くして関係国と取り組んでいるというのが今の実情であります。
○佐藤(茂)委員 ぜひ、官房長官、今、吉川国連大使だと思うんですが、出先を含め、外務省も、日本政府も挙げて取り組んでいただきたいと思うんです。
ちょうど二〇〇九年に北朝鮮が同じように核実験、前の麻生政権のときですけれども、また弾道ミサイルを飛ばしましたときに、私も与党でこの分野の公明党の責任者をしておりましたので、当時の山崎拓さんと今の中谷防衛大臣と私の三人、とにかく日本は、政府・与党は怒っているんだということを国連に行って言ってこい、そういう指示をいただきまして、国連の、今もロシアのチュルキンさんという大使はかわりませんが、ロシアであるとか中国あるいは韓国、もちろんアメリカもですけれども、強い決議をということで働きかけた思い出があります。
本当に今それが思い出されまして、それ以来の大きな厳しい決議になるのではないかということを期待しておりますので、ぜひ進めていただきたいなと思います。
もう一つ、二月七日に行いました北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けまして、私は、北朝鮮のミサイル発射に的確に対応するためには、やはりまずは日本とアメリカと韓国の防衛体制を結果的に連携といいますか、こういうものを強化していくということが何よりも大事だと思うんですが、それとともに、今回も言われておりますように、ミサイル発射を重ねるごとに北朝鮮は技術力というのをどんどん向上させている実態がございます。そういうことからすると、我が国の自衛隊の迎撃能力というものもさらに高めていく努力をしていく必要があるのではないか、そのように考えます。
一つは、今、日米両政府が共同開発中のSM3ブロック2Aが配備されると、例えばイージス艦も、今は日本全体を守るのに三隻必要なんですけれども、二隻で大丈夫になるというようなこともあります。
もう一つは、さらなる迎撃態勢を考えていってもいいのではないかと思うんですね。
というのは、十年以上前にアメリカへ行きましてミサイル防衛庁へ行きましたときに、一つはSM3ブロック2Aの話と、もう一つは、今、韓国に米軍が導入しようとしていると言われているTHAADの話を伺いました。今、日本は二段構えです。イージス艦からSM3で撃ち落とす、次に、着弾に近くなって、それでだめなものをPAC3で撃ち落とす。このちょうど間に入る高さぐらいで落とす、これがTHAADだと私は認識しておるんです。
二段構えから三段構えで北朝鮮等が飛ばしてくる弾道ミサイルをしっかりと迎撃できる、そういう構えというものも研究していく価値はあるのではないかと思っております。ただ、防衛関係費というのはやはりどこまでも青天井というわけにいきませんから、費用対効果の面であるとか、あるいは自衛隊全体の装備体系というものとの関係をしっかり考慮に入れないといけないと思うんです。
そういうTHAADの件について検討していくということについて、ある報道では、官房長官も、今回の北朝鮮の事案を受けて、研究しつつ検討を加速すると語られたとされているんですけれども、NSCを担当されている菅官房長官の見解をぜひ伺いたいと思います。
○菅国務大臣 北朝鮮は、我が国初め関連国のたび重なる指摘にもかかわらず、核実験そして弾道ミサイルを発射した。これに対して、当然、我が国としては、国民の命と平和を守るための防衛をするのは私どもの役割だというふうに思っています。
現状は、今委員の御指摘がありましたように、イージス艦とPAC3のミサイルで今回も対応させていただいたわけでありますけれども、しかし、北朝鮮の技術力というのは間違いなく向上していることも事実だろうというふうに思っています。
そういう中で、防衛大綱及び中期防整備計画においては、現在の弾道ミサイル防衛システムの能力を強化するとともに、新たな装備品も含めて、将来の弾道ミサイル防衛システム全体のあり方について検討する、こういうことになっております。現段階においては今御指摘いただきましたTHAADを導入する具体的な計画はありませんけれども、このような新たな装備品の導入というのは具体的な能力強化策の一つであるというふうに考えています。
いずれにしろ、政府としては、我が国の弾道ミサイル防衛システムの将来的あり方について精力的に検討し、弾道ミサイル、核の脅威から国民の皆さんの安全を守るために全力で取り組んでまいる所存であります。
○佐藤(茂)委員 あと二分時間がございますので、もう一つ。
最初の自民党の宮崎委員の方から御質問のありました、アメリカ太平洋軍のハリー・ハリス司令官が二十三日にアメリカの上院軍事委員会の公聴会に出席されて、これは公の場でございます、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の完了について、二〇二三年までに代替施設が完成する予定とすれば約二年おくれており、二五年に終える、そういうふうに語ったという報道がございます。要は、これまでの計画よりも二年おくれる、そういう見通しを示されました。
