190-参-財政金融委員会-1号 平成28年02月18日
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立でございます。
今日は、黒田日銀総裁に、日銀による株式の取得や、またマイナス金利、物価目標、そしてさらには実質賃金などについても少し議論をさせていただきたいと思います。
先月、一月二十九日に、まさに物価目標の達成時期が先送りされ、また先日発表されたGDP速報値でも十—十二月期がマイナス一・四%になるなど、アベノミクスのまた金融政策がうまくいっていないということが如実に出てきております。
かつて日銀の政策委員を務められた植田和男東大教授も、日経の「経済教室」で、「金融資産価格が金融政策に強く反応してきたにもかかわらず、実体経済の資産価格に対する反応が鈍いことである。」と指摘しておられております。つまり、金融政策の効果として円安や株高はあったけれども、実体経済には十分に効果が発揮しているとは言えないと、このように明確に述べておられます。
実は、冒頭、ちょっと私の、自分自身の宣伝になって恐縮なんですけれども、同じような問題意識を持っておりまして、このアベノミクスの問題点をまとめて本を出版をさせていただきました。「アベノミクスの正体」という、崩壊寸前という本であります。
これを、中に書いてあることも今日は議論をさせていただきたいと思いますが、まず総裁には、この本は読んでいただけていないとは思いますけれども、その前に、最近予算委員会でも議論されました日刊ゲンダイというのは読まれていますか。
○参考人(黒田東彦君) 各種の新聞は読んでおりますけれども、そういったものに出ております日本銀行の金融政策等に関する記事はスタッフが提供してくれますので、読んでおります。
○尾立源幸君 じゃ、日刊ゲンダイが出どころというものを切り抜いたものを読んでいるということですか。それとも、この新聞自体を読んでいらっしゃるんですか。
○参考人(黒田東彦君) 新聞自体は取っておりません。
○尾立源幸君 じゃ、どうやって読んでいらっしゃるんですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、スタッフが様々な新聞その他のマスコミの媒体で報道されているものは適宜に、こういう報道がありますよということは教えていただいていますが、その全ての記事を私が読んでいるというわけではございません。
○尾立源幸君 安倍総理も読んでおられるみたいなので、読んだ方がいいと思いますよ。そのことを言いたかったんですけれども。
それでは、早速質問に入りたいと思います。
まず、株価について取り上げたいと思います。先ほど申し上げましたように、アベノミクス及びこの緩和で株価が上がり、一見いいように見えますけれども、その裏側で日銀が果たしている役割について少し確認をしたいと思います。
まず、日銀はETFを大量に今購入しておられますね。特に、黒田総裁になってからは、この二〇一六年二月までに残高を七・二兆円にまで積み上げられております。
そこで、まずお伺いをしたいと思うのですが、ETFについて、日銀の保有残高と市場規模、日銀のシェアを御答弁をいただきたいと思います。ちなみに、ETF以外でも日銀は株を保有しているのか、また、主要な世界の中央銀行で株を保有しているところはあるのかどうかも含めてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、日本銀行は資産価格のプレミアムに働きかけるという観点からETFの買入れを行ってきておりまして、時価ベースで見ました現在の日本銀行のETF保有残高は、これは決算ベースでございますので、二〇一五年九月末現在ということで申し上げますと約七・八兆円でございます。
市場規模という御質問でございましたけれども、この間ETFの市場規模は、同じく二〇一五年九月末現在で一四・五兆円でございますので、こうやって分子、分母で計算いたしますとシェアは約五四%ということになります。
ただ、このETFというのは言わば株式買入れの入口の大きさの部分でありまして、このETFの背後には六百兆近くの大きな株式市場が存在するわけでございますので、その意味で、市場規模、シェアを考える場合はその点も念頭に置いていただければというふうに思います。
その上で、まず、ほかに個別の株を持っているかどうかという御質問でございましたけれども、ETF以外にも個別の株式を保有してございます。これも同じく二〇一五年九月末現在で、簿価ベースで一・三兆円、時価ベースで二・六兆円保有してございます。これは、これらの株式でございますけれども、金融機関による株式保有リスクの削減努力を促すための施策といたしまして、二〇〇二年十一月以降に金融機関から買い入れたものでございます。
それと、他の中央銀行でございますけれども、主要先進国の中央銀行におきまして、政策目的でもって株式あるいはETFを購入した事例はないというふうに認識してございます。
○尾立源幸君 今、最後の点でありますが、世界の主要な中央銀行でこんなに多額な株を保有している国はどこもないんですよ、まずこれが一点目。そして二つ目は、今お話にありましたように、マーケットのうち五四%ぐらいでしたか、が日銀のシェアであるということ。三つ目は、日銀がETFを買い入れるタイミングなんですよね。
皆様のお手元の四枚目にありますが、これは、この二月、随分株が下がったときにETFを毎日のように買い入れております。例えば、二月の三日から十二日まで、ほとんど毎日のように限度額いっぱい買い入れておるんです。さらに、その下の図は四月までのものなんですけれども、午前中の相場が前日の終値を下回ったときに後場に買入れを入れた結果、また株が戻るというようなことで、これ、全く日銀によるPKO、株価買い支えをやっているということであります。
このように、世界のどこの銀行もやっていない、さらにはマーケットシェアを本当に大量に日銀が占めて流動性がなくなってしまう、さらにはこういうような株価底支え政策というようなことを国民の税金を使ってやっておるわけなんですが、日銀総裁、この認識でいいですか。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、この二%の物価安定の目標を早期に実現するため、量的にも質的にもこれまでとは次元の異なる金融緩和を行ってきております。マイナス金利付き量的・質的金融緩和では、質の面から資産価格のプレミアムに働きかけるという効果も重要であると考えておりまして、そうした考えの下で、ETFあるいはJ—REITなどのリスク資産の買入れを行っております。
