190-参-外交防衛委員会-14号 平成28年04月21日
○大野元裕君 おはようございます。民進党・新緑風会の大野元裕でございます。
まずもって、熊本・大分地震に際しまして、お亡くなりになられました方にお悔やみを申し上げますとともに、おけがになられた方、そして今も被害が拡大する中で多くの方々が不安な日々を過ごされておられますこと、心よりお見舞いを申し上げたいと思っています。
さて、まずその関連で少し中谷防衛大臣にお伺いをしたいんですけれども、防衛大臣、報道によりますと、今月末にフィリピン並びに東ティモールを往訪し、特にフィリピンではTC90の練習機を貸与する、こういったことについて合意する予定であったという報道がありました。その後、十八日になってからだと思いますが、これを取りやめるという報道もありました。
大臣、東ティモールあるいはフィリピン、いつ行かれるのを取りやめることを決意をされたんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 私といたしましては、フィリピンも東ティモールも我が国の安全保障上大変重要な国でございます。特に東ティモールにつきましては、大野委員は友好議連の事務局長もされておりまして、両国の友好発展のために御尽力いただいておるわけでございますが、今週末にフィリピンと東ティモールを訪問すべく調整しておりました。
しかし、十六日の土曜日に熊本地震の本震が発生したことを踏まえまして、十八日の月曜日、両国の訪問を中止することにしたわけでございます。
○大野元裕君 大臣、フィリピン、東ティモールの重要性、全く同じ気持ちですし、大臣は特に友好議連、私、下で事務局長をやらせていただいていますが、東ティモール友好議連の会長でございますので、是非行っていただきたいという思いは正直強いです。
ただ、今、熊本・大分地震に際して二万人規模の自衛隊員があそこで必死に頑張っておられます。捜索、支援活動、本当に重要な時期だと思っています。そうだとすると、大臣、十八日ではなくて、遅くとも十六日の本震の直後には外遊の取りやめ、御自身で決断をすることが隊員に対する責任であり、そして大臣としての私は責務だろうと思いますけれども、改めていかがでございましょうか。
○国務大臣(中谷元君) この度の震災に対しましては、防衛省・自衛隊挙げて省一丸となって災害対応を実施をいたしております。十六日の深夜一時二十五分に本震と見られる地震が発生いたしまして、私は同日の深夜二時四十五分に大臣指示を発出、十七日も災害対応をいたしておりました。この両日は全力でもう精いっぱい災害対応をいたしておりました。
この出張につきましては、月曜日にもう各役所も正常な勤務をする上で相手国の国防省も平日になったということがありまして、事務的に、十八日になりまして、その日のうちに両国の国防省に正式な決定ということで連絡をしたわけでございます。
○大野元裕君 取組の是非については私、今この段階でお話しするべきものではないと思っています。ただ、大臣、是非自衛隊員のことをおもんぱかっていただきたい、これだけは是非お願いをさせていただきたいと思っています。
それと、気になっているのは、健軍、熊本の自衛隊病院なんです。防衛省からの報告の中には、今回、その熊本の自衛隊病院が果たした役割というのが含まれていなかったんです。
そこでお伺いしますが、この病院がいかなる役割を果たしたのか、また、同病院、私も実際見てきましたけれども、かつて、昭和三十年代の建築なんです、五十年ぐらいたっている建物ですけれども、同病院への被害があれば教えてください。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えいたします。
自衛隊熊本病院につきましては、一般の患者の受入れ、いわゆるオープン化された病院ではございませんので、この四月十六日付けで通知文書を発出いたしまして被災住民の方々の診療を行えるような体制といたしました。平成二十八年四月二十日の現在ですけれども、被災住民の方々約二十名、部内の患者約百八十名の診療を実施をしております。
自衛隊熊本病院の被害の状況については、病院の内壁及び廊下にひび割れ等がございまして、また、給水、トイレあるいは医療機器の一部に使用できないというような状況ではございますけれども、診療は可能でございますので、引き続き被災住民の方々の診療を行ってまいりたいと考えております。
