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190-参-厚生労働委員会-14号 平成28年04月14日

○赤石清美君 ありがとうございました。
 厚生年金基金の多くが今後解散等の予定又は解散等を検討しているとのことですが、この解散や代行返上に当たっては、関係者への説明、合意の形成など、手続にかなりの時間と労力が必要だと聞いておりますし、私もそういう経験をしてきました。解散や代行返上に当たって具体的にどのような手続が必要なのか、また、こうした解散や代行返上をしようとする厚生年金基金に対してどのような措置を行っているのか、年金局長にお願いします。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 厚生年金基金の解散あるいは代行返上でございますけれども、これは、手続といたしまして、まず基金の代議員会におきまして解散あるいは代行返上の方針を議決していただく必要がございます。その後、設立事業所の事業主の方、加入員の方々の同意を取り付ける、そして受給者の方々への説明を行う、さらに国に返上するべき加入員記録、これを整理していただく、こういったことを行っていただいた上で、最終的にまた代議員会によりまして解散等の議決をする必要がございます。こういった手続を進めていただきますと、解散の方針を決めましてから実際に解散するまでに大体通常一年から一年半要してしまっているというのが現状でございます。
 そこで、先ほど申し上げました平成二十六年四月の健全化法施行によりまして、五年間の時限措置ではございますけれども、まず、最低責任準備金の納付期限とか納付方法の特例を設けるという形で支援措置を講じております。具体的には、国に納付をしていただきます最低責任準備金につきまして、分割納付をする場合に事業所の間の連帯債務を外すということで、比較的納付をしやすいような仕組みにする、そして納付期間も延長するといった措置も講じております。
 それから、今先生も御指摘ございましたけれども、いろいろ同意を取り付けるのに非常に御苦労されているということでございます。この手続要件の緩和といたしまして、通常は事業主、加入員、代議員会で四分の三以上の同意が必要ということでございますけれども、この健全化法におきましては特例措置でこれを三分の二以上とするということで支援措置を講じておりまして、こういったことでなるべく解散等が円滑に進むようにということで措置を講じているところでございます。

○赤石清美君 ありがとうございました。できるだけ円滑に進むように、ひとつお願いしたいと思います。
 次に、予定利率の件でありますけれども、私もこれはもう本当に無理な予定利率だったなということを今更ながら思っていますけれども、というのは、私がやったとき五・五%の予定利率だったんですね。こういう予定利率を設定したらどうして運用実績が上げられるだろうかということで、結局不足しまして会社の利益を補填をするということをずっとやっていました。もうそれで代行返上しようということに至ったわけですけれども、結果として積立不足に陥ったということがありますので、この点につきまして、厚生年金基金の受皿として期待される確定給付企業年金においてはどのような防止策を講じているのか、またどういう運用をさせようとしているのか、お伺いしたいと思います。

○政府参考人(鈴木俊彦君) この三階部分の年金を持続可能にしていくという観点からは、今御指摘ございましたように、かつて多くの基金が積立不足に陥ったという経験を踏まえまして、これをできるだけ防止する措置を講ずる、これが誠に大事なことだというふうに思っております。
 今御指摘ございましたように、厚年基金では、長期にわたる金利水準が低下いたしまして実績利回りが低下し、そして、しかしながら掛金の引上げによってこれを回復するということが困難な状況に陥って、積立不足ということでございました。このため、いわゆる、先ほどから申しております健全化法によりまして、厚生年金基金から他の企業年金に移行を促進する、その際に、確定給付の企業年金に移行する際には、積立不足の償却期間を特例的に延長して予定利率を引き下げやすくする、こういった措置を講じております。
 それから、確定給付企業年金そのものでございますけれども、これは制度の導入時に無理な利率ということがないように、国債の利回り実績などを基にいたしまして給付額の算定を行う、こういったことができるいわゆるキャッシュバランスプランというものを導入をいたしました。また、今般導入する措置といたしまして、いろいろ経済変動に応じて積立不足というものが万一生ずるような場合に、そういうことが起きる前に計画的に掛金を拠出していくことができるようにしよう、そういう観点から、いわゆるリスク対応掛金の導入というものも検討いたしているところでございます。
 こういったことで、御指摘いただきました厚生年金基金の経験も踏まえて、このような措置が有効に活用されるように、そして確定給付企業年金が持続可能になるように努めてまいりたいと思っております。

○赤石清美君 是非、持続可能なようにしっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 次に、中小企業向けの対策についてお伺いしたいと思います。
 企業年金は、企業にお勤めになっている方の福利厚生として重要な位置を占めているわけでありますが、近年、その実施率が低下傾向にあるということのようです。特に、いわゆる総合型の厚生年金基金制度の解散が進む中で、中小企業の実施率低下が顕著に表れてきている状況にあります。これは私の業界もこのような状況になっております。
 企業年金は、確定給付型、確定拠出型と二種類の制度設計の方式がありますが、いずれも企業年金には税の優遇措置が講じられている上、企業側だけではなく従業員にも拠出を促すことができるメリットがあります。さらに、老後のためのお金として企業が拠出しますので、給与と異なり、少額であっても従業員に長く働いてもらうインセンティブがあると思います。
 企業年金は、手続が複雑であることや、中小企業にとっては事務負担が大きい等の問題から、事務負担が可能な大企業が中心の制度と思われがちですが、実態としては、厚生年金基金制度や確定拠出型の年金制度については多くの中小企業が実施してきたものであります。
 他方で、先般の厚生年金基金制度の抜本的な見直しの結果、中小企業を中心とした厚生年金基金の多くは現在解散に向かっているとのことであります。このまま放置した場合、中小企業の中で企業年金を続けずにやめてしまうケースが多く出てくるおそれがあると思います。
 さきにも述べましたように、運営コストの負担の問題などで中小企業単独で行うことは困難な場合が多々あるのですが、今回の法案においてはその点を改善すると伺っております。そこでお伺いしたいのですが、本法案では中小企業の企業年金の普及拡大に取り組むということですが、内容はどのようなものでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘のように、中小企業におきましては企業年金を実施している企業の割合、これは低下をいたしておりまして、その普及拡大を図っていくというのがやはり急務になっております。
 このため、今回の改正法案におきましては、やはり事務負担が困難であるということが一つのポイントでございますので、そうした中小企業についても普及拡大を図りますために、まず第一点といたしまして、手続の大幅緩和を行って確定拠出年金ができるようにするということで、簡易型の確定拠出年金制度というものを創設したところでございます。
 それから、こういった企業年金という形で取り組まなくても、従業員が個人型の確定拠出を採用している場合にそれに併せて事業主が支援をする、そういう形で、企業年金を実施しなくても従業員の老後支援を可能といたします個人型の確定拠出年金への小規模事業主掛金納付制度、これを創設をいたしたところでございます。
 それから、投資教育というのが事業主の責務として非常に重要でございますけれども、これはなかなか中小企業にとっては重荷という面もございます。したがいまして、この投資教育につきましては企業年金連合会に委託して実施することを可能にする、こういった中身も今回の法案に取り入れさせていただいておりまして、こうしたことを総合的に通じまして中小企業が取り組みやすい仕組みを設けていくという方針でございます。

○赤石清美君 ありがとうございます。是非、中小企業の落ちこぼれがないように、しっかりと対応をお願いしたいと思います。
 また、中小企業でも企業年金を行いやすい仕組みを新たに設けるということだと思いますけれども、こうした仕組みを取り入れることについて、中小企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのかどうか、これをお伺いしたいと思います。