このように、あくまでも二%の物価安定の目標を早期に実現するということを目的として行っているものでありまして、株価を維持するために実施しているものではございません。
○尾立源幸君 いろいろとお話をされているんですけれども、安倍内閣が株価連動内閣というふうに言われておりますように、株が上がれば何か政策がうまくいっているということをアシスト、手助けするためにやっているんじゃないんですか。
改めて、ETFをなぜこんなに大量に買うのか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほどから申し上げておりますように、二%の物価安定の目標を早期に実現することを目的として、ETFについては、先ほど申し上げたように、資産価格のプレミアムに働きかけるという効果も重要であると考えておりましてやっておりますけれども、全体として、この量的・質的金融緩和自体、二%の物価安定の目標を早期に実現することを目的として行っておるものでありまして、株価を維持するために実施しているわけではございません。
○尾立源幸君 でも、これ見たら、全部株価維持のためじゃないですか。そうでしょう。これどう説明されるんですか、これは。このタイミングは、なぜこれやられたんですか、じゃ。
○参考人(黒田東彦君) 御承知のように、金融政策決定会合におきまして、年間三兆円という範囲で適宜ETFを購入するというマンデートを与えられておりまして、それに沿って市場動向を見ながら適宜購入をし、先ほど申し上げたように資産価格のプレミアムに働きかけるということでございます。
○尾立源幸君 何と言われようが異常なことをやっていらっしゃるんですよね。これ、将来損が出たら誰が責任取るんですか、誰が。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために、量的・質的金融緩和を導入し、今回、マイナス金利付き量的・質的金融緩和ということにしたわけでございます。そうした中で、日本銀行の収益が、国債につきましても、ETFあるいはJ—REITその他につきましても、市場の変動によって収益に一定の影響が出得るということは事実であります。
現に、量的・質的金融緩和を推進する過程で日本銀行の収益は拡大しているわけですけれども、逆に、これを縮小していく過程で収益が減少するということは予想されるわけでございます。したがいまして、昨年、引当金を制度を改正いたしまして、そういった収益の振れをならすということを目的として改正を行ったということでございます。
○尾立源幸君 今、引当金を積み増したというお話もありましたが、結局は国民が負担になるんですよ、これ、マイナスに出たときは。そうでしょう。まあ、その議論は先にしますが。
もう一点。官製相場として、GPIFも非常な尽力をしております。GPIFは、御案内のとおりポートフォリオを変更いたしました。リスク資産である株式を三〇パーから基本五〇パー、プラスマイナスがありますので最大六七%まで株式を買えるようにしてしまいました。その結果、我が党の長妻議員も、このリスク、損失についての質問主意書を出しておりますが、以前なら、中期計画の中で、中位ケースでの試算では十・四兆の損失が出ると予想されますが、このポートフォリオ変更で約二十一・五兆ということが政府の答弁としても出てきております。すなわち、二倍に損失の幅が振れているわけであります。
当然、この件に関しては議論があちこちの委員会でありますし、総理は以前、これは決算行政委員会かどこかだったと思いますが、損をすることをするわけがないと、このようにおっしゃって、GPIFのポートフォリオ拡大を是とされたわけでありますが、しかし、この前、十五日の衆議院の予算委員会では、我が党の同僚の玉木議員が、GPIFで想定される運用益が出ない場合、年金が減額されることは法的に否定されていませんねという質問に対して、想定の利益がないということになってくれば、それは当然支払に影響してくるわけでありますと、このように答弁されております。
こういう意味で、我々の大変貴重な年金の原資がリスクのある株にこれだけ大量に使われるような運用の仕方は即刻私はやめるべきだと思います。この点について、厚生労働省、お答えください。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
年金制度におきましては、基本的に保険料収入も給付額も、これ両方とも賃金の上昇に応じて増加する仕組みと、このようになっております。重要なことは、名目賃金上昇率を上回る一定の運用収益を確保すること、これがとても大切であります。ということで、物価、賃金が上昇しないデフレ下におきましては国内債券に偏った運用でも必要な利回りを確保することができますけれども、デフレから脱却して、そして物価の上昇、そして賃金の上昇、これが想定される場合は、現時点の金利の低い国債に偏った基本的なポートフォリオでは必要な運用益を確保することが困難なのではないかと、このように考えております。
現在の基本ポートフォリオは、デフレからの脱却に対応して、分散型投資の考え方に基づきまして専門家等が最もふさわしい資産の組合せを検討した結果、今回、ポートフォリオを決めさせていただきました。ということで、分散を進めたものに変更したことによって、逆に長期的に年金財政必要上な積立金を下回るリスクが少なくなったのではないかと、このように考えております。
なお、数字を御案内させていただきますと、年金資金の運用を見ますと、平成十三年のGPIFの設立以来、累計の収益、これは四十五・五兆円となっておりまして、これは収益率、年率プラス二・七九ということで上回っております。ポートフォリオ変更前の運用益は、第二・四半期ではマイナス七・九兆円も含めましても、過去一年間ではプラス四・二兆円という形で数字を出させていただいております。ということで、株式に投資するのは問題はないと。
今後とも、長期的な観点から安全かつ効率的な運用に努めてまいりたいと、このように考えております。
以上です。
○尾立源幸君 二枚目を、資料を見てもらいたいんですけれども、これ、株価が上がったり下がったりすれば、収益が、GPIFの、上がったり下がったりするのは当たり前なんですよ。私が言っているのは、そのリスクをなぜ二倍まで拡大してまで取らなきゃいけないのかということであります。
これも、じゃ、とかしきさん、副大臣、誰が責任取るんですか。誰が責任取るんですか、これ、損失が出た場合。前、年金積立金を、天下りや各種保養所を造ったって知っていますよね、何とかピアとかいっぱいありましたね。あれ、誰も責任取っていないんですよ。政治家も役人も誰も責任取らずに、結局国民負担になっているんですよ。とかしき副大臣、どうですか。誰が責任取るんですか。