○大野元裕君 今回の地震の深刻な状況にもかかわらず、熊本病院、私も本当懸念していたんですが、軽微な被害であったということは不幸中の幸いだったと思っていますが、是非これはしっかりお使いをいただくことが重要だと思っています。
築五十年のたった病院なんです。これ、自民党政権、防衛費拡充をしたといいながら、目立つところは確かにそのとおりですが、自衛隊病院を含めた衛生分野については、拠点化と機能の統合と称して、実は、現実には縮小、そして地域の自衛隊病院の役割を減じ、さらには自衛官の衛生への配慮をなおざりにしてきたのではないかと私は懸念していて、大臣、覚えていらっしゃいますかね、昨年の三月、この話、私、この委員会でさせていただいたこと覚えておられるかもしれません。
何と申し上げたかというと、例えば熊本の健軍の病院などを拝見すると昭和三十年代の建物なんですと、ちょっと中略いたしますけれども、要するに、何かあったとき、有事あるいは大災害があったときにこれを使おうと思っても、正直使用に堪えるものなのかどうかということは、今後考えたときに私は疑問なんですということを実は当時言っているんです。大臣、そのときに大臣は、拠点化を進める中で老朽化の状況に応じて検討していきますというふうに答弁されておられますけれども、実はその後、何の対策も講じられていません。
実際に熊本で地震が発生しました。地震を止めることはできません。ただ、我々が対応することはしっかりやらなきゃいけないし、自衛官の衛生も福利厚生も我々しっかりと後押ししなければなりません。そういった中で、今後、朝鮮半島の有事の際には九州は重要な拠点になっていきます。そういった問題に考えれば、やはり大臣、もう一度、自衛隊病院への予算拡充して、これまでの方針を変えて、この病院の建て替えと近代化、全体の統合、実質的な後退ですから、これを見直すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(中谷元君) 昨年三月に大野委員の方から同様の御質問いただきました。その際、私も答弁といたしまして、近代化、また高機能化、これは必要だと認識をしていると、お答えしたとおりでございます。
改めまして、この病院の老朽化の更新の必要性、これも必要だと認識をいたしておりまして、現在、十六病院、十程度の病院に集約して質の高い病院を整備をするという方向で進めてきておりますので、改めまして、この熊本病院の件につきましても、衛生関連予算、これを拡充してまいりたいと考えております。
○大野元裕君 拡充するとの御明言、本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。
そして、行政機関、消防、警察とともに自衛隊が果たす役割、地域に寄り添って、被災地に対して寄り添う役割、とても大事だと思っていますので、大臣におかれましては是非とも全力でお務めを賜りたいと思っております。
その上で、フィリピンとの社会保障協定について外務大臣にお伺いをさせていただきます。
外務大臣、両国間で二重支払が防止をされる、若しくは支払期間が通算が成し遂げられること、これ、全体の流れとしては、民主党政権時代も含めてこれまで我が国が進めてきたことでございますので、これは歓迎をしたいと思っています。
その一方で、フィリピンとの社会保障協定については、フィリピン独自の与件に対する懸念も私は抱いています。そこで、そこについてちょっとお話をさせていただきたいと思うんです。
一つ目の懸念というのは、この協定が悪用をされて、例えば、我が国の年金の継続的な制度維持に今疑問も付されているじゃないですか。そのような中で、我が国の社会保障制度に対して悪影響が及ぶことがないかという点なんです。
日本人の中には老後をフィリピンで過ごしたいという者がいまして、フィリピン政府も、一定の預託金、お金を預けることによってSRRVという退職ビザを発行し老後をフィリピンで過ごす、こういうPRを一生懸命行っているんです。
個人的な話ですが、実は私の友人も、実はこの人タガログ語も英語も話せませんし海外に住んだこともないんですけれども、その彼の友人が既にこの制度を利用してセブ島にいまして、その人から話を聞いて移住を決断して準備進めているんです。彼によれば、現地の人は優しいと、しかも物価も安い、気候も良い、日本の年金で十分ぜいたくな暮らしができる。正直、いいことばっかり話し、まあいいところだけでは私はないと思いますが、いいことばかり話を聞いているために、そこで彼は決断をして準備を進めているんです。