○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいまも申し上げたことの裏返しになりますけれども、中小企業にとりましては、これまで本格的な企業年金を実施をしようといたしますとやはり大変な事務負担が掛かるということでございますので、逆に言えば、この事務負担がそれほど掛からずに企業年金が実施できる、あるいは従業員の老後所得保障を事業主として支援できる、こういった仕組みがまさに求められていたわけでございまして、この観点から、今回の改正法案では、手続の大幅緩和による簡易型の確定拠出年金、そして企業年金の形でなくて、従業員の個人型の確定拠出に事業主が併せて拠出をして足してあげるという形での小規模事業主掛金納付制度、こういったものを用意したわけでございます。
 そこで、こういったものを踏まえての中小企業にとっての具体的なメリットということになりますと、やはり現在、人材の獲得に大変苦労しておられる中小企業が多いというふうに承知をしております。そういったところになりますと、今回用意させていただいた仕組みが言わば新たな福利厚生措置の選択肢ということになってまいりますので、こういったものを活用していただき、また税制上も優遇措置もございますので、企業にとっての人材の獲得、あるいは従業員の福利厚生ということに役立てていただける、そういったメリットがあるというふうに考えております。

○赤石清美君 ありがとうございました。しっかりと対応をお願いしたいと思います。
 サラリーマンの七割は中小企業に勤めているということを考えましても、企業年金を中小企業に普及拡大を図ることは極めて重要であります。そうした意味で、今回の施策を進めていくことはとても大切なことであると考えております。
 しかしながら、今回の中小企業を対象とした拡充策は、対策を講じただけでは使ってくれる保証はありません。いいことをしていても、その情報が行き届かなければ活用されません。このDCの普及のために制度内容をもっとよく知ってもらうことがもちろん重要なことだと思っております。
 政府として、例えば商工会議所や中小企業と距離の近い税理士さん、社会保険労務士と連携するなどして、今回の措置の内容について積極的に広報普及活動を行っていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 企業年金の普及拡大という点から申しますと、やはり何をおいても広報の充実というのが一番大事になってくるというふうに思います。
 まさに今御指摘ございましたように、中小企業向けの対応といったことも念頭に置きまして、この法案が仮に成立させていただいた後には、日本商工会議所でございますとかあるいは日本税理士会連合会、全国社会保険労務士会連合会、こういった団体とも連携いたしまして、積極的に周知広報活動を行っていきたいというふうに思っております。
 それから、金融機関とも連携をして広報活動を検討したいというふうに思っております。この分野では、いわゆるNISAなどの先行例もございますので、そうしたところの取組も参考にいたしまして、企業年金の普及拡大に努めて、周知に努めていきたいと思っております。
 具体的には、先ほど申し上げましたような諸団体の御協力をいただいて、例えば全体でこれを推進する委員会組織を立ち上げる、こういったことも一つ念頭に置いて、この委員会組織でもって総員参加で広報を進めていく、こんなことをちょっと検討してまいりたいというふうに思っております。

○赤石清美君 よろしくお願いしたいと思います。
 次に、個人型DCの質問に移りたいと思います。
 今回の改正案におきまして、個人型DCの対象範囲の拡大を行うということになっております。個々人がそれぞれの多様なライフスタイルを持つ中で、できるだけ継続的に自らの老後に向けた備えを行うニーズがより強まっているのではないかと思われます。そうした中で、個人型DCの対象範囲の拡大は、個人の自助努力を促す選択肢を広げるという意味で大変良いことではないかと思っております。
 そこで、まず、従来、個人型DCの加入対象者は自営業者と他の企業年金のないサラリーマンに限定されていたわけですが、今まで認められていなかった第三号被保険者や企業年金等加入者、公務員等共済加入者の加入をなぜ今般の改正で認めることとしたのか、伺います。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 今御指摘ございましたように、ライフコース、あるいはその働き方の多様化が進んでおります。そういったことを踏まえまして、個々の方が、その時々の就業状況にかかわらずに、例えば個人型の確定拠出年金を受皿といたしまして、生涯にわたって切れ目なく老後に向けた自助努力を行う、こういった形を実現していくことが非常に重要であると思っております。こういったことを念頭に置きまして、今般、加入可能範囲の拡大というものを行ったわけでございます。
 それで、まず第三号被保険者でございますけれども、これは確定拠出年金制度ができるもっと前でございますけれども、例えば一九九〇年代の状況を見てまいりますと、この第三号被保険者につきましては、専業主婦としてずっと生活していく、こういうことを望む方々がまだ相当程度存在していらっしゃいました。いわゆる専業主婦世帯の数が共働き世帯の数と一九九〇年代においてはまだ同程度存在をしていたという実態がございました。
 それから、そういたしますと、この第三号被保険者御本人になってまいりますと、仮に個人型の確定拠出というものを適用するといたしましても、一番メリットのある税制優遇措置の対象になります所得がほとんどないということでございますので、この制度に加入可能ですよといっても税制上のメリットは余りないということが従来の状況であっただろうと思っております。
 しかしながら、先ほど申し上げましたように、ライフコースの多様化が進展いたしまして、例えば出産などの事情で一時的に第三号被保険者になる、サラリーウーマンとして働いていらっしゃった女性が出産などの事情で一時的に第三号になる、しかしまた早期に復職をする、こういったようなケースも増えております。そうしますと、この一時的に第三号被保険者になった期間も含めて自助努力が継続できるように制度の用意をするというのもまた大事なことでございまして、したがって、今般の個人型確定拠出年金への第三号被保険者の範囲拡大というものは、以上のような考え方で採用することにしたわけでございます。
 それから、企業年金等の加入者、サラリーマンでございますけれども、これについても、今までは公的年金の上乗せ部分について事業主の支援を一定程度受けられる、厚生年金基金とかそういうような制度が様々あったわけでございます。それから、一方で、公務員につきましては、公務員の年金の三階部分というものもあったわけでございます。
 しかしながら、こういったサラリーマンあるいは公務員につきましても、被用者年金の一元化の進捗状況、それから民間企業におきます確定拠出年金の導入状況、こういったものを様々見てまいりますと、かなり様相が変わってまいりまして、転職、離職なども増えております。こういったことにも対応して、受皿として個人型の確定拠出年金が十分機能するようにということで、今般、企業年金などの加入者あるいは公務員についても加入を認めることとしたということでございます。
 いずれにしましても、こういった就業状況の変化にかかわらず、自助努力を継続できるように個人型の確定拠出年金の加入可能範囲の拡大を図ったということでございます。

○赤石清美君 よく分かりました。
 個人型DCの加入者は、現状、加入可能な人の約〇・五%と極めて低い状況にあります。税制上の優遇がかなり手厚いにもかかわらず、この状況にあるのはなぜなのか。私は、個人型DCは企業が主体のものではないために普及が進みにくい面があるのではないかと考えております。したがって、その普及を進めるためには認知度を高めることが重要だと思っております。
 厚生労働省として、個人型DCの認知度向上のためにどのような対策を講じるつもりか、お伺いします。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 個人型の確定拠出年金、この普及拡大の上で、御指摘のように、まず認知度を上げないことには話が始まらないということでございます。
 そこで、この改正案におきましては、まず、個人型の確定拠出年金を実施をいたしております国民年金基金連合会、この業務に法律上の業務といたしまして広報啓発業務を追加をいたしました。これを根拠といたしまして、広報活動、認知度を高めるための活動の積極的な展開を図る、こういう方針でございます。
 そこで、先ほども申し上げましたけれども、先行事例として非常に認知度が高くなったNISAのような事例もございますので、ただいま申し上げました国民年金基金連合会、あるいは運営管理機関ということで個々の加入者の方々と相対して業務をやっていただいている関係機関、こういうものと連携をいたしまして広報活動を展開して認知度の向上に努めていきたい、こんなふうに考えております。