○副大臣(とかしきなおみ君) 先ほどもお答えさせていただきましたように、基本的ポートフォリオは専門家等が最もふさわしい試算の組合せ等を検討した結果ということで、こちらの方で検討していただいた結果、実際に対応させていただいているというところが現状でございます。
○尾立源幸君 結局、責任の所在が曖昧なままこういう勝手なことをやっているんですよ、政府は、日銀と一緒になって、国民の税金を使って。それをしっかり皆さん国会の中で説明しないまま、専門家に任せているだとかなんとか言っていますけれども、そんなので、本当に皆さん、あれですよ、ほとんど多くの方が、こういう運用をしているということを掛金を払っている方は御存じないですよ。ちゃんと通知していますか、私たちはこういうポートフォリオに変えましたと。リスクがあるかもしれない、でも収益も上がるかもしれない。じゃ、年金宅急便でしたっけ、通知便か何かで、そんなので全部皆さんに知らせているんですか。
○副大臣(とかしきなおみ君) そこまで細かいことは御案内させていただいておりません。
○尾立源幸君 こんな程度でやっているんですよね、結局は。私は強く申し上げたいと思います。そういう意味で、この日銀や年金による株価維持というか株価対策というのは決してやってはならないということを改めて申し上げたいと思いますし、今、それでどのぐらいマーケットをゆがめているかということも申し上げたいと思います。
東証一部の時価総額一月末五百三十一兆、これはちょっとデータはいろいろばらばらなんですが、そのうち日銀は八・五兆、株、で、GPIFは二十八・八兆、合計三十七・三兆なんですよ。約七%が官による株式保有になってしまっているんですよ。
ほかも私調べてみましたよ。トヨタなども、一番の方が一〇・三%、トヨタ自動車、次は六・三、四%なんですよ、こういう大会社であっても。その七%というのはどのぐらいの株主としての威力があるかというのを、非常にこれ官が民のマーケットをゆがめている象徴だと私は思います。
まして、ETFは、これユニクロですが、これの大株主にもうなっちゃっているんですよね。困っていると言いますよ、マーケットの人たちは。そうやって民のところに官が手を突っ込んで、とんでもないことをあなたたちはしているということを指摘をしたいと思います。
次に申し上げたいと思います。
次、物価目標の先送りです。これも三ページ目にあります。もう今回で四度目であります。オオカミ少年というのがいましたけれども、オオカミ総裁になってきておるんじゃないかと思っておりますが、今回また先送りされた理由というのは何でしょうか、日銀総裁。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行では、いわゆる展望レポートで年四回、景気、物価の先行き見通しあるいはそのリスク要因を示しておりまして、その中で、消費者物価の前年比が二%程度に達する時期についても言及をいたしております。現時点で最も新しい二〇一六年一月の見通しでは、原油価格がその時点の水準から緩やかに上昇していくという前提に立つと二〇一七年度前半頃ということでしておりまして、それ以前の見通しからは後ずれしております。
もっとも、こうした後ずれは主として二〇一四年夏以降原油価格が大幅に下落したことによるものでありまして、物価の基調は着実に改善しております。生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価の前年比で見ますと、先ほど申し上げたように二十七か月連続でプラスを続けて、最近ではプラス一・三%まで上昇しております。
日本銀行としては、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を着実に推進していく方針でございます。
○尾立源幸君 全くよく分かりませんが、これまで三回延期して、今回だけは達成できると言い切れる確信は何ですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたように、経済見通しでございますので、一定の前提を置いて見通しを立てるわけでございます。
最近の物価の動きについては、日本のみならず全世界で石油価格の動きが大きな影響を与えているということは事実でありまして、各国の中央銀行も、石油価格について一定の前提を置いて、具体的には足下の価格から石油の先物価格の市場の動向を見て、それを踏まえた前提を取って、それによって経済見通しとして物価の見通しを出しているわけでございます。
したがいまして、現時点でこういった見通しを出しておりますのは、そういった前提の下に、二〇一七年度前半頃に二%に達する可能性が高いというふうに予測しているわけでございます。
○尾立源幸君 じゃ、これまでと同じことをやっていると、しかしその原油次第ではもう分からぬということですよね、おっしゃっていることは。
それでは、もう一つ、日銀の物価目標についても質問したいと思います。
日銀はまだ二%の物価目標を下ろしていないということなんですけれども、これによって国民の皆さんが大変な目に遭っているということをまず申し上げたいと思います。
最初の一ページ目、実質賃金指数であります。これは、安倍政権成立以降、全く上がっていないんですよ。逆に下がっています。これは、賃金が十分に上がらないことに加えて、円安もあり、物価が上がって、国民の皆さんの生活が苦しい苦しい、切り詰めなければいけないということを皆さんはおっしゃっております。その上で更に今まだ二%物価上げようということをおっしゃっているので、私はどうかしているんじゃないかと思っているんです。もっと、じゃ、その苦しみを与えるのかということになるわけです。
そういう状況では、個人消費、これは六割を占めていますが、上向くはずないじゃないですか、実質賃金が上がらないと。そういう一方で、企業の方はどうかというと、二〇一五年の七月期には三百九十二兆も内部留保を持っております。
結局、円安にして、我々が恐れていたように、警鐘を鳴らしていたように、悪い物価上昇をさせて国民に負担をさせる。その一方で、大企業、輸出企業にはそれをある意味補助金として回して、実質与えているのと一緒です。そして、皆さんがおっしゃっていたようなトリクルダウンが起きていないというのが現状認識じゃないんですか。総裁、どうでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 最近の労働市場の状況を見ますと、有効求人倍率が一・二倍程度まで上昇して、失業率は三%台前半まで低下する状況でございまして、雇用・所得状況は引き続き改善をしております。