もともと今の統合計画では普天間飛行場の返還時期を二〇二二年度またはその後とすることで合意していたんですけれども、アメリカの太平洋軍司令官、米軍幹部がこういうおくれを公の場で発言されるというのは異例のことでございますし、先ほど官房長官も、日本からそういうことを言ったことはないんだと言われました。
ただ、それで、しかしアメリカの上院軍事委員会というのはそれなりのところですから、その公聴会で言われたことがそのままひとり歩きしてしまうと困るわけでございますので、日本政府と認識が異なっているということだけではなくて、そごのないようにどこかでしっかりとやはり調整していく必要があるのではないかと私は思うんですけれども、そういうことも含めて、官房長官の見解を伺いたいと思います。
○菅国務大臣 まず、これまで日本側から米国に対して、辺野古移設について、当初よりおくれて二〇二五年になるという見通しを伝えたことは一切ありません。現時点においては、日米で合意した計画というのは、委員から御指摘がありましたように、二二年度またはその後に返還されるということになっております。
この移設につきましては、米国とさまざまなレベルで緊密に協議をしながら進めているところであります。こういう中で、計画はしっかりと進めていくという日本のかたい決意も米国に当然伝えるところであります。
政府としては、引き続き、米側と緊密に連携をとりながら、このことをしっかり実行に移すように努力してまいりたいというふうに思います。
当然、米側のこの発言については、外交ルートを通じて、そこは全く今までと違うわけでありますから、我が国からもしかるべき抗議をしているところであります。
○佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○佐藤(茂)委員 公明党の佐藤茂樹でございます。
きょうは、先日の大臣所信に対しての質疑ということでお時間を頂戴しましたので、内閣委員会に関係する大臣及び副大臣にお越しいただきました。政府参考人の皆さんも来ていただいておりますが、余り細かいことは聞きませんので、ぜひ大臣、副大臣でお答えいただければありがたいと思います。
まず最初に、きょうは六本ぐらい大きく質問を用意したんですけれども、一つ目には、一億総活躍社会の実現ということについてお尋ねをしたいと思います。
まず、総論的にお伺いしたいのは、安倍総理は施政方針演説で、一億総活躍社会への挑戦を始めます、そのように明言をされました。また、加藤一億総活躍社会担当大臣も先日の所信表明で、一億総活躍社会の実現は安倍内閣の最重要課題です、このように述べられたわけでございます。
私は公明党の一億総活躍推進本部の事務局長を仰せつかっておりまして、昨年十一月二十四日に党として提言をまとめまして、総理に申し入れをさせていただきました。
我が党は、安倍総理が掲げる一億総活躍社会とは一人一人が輝き活躍できる社会、そのように位置づけて、全ての人が自己実現できる社会を目指して取り組みを進めたいと考えておりまして、そういう視点から、一億総活躍社会の実現に与党としてしっかりと協力し、また政策についても、さらに磨いてさらなる提言等を行ってまいりたい、そのように考えているわけでございます。
きょうは、給与法は別にして、今国会初の内閣委員会でございますので、安倍内閣の最重要課題と言われております一億総活躍社会について、ぜひ加藤大臣の方から、一億総活躍社会とはどういう社会で、安倍政権は何ゆえその実現を目指すのかということについて御答弁をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 公明党におかれても一億総活躍推進本部を設置いただきまして、また委員におかれては、事務局長をお務めになり、先般の緊急対策をまとめるに当たってもいろいろ議論をリードしていただいておりましたこと、改めて感謝申し上げたいと思います。
その上で、この一億総活躍社会でありますけれども、安倍総理も申し上げておりますように、これからの我が国の経済成長というものを考えたときに、やはり少子高齢化という構造的な問題がございますし、きょう発表された国勢調査でも、大正以来初めて国勢調査での人口が減少するということになっております。また、さらにこれからの先行きを見ても、高齢化は進み、人口が減少するという試算が出されているわけであります。
そうした少子高齢化さらには人口減少ということになってまいりますと、労働供給が減少していくということのみならず、将来の経済規模の縮小、生活水準の低下そして経済の持続可能性を危うくするのではないか、こういう将来に対する不安、懸念というものが出てきている、それが今における消費や投資にも大きな影響を及ぼしているのではないか。
それを乗り越えていくためにも、少子高齢化という構造的な問題に正面から取り組み、そして、やはり我々の目指す社会というのは、先ほどお話がありましたように、若者も高齢者も、女性も男性も、障害や難病のある方々も、さらには一度失敗をされたような方々も、それぞれが包摂をされ活躍できる、そういう一億総活躍社会というものを実現していくことが必要だと思っております。