○赤石清美君 是非、その認知度を高める、余り今具体的な話ではなかったんですけど、もう少し具体的に高める方策を考えていただきたいというふうに思います。
 次に、今後のあるべき姿についてお伺いしたいと思います。
 現在、私的年金は、運用時には非課税扱いとなっておりますが、元々、その積立金に対しては、先ほど川田委員からも質問ありましたけれども、特別法人税という税金が掛かることになっております。現在は平成二十六年から課税凍結されていると聞いています。この課税凍結の期限が今年度までで終了するということで、この税の取扱いについて、三月二十八日付けの日本経済新聞で、ここにありますけれども、「企業年金の「二〇一七年問題」に戦々恐々」というタイトルで取り上げるなど、その動向についてにわかに注目を集めております。
 この記事によりますと、二〇一六年度まで凍結になっている私的年金の特別法人税の扱いについて、凍結が解除されたら大変なことになると私的年金関係者が気をもんでおりまして、私的年金関係者や経済団体は凍結ではなく廃止すべきだという立場であり、もし特別法人税が復活してしまうと私的年金制度を廃止してしまう企業が増えるおそれがあるということのようです。
 そもそも私的年金は、老後への備えとして掛金の積立てを行い、老後にその恩恵が受けられることが前提の制度であるにもかかわらず、積立てを行っている段階で毎年課税を行うというのは、資産の積立てを阻害し制度のメリットを著しく損なうものであることを踏まえると、特別法人税は、これは民進党の川田委員と全く一致しているんですけれども、撤廃すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 私も、三月二十八日の日経新聞の記事、拝見させていただきまして、この中を見てみますと、特別法人税が復活してしまうと企業年金制度を廃止する企業が増えるんではないか、心配だという記事が書いてありました。ということは、新聞で取り上げられるということは、多くの国民の皆様もそういう不安をお持ちになっているということが如実に表れているのかなと、このように思います。
 ということで、今お尋ねのありました二〇一七年問題についての特別法人税を廃止すべきではないかという御議論についてなんですけれども、これは、企業年金制度等に関する税制の在り方については、社会保障審議会企業年金部会における議論の整理、この中に記させていただいております。
 具体的には、積立金に対する特別法人税は早期に撤廃すべき、その際には、企業年金制度の課税関係についても、拠出時、運用時、給付時全体の課税の在り方の議論を併せて行うべき。実は、この運用時に課税をしているという国は逆に少数だそうです。という議論と、もう一つは、給付時の課税関係におきましては、退職所得控除など退職一時金税制との関係を踏まえつつ、一時金か年金かといった給付方法によって公平性が損なわれることがないような制度設計を検討することが必要と、こういった整理がなされました。
 ということで、厚生労働省といたしましては、社会保障審議会企業年金部会におきましてこういった議論の整理を踏まえつつ、平成二十九年度以降の税制改正において必要な対応を、特に今お話の出ました特別法人税についてはしっかりと検討していきたいと、このように考えております。

○赤石清美君 今、津田筆頭理事からも当然だという話が出ましたので、これは与野党一致しているようですので、是非撤廃に向けて検討していただきたいと、このように思います。
 次に、今回の改正は、近年の働き方の多様化に対応しようとしております。そして、これは公的年金制度についても同様に重要なポイントだと考えます。
 この点、高齢者の雇用が進んでいることとの関係でしばしば指摘されるのが、在職老齢年金制度です。高所得者については、賃金が増えるに従って年金額と合わせた手取りは増えますが、年金額は一定程度減じられます。私もその対象者でございます。
 また、保険料拠出についても議論があると思います。厚生年金は七十歳まで加入しますが、国民年金では原則六十歳までの加入となっております。政府として一億総活躍の推進を掲げ、高齢者であっても元気に働き続ける方が多くなっている中で、六十歳以上でも働いているならば保険料拠出を認め、引退後、より手厚い年金給付を手にする道があってもよいのではないかと私は考えております。
 保険料拠出期間を延長し、六十歳以上にも保険料拠出を認め、年金給付を充実するという考え方についてはどのようにお考えでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘のありました高齢期の就労と年金受給の在り方でございますけれども、これは平成二十五年のいわゆる社会保障改革プログラム法におきまして検討課題として明記をされているものの一つでございます。具体的には、高齢期における職業生活の多様性に応じ、一人一人の状況を踏まえた年金受給の在り方をどう考えるかということでございます。
 こういった大きな課題の中の一つといたしまして、今、更に御指摘のございました、保険料拠出期間を延長する、それによって年金給付を充実させてはどうかという論点もあるわけでございます。具体的には、国民年金で申しますと、現在は保険料の拠出期間、四十年でございますけれども、これを四十五年に延長する、こういう論点につきまして社会保障審議会の年金部会においても議論が行われたところでございます。
 このいろいろな議論の状況でございますけれども、その一つといたしまして、やはり六十五歳までは現役として捉えて、就労して保険料を負担していただく、そして、負担していただいたらそれに応じて年金を受け取っていただく、これがやはり自然の流れであろうと、こういう意見が最も多かったというふうに承知をいたしております。
 ただ、一方で、六十歳代前半の方の保険料の拠出能力ということになりますと、やはり男女の間で就業率に差があるという状況でございますので、就業期間は延びるんですけれども、一方で介護休業などによりまして就業していない期間もまた増えている、こういった視点も考慮して総合的に判断すべきではないかと、こういったような御意見もございました。
 それから、財政的な観点ではございますけれども、拠出期間の延長を行いますと、基礎年金の国庫負担額もこれは当然上昇いたします。そうしますと、給付の増大ということで財政への影響をどう考慮するのか、こういったことを考慮する必要があるだろう、こういったような御意見もございまして、冒頭申し上げましたような拠出期間の延長、それに応じて年金を多く受け取るのは自然の流れだと、こういう意見が多かったものの、更にいろいろな整理、検討すべき課題があるというような御意見もまたございまして、結果的に年金部会では意見が一致したというような状況にはまだ残念ながら至っていないところでございます。
 したがいまして、この問題、拠出期間の延長でございますけれども、これは高齢期の就労と年金受給の在り方を検討していく中でやはり一番の中心的な課題であろうというふうに思っておりますので、これまでいただいた様々な御意見、この論点を更に検討して、引き続き検討を深めてまいりたいというふうに考えております。

