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190-参-行政監視委員会-2号 平成28年05月25日

○牧山ひろえ君 民進党・新緑風会の牧山ひろえです。今回は主に、職業訓練や教育訓練について御質問させていただければと思います。
 総務省では、今年二月に、職業訓練を中心としました職業能力開発の効果的な実施に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告を行っております。配付した資料の一ページ目を御覧ください。
 この調査の中で、介護系分野は求人ニーズや就職率が高く、訓練の積極的な実施を目指すべきであるとされています。にもかかわらず、介護系分野の職業訓練における定員充足率は、調べましたら、二〇一四年度に七二・三%、そして全体の定員充足率が八二・六%ですから、それよりも低くなっているということが指摘されております。介護人材不足を解消するためにも、この問題の解決は急務だと思います。
 この点に関しまして、在宅で現在介護中の方、あるいは在宅介護を経験されている方は、その経験を生かして介護系分野で活躍していただける可能性があるのではないかと感じております。こういった可能性を引き出していけるよう、介護経験者向けの職業訓練コースですとか、あるいは短時間訓練コースの新設、また介護経験に応じて実習を軽減するなどの工夫、こういったことを積極的にしていくべきではないかと思うんですね。この点に関しまして、厚労省のお考えをお伺いしたいと思います。

○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 在宅での介護経験を踏んでいらっしゃる方、様々あると思いますけれども、これを職業とした場合は、やはり介護に携わるためには体系的に技能や知識を習得する必要があると、このように考えております。
 介護分野の公的職業訓練におきましては、早期就職に必要な知識を短期間で効率的に付与する基礎的なもの、これは知識等習得コース、約三か月でございますけれども、とか、このほかには、介護福祉士の資格取得を目指すことということで、これ二年間の高度なものまで、訓練の受講者の特性やニーズに合わせて多様なコースを今は設定させていただいております。
 ということで、今後も求職者の特性やニーズ等を踏まえて多様な訓練の設定にも努めていきたいと、このように考えております。

○牧山ひろえ君 介護訓練の利用者が定員を大きく下回っていることに関し、これに関して総務省からは、介護系分野に重点を置いて、公的職業訓練の周知ですとか誘導などをより積極的に行うということについて勧告がなされております。ですが、現在も介護系分野の訓練、これにはある程度積極的に周知ですとか誘導などが実際にはなされているんではないかと思います。もう少し、なぜ介護分野に人材が集まらないのかという根本に立ち返った考察が必要ではないかと思われます。
 例えば、私の先ほどの提案しましたもののように、在宅介護の経験が単に負担や苦労で終わらず、自らのキャリアアップに結び付いていく、そういう仕組みこそが現在求められているんではないかと思います。今回の行政評価ですとか監視の中では、育児中の女性などが受講しやすい訓練環境を整備するために託児サービス付き訓練や短時間訓練のニーズの把握、また導入の検討をすべきという勧告も出ております。
 この点に関連しまして、育児中の女性と同じように、家庭の中で介護などによって就業を断念している、若しくは職業訓練を受講することが難しいと思っている女性なども大勢いるんではないかと思うんですね。そう考えますと、育児中の女性だけではなくて、介護中の女性などについても短時間訓練のニーズはあるんではないかと思うんです。
 介護中の女性を対象とした短時間訓練の実施をより積極的に行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 育児や介護による時間的制約を抱えながらも再就職を希望する方々が職業訓練を受けやすい環境を整えていくことはとても重要であると、このように考えております。
 このため、公共職業訓練におきましては、育児等を伴う時間を配慮いたしまして、一日当たりの訓練時間を通常よりも短くした訓練コースを設定させていただいております。また、求職者支援訓練におきましても、本年の十月より、育児中の方を対象とする一日当たりの訓練時間を短くした訓練コースも設定することとしております。こういった訓練は、実は育児休暇、育児中の方だけではなくて、介護により時間的制約のある方にも受講していただくことが可能であります。
 ただ、資料等で育児等という言葉を使っておりまして、等という中に介護の方が含まれるというのがなかなか分かりにくかったり、今日も牧山委員から御指摘いただいたように、なかなか状況が、介護の方も対象であるということが伝わらない可能性もあるので、これから広報の方、少し工夫をさせていただきたいと、このように考えております。