また、そうした一億総活躍社会を実現するに当たりましては、今回の新しい三本の矢、第一の矢で強い経済を実現し、その成長果実をもって第二、第三の矢である子育て支援や社会保障の基盤を強化していく。
こういうことを通じて子育てや介護と仕事が両立しやすくなっていくことによって、さまざまな方々が例えば働くという形で参加をされていく。そして、そのことによって単に労働参加率が上がるというだけではなくて、さまざまな方々が参加することによっていわゆる多様性が社会により持ち込まれ、そのことが、イノベーションを通じて生産性の向上を図っていくという意味においてまた成長に寄与し、経済が社会基盤の安定を持っていく、そういう成長と分配という新たな好循環をつくっていく。
そういう意味では、新たな経済社会システムを構築していこう、そういう意味における元年であり、またそれを目指すという意味において最重要課題だというふうに位置づけているところでございます。
○佐藤(茂)委員 成長と分配の好循環という言葉に象徴されるように、後で申し上げますけれども、アベノミクスの成果も一つ一つ出てきまして、ひところよりは、デフレも脱却できるのではないか、そういうような段階になってきました。
こういうときに、少子高齢化社会という構造的な日本の社会の問題にどう取り組んでいくのか、一億総活躍社会というのはそういう意味での非常に挑戦的な取り組みではないかと思っておりまして、またこれからも政策をしっかりと議論させていただきたいと思っているわけでございます。
ことしに入りまして、一月二十九日にことし初めての、全体としては第四回の一億総活躍国民会議というのが行われました。
そのときに安倍総理はプランについて、プランというのは、これからニッポン一億総活躍プランというのをどうしていくのかということが焦点になるわけですね。昨年の十一月二十六日には緊急に実施すべき対策ということで取りまとめられて、これは、補正予算であるとか来年度予算案、あるいはこの通常国会に関連する法案という形で一つ結実しているわけですが、これからニッポン一億総活躍プランというものをどういうものにしていくのか、これが焦点に当たるわけです。
それについて安倍総理は、一月二十九日の国民会議の際に、プランについて、生産性向上問題のほか、特に次の三点を骨格としたいと考えます、第一に働き方改革です、第二に子育て、介護の環境整備です、そして第三に成長と分配の好循環のメカニズムを示すと述べられ、三つの骨格を明らかにされ、その上で、第一の矢については石原経済再生担当大臣を中心に、第二、第三の矢については加藤一億総活躍担当大臣を中心に策定を指示された、そのように伺っております。
そこで、策定を指示された両大臣に、きょうは総論的で結構ですので、お答えいただければありがたいと思うんです。
まず、成長と分配の好循環のメカニズムという骨格を含め、第一の矢を担当される石原大臣は、総理の指示を受けて、プランの内容としてどういうものを策定されるつもりなのか、所見を伺いたいと思います。
○石原国務大臣 佐藤委員にお答えしたいと思います。
もう御存じのとおり、第二ステージの第一の矢は、これまでの三本の矢を束ねて一層強化して、名目GDP六百兆円という目標を明確にさせていただきました。そんな中で、今委員が御指摘になりましたように、昨年の十一月に一億総活躍社会実現のための緊急対策というものを加藤大臣を中心に取りまとめられた。
御質問は、この後、第一の矢の部分の担当者としてどんなことを考えているのかということだと思うんですけれども、今、春闘、花盛りでございますけれども、賃金、所得の向上を引き出す供給側の強化ということがやはり一つ重要ではないかと認識しております。
そして、賃金、所得の向上や潜在ニーズの顕在化を通じて、昨年の十—十二のQEを見てもやはり消費が残念ながら弱いわけですから、消費を喚起する政策をつくっていく。そして、今、佐藤委員が御指摘されたように、成長と分配の好循環を実現するための新しいシステムを構築していくというような形で検討を進めさせていただいているわけでございます。
経済財政諮問会議におきましても引き続き精力的に議論を今の点に関してさせていただきまして、ニッポン一億総活躍プラン、これは加藤大臣を中心に取りまとめられますけれども、そこに反映できるよう、もう少しブラッシュアップをこれから進めてまいりたいと考えております。
○佐藤(茂)委員 もう一点、指示をされました加藤大臣にお伺いしたいのは、そのときに総理から、働き方改革及び子育て、介護の環境整備という骨格を示されました。そういう骨格も含めて、第二、第三の矢を策定される加藤大臣としては、このプランの内容としてどういうものをこれから検討されていくのか、御答弁をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 今、第一の矢については石原大臣から御説明がありましたけれども、第二、第三の矢については私を中心に策定させていただいております。