○赤石清美君 私の経験からいいますと、確かに六十歳を超えていろんなパターンの人がいると思うんですけれども、今は就業年限がもう六十五歳が大部分になっているわけでありまして、その六十から六十五の間が何か空白みたいな感じになっているわけで、もう少しここのところは真剣に考えて、どういう仕組みがいいのか含めて、厚生年金と国民年金の在り方も含めてしっかりと前向きに是非検討していただきたいと、このように思っております。
 最後になりますけれども、我が国では高齢化が今後も進んでいく中で、国民に老後の備えを促して安心した老後生活を送っていただくことは我が国の重要な課題であります。そうした意味で、今回の改正案は私的年金について国民の後押しとなる非常に良い取組ではないかと思う一方で、今後も制度の普及に向けた不断の努力を行っていただきたいと考えております。
 今後の私的年金の在り方、あるべき姿につきまして、とかしき副大臣の見解を、大臣以上の見解をお述べいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 企業年金や個人型確定拠出年金など、いわゆる三階部分の年金に当たる私的年金制度、これは企業や個人による老後の所得の確保を支援する制度ということで、とても大切であります。特に我が国は今高齢社会に向かっておりますので、ここをしっかり安定させていくことがやっぱり年を重ねていくことの不安の解消に大きくつながってまいります。ということで、これは公的年金と相まって国民の老後所得の充実を図るという観点から、公的年金を補完する私的年金の必要性や役割は高まってきていると、このように考えております。
 そして、これらの制度を利用して、より多くの方に老後に向けた資産形成を進めていただくことが望ましいと。とにかく知っていただいて利用していただくということが大切であります。せっかく法整備を変えて今度いくわけですから、是非御利用いただけるような環境整備をいかにつくっていくのか、ここがとても重要だと思います。
 また、利用しやすいように、今回の法案におきましては、中小企業が実施しやすいように簡易型確定拠出年金の創設とか、今までの個人型確定拠出年金に加入できなかった専業主婦や企業年金加入者、公務員等を加入可能とするとか対象を広げていって、そして利用しやすいようにということで私的年金の普及や拡大を推進すると、これに力を注いでいきたいと思っております。
 また、今後は拠出限度額や税制の在り方、これも併せて検討していって、この制度がどういうふうにしたら一番効率よく利用いただけるのかということで、私的年金の充実、これに周りの環境整備も含めて積極的に取り組んでいきたいなと。とにかく年を重ねることが恐ろしくない、いいことなんだ、安心して日本は年を重ねることができるんだと国民の皆様に思っていただける環境をつくっていくことが大切だと思っておりますので、これからも尽力していきたいと思います。
 ということで、大臣以上の答弁になったかちょっと不安ではございますけれども、答弁とさせていただきます。ありがとうございました。

○赤石清美君 いや、すばらしい答弁だったと思います。先ほどの大臣の答弁はそんなに前向きじゃなかったかなというふうに思いますので、是非、ちょうど今、私も団塊の世代で、社会の構造がずっと大きく変わろうとしているわけでありますので、様々な意味でこのセーフティーネットというものを充実していかなきゃいけないと思いますので、財源の問題もいろいろありますけれども、できるだけ多くの国民が安心してこれからも働けるように、そういった私的年金の仕組みをつくられることを念願いたしまして、私の質問を終わります。
 以上です。ありがとうございました。

○佐々木さやか君 公明党の佐々木さやかです。
 今回の確定拠出年金法等の一部を改正する法律案、今日議題となっておりますけれども、これは年金の三階建て部分である私的年金についてのものでありまして、企業年金の普及拡大とともに、個人が自助努力を行う環境を整えていくものとして重要な改正であるというふうに考えております。しかしながら、三階建て部分といいますのは、基礎年金、厚生年金といった一階、二階部分がしっかりしているということが大前提でありますから、そこは引き続きしっかりとやっていかなければなりません。そして、私的年金は公的年金を補完するものとして、国としても支援、普及をしていくべきだというふうに考えております。
 まず、確認をさせていただきたいんですが、政府の考え方として、老後の所得保障のための一階、二階部分、公的年金制度というのは、その重要性は今後も変わりがないということでよろしいか、公的年金と私的年金の関係について、まず御所見を伺います。

○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 公的年金は、現役世代に構築した生活基盤や貯蓄、そして私的年金等と併せて老後の生活を送るという考え方に立って給付が行われているものであります。それに対して、私的年金は、公的年金を基本として、その補完として位置付けさせていただいております。
 急速に高齢化が進んでおりますので、我が国は、老後の所得保障の在り方としましては、老後所得保障の基本となるのは、世代間の支え合いの仕組みである公的年金制度につきましては、その持続可能性を維持しながら将来世代も含めた給付水準の確保に必要な措置を講ずること、そして私的年金がこれを逆に補完するような形で老後所得の更なる充実を図るための環境整備を進めていくこと、これを両方進めていくことが大切であると、このように考えております。
 今般の改正は、個人型拠出年金の加入可能範囲の拡大や、全ての国民が確定拠出年金制度を幅広く活用できるようにしようということで、認知度向上に努めて、そして私的年金の加入向上を図ることを目的とさせていただいております。ということで、公的年金、私的年金を併せて、国民の老後の安心に寄与する年金制度となるように取り組んでいくことが大切だと、このように考えております。

○佐々木さやか君 次に、女性の活躍という観点からお聞きをしたいと思います。
 女性の活躍という点、私もこの委員会でもこれまでも何回か取り上げさせていただきましたが、子育て支援ですとか長時間労働の是正といった働き方改革も大変重要でありますけれども、今日のテーマである年金制度も女性の活躍を後押しするような制度であるべきではないかと思っております。
 そこでお聞きしますけれども、今回の法案は、女性の活躍という観点ではどのように対応したものになっているんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 個々人が生涯にわたって切れ目なく老後に向けた自助努力を行うという観点から、女性の活躍を年金制度としても推進をしていくということが誠に重要であると思っております。
 そこで、今般の法案の中では、御案内のように、国民年金の第三号被保険者につきましても個人型の確定拠出年金に加入ができるようにしたということでございます。
 この背景は、先ほど来申し上げておりますように、ライフコースが多様化しております。その中で、例えば出産などの事情から一時的に三号被保険者になる、そしてまた早期に復職する、こういったケースも増えてきておりまして、こういった一時的に三号被保険者となったときにも自助努力が切れるということがないように、切れ目なく自助努力が行えるような制度の支援の枠組みをつくっていくという観点から、この個人型の確定拠出年金につきまして、第三号被保険者も加入できるようにすることによりまして女性の活躍推進に資するものであるというふうに考えております。

○佐々木さやか君 妊娠、出産を経ても、希望すれば同じ職場で引き続き働けるようにしていかなければならないとは思いますけれども、様々な事情で第三号被保険者になる方もいらっしゃるでしょうし、一般に女性の方の方がライフステージによって働き方も変わりやすい状況にあるかと思います。
 今御説明がありましたとおり、第三号被保険者の方も加入できるようになるということで、たとえ転職をしたりとか一度仕事を辞めてまた復帰をする、そういう場合であっても、継続して年金資産の運用ですとか老後への備えというものが今回の改正でしやすくなると。そういった意味で、様々な働き方をする女性の活躍を後押しするものになるのではないかというふうに理解をしております。
 今後は、女性に多いパートなどの短時間労働者に対する社会保険の適用拡大、それから自営業者の女性について、国民年金第一号被保険者なわけですけれども、その産前産後期間の保険料免除、こういった制度の改正が着実に進んでいくということを期待したいというふうに思います。
 今後も、是非、女性の活躍を後押しする年金制度の充実に向けて取り組んでいただきたいと思いますけれども、副大臣の意気込みを是非お聞かせください。

○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 公的年金制度につきましては、女性を始めとして性別や年齢に関わりなく誰もが意欲と能力に応じて就労できるようにする、これが大切でありますし、また、年金制度は働き方に中立的な制度設計という観点から、社会保障年金部会において議論が行われておりますように、被保険者の適用拡大の推進が重要であると、このように考えております。いわゆる百三十万円の壁の問題とかこういった問題もいろいろありますので、これをいかに超えていくのか、解消していくのかということも考えていかなくてはいけません。
 具体的な取組といたしましては、社会保障・税一体改革の関連法、本年十月から五百一人以上の企業を対象に適用拡大が実施されることとなっております。さらに、五百人以下の中小企業におきましても、労使合意に基づいて適用拡大の道を開くことを内容とする法律案を今国会に提出させていただきました。ということで、積極的に対象を拡大していこうと考えております。
 また、今申し上げましたとおり、法律案には、議員からもお話ありましたように、次世代育成の支援の観点からも国民年金第一号被保険者の産前産後の保険料の免除、これも盛り込んでおりまして、これは多分女性の活躍にもつながるのではないかなと、このように考えております。
 ということで、被保険者の更なる適用拡大におきましては、本年の十月の法施行から三年以内に検討することと法律上規定されておりますので、その施行状況を見ながら引き続き検討を進めまして、女性の活躍を後押しする年金制度、これをしっかりつくって、年金を安心して女性が使えるように、そして女性が活躍できる場を年金が後押しできるような環境をこれからもつくっていきたいと、このように考えております。