もとより消費の動向については常に注視しておりますけれども、基本的に消費に対する影響というのは雇用あるいは所得であります。したがいまして、私どもが意図しておりますのは、企業収益あるいは雇用、所得の増加を伴いながら物価上昇率が次第に高まっていくという好循環をつくり出すことが我々の二%の物価安定目標というものに入っているわけでございます。
したがいまして、平均的に見ますと、当然、物価と賃金というのは基本的に同様に、物価が上がるときは賃金が上がる、賃金が上がるときは物価が上がるということになっておりますけれども、あくまでも、先ほど申し上げたように、私どもが意図しておりますのは、企業収益だけでなく雇用とか所得も増加して物価上昇率が高まっていくということを、そういう好循環をつくり出すということを目的としておりまして、実際問題として企業収益も増加しておりますし、雇用も所得も増加しております。
○尾立源幸君 いや、そんなことは分かっているんですよ。だから、実質賃金が下がっているのをどう考えるんだということを言っているでしょう。あなたはこれから上がるんじゃないかみたいなことをおっしゃっている。結果として三年間全部下がっているじゃないですか。苦しめているんですよ、国民を。そのことをどう考えるんだということです。もういいです、いいです。
次に、マイナス金利をお話をさせていただきたいと思います。
これは、最後のページ、マイナス金利の影響ということで、これも日銀がまた大本営のようにいいことしか言っていないんですよ。そうじゃなくて、悪いことも反面あるわけです。それを私の方でできる限り分かりやすく、黒くちょっと塗っておりますけれども。
例えば、銀行収益が悪化すると、手数料が上がったり、預金金利を引き下げたり、人件費を減らしたり、また金融システムがおかしくなったりというようなことがマイナスの影響としては出てくるわけです。そうなると国民の財布は痛む。また、金融機関が万が一のことがあれば取り返しの付かないリスクがあるというようなことも、これ皆さんがちゃんとこういうことをパラレルに両論で説明しないと、私、説明責任を果たしたとは言えないと思うんですよ。いいことばっかり言うんですよ、皆さんは。株価が上がるとか、住宅ローンが増えて、設備投資が上がって、景気が良くなるとか。こういうマイナス面もあるということをまず理解をしていただきたいと思いますし、正直にそういうことを政策を発表するときは言ってもらいたいと思います。
そこで、具体的に、このマイナス〇・一にした結果、どの程度の物価上昇目標に対する効果があるのかということをお聞きしたいと思います。なぜ〇・〇〇一じゃなかったのか、なぜマイナス〇・二じゃなかったのか、どういう検討をしたのか。それと、いつこの検討の指示を出したのか。一月二十九日発表前、一週間前の参議院では全然考えていないとおっしゃったでしょう。その後、こんな複雑な仕組みを考えられているじゃないですか。いつ考えたんですか。それについて全部お答えください。
○参考人(黒田東彦君) これは、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入した後の記者会見でも申し上げましたけれども、金融政策決定会合の一週間程度前だったと思いますけれども、ダボスの世界経済フォーラムに参加するためにスイスに出かける前にスタッフに、仮に金融政策について追加緩和が必要になった場合に考えられるオプションを検討しておいてほしいということを言ったわけでございます。そして、スイスから戻りまして、スタッフの検討したオプションの中にこのマイナス金利付き量的・質的金融緩和というのが入っていたわけでございます。
それを金融政策決定会合においていろいろ議論いたしまして、マイナス金利が金融機関の収益に影響が出るということは十分認識しておりまして、もちろん、マイナス金利に限らず、一般的に金融緩和を進めて企業や家計にとって金融環境を緩和させようとしますと、どうしても仲介者である金融機関の収益に影響するということは避けられない面があるわけですけれども、その上で、先ほど来御説明しておりますように、当座預金へのマイナス金利化に際しては、金融機関の収益を過度に圧迫しないように……
○委員長(大家敏志君) 時間を過ぎております。
○参考人(黒田東彦君) 三段階の階層構造等を採用してマイナスの影響が出ないようにして、イールドカーブ全体を引き下げて、実質金利を下げて消費や投資を刺激するという効果がフルに出るように工夫をしたわけでございまして、この点については金融政策決定会合の中で様々な議論があって決定がされたということでございます。
○尾立源幸君 国会でもしっかり説明責任を果たしてもらいたいですね。そういうオプションがあるんだったらあるということをちゃんと述べていただきたい。全く考えていないとおっしゃっていたじゃないですか。そうですよね。当日気が変わったのか知りませんけれども、その出張に行く前にもう参議院にちゃんと呼ばれているわけですから、そのオプションがあるということはしっかり言ってもらわないと、本当に我々は質疑、真剣にやっていますので、総裁の言葉もしっかりかみしめながらですね。正直にやっていただきたいと思います。
最後に、金融副大臣に来ていただいております。銀行のリスクについて、マイナス〇・一、マイナス金利について事前にどのようにお話があったのか、日銀から、なかったのか含めて、これからどうされるのか。私、ここに書いていました金融システムに影響を及ぼすんじゃないかということを言っております。この取り返しの付かないリスクについてはどう皆さんは対応されようとしているのか、お聞かせください。
○副大臣(福岡資麿君) まず、御指摘のところで、事前には把握はいたしておりません。その上で、先ほど御説明ありましたように、金融仲介機能を損ねないように、日銀におかれましても一定の残高までをプラス金利又はゼロ金利を適用していただいています。その上で、その受けた金利の動向が銀行経営に与える影響については、御承知のとおり個々の業務内容や資産構成に関わることでございまして、一概に申し上げることは困難だというふうに感じております。
金融庁としましては、常日頃より検査監督等を通じまして市場や金融機関の動向についてモニタリングを実施しているところでございまして、個別の対応については申し上げられませんが、そういったことでしっかり注視してまいりたいと考えております。
○尾立源幸君 最後に、この官製相場で本当に資本市場を乱しているということ、さらには悪い物価上昇で国民生活を一億総窮乏化させているということも含めて、日銀総裁、またそれを補佐する岩田副総裁については、目標の先送り、実現できていないということも含めて、即刻辞めていただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立でございます。