まず第一に働き方改革でありますけれども、同一労働同一賃金の実現など、非正規雇用労働者の待遇改善、また定年延長企業の奨励等の高齢者雇用の促進、そして総労働時間抑制等の長時間労働の是正、これらについて具体的な方向性を取りまとめたいと思っております。
第二点の子育て、介護の環境整備でありますけれども、保育、介護人材の確保のための介護職及び保育士の待遇改善の具体的な方向性を取りまとめたいと思っておりますし、あわせて、こうした保育や介護分野における生産性の向上と働き方改革についても取り上げていきたいと考えております。
第三に、若者、女性、障害や難病のある方々の就業の促進、あるいは格差を固定化させないための子供の教育問題、こういったことも取りまとめたいというふうに思っております。
この中身については、一億総活躍国民会議で毎回テーマを決めて、有識者の方々に入っていただいております、そういう方々を含めて集中的に御議論いただき、この春のプラン策定につなげていきたいと思っております。
○佐藤(茂)委員 今、両大臣から、これからのプランの構想というか、どういうものを入れていくのかということも大体御答弁いただきましたので、また引き続き与党の一角として、私も党に持ち帰って、そういう政策を我が党内でもしっかりと議論させていただきたいと思っております。きょうのところはこれぐらいにいたします。
大きな二点目として、きょう、就任されて間もない石原経済再生担当大臣に質問をさせていただきたいと思うんです。
一月二十一日、これは大臣に就任される前、前大臣のときですが、本年第一回の経済財政諮問会議が行われまして、こういう資料、資料二とつけられているんですが、アベノミクスの三年間の成果、こういうデータが示されました。中身を拝見いたしますと、十項目にわたって、安倍政権が誕生する政権交代前と比較しての成果がわかりやすく示されたものだと思っております。
例えば、概要では、十五年以上続いたデフレ状況を転換、物価の基調はプラスに転換、名目GDP、実質GDPはともに増加と、この段階でございますが。さらに、GNIについて見ると、実質では二〇一二年十—十二月期と比べて約二十一兆円増加したであるとか、あるいは企業収益は過去最高であると。さらに、倒産・失業、賃金のところでは、二〇一五年の倒産件数は二〇一二年と比べて約三割減少し、二十五年ぶりの低水準であるということであるとか、失業者は五十三万人減少というように、わかりやすい数字をしっかりとまとめていただいているわけですね。さらに、有効求人倍率も、全国は確かに上昇したんですが、全都道府県で上昇している、地方七県においては過去最高水準を記録しているということであるとか、あるいは女性、少子化ということでいうと、女性の就業者数は百二万人増加した、正規雇用者数は三十一万人増加したというような、数字的に本当にわかりやすい、アベノミクスとしてこれだけの数字を上げてきたんだ、そういう成果が一月に出されているわけでございます。
ただ、それと比較いたしまして、ことしの一月以降だけ見ても、幾つかマスコミで世論調査をしているわけでございますが、なかなかその数字のような実感が国民に伴っていない。
例えば、ちょうど同時期の一月二十二日から二十四日に調査した一月二十五日付の日経新聞を見ますと、アベノミクスによって今後も景気がよくなると思わないは四九%、よくなると思うが二七%なんですね。つい先週の例えば読売の世論調査、二月十六日付で見ますと、安倍内閣のもとで景気の回復を実感していますか、実感していませんか。実感しているが一六%、実感していないが七七%。きょうも同じく読売の朝刊に、アベノミクス、評価せずが五七%だという見出しで、今後景気回復を期待できると答えた人は三四%、期待できないは六五%だった、景気回復を実感していないは八四%に達した、そういう報道が出ているわけであります。
石原経済再生担当大臣にぜひお聞きしたいのは、前大臣から政策を継承されて、数字上の経済再生とともに、大事なのはやはり、今企業業績が上がっているという一部上場企業だけではなくて、地方の中小企業あるいは商店街、そして国民が景気の回復を実感できるような、そういう経済再生のかじ取りをぜひお願いしたい。ことしはそういう意味では正念場ではないかと思っておるんですが、その方策も含めて、石原大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○石原国務大臣 ただいま佐藤委員が、大変わかりやすくアベノミクス三年の成果を御説明いただいたと思います。
やはり大きく変わってきているのは、所得と雇用の環境というものが改善している、そして、委員御指摘のとおり、大企業は過去最高益を記録する。
これからはやはり、今委員御指摘のように、中小零細そして地方の方々が、先ほど好循環の中での果実という形が重要であるというような御認識をお示しされておりましたけれども、そういうものを多くの方々が感じていただけるような成果を出していかなければならないと思っております。