○佐々木さやか君 ありがとうございます。是非期待したいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に移りたいと思いますけれども、今回の法改正は企業年金の普及拡大を推進していくものというふうに理解をしております。前提として、まず働く人の多くが勤めている中小企業、先ほども議論があったところでありますけれども、国民の安心できる年金という観点からは、この中小企業における企業年金をどう普及させていくかということが重要であると思っております。
 そこで、その前提として、中小企業における企業年金の普及状況、どのようになっているのか、教えていただきたいと思います。確定拠出年金がどれぐらい普及しているのかということについても併せて教えてください。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 中小企業における企業年金の実施割合でございますけれども、制度種別に見てみますと、まず三十人から九十九人までの規模の企業で、確定給付の企業年金は三・九%の実施率、確定拠出年金は五・七%でございます。さらに、規模の大きいところで百人から二百九十九人までの企業ということになりますと、確定給付企業年金は一六%、確定拠出年金が一三・六%ということでございます。
 最近の推移ということでございますけれども、これは確定給付、確定拠出共に中小企業における実施割合は増加している状況にございます。
 それから、企業年金全体といたしましては、厚生年金基金の解散ということもございますので、残念ながら、中小企業における実施割合、これ自体は減少傾向にある、そういう状況でございます。

○佐々木さやか君 特に多くの方が働いていらっしゃるのは中小企業でありますので、この中小企業における企業年金の普及というところについてが重要かと思いますけれども、今日も議論にありましたが、しかしながら中小企業は人的にもまた経済的にも余り余裕があるとは言えない状況であります。ですので、この私的年金、企業年金の実施については何らかの支援をしていくことがやはり重要ではないかと思いますけれども、この点については厚労省はどのように考えているのでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 私的年金、これを中小企業で普及していくということでございますけれども、中小企業におきます確定給付の企業年金、それから確定拠出の企業年金、これ、実施割合自体は増加をしているわけでございます。しかしながら、ただいま申し上げましたように、企業年金全体で見ますと残念ながら減少傾向にあるということでありまして、やはり何らかの手を打って普及拡大を図っていく、これが非常に大事な問題だと思います。
 そのため、確定給付の企業年金制度で申しますと、中小企業向けの対策といたしまして、例えば積立不足が生じないような手を打つというのは非常に重要なことだと思っております。その中で、例えば受託保証型の確定給付企業年金というものがございますけれども、具体的には生命保険の一般勘定などで運用することによりまして積立不足が生じない、これが確実に見込まれる仕組みでございますけれども、こういった受託保証型の確定給付企業年金を平成二十六年度から導入をいたしております。この仕組み、当然積立不足のリスクが生じない、それから手続も簡素化されているということでございますので、中小企業にも実施していただきやすい企業年金であるというふうに思っております。
 それから、今回の改正案におきましては、先ほど来御紹介申し上げておりますように、事務負担が困難な中小企業のために手続の大幅緩和を行います簡易型の確定拠出年金、これを創設を考えております。それから、個人型の確定拠出年金への小規模事業主掛金納付制度の創設でございますとか、あるいは投資教育の企業年金連合会による共同実施、これを可能にする、こういったような各般の施策を講じまして中小企業におきます確定拠出年金の普及拡大を図る、こういったことも併せ考えているところでございます。

○佐々木さやか君 企業年金の普及が重要である一方で、今回の改正では個人型確定拠出年金、この加入対象を拡大をしてこれを普及させようとするものでもあります。先ほど御紹介いただきました個人型確定拠出年金への小規模事業主掛金納付制度、これも創設をされるということで、これについては事業主が掛金を上乗せするという点で企業年金の側面もありますけれども、あくまで個人で掛金を支払うということが前提になっておりますので個人型という、両方の側面があるかと思います。
 この制度も大変重要だとは思うんですけれども、やはり自分で掛金を支払う余裕のない方にとっては恩恵を受けられないということになってしまいます。ですから、やはり企業がしっかりと責任を持って掛金を拠出する、そういった企業年金型というのが基本の考え方であるべきだと思いますし、個人型の確定拠出年金が普及をすることで、それもいいことではあるんですけれども、反面、企業年金を導入しようというインセンティブが低下するようなことがあってはならないと思いますので、そのようなことがないようにしなければならないと思っております。
 そこで確認をしたいんですけれども、個人型確定拠出年金の拡大と、企業年金の在り方、位置付けということについては、厚労省としては、政府としてはどのように考えているんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 確定拠出年金でございますけれども、その中で企業型と個人型とございます。企業型の確定拠出年金を始めといたします企業年金というもので見てまいりますと、これ、企業が掛金を拠出をいたしますので、言わば労使のニーズに応じて柔軟に制度が設計できる、こういった特徴があるというふうに考えております。一方で、個人型でございますけれども、これはやはり個人のライフコース、働き方、こういったものにかかわらず、こういったものが変わったとしても継続的に加入ができる、そして自ら掛金額を決めて老後に向けた備えを行うことができる、これが特徴であると、それぞれ特徴があると思っております。
 したがいまして、こうした両制度の特徴に着目をしてそれぞれ私的年金の加入率向上を図っていく、こういう観点から対応を取ってまいる必要があるだろうということでございまして、この法案におきましては、加入率が相対的に低い中小企業に実施を促すために、先ほど来の簡易型の確定拠出年金、あるいは個人型についての小規模事業主掛金納付制度の創設、こういったことを実施をするということでございますし、それから、個人型の確定拠出年金につきましては、そもそも加入可能な方々の範囲を広げるというような措置をとっているということでございます。
 それから、特にこの中で簡易型の確定拠出年金あるいは小規模事業主の掛金納付制度、これを中小企業に導入をすることにしておりますけれども、これが例えば大企業の方にだんだん広がっていって、結果、事業主の責任の後退につながるのではないかというような御懸念もいただいておりますけれども、この制度はむしろこういった負担能力がないような中小企業にまず入っていただくための特例的な制度だというふうに考えておりますので、まず、こういったものを採用して入っていただきまして、その上でさらに本格的な企業型の確定拠出年金に移っていただく、そういうようなステップとして考えていただくということも一つの手法であろうというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、このように、厚生労働省といたしましては、企業年金と個人型の確定拠出、それぞれの特徴を踏まえて、双方の仕組みを広く活用していただけるように充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