そこで、それを前提としてつまり海外に移住する、特にフィリピンがそうやって進めているものですから、世界最強の退職プログラムなどと称して進めていますから、そこで是非少し検討したいんですが、資料のこのA4の横長の図を見ていただきたいんです。
我々、一般には二十歳で年金に入って六十歳まで年金の支払を続け、その後年金を満額受け取るということをいたします。これ、例一がそうなんですね。これ、フィリピンに住もうが住むまいが日本の年金行政には関係がないというか、満額払って満額もらうわけですから同じです。例二を見ていただくと、年金の納付期間満たさない人は、これ、フィリピンに老後過ごそうが過ごすまいが、これ残念ながら支払われませんので、これも同じでございます。そこまではいいんだと思います。
他方で、例三の場合には、今回、二十四年間しか納付を国内でしていなくても、かつて七年間仮にフィリピンで納付をしていたとすれば、この年金の納付していたものが復活したというか合算されて、両国のそれぞれの納付期間がそれぞれに定める二十五年、十年満たさなくとも、案分で相応に支給されるということに今度の協定以降なるということでまずよろしいかどうか、確認させてください。
○国務大臣(岸田文雄君) 今回の日・フィリピン社会保障協定の意義ですが、御指摘のように、この掛け捨て問題、これを解決する、これはこの意義の大変大きな一つであると考えます。
そして、この内容について御質問いただきましたが、協定発効後、これは、企業駐在員等は、両国での年金の保険期間を通算し、それぞれの年金制度での年金受給資格期間が満たされれば支払った年金保険料に見合った年金がそれぞれの年金制度から支給される、こういった制度になっております。
○大野元裕君 済みません、ちょっと質問と答えが若干ずれている。
それぞれを満たさなくても、合算して、結果として、いいです、いいです、そういうことですよね。はい、済みません。
そういった企業の方が結果として救われると、これはとてもいいことだと私も思っています。
他方で、悪用されると困ると思うんです。これが実は例四のケースと例五の、まあ悪用と言っていいのか分かりません、法的には正当なんですけれども。
どういうケースかというと、例えば、十八年間しか日本で年金を納付していなかったと。将来、老後をフィリピンに行こうと思っていると。そのときに、早くフィリピンに行って、そこで例えば自営業で何か仕事すると。何年かやると、一一%の保険料なので向こうで払う方が安いと。そうすると、実はもらえなかったはずの日本の年金、復活するという今度制度になりますから、つまり、今まではもらえなかった年金が、日本の年金も含めて、ただしそれ案分ですよね、払った分だけです、払った分だけだけど、フィリピンでもらう分には、十分かどうかは知りませんが、少なくとも日本で過ごすよりも生活費が安いのでこの年金を当てにできるというふうになるのではないかというふうに思うんです。
そうしますと、この例四のようなケース、つまり、六十歳までに一生懸命納付しても二十五年満たない、そこでフィリピンに行って七年足した、そうすると足して二十五年なので日本からもフィリピンからもこれ案分で相応に受給されると、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的には委員おっしゃるとおりだと思います。
ただ、御指摘のようなケースにおいて、選択肢として、日本の年金制度においては、六十歳以降日本で支払うことによってこの受給期間を満たす、こういった選択肢もあります。その選択肢もある中で、フィリピンにおいて御指摘のような対応をされたならば通算されるということであります。
ただ、フィリピンにおける負担は日本に比べて少ない、これは御指摘のとおりだと思いますが、支払も少ない代わりに受取も少ないというのが現実であります。そういった実態の中で、様々な選択肢が、今言ったような選択肢がある、そういったことをどのように考えるかということかと思います。
○大野元裕君 おっしゃるとおりですけれども、しかしながら、定年を前にして、自分で仕事をする、フィリピンで永住するということを決断する人にとっては、一定の金額、幾らだか私には分かりません、多少安いんでしょう、それをもらうことで満足をするというふうになるのかもしれませんが。