まだマクロの数字で分析がし終わっていないんですけれども、佐藤先生等々も応援をしていただきました地域振興券は、私、大臣をさせていただく前まで党の方の中小企業・小規模零細事業調査会の会長で全国を回った感じでは、どこへ行きましても、これは大変よかったよ、消費を喚起する政策としてはよかったんじゃないかというようなお褒めのお言葉をいただきました。
その一方で、地方に行きましても労働人口が非常にタイトになってきている。もう悲鳴に近いような、人が足りないよというような話も聞いております。それによって人が足りないのであるならば、いい人を雇うために中小でも自信を持って賃金を上げていただいて、いい人を採っていただいて仕事をしていただく。それがまた消費の好循環につながるというのが、二十年間デフレが続いていて、やっとアベノミクスでデフレではない状態をつくり出すことはできたんですけれども、やはり心理としてはデフレマインドが強く出ている、これを払拭するところがこれからもう一つ大切なアベノミクスの政策ではないか、こんなふうに考えているところでございます。
○佐藤(茂)委員 ありがとうございます。
官房長官はもうちょっとお待ちください。最後にお聞きしたいんです。
きょうは、ちょっとこれから同一労働同一賃金の実現について加藤大臣にお伺いしたいと思うので、石原大臣、もし公務等がおありでしたら。よろしいですか。
それで、先ほどの一月二十二日の安倍総理の施政方針演説の中で「本年取りまとめるニッポン一億総活躍プランでは、同一労働同一賃金の実現に踏み込む考えであります。」、そういうように明言されました。政府の方でも既に一億総活躍国民会議等の場で議論を開始されたと伺っておりますし、公明党も、私が本部長をしております雇用・労働問題対策本部の中に同一労働同一賃金の実現に向けた検討小委員会を設置いたしまして、我が党の古屋範子さんに小委員長になっていただいて、議論を開始したところでございます。
最初に、共通して持っておかないといけないのは、同一労働同一賃金という考え方とはどういうことなのかということ、何かということだと思うんですね。
私は、一般に、この同一労働同一賃金というのは、労働に対して同じ賃金を支払うべきという考え方だと認識しております。つまり、職務内容が同一あるいは同等の労働者に対しましては同一の賃金を払うべきという考え方だと考えておりますけれども、この同一労働同一賃金というのを進めるということであるならば、その考え方について、これはどういうことなのかということについて、まず政府の見解を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 今お話がありましたように、同一労働同一賃金とは、職務内容が同一あるいは同等の労働者に対して同一の賃金を支払うべきだという考え方だというふうに思っております。
また、これから正規、非正規の労働者間の問題あるいは今の非正規労働者の待遇改善といった問題を考えるに当たりましては、基本的に、非正規労働者であるということをもって賃金が低いということについては、合理的な理由がない限りやはり問題があるのではないか、こういう観点から議論していくべきじゃないかと思っております。
○佐藤(茂)委員 ありがとうございます。
そういう観点から、昨年十一月の段階での緊急に実施すべき対策には入っていなかった同一労働同一賃金にまで踏み込まれたのだろうなというように推測いたしますので、次に質問を予定していたことは飛ばします。
一般に、同一労働同一賃金という考え方はEU諸国に定着しておりまして、特にEU諸国において、性別、人種などの個人の意思、努力で変えられない属性等を理由として賃金等の労働条件に関する差別的取り扱いを禁止する原則として確立してきた概念と言われております。
そういう意味では、これからヨーロッパを参考にしていかないといけないと私も思っているんですが、ただ、一説には、日本とヨーロッパの賃金に関連する雇用慣行の違いというものがありまして、欧州は職務給が広く普及し、日本は職務給が普及しておらず職能給である、要するに職務プラスキャリア展開ということが一般的なので、つまり、職務給というのは職務の困難度、重要度を評価し賃金を決定するんだけれども、職能給は労働者の職務を遂行する能力により賃金を決定する、そういう慣行の違いから日本への同一労働同一賃金原則の導入は難しい、そういう議論をされる方も学者やあるいは経済界の中にもいらっしゃるわけでございます。
政府としては日本とヨーロッパの雇用慣行の違い及び同一労働同一賃金原則の日本への導入の難しさをどのように認識しておられるのか、きょうはとかしき厚労副大臣が来ておられますので、御答弁いただきたいと思います。
○とかしき副大臣 お答えさせていただきます。
今、佐藤委員から御案内いただきましたように、欧州の方では、職務の困難度や重要度を加味して賃金を決定していく職務給が中心でございまして、日本の場合は、職務の内容ではなくて、むしろ勤続年数や職務を遂行する能力を加味して賃金を決定していく職能給が一般的でございます。