○佐々木さやか君 企業型の確定拠出年金の普及は、徐々にではありますけれども進んでいるというふうに聞いておりますが、とはいえ、国民になじみがあるのはやはり確定給付の企業年金であろうかと思います。ですので、その重要性が低くなっているというわけではないというふうに理解をしております。
 しかしながら、確定給付年金は大企業を含め徐々に減少傾向にあるというふうに聞いておりますが、その原因というのはどういうところにあると考えているか、また、厚労省として、今後、確定給付年金についてはどのように推進していこうというふうに考えているんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘のありました確定給付企業年金の減少傾向、この背景といたしましては、経済環境が悪化いたしました場合に、企業年金の財政が悪化いたしますと、当然その事業主が追加拠出を求められることになります。こういったことで、そういった事態を想定して事業主がこの確定給付の企業年金の導入あるいは継続に慎重になる場合があると、これは従来から指摘をされてきたところでございます。
 こうしたことも踏まえまして、社会保障審議会の企業年金部会でこの確定給付企業年金の普及拡大のためにどういう方策を講じたらいいかということで検討を行ってまいったわけでございますけれども、やはり柔軟で弾力的な給付設計というものをきちんとできるようにしていくと、これが一つの眼目でございます。
 この検討結果の具体的な実現方策といたしまして、これは平成二十八年度の税制改正大綱に盛り込まれたところでございますけれども、積立不足に対応いたしました確定給付企業年金の掛金拠出の弾力化を図る措置、あるいは労使でリスクを分け合う新たな仕組みということでリスク分担型DB、この創設を盛り込んだところでございます。
 現在、これらの制度につきまして詳細を検討しているところでございますけれども、いずれはこうした制度を十分御活用いただくことによりまして確定給付の企業年金が更に採用されるように努めてまいりたいと思っております。

○佐々木さやか君 今紹介してくださった新しい制度については、詳細は検討中ということではありましたけれども、リスク分担型の確定給付年金というものを検討していただいていると。その具体的な内容についてもう少し教えていただけますでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) お答え申し上げます。
 確定給付の企業年金制度といいますのは、御案内のように、あらかじめ給付の算定方法が決まっております。したがって、積立不足が発生をいたしますと、事業主が追加で掛金を拠出することによってこの不足を埋め合わせる必要がある、こういう制度でございます。
 こういった確定給付の制度に比べまして確定拠出の年金制度というのは、拠出した掛金、それからその運用収益、これを合計額を基にいたしまして個人別に給付額が決定をされる、したがって運用の成否が加入者の給付に直結する仕組みになっております。
 こうしたように見てまいりますと、今の企業年金制度では、確定給付の企業年金制度は運用のリスクは事業主にありますし、確定拠出の運用のリスクは加入者にあるということで、いずれか一方ということで、どちらかというと偏っているということになろうかと思います。特に、確定給付の企業年金につきまして、先ほど来申し上げております事業主の負担の重さ、これが確定給付が減少傾向にある主たる要因になっているということでございますので、このためには、言わばこのリスクを事業主と加入者の間で分担できるような仕組み、これを工夫したらいいのではないかと、これがリスク分担型のDB制度を検討する際の一番の動機でございます。
 こういったような動機あるいは要請を踏まえまして、社会保障審議会の企業年金部会で議論を進めてまいりました。具体的なリスク分担型のDB制度と申しますのは、事業主の側が将来発生するであろう一定のリスクに応じた掛金をあらかじめ拠出をしておくということでございます。将来発生するリスクの一定部分の先取りという形で掛金をしっかり払う。しかしながら、それを仮に上回るリスクが発生した場合には、今度は加入者の給付を調整するという形で、言わば事業主と加入者との間でリスクを分け合うことができる仕組みということでございます。その仕組みのコンセプトを二十八年度の税制改正大綱に盛り込んだところでございます。
 現在、またその具体的な制度設計を進めているところでございますので、こういったものが実現いたしますと、より多くの企業が確定給付の企業年金制度を選択していただけるのではないかというふうに考えておりまして、制度設計をしっかり進めていきたいというふうに考えております。

○佐々木さやか君 事業主側と加入者側のリスクの分担という発想は良いかと思います。その分担をまさにどのポイントで分担するのかということを今後検討していただくのだと思いますけれども、普及のためには企業側の負担も考えなければなりませんし、とはいえ、やはり確定給付ということは加入者の側としては予測が立ちやすいというところがメリットでありますので、そこの点についても十分に配慮をして、今後詳細な制度設計を御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 今回の改正で、これまでは加入ができなかった第三号被保険者や企業年金加入者、公務員などについても個人型確定拠出年金に入れるということになります。勤務先の状況ですとか働き方にかかわらず、継続的に老後に向けた自助努力を行える環境が整うという意義があると思います。
 しかしながら、加入が可能になったとしても、実際に加入をしていただけるかどうかは分かりませんので、できる限り多くの方に有意義に活用していただいて、老後の所得保障、所得の確保ということができるように制度の周知なども重要であると思いますけれども、厚労省としては、この法改正が成立をした後には普及のためにどのような方策を考えているんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 先ほど来御指摘をいただいておりますように、企業年金の普及拡大に当たりまして、やはり広報の充実、認知度を高めていくということは決定的に重要だと思っております。特に、個人型の確定拠出年金につきまして、先ほども御答弁申し上げましたけれども、実施主体であります国民年金基金連合会、ここに法定業務として広報啓発業務を追加するということで、これを根拠として積極的な展開を図ってまいりたいと思っております。
 具体的にどういったことを展開していくかということでございますけれども、これは、まず実施主体はもとより、運営管理機関ということで、個々の加入者の方々と日々相対していろいろな事務手続などのお世話をしている機関がございます。こういった関係機関全部集めまして、総員参加のような形で広報活動を展開していきたい、ある意味、官民挙げて広報活動を展開していきたいというふうに考えております。
 具体的には、これ、NISAにおきます先行事例なども踏まえまして、例えばこういった関係者が一体となって委員会組織を立ち上げて組織的に広報活動を展開できる体制を整えていく、その上で、セミナーの開催でございますとか、新聞、テレビなどの各種媒体も活用しながらきめ細かい広報を展開していく、こういった様々なことが考えられるわけでございまして、いずれにいたしましても、この法案が実現した暁には直ちにこういった取組に入ってまいりたいというふうに考えております。

○佐々木さやか君 是非、様々な工夫をよろしくお願いしたいと思います。
 確定拠出年金の手数料ですけれども、これは高止まりの状況にあるというふうに聞いております。新しく加入が可能になる第三号被保険者の方は、例えば一般的に余り収入がないわけでありますし、そういう方も含めて制度を広く普及していくに当たっては、手数料の引下げですとかそういった加入者の利益になるような対策も検討すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) ただいま御指摘ございました確定拠出年金の手数料でございますけれども、これは社会保障審議会の企業年金部会におきましても議論になったところでございます。
 これについては、まず手数料について開示を進めること、それから、手数料を含めますサービスを踏まえてこの運営管理機関の定期的な見直しを行うこと、こういったことを通じまして、この実際の事務に当たっております運営管理機関の間の競争を促して手数料の低廉化を図るべきであると、こういった御意見を社会保障審議会からはいただいたところでございます。
 そこで、この御意見を踏まえまして、この改正案では、事業主の方々の努力義務といたしまして、仕事を委託している先の運営管理機関、これを五年ごとに評価をして必要に応じて変更するといったことも盛り込んでいるところでございます。この結果、運営管理機関間の競争が促されるということで手数料の低廉化の効果もあるのではないかというふうに考えているところでございます。
 また、特に個人型の確定拠出年金の場合でございますけれども、やはり加入者数が拡大するということがスケールメリットが働くことにもなりますので、この加入者の加入可能な範囲を拡大をいたしまして加入者数を拡大する、これによりましてスケールメリットを通じて運営コストの低減を図っていくということで普及促進を図る、こういったようなことも考えているわけでございまして、いずれにいたしましても、この手数料の引下げその他加入者の利益になりますような対策について、今後、関係団体とも連携をいたしまして、また検討、取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