そうすると、これは厚生労働省にお伺いをさせていただきますけれども、これ日本側で年金支払の対象とならないような、今までであれば、そういった人が途中で支払を切り上げて、仮に、あっちの方が安価だから、日本で払ってもいいんでしょうけれども、あっちの方が安価だから向こう行って払うと。そして、結局、そこから最終的にいただく年金を元手に老後の生活をフィリピンで送るということになると、ある意味、年金制度、僕らも厳しい年金制度をこれ運用していますけれども、そういったものを毀損をするというか抜け穴、抜け道になるというか、日本側の年金にも負担を強いるような状況になりかねないのではないかと思うんですが、こういったことについて厚労省は何らかの措置若しくは指導みたいなものをお考えなんでしょうか。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
今回の社会保障協定は、本来保険料の二重負担の解消をするということと、あと老齢年金の基礎となる最低加入期間を満たさない場合にも両国の保険期間を通算することで受給に結び付けやすくするという、この目的が二つございます。
この目的から鑑みますと、今委員御指摘の場合ですけれども、日本において最低加入年金の要件を満たさない日本人がフィリピンに移住し、フィリピンの年金制度に加入して保険料を納付した場合には、こうした保険協定の目的に鑑みれば、その実績を日本の年金の受給するための最低加入年金期間として通算することはこれは適切であると、このように考えております。
ということで、年金制度というのは国境を越えて移動する方々にもできる限り年金を受給できるように外務省と協力していきたいと思っておりますので、引き続き社会保障協定の締結に厚労省としては取り組んでいきたいと、このように考えております。
○大野元裕君 法的には確かに適切だと私も思います。ただ、制度を考えたときに、本当にこれでいいのかというのは私は疑問なしとはしないところでありまして、特にこれから、一生懸命フィリピンPRしていますから、うちへおいでおいでと、そういう状況で、悪用とは言いません、法的には合っていますから、ただ、その本来の目的とはちょっとずれているのではないかなということは指摘をさせていただきたいと思うんですが。
今お答えいただいた中で通算をするという話がありました。実は、昨日の議論を聞いていても、フィリピン側と日本側のケース、通算していろいろ考えてみましたけれども、六十歳を超えた後には、基本的には我が国は支払うことはできますけれども義務としては終わるわけであります。フィリピン側については、六十歳を超えて支払うことが義務としてそれは求められているんでしょうか。外務省なのかな。
○政府参考人(梨田和也君) お答え申し上げます。
フィリピンの社会保障法では、六十歳以下の方はその国籍を問わず強制加入という規定はございますが、六十歳を超えた場合、外国人を含めて任意で保険料が支払うことができるかということについては、明示的な規定は確認できておりません。
引き続き、この詳細については、現地と連絡を取り、確認をさせていただきたいと思っております。
○大野元裕君 昨日の実はお昼までの段階では、六十歳までに入れば六十歳以上でも支払えるって聞いていたんです。ところが、昨日夜、お電話いただいて、いや、払えませんと、逆に。六十歳を超えると支払えませんと、外国人は。フィリピン人は払えるけど外国人は払えませんと、そういうふうに伺ったんですが、そこはまず認識としてはいいんでしょうか。
○政府参考人(梨田和也君) 言葉足らずだったかもしれませんが、今議員が御指摘になったのは、フィリピンの政府関係者がそのような、要するに六十歳を超えた外国人は任意で支払うことができないという口頭での説明は受けたことをお伝えしたものだと承知しております。
一方で、それを、明文の規定上どこに書いてあるのかという根拠をまだ探し出せていないという状況でございます。
○大野元裕君 調べていただいて、口頭で聞いていただいたことは感謝いたします。
私も、お配りしましたけど、ちょっと英文ですけれども、共和国法の八二八二というのがあって、これは途中しか書いていませんけれども、セクション12というのが、三枚目でしょうか、ありますけれども、そこには、要するに百二十か月をまず払いましたと。つまり、十年間の年金を支払いましたと。(1)のところで、六十歳に達した者で、そして既に退職をしているか若しくは自営業者の場合には自営業をやめている者の場合である、若しくは六十五歳。
つまり、この間には実はあって、日本人がさっき言ったようにフィリピンに行って自営業で七年間やりますという人、六十五歳まで払うべきなのか、払わなくていいのか、あるいは払う権利があるのか、実はここからは読み取れないんです。私もいろいろこれ法律を見たところ、分からないんですよ。