今日は、黒田日銀総裁に、日銀による株式の取得や、またマイナス金利、物価目標、そしてさらには実質賃金などについても少し議論をさせていただきたいと思います。
先月、一月二十九日に、まさに物価目標の達成時期が先送りされ、また先日発表されたGDP速報値でも十—十二月期がマイナス一・四%になるなど、アベノミクスのまた金融政策がうまくいっていないということが如実に出てきております。
かつて日銀の政策委員を務められた植田和男東大教授も、日経の「経済教室」で、「金融資産価格が金融政策に強く反応してきたにもかかわらず、実体経済の資産価格に対する反応が鈍いことである。」と指摘しておられております。つまり、金融政策の効果として円安や株高はあったけれども、実体経済には十分に効果が発揮しているとは言えないと、このように明確に述べておられます。
実は、冒頭、ちょっと私の、自分自身の宣伝になって恐縮なんですけれども、同じような問題意識を持っておりまして、このアベノミクスの問題点をまとめて本を出版をさせていただきました。「アベノミクスの正体」という、崩壊寸前という本であります。
これを、中に書いてあることも今日は議論をさせていただきたいと思いますが、まず総裁には、この本は読んでいただけていないとは思いますけれども、その前に、最近予算委員会でも議論されました日刊ゲンダイというのは読まれていますか。
○参考人(黒田東彦君) 各種の新聞は読んでおりますけれども、そういったものに出ております日本銀行の金融政策等に関する記事はスタッフが提供してくれますので、読んでおります。
○尾立源幸君 じゃ、日刊ゲンダイが出どころというものを切り抜いたものを読んでいるということですか。それとも、この新聞自体を読んでいらっしゃるんですか。
○参考人(黒田東彦君) 新聞自体は取っておりません。
○尾立源幸君 じゃ、どうやって読んでいらっしゃるんですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、スタッフが様々な新聞その他のマスコミの媒体で報道されているものは適宜に、こういう報道がありますよということは教えていただいていますが、その全ての記事を私が読んでいるというわけではございません。
○尾立源幸君 安倍総理も読んでおられるみたいなので、読んだ方がいいと思いますよ。そのことを言いたかったんですけれども。
それでは、早速質問に入りたいと思います。
まず、株価について取り上げたいと思います。先ほど申し上げましたように、アベノミクス及びこの緩和で株価が上がり、一見いいように見えますけれども、その裏側で日銀が果たしている役割について少し確認をしたいと思います。
まず、日銀はETFを大量に今購入しておられますね。特に、黒田総裁になってからは、この二〇一六年二月までに残高を七・二兆円にまで積み上げられております。
そこで、まずお伺いをしたいと思うのですが、ETFについて、日銀の保有残高と市場規模、日銀のシェアを御答弁をいただきたいと思います。ちなみに、ETF以外でも日銀は株を保有しているのか、また、主要な世界の中央銀行で株を保有しているところはあるのかどうかも含めてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
御指摘のとおり、日本銀行は資産価格のプレミアムに働きかけるという観点からETFの買入れを行ってきておりまして、時価ベースで見ました現在の日本銀行のETF保有残高は、これは決算ベースでございますので、二〇一五年九月末現在ということで申し上げますと約七・八兆円でございます。
市場規模という御質問でございましたけれども、この間ETFの市場規模は、同じく二〇一五年九月末現在で一四・五兆円でございますので、こうやって分子、分母で計算いたしますとシェアは約五四%ということになります。
ただ、このETFというのは言わば株式買入れの入口の大きさの部分でありまして、このETFの背後には六百兆近くの大きな株式市場が存在するわけでございますので、その意味で、市場規模、シェアを考える場合はその点も念頭に置いていただければというふうに思います。
その上で、まず、ほかに個別の株を持っているかどうかという御質問でございましたけれども、ETF以外にも個別の株式を保有してございます。これも同じく二〇一五年九月末現在で、簿価ベースで一・三兆円、時価ベースで二・六兆円保有してございます。これは、これらの株式でございますけれども、金融機関による株式保有リスクの削減努力を促すための施策といたしまして、二〇〇二年十一月以降に金融機関から買い入れたものでございます。
それと、他の中央銀行でございますけれども、主要先進国の中央銀行におきまして、政策目的でもって株式あるいはETFを購入した事例はないというふうに認識してございます。
○尾立源幸君 今、最後の点でありますが、世界の主要な中央銀行でこんなに多額な株を保有している国はどこもないんですよ、まずこれが一点目。そして二つ目は、今お話にありましたように、マーケットのうち五四%ぐらいでしたか、が日銀のシェアであるということ。三つ目は、日銀がETFを買い入れるタイミングなんですよね。
皆様のお手元の四枚目にありますが、これは、この二月、随分株が下がったときにETFを毎日のように買い入れております。例えば、二月の三日から十二日まで、ほとんど毎日のように限度額いっぱい買い入れておるんです。さらに、その下の図は四月までのものなんですけれども、午前中の相場が前日の終値を下回ったときに後場に買入れを入れた結果、また株が戻るというようなことで、これ、全く日銀によるPKO、株価買い支えをやっているということであります。
このように、世界のどこの銀行もやっていない、さらにはマーケットシェアを本当に大量に日銀が占めて流動性がなくなってしまう、さらにはこういうような株価底支え政策というようなことを国民の税金を使ってやっておるわけなんですが、日銀総裁、この認識でいいですか。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行は、この二%の物価安定の目標を早期に実現するため、量的にも質的にもこれまでとは次元の異なる金融緩和を行ってきております。マイナス金利付き量的・質的金融緩和では、質の面から資産価格のプレミアムに働きかけるという効果も重要であると考えておりまして、そうした考えの下で、ETFあるいはJ—REITなどのリスク資産の買入れを行っております。