○佐々木さやか君 手数料の引下げ、また先ほどのような周知広報活動、こういったことを進めていただいて多くの方に有意義に活用していただきたい、そうした形で個人型確定拠出年金に入っていただく人が増えていったとします。しかしながら、加入しただけで老後の所得確保という目標を達成できるわけではありません。現在の企業型DC加入者の運用内容を見ますと、多くの方が元本確保型商品を選ぶ、こういう傾向にあって、長期分散投資が行われているとは言い難い状況というふうに聞いております。
 十分な老後のための資産形成につなげていくためには、運用改善、これも課題になると思いますけれども、今回の法改正ではこの運用改善についてはどのように改正を行っていく内容になっているんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 今般の改正案の中では、まず加入者の方々が老後に向けて適切な運用商品を選択できるように環境を整備するということが第一点。それから、そうした環境整備を進めましてもやはりまだ選択に迷ってしまう、あるいはその選択を失念してしまうといった理由でなお商品選択が行われない場合もございます。こういった場合のために、長期の年金運用として適切な運用方法をあらかじめ示していく、こういったことを第二点目として考えているわけでございます。
 具体的には、加入者がその適切な運用商品を選択できるための環境整備といたしまして、一つは投資知識、これを向上していただくことが必要でございますので、事業主に対しまして投資教育を継続的に続けていく、これを事業主の努力義務として位置付けたところでございます。
 それから、適切な選択に資するということからいたしますと、運用商品の提供を促進する、そのために商品の提供数に一定の制限を設ける、これによって商品の入替えも行いやすくなるようにする、そういったことで同意要件も見直すということも必要であろうというふうに思っております。それから、今先生御指摘ございましたように、分散投資効果が期待できる多様な商品設定が促進される、こういった措置を講じているところでございます。
 それから、一番ポイントといたしまして、先ほど申しました第二点、商品選択がどうしても行われない場合がございますので、こういった場合に備えましてあらかじめ運用商品の中から一つの商品を指定いたしまして、一定期間経過した後もなお商品選択が行われない、こういったような様々な要件を満たした場合には、あらかじめ用意しておいた商品に運用の指図が行われたというふうにみなして運用方法を展開していく、こういったことがきちんと行われるための規定の整備もこの法案の中でさせていただいているところでございます。

○佐々木さやか君 最初に説明していただいたように、投資知識の向上ということがやはり重要ではないかと思います。
 日本の場合には、これまで確定給付年金が根付いてきておりますし、余り投資ですとか自分の資産についての運用を考えるということに慣れていない方が多いのではないかというふうに感じます。また、確定拠出年金についても、制度があるということ自体は知っていても、どういうふうに有利な制度なのかとか、余り深く知らないという方も少なくないのではないかと思います。
 そうしたことからも、投資教育の充実、これが重要であるというふうに考えておりますけれども、前提として、企業で現在行われている投資教育について、厚労省で把握している実施の状況について教えていただきたいと思います。
 それと併せて、継続的に投資教育を行うことを今回企業の努力義務にしたということでありますけれども、実効性のためには、特に中小企業に対して充実した継続的投資教育が行われるような支援、これが必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 投資教育の実施状況でございますけれども、導入時の投資教育につきましてはほぼ一〇〇%実施をされているような状況にございますけれども、今御指摘のありました継続的な投資教育、これになりますと実施率は約六割、正確に申しますと五七・八%ということでございまして、やはり導入時の投資教育に比べて低い状況にございます。
 したがって、今回の改正案の中では、この継続投資教育につきまして、先ほど申し上げましたように法律上の努力義務とさせていただいております。努力義務とさせていただいた上で、法の施行と併せまして、この継続投資教育の具体的内容でございますとか効果的な実施のためにどういうタイミングでやるかと、そういったようなことにつきまして一定の目安を通知でお示ししたいと考えております。
 それから、そもそも投資教育につきましては、それぞれの企業の実情に合わせて柔軟に弾力的に実施をしていただくというのも大事でございまして、各企業におきまして様々な先行事例、好事例がございます。そういったものを全部集約いたしまして横展開を図るということで、この辺りは企業年金連合会などの関係機関とも協力をして好事例の横展開を図ってまいりたいというふうに考えております。
 それから、特に中小企業におきましては、この投資教育自体、自前でやるとなかなか負担になるという御指摘も従来ございまして、こういった投資教育につきまして企業年金連合会で共同実施ができるような、そういったスキームもこの法案に盛り込んでいるところでございます。こうしたものを通じまして、継続投資教育の実施率向上に努めてまいりたいと考えております。

○佐々木さやか君 努力義務でありますけれども、これが自主的に積極的に行われていくように様々支援をよろしくお願いを申し上げます。
 年金制度は、国民年金、厚生年金の一階、二階部分、また私的年金の三階部分があって、今回のDCについてもいろいろと複雑で、全体として日本の年金制度というのは余り分かりやすいとは言えないかもしれないと思います。しかしながら、こうした制度に対する十分な国民の理解というものが国民一人一人のしっかりとした老後の所得の確保に結び付いていきますし、年金保険料の納付率の向上にもつながっていくと思います。
 平成二十六年には、政府において社会保障教育の在り方に関する検討がなされておりまして、社会保障の教育推進に関する検討報告書というものも取りまとめられております。ここでも年金制度の正しい理解などが課題とされております。社会保障については、多くの人に生涯にわたって関心と理解を深めていただく必要がありますけれども、その基礎となるものとして学校での教育を充実させていくことも重要であるというふうに思います。
 今日、文科省はお呼びしていませんけれども、年金制度に関する教育の在り方について厚労省の見解を伺いたいと思います。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 御指摘のとおり、老後の所得保障の確保、あるいはそのための保険料の納付率の向上といったことにおきまして、国民の皆様に社会保障の全般あるいは年金制度の役割を理解していただく、これは本当に大事なことだというふうに思っております。
 今御指摘ございましたように、厚生労働省では平成二十三年から二十六年にかけまして社会保障の教育推進に関する検討会、これを開催をいたしまして、そこでの議論、成果を踏まえまして教育の展開を図っております。具体的には、社会保障教育推進のための高校生向けの教材を作成する、そしてその教材を全国全ての高校に配付しますとともに、高校の先生、教員向けの研修会も実施しているところでございます。
 それから、年金事務の実施に当たっております日本年金機構とも連携しての作業でございますけれども、年金事務所が各地域の高校と協力して年金セミナーというものを実施をいたしておりますし、また厚生労働省職員自身が大学に出前講座に行くということも試行的な実施をさせていただいております。それから、公的年金をテーマにしたエッセーの募集、こういったことも通じまして、様々な方法によりまして多くの方々に年金の意義を理解していただけるように取り組んでいるところでございますので、この取組をまた引き続き積極的に進めてまいりたいと考えております。