ということで、ちょっと考え方にそれぞれ違いがございますので、すぐそのまま一緒にしていくというのはなかなか難しい現状があるというのが今の状態でございます。
以上でございます。
○佐藤(茂)委員 そういうことなんですが、ただ、やはり先を行っているヨーロッパの事例というものをつまびらかにこれから研究していく価値はあると私は思うんですね。
ヨーロッパ諸国の同一労働同一賃金に関する制度というものを見ますと二つに分かれておりまして、一つは、先ほど申し上げました、性別、人種等を理由とする差別的取り扱い禁止原則、こういう原則と、それとともに、二つ目は、雇用形態を理由とする不利益取り扱い禁止原則というのがございます。雇用形態というのは、まさにパートタイム労働であるとか有期契約労働、あるいは派遣労働等の雇用形態を理由として賃金等の労働条件に関する不利益取り扱いを禁止する。
こういう二つの原則がヨーロッパの場合はあるということなんですが、この二つ目の方に客観的あるいは合理的理由があれば例外が許容される、そういう制度にヨーロッパはそれぞれなっております。
例えば、フランスでは、提供された労働の質の違い、あるいは勤務年数の違い、キャリアコースの違い、企業内での法的状況の違い、採用の必要性、緊急性の違いなどでこの例外が許容される。あるいは、ドイツでは、学歴であるとか資格、職業格付の違いなどによって、賃金の違いを正当化する客観的な理由と認められているというようにされているわけでございます。
ですから、先を行っていると言われるヨーロッパでも、同一労働に対し常に同一の賃金を支払うことが義務づけられているわけではなくて、今申し上げましたようなさまざまな、労働の質であるとか勤続年数あるいは学歴、資格、そういうものの違いによっては不利益取り扱い禁止原則の例外ということにされているわけでございます。
こういう欧州の事例も参考にしながら、どういうものが賃金等の労働条件に関する不利益取り扱い禁止原則の例外になり得る合理的な理由なのか、どういうものが不合理な理由なのかということをしっかりとやはり精査していくというか研究していく必要があるんじゃないのか。
というのは、日本の場合、最終的にもしこれを導入したとしても、今度、使用者といいますか会社側にも、あなたの賃金をこういうように差をつけたのはこうこうこういう理由からですということも明確にしてあげる、そういうルール、ガイドラインというものを明確に示すことによって、理論的には日本にも欧州のような同一労働同一賃金原則の導入は可能になってくるのではないか、私はそのように思うんです。
ぜひ加藤大臣に、欧州のような同一労働同一賃金原則の導入の可能性と課題について御答弁をいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 先ほどとかしき厚労副大臣からお話がありましたように、欧州は職務給、日本は職能給、そして雇用環境が異なるから、日本への同一労働同一賃金をそのまま、今言ったそういう認識のもとではめ込むのは難しいのではないかという議論は確かにあります。
しかし、今委員御指摘のように、ヨーロッパにおける特に判例等々をいろいろと研究させていただきますと、同一労働同一賃金と言われているヨーロッパにおいても、労働の質、勤続年数、キャリアコース等の違いは考慮に入れている、またそういったことをベースとした判決が出されているというふうに承知をしております。
そういったことを考慮すれば、日本でもそういった意味での同一労働同一賃金の導入というのは可能ではないかというふうに思います。
大事なことは、どのような賃金格差が正当でないと認められるのかといったことを一つ一つ整理して、やはりガイドラインをまとめてそうした事例を示していくということがまず必要になってくるんじゃないかな。
そういう意味からも、法律家などから成る専門的検討の場を立ち上げて欧州での法律運用実態の把握等を進めていきたいと思っておりますし、また、先般の国民会議で安倍総理からは、その上で、できない理由は幾らでも挙げることはできる、大切なことは、どうやったら実現できるか、ここに意識を集中していただきたいという指示がございましたので、そういった方向にのっとって対応していきたい、こう思っております。
○佐藤(茂)委員 私も、総理が強い決意で、どうやったら実現できるのか、そういう新たな一歩を踏み込もうとされていることについては与党としてもさらに議論をしてまいりたいと思うんですが、具体的にやはり数字の上で成果を上げないといけないと思っているんですね。
というのは、最近厚生労働省から、フルタイム労働者に対する非正規の一つのパートタイム労働者の賃金水準の国際比較というものをいただきました。フルタイム労働者の時間当たり賃金に対するパートタイム労働者の時間当たり賃金の割合というのが、フルタイム労働者を一〇〇とすると、日本は二〇一三年時点で五六・八である。ところが、ドイツは二〇一〇年時点で七九・三、フランスは二〇一〇年時点で八九・一等々、ほかは割愛しますが、ヨーロッパは、日本のような五六・八ではなくて、大体八〇%前後あるんですね。パートタイム労働者という一点で見ても、賃金の割合というのは八〇%ぐらいいただかれている、日本は五六・八%と、非常に賃金差が大き過ぎるわけでございます。