先ほど申し上げたように、今御答弁いただきました、外務省からも厚生労働省からも御答弁いただきましたが、御答弁に従ってこうやって作ってみて、これを基に、例えば、ああフィリピン行きたいなと思う人もいるかもしれない、あるいは、いやいやこれは制度上おかしいなって考える人もいるかもしれない。ただ、その根拠がないというのは、これないって、ごめんなさい、見出せていませんと梨田さんおっしゃいましたけれども、見出せていないままに、つまり合算してどうなるかが分からないままに協定結んじゃったんですか。これで本当によろしいんですか。
外務大臣、本当にこれ、相手方の国内法理解していなくて、合算の状況すら分からないのに協定結んだというのは適切ですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のようなケースについてしっかり確認する、これは当然大事なことであります。
ただ、基本的な考え方として、日本からフィリピンに派遣される駐在員等が日本とフィリピン両国で年金受給資格期間を満たされなければその国で支払った年金保険料が掛け捨てになってしまう、この現実に対してしっかり対応する、このことは基本的に大変重要であると考えます。その基本的な部分に対して対応が行えるということにおいてこの協定の存在意義は大変大きいものがあります。
ただ、その現実の中で、今御指摘があったようなケースについてどうなのか、この辺は確認していく。これは相手があることでありますから、その辺につきましてもしっかり確認をし説明をする努力を併せて行う、これは大変重要なことではないかと考えます。
○大野元裕君 いや、大臣、僕、冒頭申し上げました。この協定のその趣旨の部分は賛成だと申し上げたんです、僕。賛成だと申し上げたけれども、これ、確認する相手があるって、相手があるから外務省いるんですよね、交渉されるんですよね、そうですよね。しかも、それは当然法律に従って、相手方の法律なのか規定なのかは分かりませんが、こういうことになっているから我々はこういう制度を細かいところをつくります、あるいは全体の制度ではなくて、個別の国についてはこういう法律があるからここについてはこう対処するんだというのをこれ審議するんじゃないんですか。
外務大臣、法案提出者として今の僕答弁恥ずかしいと思いますし、正直その規定がないまま我々ここで審議しろと言われても審議できませんので、そこは是非ちょっと協議してください。
○委員長(佐藤正久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○大野元裕君 もう一度お伺いしますが、フィリピンと日本を、年金の支払期間、これを通算をするということが実は可能になる条約でありますので、この通算の仕方について、あるいは向こうの、フィリピン政府側の義務規定、支払の、これについては我々はしっかりと承知をしないと、どういう形で通算するのか、できるのか、しなければいけないのかということが分かりません。
その上でお伺いをさせていただきたいのは、どういった法的根拠に基づいてこれらの通算ができる規定、特に六十歳から六十五歳までの間の自営業の人たちが支払うべきなのか、支払わなければいけないのか、支払わなくてもいいのかということについて、私が読んだこの共和国法の限りにおいては法律に定めがないんですが、どこに規定があるか、教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) 委員の御指摘は、極めて限られたケースにおいて、六十歳以上の支払についてどう対応するのか。日本においては、御案内のとおり、六十歳以降支払いすることによって通算期間を満たす方法がある。ところが、フィリピンの部分においてどうなのかということについて確認をしたのかと、こういった御指摘だと思います。
今、先ほど梨田部長から答弁させていただきましたように、その部分について、今しっかりと法的根拠について確認をしています。
是非、こうした制度を運用する際に、その部分について確認をし、そして現状について国民にしっかり説明をし、もし注意するべきことがあるとしたら注意をしていく、こういった対応はしっかりと行っていかなければなりません。その上で全体をしっかり運営するべきものであると考えます。
○大野元裕君 我々はここで条約を審議をすることを求められています。当然、国民に対して説明するべきことについてはここで議論をし、ここで確認をし、そしてその上で我々は承認をするなりそうではないという結論を出すのは当然の話でありますので、確認をされるのであればお待ち申し上げますので、どうぞ。