このように、あくまでも二%の物価安定の目標を早期に実現するということを目的として行っているものでありまして、株価を維持するために実施しているものではございません。
○尾立源幸君 いろいろとお話をされているんですけれども、安倍内閣が株価連動内閣というふうに言われておりますように、株が上がれば何か政策がうまくいっているということをアシスト、手助けするためにやっているんじゃないんですか。
改めて、ETFをなぜこんなに大量に買うのか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほどから申し上げておりますように、二%の物価安定の目標を早期に実現することを目的として、ETFについては、先ほど申し上げたように、資産価格のプレミアムに働きかけるという効果も重要であると考えておりましてやっておりますけれども、全体として、この量的・質的金融緩和自体、二%の物価安定の目標を早期に実現することを目的として行っておるものでありまして、株価を維持するために実施しているわけではございません。
○尾立源幸君 でも、これ見たら、全部株価維持のためじゃないですか。そうでしょう。これどう説明されるんですか、これは。このタイミングは、なぜこれやられたんですか、じゃ。
○参考人(黒田東彦君) 御承知のように、金融政策決定会合におきまして、年間三兆円という範囲で適宜ETFを購入するというマンデートを与えられておりまして、それに沿って市場動向を見ながら適宜購入をし、先ほど申し上げたように資産価格のプレミアムに働きかけるということでございます。
○尾立源幸君 何と言われようが異常なことをやっていらっしゃるんですよね。これ、将来損が出たら誰が責任取るんですか、誰が。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げたように、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために、量的・質的金融緩和を導入し、今回、マイナス金利付き量的・質的金融緩和ということにしたわけでございます。そうした中で、日本銀行の収益が、国債につきましても、ETFあるいはJ—REITその他につきましても、市場の変動によって収益に一定の影響が出得るということは事実であります。
現に、量的・質的金融緩和を推進する過程で日本銀行の収益は拡大しているわけですけれども、逆に、これを縮小していく過程で収益が減少するということは予想されるわけでございます。したがいまして、昨年、引当金を制度を改正いたしまして、そういった収益の振れをならすということを目的として改正を行ったということでございます。
○尾立源幸君 今、引当金を積み増したというお話もありましたが、結局は国民が負担になるんですよ、これ、マイナスに出たときは。そうでしょう。まあ、その議論は先にしますが。
もう一点。官製相場として、GPIFも非常な尽力をしております。GPIFは、御案内のとおりポートフォリオを変更いたしました。リスク資産である株式を三〇パーから基本五〇パー、プラスマイナスがありますので最大六七%まで株式を買えるようにしてしまいました。その結果、我が党の長妻議員も、このリスク、損失についての質問主意書を出しておりますが、以前なら、中期計画の中で、中位ケースでの試算では十・四兆の損失が出ると予想されますが、このポートフォリオ変更で約二十一・五兆ということが政府の答弁としても出てきております。すなわち、二倍に損失の幅が振れているわけであります。
当然、この件に関しては議論があちこちの委員会でありますし、総理は以前、これは決算行政委員会かどこかだったと思いますが、損をすることをするわけがないと、このようにおっしゃって、GPIFのポートフォリオ拡大を是とされたわけでありますが、しかし、この前、十五日の衆議院の予算委員会では、我が党の同僚の玉木議員が、GPIFで想定される運用益が出ない場合、年金が減額されることは法的に否定されていませんねという質問に対して、想定の利益がないということになってくれば、それは当然支払に影響してくるわけでありますと、このように答弁されております。
こういう意味で、我々の大変貴重な年金の原資がリスクのある株にこれだけ大量に使われるような運用の仕方は即刻私はやめるべきだと思います。この点について、厚生労働省、お答えください。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
年金制度におきましては、基本的に保険料収入も給付額も、これ両方とも賃金の上昇に応じて増加する仕組みと、このようになっております。重要なことは、名目賃金上昇率を上回る一定の運用収益を確保すること、これがとても大切であります。ということで、物価、賃金が上昇しないデフレ下におきましては国内債券に偏った運用でも必要な利回りを確保することができますけれども、デフレから脱却して、そして物価の上昇、そして賃金の上昇、これが想定される場合は、現時点の金利の低い国債に偏った基本的なポートフォリオでは必要な運用益を確保することが困難なのではないかと、このように考えております。
現在の基本ポートフォリオは、デフレからの脱却に対応して、分散型投資の考え方に基づきまして専門家等が最もふさわしい資産の組合せを検討した結果、今回、ポートフォリオを決めさせていただきました。ということで、分散を進めたものに変更したことによって、逆に長期的に年金財政必要上な積立金を下回るリスクが少なくなったのではないかと、このように考えております。
なお、数字を御案内させていただきますと、年金資金の運用を見ますと、平成十三年のGPIFの設立以来、累計の収益、これは四十五・五兆円となっておりまして、これは収益率、年率プラス二・七九ということで上回っております。ポートフォリオ変更前の運用益は、第二・四半期ではマイナス七・九兆円も含めましても、過去一年間ではプラス四・二兆円という形で数字を出させていただいております。ということで、株式に投資するのは問題はないと。
今後とも、長期的な観点から安全かつ効率的な運用に努めてまいりたいと、このように考えております。
以上です。
○尾立源幸君 二枚目を、資料を見てもらいたいんですけれども、これ、株価が上がったり下がったりすれば、収益が、GPIFの、上がったり下がったりするのは当たり前なんですよ。私が言っているのは、そのリスクをなぜ二倍まで拡大してまで取らなきゃいけないのかということであります。
これも、じゃ、とかしきさん、副大臣、誰が責任取るんですか。誰が責任取るんですか、これ、損失が出た場合。前、年金積立金を、天下りや各種保養所を造ったって知っていますよね、何とかピアとかいっぱいありましたね。あれ、誰も責任取っていないんですよ。政治家も役人も誰も責任取らずに、結局国民負担になっているんですよ。とかしき副大臣、どうですか。誰が責任取るんですか。