今回、政府の中で、そういう国民会議等でされている欧州の事例を学んで同一労働同一賃金の議論をされる中で、結果として、最終的にそういうパートタイム労働者も含めた非正規労働者の皆さんの賃金差が少しでも縮まって待遇改善に結びつけることというのは極めて大事であって、その具体策をぜひニッポン一億総活躍プランに盛り込んでいただきたい、そのように考えますけれども、再度、加藤大臣の決意を伺いたいと思います。
○加藤国務大臣 御指摘のように、我が国の場合、欧州各国と比べて正規で働く方々と非正規で働く方々の格差はやはり大きいというふうに私も認識をしております。また他方で、例えば女性においては、結婚、子育てもあって、三十代半ば以降はみずから非正規雇用を選択されているという方が多い、こういう実態もあります。そういったことを踏まえて、さまざまな多様な働き方の選択を広げていくためにも、非正規雇用で働く方の待遇改善をさらに徹底していく必要があるというふうに思います。
そういった観点に立って、これから取りまとめますニッポン一億総活躍プランにおいても同一労働同一賃金の具体的な方向性を示していきたいと思っておりますし、また公明党内においてもいろいろ御議論があろうかと思いますので、そういった御示唆もいただきながら取りまとめたいと思っております。
○佐藤(茂)委員 ここでがらっとかわりまして、官房長官、済みません、お待たせいたしました。
一つは、北朝鮮の核実験、弾道ミサイルへの対応について二点ほどお伺いしたいんです。
米中が、特に二十三日にアメリカのケリー国務長官と中国の王毅外相がワシントンで会談されて、北朝鮮に対する国連安保理の制裁決議について、結果的には、彼らが語っている言葉で、重要な進展があり、近く合意する見込みだ、そのように強調されて、これまでよりも強い内容の決議案が近くまとまる見通しである。きょうの朝もさらに、今度は国連の中でもそういう方向になってきているという趣旨の報道がございました。
この米中の大筋合意で北朝鮮への制裁決議が前に進むことについての日本政府としての受けとめ方を、ぜひ菅官房長官にお伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 対北朝鮮制裁に係る安保理決議でありますけれども、今委員から御指摘がありましたように、米国と中国との間で採択に向けて大きな進展があったということは私も報告を受けています。その後、日本時間の本日未明に安保理非公式会合が開催をされて、現在は、関係国間で採択に向けた最終調整が行われるという報告を受けています。
我が国としては、安保理非常任理事国として、日米韓の強固な連携を保ちつつ、他の主要国とも緊密に協力しながら、強い措置を含む採択を一貫して目指し、今日まで全力で取り組んでまいりました。
今回、現実問題として、採択に至るまでの今は最終段階だというふうに思っていますので、今後もその目的のために全力を尽くして関係国と取り組んでいるというのが今の実情であります。
○佐藤(茂)委員 ぜひ、官房長官、今、吉川国連大使だと思うんですが、出先を含め、外務省も、日本政府も挙げて取り組んでいただきたいと思うんです。
ちょうど二〇〇九年に北朝鮮が同じように核実験、前の麻生政権のときですけれども、また弾道ミサイルを飛ばしましたときに、私も与党でこの分野の公明党の責任者をしておりましたので、当時の山崎拓さんと今の中谷防衛大臣と私の三人、とにかく日本は、政府・与党は怒っているんだということを国連に行って言ってこい、そういう指示をいただきまして、国連の、今もロシアのチュルキンさんという大使はかわりませんが、ロシアであるとか中国あるいは韓国、もちろんアメリカもですけれども、強い決議をということで働きかけた思い出があります。
本当に今それが思い出されまして、それ以来の大きな厳しい決議になるのではないかということを期待しておりますので、ぜひ進めていただきたいなと思います。
もう一つ、二月七日に行いました北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けまして、私は、北朝鮮のミサイル発射に的確に対応するためには、やはりまずは日本とアメリカと韓国の防衛体制を結果的に連携といいますか、こういうものを強化していくということが何よりも大事だと思うんですが、それとともに、今回も言われておりますように、ミサイル発射を重ねるごとに北朝鮮は技術力というのをどんどん向上させている実態がございます。そういうことからすると、我が国の自衛隊の迎撃能力というものもさらに高めていく努力をしていく必要があるのではないか、そのように考えます。
一つは、今、日米両政府が共同開発中のSM3ブロック2Aが配備されると、例えばイージス艦も、今は日本全体を守るのに三隻必要なんですけれども、二隻で大丈夫になるというようなこともあります。