○委員長(佐藤正久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○大野元裕君 大臣、先ほど申し上げたとおり、法の規定といったものはしっかりと確認をしてからここにお出しをいただいて、国民の皆様に対して御理解をいただくための審議の場でもあるし、我々の、我が方の税金使って向こうに持っていかれるかもしれない、そういう制度になるかもしれない話ですから、やはりそこは確認をしっかり取ってからここに持ってきて議論をいただくということが筋だと思っておりますので、この、先ほど申し上げたように、大筋の制度は賛成です。はっきり言います、我々賛成です。ただ、そうではなくて、この制度を運用するに当たって外務省としての責任をしっかりとお取りをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘いただきましたこと、大変重要なことだと思います。それについて、フィリピン政府側、あるいはフィリピン側に確認ができていなかったことは不十分であったと感じます。
是非、御指摘をしっかり踏まえて口上書を交換し、この協定が発効するまでの間にしっかり事実を確認し、国民の皆様方に必要であればしっかりと指摘を行い、現実において不都合が生じないよう、政府として万全の対応をしていきたいと考えます。
○大野元裕君 是非、発効するまでにこの点については御確認をいただくことを確実におやりをいただきたいと思っております。
大臣、少しちょっと違う観点からお伺いしますが、フィリピンという国は、親日と言われながらも、銃によって邦人殺害される件数が実は何年もの間世界の中で最大の国であります。しかも、テロとかあるいは偶然の物取りとかの犯行で邦人の方が被害に遭われるというよりも、縁故者とかあるいは近親者、従業員、こういった人たちによる犯行、その人は要するに特定をしてそれを犯行に及ぶと、こういった犯行が特徴と理解をしています。
その背景には、日本人から見れば、フィリピン人は日本人に優しいなと思いながらも、フィリピン人の側では必ずしも、もちろんそういう人もいると思います、必ずしもそう思っているわけではなくて、日本人が落とすお金や将来自分に来るであろう利益、これを期待している。そうすると、その期待が裏切られると結果として恨みになってしまう。こういうことも過去にはあったようです。
このSRRVというビザでフィリピンに渡航をし滞在をする、そういった場合に日本人が例えば不動産を持つ。この不動産、例えば私であれば私の奥さんに渡すこともできるんですが、私をフィリピンで面倒見てくれた人、これにあげることもできるんです。そういった制度が実はあって、そこでいい話ばかりを信じていると、逆に彼らが家くれるんじゃないかとか、そういったことまで実はあります。
今回の合意が結果としてフィリピンの生活を、老後の生活の元手となる年金を仮に供給すると、そういった人たちが、さっき私の友人の話しましたけれども、いいところばっかり見ていますから、そういった人が増えるようなことになる場合には、やはり決して邦人の安全上、安穏としていられる状況ではないと思うんです。
だとすると、外務大臣、お伺いしたいんですが、政府として、渡航者、特に年金生活で老後を過ごすような人たちに対する適切なアドバイス、特にこれマニラだけではないと思いますけれども、そういった別々のところに行かれる方についてもアドバイスを行う措置を強化するべきと考えますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、邦人の安全確保、これは政府にとりまして大変重要な課題であります。御指摘のように、SRRV等を利用して渡航される方、滞在される方、こういった方にもしっかりと注意喚起をし、そして安全対策を講じる、これは非常に重要であると認識をしております。
フィリピンにおきましては、危険情報、スポット情報の発出、あるいは安全対策基礎データ、安全の手引などを通じて積極的に情報発信をしているわけですが、加えて在留届の提出、たびレジへの登録、あるいは海外安全虎の巻、こうした様々な手段を通じて安全対策強化の注意喚起を行っている次第です。そして、現地の在留邦人の方々とのコミュニケーション、フィリピンの日本大使館におけるコミュニケーションということで安全対策連絡協議会あるいは安全対策セミナー、こうした開催等を通じても情報提供、注意喚起に取り組んでおります。