○副大臣(とかしきなおみ君) 先ほどもお答えさせていただきましたように、基本的ポートフォリオは専門家等が最もふさわしい試算の組合せ等を検討した結果ということで、こちらの方で検討していただいた結果、実際に対応させていただいているというところが現状でございます。
○尾立源幸君 結局、責任の所在が曖昧なままこういう勝手なことをやっているんですよ、政府は、日銀と一緒になって、国民の税金を使って。それをしっかり皆さん国会の中で説明しないまま、専門家に任せているだとかなんとか言っていますけれども、そんなので、本当に皆さん、あれですよ、ほとんど多くの方が、こういう運用をしているということを掛金を払っている方は御存じないですよ。ちゃんと通知していますか、私たちはこういうポートフォリオに変えましたと。リスクがあるかもしれない、でも収益も上がるかもしれない。じゃ、年金宅急便でしたっけ、通知便か何かで、そんなので全部皆さんに知らせているんですか。
○副大臣(とかしきなおみ君) そこまで細かいことは御案内させていただいておりません。
○尾立源幸君 こんな程度でやっているんですよね、結局は。私は強く申し上げたいと思います。そういう意味で、この日銀や年金による株価維持というか株価対策というのは決してやってはならないということを改めて申し上げたいと思いますし、今、それでどのぐらいマーケットをゆがめているかということも申し上げたいと思います。
東証一部の時価総額一月末五百三十一兆、これはちょっとデータはいろいろばらばらなんですが、そのうち日銀は八・五兆、株、で、GPIFは二十八・八兆、合計三十七・三兆なんですよ。約七%が官による株式保有になってしまっているんですよ。
ほかも私調べてみましたよ。トヨタなども、一番の方が一〇・三%、トヨタ自動車、次は六・三、四%なんですよ、こういう大会社であっても。その七%というのはどのぐらいの株主としての威力があるかというのを、非常にこれ官が民のマーケットをゆがめている象徴だと私は思います。
まして、ETFは、これユニクロですが、これの大株主にもうなっちゃっているんですよね。困っていると言いますよ、マーケットの人たちは。そうやって民のところに官が手を突っ込んで、とんでもないことをあなたたちはしているということを指摘をしたいと思います。
次に申し上げたいと思います。
次、物価目標の先送りです。これも三ページ目にあります。もう今回で四度目であります。オオカミ少年というのがいましたけれども、オオカミ総裁になってきておるんじゃないかと思っておりますが、今回また先送りされた理由というのは何でしょうか、日銀総裁。
○参考人(黒田東彦君) 日本銀行では、いわゆる展望レポートで年四回、景気、物価の先行き見通しあるいはそのリスク要因を示しておりまして、その中で、消費者物価の前年比が二%程度に達する時期についても言及をいたしております。現時点で最も新しい二〇一六年一月の見通しでは、原油価格がその時点の水準から緩やかに上昇していくという前提に立つと二〇一七年度前半頃ということでしておりまして、それ以前の見通しからは後ずれしております。
もっとも、こうした後ずれは主として二〇一四年夏以降原油価格が大幅に下落したことによるものでありまして、物価の基調は着実に改善しております。生鮮食品、エネルギーを除く消費者物価の前年比で見ますと、先ほど申し上げたように二十七か月連続でプラスを続けて、最近ではプラス一・三%まで上昇しております。
日本銀行としては、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を着実に推進していく方針でございます。
○尾立源幸君 全くよく分かりませんが、これまで三回延期して、今回だけは達成できると言い切れる確信は何ですか。
○参考人(黒田東彦君) 先ほど申し上げましたように、経済見通しでございますので、一定の前提を置いて見通しを立てるわけでございます。
最近の物価の動きについては、日本のみならず全世界で石油価格の動きが大きな影響を与えているということは事実でありまして、各国の中央銀行も、石油価格について一定の前提を置いて、具体的には足下の価格から石油の先物価格の市場の動向を見て、それを踏まえた前提を取って、それによって経済見通しとして物価の見通しを出しているわけでございます。
したがいまして、現時点でこういった見通しを出しておりますのは、そういった前提の下に、二〇一七年度前半頃に二%に達する可能性が高いというふうに予測しているわけでございます。
○尾立源幸君 じゃ、これまでと同じことをやっていると、しかしその原油次第ではもう分からぬということですよね、おっしゃっていることは。
それでは、もう一つ、日銀の物価目標についても質問したいと思います。
日銀はまだ二%の物価目標を下ろしていないということなんですけれども、これによって国民の皆さんが大変な目に遭っているということをまず申し上げたいと思います。
最初の一ページ目、実質賃金指数であります。これは、安倍政権成立以降、全く上がっていないんですよ。逆に下がっています。これは、賃金が十分に上がらないことに加えて、円安もあり、物価が上がって、国民の皆さんの生活が苦しい苦しい、切り詰めなければいけないということを皆さんはおっしゃっております。その上で更に今まだ二%物価上げようということをおっしゃっているので、私はどうかしているんじゃないかと思っているんです。もっと、じゃ、その苦しみを与えるのかということになるわけです。
そういう状況では、個人消費、これは六割を占めていますが、上向くはずないじゃないですか、実質賃金が上がらないと。そういう一方で、企業の方はどうかというと、二〇一五年の七月期には三百九十二兆も内部留保を持っております。
結局、円安にして、我々が恐れていたように、警鐘を鳴らしていたように、悪い物価上昇をさせて国民に負担をさせる。その一方で、大企業、輸出企業にはそれをある意味補助金として回して、実質与えているのと一緒です。そして、皆さんがおっしゃっていたようなトリクルダウンが起きていないというのが現状認識じゃないんですか。総裁、どうでしょうか。
○参考人(黒田東彦君) 最近の労働市場の状況を見ますと、有効求人倍率が一・二倍程度まで上昇して、失業率は三%台前半まで低下する状況でございまして、雇用・所得状況は引き続き改善をしております。