もう一つは、さらなる迎撃態勢を考えていってもいいのではないかと思うんですね。
というのは、十年以上前にアメリカへ行きましてミサイル防衛庁へ行きましたときに、一つはSM3ブロック2Aの話と、もう一つは、今、韓国に米軍が導入しようとしていると言われているTHAADの話を伺いました。今、日本は二段構えです。イージス艦からSM3で撃ち落とす、次に、着弾に近くなって、それでだめなものをPAC3で撃ち落とす。このちょうど間に入る高さぐらいで落とす、これがTHAADだと私は認識しておるんです。
二段構えから三段構えで北朝鮮等が飛ばしてくる弾道ミサイルをしっかりと迎撃できる、そういう構えというものも研究していく価値はあるのではないかと思っております。ただ、防衛関係費というのはやはりどこまでも青天井というわけにいきませんから、費用対効果の面であるとか、あるいは自衛隊全体の装備体系というものとの関係をしっかり考慮に入れないといけないと思うんです。
そういうTHAADの件について検討していくということについて、ある報道では、官房長官も、今回の北朝鮮の事案を受けて、研究しつつ検討を加速すると語られたとされているんですけれども、NSCを担当されている菅官房長官の見解をぜひ伺いたいと思います。
○菅国務大臣 北朝鮮は、我が国初め関連国のたび重なる指摘にもかかわらず、核実験そして弾道ミサイルを発射した。これに対して、当然、我が国としては、国民の命と平和を守るための防衛をするのは私どもの役割だというふうに思っています。
現状は、今委員の御指摘がありましたように、イージス艦とPAC3のミサイルで今回も対応させていただいたわけでありますけれども、しかし、北朝鮮の技術力というのは間違いなく向上していることも事実だろうというふうに思っています。
そういう中で、防衛大綱及び中期防整備計画においては、現在の弾道ミサイル防衛システムの能力を強化するとともに、新たな装備品も含めて、将来の弾道ミサイル防衛システム全体のあり方について検討する、こういうことになっております。現段階においては今御指摘いただきましたTHAADを導入する具体的な計画はありませんけれども、このような新たな装備品の導入というのは具体的な能力強化策の一つであるというふうに考えています。
いずれにしろ、政府としては、我が国の弾道ミサイル防衛システムの将来的あり方について精力的に検討し、弾道ミサイル、核の脅威から国民の皆さんの安全を守るために全力で取り組んでまいる所存であります。
○佐藤(茂)委員 あと二分時間がございますので、もう一つ。
最初の自民党の宮崎委員の方から御質問のありました、アメリカ太平洋軍のハリー・ハリス司令官が二十三日にアメリカの上院軍事委員会の公聴会に出席されて、これは公の場でございます、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の完了について、二〇二三年までに代替施設が完成する予定とすれば約二年おくれており、二五年に終える、そういうふうに語ったという報道がございます。要は、これまでの計画よりも二年おくれる、そういう見通しを示されました。
もともと今の統合計画では普天間飛行場の返還時期を二〇二二年度またはその後とすることで合意していたんですけれども、アメリカの太平洋軍司令官、米軍幹部がこういうおくれを公の場で発言されるというのは異例のことでございますし、先ほど官房長官も、日本からそういうことを言ったことはないんだと言われました。
ただ、それで、しかしアメリカの上院軍事委員会というのはそれなりのところですから、その公聴会で言われたことがそのままひとり歩きしてしまうと困るわけでございますので、日本政府と認識が異なっているということだけではなくて、そごのないようにどこかでしっかりとやはり調整していく必要があるのではないかと私は思うんですけれども、そういうことも含めて、官房長官の見解を伺いたいと思います。
○菅国務大臣 まず、これまで日本側から米国に対して、辺野古移設について、当初よりおくれて二〇二五年になるという見通しを伝えたことは一切ありません。現時点においては、日米で合意した計画というのは、委員から御指摘がありましたように、二二年度またはその後に返還されるということになっております。
この移設につきましては、米国とさまざまなレベルで緊密に協議をしながら進めているところであります。こういう中で、計画はしっかりと進めていくという日本のかたい決意も米国に当然伝えるところであります。
政府としては、引き続き、米側と緊密に連携をとりながら、このことをしっかり実行に移すように努力してまいりたいというふうに思います。
当然、米側のこの発言については、外交ルートを通じて、そこは全く今までと違うわけでありますから、我が国からもしかるべき抗議をしているところであります。
○佐藤(茂)委員 時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。