○佐々木さやか君 二十歳になると大学生の方でも国民年金ということでお知らせが来るわけでありまして、そういう機会に大学に出前講座に行っていただいたりなんかしてよく知っていただく機会をつくっていくというのは効果があるのではないかと思います。これからも引き続き文科省とも連携をしていただいて、取組をよろしくお願い申し上げます。
 確定拠出年金の運用改善策の一つとして、指定運用方法の導入、これが行われます。現在は通知を根拠に行われているものを法定化するというふうに聞いておりますけれども、この指定運用方法というのは加入者による運用指図がなくてもあらかじめ運営管理機関が定めた運用方法に自動的に入れられるというもので、それによって本人が運用の指図を行ったものとみなされるというものであります。
 継続的投資教育の強化によっても運用商品の選択ができないという方も一定程度は出てくるかと思いますので、こうした方法は必要であるかと思いますけれども、先ほど申し上げたように、本人が指図したものと自動的にみなされるということになりますので、加入者の不利益になったりとか保護に欠けるようなことがないようにしなければならないと思います。また、指定運用方法についての基準、これはこれから定めることになると聞いておりますけれども、どのような運用商品を定めていくというふうに考えているんでしょうか。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 確定拠出年金制度におきまして、やはり運用商品は加入者が選択をするということがこれは基本でございます。ただ、今ございましたように、やっぱり選択に迷うとか忘れてしまったという理由で選択しない方も残念ながら一定数おられるのも事実でございます。この状況をそのまま放置いたしますと、やはり将来の年金受給が十分に確保できない、結果、加入者の方々の保護に欠けるということにもなりますので、今回の改正では、ただいま御指摘のありました指定運用方法につきましてしっかりとした法的整備を行うことにいたしたわけでございます。
 具体的には、この指定運用方法の仕組みでございますけれども、これは加入者ができるだけ自ら権利を行使できるように、そういった面にも配慮をしたような手続、仕組みにしていこうということで、具体的には、手順でございますが、まず、従業員が確定拠出年金に加入した際に、当然、指定運用方法の内容についてしっかり周知をする、これが大前提でございます。その上で、納付された掛金に対して一定期間加入者の方がこういうふうに運用してくれという指図を行わない場合、具体的に一定期間と申しますのは三か月以上で各企業年金の規約で定めることにいたしておりますけれども、この期間過ぎても指図を行わない場合には、指図をしてくださいと促すための通知をする。その通知をしてもなお一定期間、具体的には二週間以上で規約で定める期間でございますけれども、なお一定期間指図をしない、こういった場合にはやはり放置をいたしますと保護に欠ける結果につながりますので、当初定めた指定運用方法を選択したものとみなす。こういったような慎重な手続を講じた上で、加入者の保護を図るような法的な枠組みを準備させていただいているところでございます。
 それから、この指定運用方法の基準でございますが、これは、長期の物価変動に対応しながら、将来十分年金給付が確保が可能になるような、言わば分散投資効果が見込まれる商品が選択できるように設定する、こういったことを想定をいたしております。
 若干抽象的な話になりますけれども、では具体的にどういう基準なり中身かということにつきましては、今後、社会保障審議会の企業年金部会で専門的に検討を進めた上で決定をしてまいろうというふうに考えておりますが、これまでの社会保障審議会企業年金部会での議論などの一端を御紹介いたしますと、例えばライフサイクル型のファンド、これは、加入者の年齢に応じて、若い頃、中年の頃は比較的にリスクの高い商品があっても、退職前においてはリスク回避を第一に考えるとか、そういったライフサイクルに応じて商品の設定が行われるような、そういったライフサイクル型のファンドでございますとか、バランス型のファンド、これは複数の資産を組み合わせることによって適切な資産分散効果、時間分散効果が得られる商品ということでございますけれども、こういったものが諸外国で採用されておりますので、こういったまずは諸外国の事例などを紹介して議論を進めていただいているところでございます。
 いずれにいたしましても、この具体的な基準、これは今後しっかり専門的な見地も含めまして、企業年金部会で検討の上、決定をしたいというふうに考えております。

○佐々木さやか君 運用商品の除外についても改正が行われることになっております。加入者に提示をされ、加入者が選んで運用を始めた商品であっても、一定の場合、運営管理機関は本人の同意なしで提示運用方法から除外することができるという規制緩和が行われると承知しておりますけれども、このような改正はどのような趣旨によるものなのでしょうか。
 また、除外について同意の意思表示をしなかった者の、加入者のですね、保護というのはどのようになされるのか、お聞きしたいと思います。

○政府参考人(鈴木俊彦君) 確定拠出年金の運用商品でございますけれども、これは状況に応じて適切に入替えが行われるということが重要でございます。
 一方で、現在の仕組みにおきましては、この運用商品の入替えにつきまして、商品を選択した方全員の同意が必要であるという仕組みになっておりますので、この商品の入替えを臨機応変にやりたいといたしましても、事実上極めて困難な仕組みになっております。
 このために、商品数に一定の制限を設けていく中で、加入者の利便性も考慮しながら、この運用方法のラインナップを更新することができるような仕組み、これを実現しようということで今般の改正案になったわけでございます。
 こうした考え方に立ちまして、現在は商品選択者全員の同意を必要としておりますけれども、改正案の中では、運用商品を除外する場合に選択した方の三分の二以上の同意とすることでより柔軟にできるようにしているところでございます。
 ただ、この場合に、運用商品の除外を行う際でございますが、慎重な手続ということで、この商品を選択している方に事前に通知をする、その上で、三週間以上で規約で定める期間内に意思表示をしていただくわけですが、この期間内に意思表示をしていただけなかった場合に限って同意をしたものとみなす、そして、施行された日後に納付された掛金につきましてはこの商品選択のみを対象にする、そして、かつその結果をきちんと対象者の方に通知するということで、仮に意思表示が行われなかったといたしましてもその方の利益を損なわないように慎重な手続、保護に万全を期するような仕組みとしているところでございます。

○佐々木さやか君 いろいろな利益のバランスを取って改正を考えていただいたというふうに理解をいたしました。
 じゃ、最後にお聞きしたいと思いますけれども、国民年金の保険料の納付率の向上に関してお聞きしたいと思います。
 国民の誰もが加入する国民年金、これは年金制度の基盤でありまして、引き続きしっかりとしたものにしていく必要があります。年金保険料についても制度についてよく理解をしていただいた上で納付率を上げていくということが重要であると思いますけれども、中には世帯所得が大変多い、例えば一千万円以上という世帯所得の方であっても保険料を納付していないという方が一定割合いるのが現状であります。平成二十六年国民年金被保険者実態調査結果の概要によりますと、一千万円以上の世帯所得の方でも七・八%の方について滞納している方がいらっしゃると、こういったことでございます。
 この改善のための取組を是非していただきたいと思いますけれども、現状の取組、また今後についてお聞きしたいと思います。

○政府参考人(福本浩樹君) お答えいたします。
 国民年金保険料の納付率の向上でございますけれども、これは保険料負担の公平性、あるいは年金権の確保、公的年金制度に対する信頼の確保等々の観点から、非常に重要な課題として認識をいたしまして従来から取り組んできておるところでございます。
 目下の状況を申し上げますと、この国民年金保険料の現年度の納付率でありますけれども、これは改善をしてきておりまして、二十四年度は五九・〇%、二十五年度は六〇・九%、二十六年度、昨年度ですけれども、これは二十五年度に比して二・二ポイント増でありますが、六三・一%ということになってございます。
 今後とも、更なる納付率の向上に向けましては、公的年金制度の周知あるいは教育、広報を一層推進すること、あるいは口座振替やコンビニエンスストアでの納付、クレジットカードによる納付など納めやすい環境を整備すること、あるいは、十分な所得がありながら度重なる納付督励に対しても応じることがなく、保険料を納めていただけない方に対して差押えまで至る強制徴収を実施することなどに取り組んでいくこととしてございます。
 先生特に御指摘いただきました高額の所得があるにもかかわらず滞納しておる方に対する強制徴収、これは財産差押えまでに至る手続を踏むということでございますけれども、これまでは税の控除後所得四百万円以上かつ未納月数七月以上という方を対象に実施をしておりましたけれども、今年度、二十八年度からは控除後所得三百五十万円以上かつ未納月数七月以上の方に対して実施をするということにしておりまして、取組を拡大することといたしております。
 受給者御本人の方の年金権の確保という観点、さらに年金制度への国民の信頼の確保という観点から、こうした収納対策に引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

○佐々木さやか君 じゃ、よろしくお願いをいたします。
 以上で終わります。ありがとうございました。