もとより消費の動向については常に注視しておりますけれども、基本的に消費に対する影響というのは雇用あるいは所得であります。したがいまして、私どもが意図しておりますのは、企業収益あるいは雇用、所得の増加を伴いながら物価上昇率が次第に高まっていくという好循環をつくり出すことが我々の二%の物価安定目標というものに入っているわけでございます。
したがいまして、平均的に見ますと、当然、物価と賃金というのは基本的に同様に、物価が上がるときは賃金が上がる、賃金が上がるときは物価が上がるということになっておりますけれども、あくまでも、先ほど申し上げたように、私どもが意図しておりますのは、企業収益だけでなく雇用とか所得も増加して物価上昇率が高まっていくということを、そういう好循環をつくり出すということを目的としておりまして、実際問題として企業収益も増加しておりますし、雇用も所得も増加しております。
○尾立源幸君 いや、そんなことは分かっているんですよ。だから、実質賃金が下がっているのをどう考えるんだということを言っているでしょう。あなたはこれから上がるんじゃないかみたいなことをおっしゃっている。結果として三年間全部下がっているじゃないですか。苦しめているんですよ、国民を。そのことをどう考えるんだということです。もういいです、いいです。
次に、マイナス金利をお話をさせていただきたいと思います。
これは、最後のページ、マイナス金利の影響ということで、これも日銀がまた大本営のようにいいことしか言っていないんですよ。そうじゃなくて、悪いことも反面あるわけです。それを私の方でできる限り分かりやすく、黒くちょっと塗っておりますけれども。
例えば、銀行収益が悪化すると、手数料が上がったり、預金金利を引き下げたり、人件費を減らしたり、また金融システムがおかしくなったりというようなことがマイナスの影響としては出てくるわけです。そうなると国民の財布は痛む。また、金融機関が万が一のことがあれば取り返しの付かないリスクがあるというようなことも、これ皆さんがちゃんとこういうことをパラレルに両論で説明しないと、私、説明責任を果たしたとは言えないと思うんですよ。いいことばっかり言うんですよ、皆さんは。株価が上がるとか、住宅ローンが増えて、設備投資が上がって、景気が良くなるとか。こういうマイナス面もあるということをまず理解をしていただきたいと思いますし、正直にそういうことを政策を発表するときは言ってもらいたいと思います。
そこで、具体的に、このマイナス〇・一にした結果、どの程度の物価上昇目標に対する効果があるのかということをお聞きしたいと思います。なぜ〇・〇〇一じゃなかったのか、なぜマイナス〇・二じゃなかったのか、どういう検討をしたのか。それと、いつこの検討の指示を出したのか。一月二十九日発表前、一週間前の参議院では全然考えていないとおっしゃったでしょう。その後、こんな複雑な仕組みを考えられているじゃないですか。いつ考えたんですか。それについて全部お答えください。
○参考人(黒田東彦君) これは、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入した後の記者会見でも申し上げましたけれども、金融政策決定会合の一週間程度前だったと思いますけれども、ダボスの世界経済フォーラムに参加するためにスイスに出かける前にスタッフに、仮に金融政策について追加緩和が必要になった場合に考えられるオプションを検討しておいてほしいということを言ったわけでございます。そして、スイスから戻りまして、スタッフの検討したオプションの中にこのマイナス金利付き量的・質的金融緩和というのが入っていたわけでございます。
それを金融政策決定会合においていろいろ議論いたしまして、マイナス金利が金融機関の収益に影響が出るということは十分認識しておりまして、もちろん、マイナス金利に限らず、一般的に金融緩和を進めて企業や家計にとって金融環境を緩和させようとしますと、どうしても仲介者である金融機関の収益に影響するということは避けられない面があるわけですけれども、その上で、先ほど来御説明しておりますように、当座預金へのマイナス金利化に際しては、金融機関の収益を過度に圧迫しないように……
○委員長(大家敏志君) 時間を過ぎております。
○参考人(黒田東彦君) 三段階の階層構造等を採用してマイナスの影響が出ないようにして、イールドカーブ全体を引き下げて、実質金利を下げて消費や投資を刺激するという効果がフルに出るように工夫をしたわけでございまして、この点については金融政策決定会合の中で様々な議論があって決定がされたということでございます。
○尾立源幸君 国会でもしっかり説明責任を果たしてもらいたいですね。そういうオプションがあるんだったらあるということをちゃんと述べていただきたい。全く考えていないとおっしゃっていたじゃないですか。そうですよね。当日気が変わったのか知りませんけれども、その出張に行く前にもう参議院にちゃんと呼ばれているわけですから、そのオプションがあるということはしっかり言ってもらわないと、本当に我々は質疑、真剣にやっていますので、総裁の言葉もしっかりかみしめながらですね。正直にやっていただきたいと思います。
最後に、金融副大臣に来ていただいております。銀行のリスクについて、マイナス〇・一、マイナス金利について事前にどのようにお話があったのか、日銀から、なかったのか含めて、これからどうされるのか。私、ここに書いていました金融システムに影響を及ぼすんじゃないかということを言っております。この取り返しの付かないリスクについてはどう皆さんは対応されようとしているのか、お聞かせください。
○副大臣(福岡資麿君) まず、御指摘のところで、事前には把握はいたしておりません。その上で、先ほど御説明ありましたように、金融仲介機能を損ねないように、日銀におかれましても一定の残高までをプラス金利又はゼロ金利を適用していただいています。その上で、その受けた金利の動向が銀行経営に与える影響については、御承知のとおり個々の業務内容や資産構成に関わることでございまして、一概に申し上げることは困難だというふうに感じております。
金融庁としましては、常日頃より検査監督等を通じまして市場や金融機関の動向についてモニタリングを実施しているところでございまして、個別の対応については申し上げられませんが、そういったことでしっかり注視してまいりたいと考えております。
○尾立源幸君 最後に、この官製相場で本当に資本市場を乱しているということ、さらには悪い物価上昇で国民生活を一億総窮乏化させているということも含めて、日銀総裁、またそれを補佐する岩田副総裁については、目標の先送り、実現できていないということも含めて、即刻辞めていただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。
ありがとうございました。