○牧山ひろえ君 おっしゃるとおり、やはり等という言葉ではなかなか介護中の女性も対象になっているということは分かりづらいと思いますので、是非やっぱり、そういう制度があるのであれば、より多くの介護中の女性ですとかそういった方々のニーズに沿った説明あるいはPRを行っていただければと思います。
 介護中の女性だけではなくて、求職中の方のニーズについての調査を密に行っていただいて、実態を正確に把握した上で、これらの状況にある方々が本当に必要とする、また受けやすい職業訓練のメニューをより幅広くPRしていただければと思います。
 超高齢化社会を目前にして、介護士不足は深刻な問題だと思います。現在、自宅で家族を介護している人の中にも、外に出て働きたいとかあるいはお金もできたら稼ぎたいという意欲を持っている方は実は多いんではないかと思うんですね。
 これらの問題を解決するために御提案をさせていただきたいと思いますが、介護の現場で働く人については、その親族の要介護者を特別養護老人ホームなどの介護施設に優先入居させることができるという仕組みをつくれないでしょうか。そのような仕組みに、先ほど申し上げました在宅での家族介護の経験が前向きに生かせるという、生かすことができるような職業訓練を組み合わせると、介護職を実際に目指す人が多く出てくるんではないかと思うんですね。もちろん、介護施設への入所は基本的に民間と民間の契約なので実務上難しい面もあるかもしれませんけれども、地方自治体などで指定介護老人福祉施設優先入所指針、指針という形で作成している例もあるんですね。
 こういった例もありますので、やる気次第でいろいろできると思いますので、是非厚労大臣に御所見をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(塩崎恭久君) ありがとうございます。
 現在、特別養護老人ホームの入所に際する考え方の整理というのは、やはり大事なのは公平性を確保するということなので、このように整理をしております。
 まず、国が、介護の必要の程度とか家族の置かれている状況とか、こういうことを踏まえて入所の必要性が高い方を優先をするということを留意事項で示しております。これを基に各都道府県などが具体的な優先入所指針というのを定めておりまして、その指針に基づいて、各施設で定めた手続にのっとって入所者を決定をするという取扱いが行われているわけでございます。
 御指摘の介護職員の親族の方を、要介護者であった場合に優先入所ということでございますけれども、この仕組みにつきましては、要介護度やそれから認知症の程度とかで入所の必要性が高い方がむしろ逆に入所待ちとなる可能性もあり得るということなので、そうした方との公平性の観点から慎重な検討が必要なのかなというふうに思っております。
 私どもとしては、介護離職ゼロを実現しようということで、ニッポン一億総活躍プランというのを近々取りまとめる予定でございますけれども、既に今、二十七年度補正予算において、二〇二〇年代初頭までに、介護施設などを合計で約十二万人分当初の予定より整備量を上積みをいたしまして約五十万人分の整備をするほか、介護人材の確保に向けて今月中に、このニッポン一億総活躍プランというのに基づいて、介護職員の処遇改善など総合的な対策を講じることによってしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○牧山ひろえ君 現在、介護離職が社会問題となっております。いろいろ難しい面はあると思いますけれども、何としてでも介護離職と逆の方向に政策のかじを切らなければならないと思います。すなわち、介護すべき家族を抱えていても実際に働くことができる、むしろ介護家族を抱えていた方が有利な側面がある、そういう仕組みをつくってこそ働きたいという意欲をかなえながら介護人材不足も解消する一助になる、なり得ると思うんですね。
 平成二十三年十月二十七日に、実は私、以前、この問題について厚生労働委員会で質問したことがあります。当時は小宮山洋子大臣だったんですけれども、彼女に質問したことですけれども、介護をしている方が介護士として施設で就職する場合、その就職と同時に介護をしている親もその施設に入所するという、そういった御提案をさせていただいた経緯があるんですけれども、是非前向きに御検討いただければと思います。
 職業訓練後の就職率については公表されており、職業訓練の実施計画においても目標として記載されるなど、一定の指標となっています。もちろん、職業訓練の第一の目的は就職ですので、就職率は目安として大切なんですけれども、その後、問題になるのが定着率だと思うんですね。又は離職率、これもやっぱり問題だと思います。一旦就職をしても、その後すぐに離職してしまっては、御本人にとっても、また職業訓練の実施効果としてもいいとは言えません。また、この定着率ないし離職率を把握することによって、より良い職業訓練につなげることができると思うんですね。
 各訓練所ですとか厚生労働省では、職業訓練後に就職された方々の離職率について調査されているんでしょうか。

○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
 就職後の離職率については、現時点では把握をしておりません。

○牧山ひろえ君 職業訓練の目的は、いっときの就職だけではなくて、希望の職に就いてそして安定して就業し続けるということが本来の職業訓練の目的だと思うんです。職業訓練の質は、むしろ就職率ということよりも就職後の定着率、すなわち就業の継続性に直結すると思います。
 そのような観点から、職業訓練の実施に当たっては、就職後の離職率も同時に調査し把握するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(塩崎恭久君) おっしゃるとおり、職業訓練、せっかくやるわけですから、就職できても定着をしないというんでは意味が半減ということだろうということで、基本的なお考えに私も賛成であります。
 今、就職訓練について、就職に結び付けることが目的ということで、全ての訓練修了者の就職率は確かに把握をしておりますけれども、離職率はしていないということになっています。しかし、今申し上げたとおり、就職後一定期間を経た時点での離職率を調べるというのは、やはり訓練の効果がちゃんと長もちしているかどうかという意味においても有効な考え方ではないかというふうに思いますので、例えばサンプル調査によって把握をし分析をするというようなことも含めて、訓練修了者の離職率を把握する方法について先生の御提案どおり研究をしてまいりたいというふうに思います。