在留邦人の方、様々な立場で、様々な理由でそこに滞在しておられます。そうした現実の様々なケースに対応できるよう、様々な切り口からこの安全対策に万全を期していかなければなりません。SRRV利用の年金受給者を含む邦人安全対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えます。
○大野元裕君 大臣、大臣も在外におられたことがありますからお分かりと思いますけれども、例えば商社の方とかメーカーの方とか企業で来ている人とか、あるいはマニラ、首都に住んでいる人たちは一遍に集まる機会が多かったりして割とコミュニケーションよく、あるいは様々な情報が行くんです。私もかつて外務省お世話になりましたのでやはりそういう状況ですが、やはり個人の方、特に現地の人と結婚された方とか、あるいは首都に住んでおられない方にはなかなか情報が届きにくいし、大使館側としても把握が難しい。
これは現実の問題だし、なおかつ先進国であればまだまだそうでもないかもしれないけれども、現実に銃で殺害されているのが一番多い国ですから、フィリピンなどには是非これまでの既存のツールではないところもお考えいただきたいし、例えばフィリピン、SRRVで行った方々の日本人向けのコミュニティーを向こうでつくっています。そういったところに例えば情報を流すとか、これはもう御提案でございますけれども、どれをやれとは言いませんが、是非そこは様々な形で御検討いただきたいと申し上げて、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
大臣、まずお礼とねぎらいを申し上げますが、広島でのG7外相会議、本当にお疲れさまでした。このG7外相会議について少しお伺いをさせていただきます。
全体の評価としては、もう本当にお疲れなことだったと思いますが、日本で開催されたこと、これはもう喜ばしいと思っております。日本を取り巻く問題についてコミュニケで少し増えてきたというのは、これはもう評価します、率直に。他方で、国際社会全体の取組については、我が国が議長国としてイニシアチブを発揮できたとは評価は残念ながらできない状況だと私は思っています。この評価を述べさせていただいた上で、例えばそのうちの一つであるシリアについてお伺いをさせていただきたいんです。
昨年のリューベックにおけますG7の外相会議を、例えばコミュニケを見て、そして今年の広島の外相会議のコミュニケを比較すると、実は相当、アサド政権、現シリア政権に対する態度というのは弱くなっています。例えば昨年のG7の外相会議のコミュニケにおいては、アサド政権をきちんと明示をした上で、に対する強い非難を表明をし、人道上の責任、人権侵害、政治改革要求に耳を傾けないと言っています。そしてその上で、アサドと呼び捨てにした上で、そのアサドがテロとの闘いにおいてパートナーとはなり得ない、つまり軟着陸なんかない、パートナーとはなり得ないということを言っているんです。
ところが、今回のG7の首脳会議では、確かに、シリアの状況や人権状況等について政権の人権上の義務遵守を要請する等、これは入っています、中身は。ただ、相手が明確にされていないとか、呼び捨てにするかどうかが適切かは分かりません、ただ、相当印象として昨年よりもアサド政権に対する態度が大きく後退したように見られます。
これは外交の話ですから、もう大臣よく御存じのとおり、メッセージというのがありますからね、当然、G7としてどういうスタンスで臨んだかと。これも含めて、このような変更の理由を教えていただきたい、また、我が国が議長国としてこういった変化においていかなる役割を果たしたかを教えていただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国のシリア情勢に対する認識、シリアの情勢悪化の責任はこのアサド政権にあるという基本的な立場は変わっておりません。
そして、G7外相会談において昨年と今年において違いがあるのではないか、こういった指摘がありました。これはまさに、昨年、リューベックで行われましたG7外相会談から今日までの間のシリア情勢の変化、こういったことが反映されたものであると認識をしています。
昨年四月、リューベックで行われましたG7外相会談後、シリア難民を含む大量の難民、移民の欧州への流入等がありました。こうした状況に対しまして国際社会として政治的な解決が求められるということで、安保理におきましても、安保理決議二二五四あるいは二二六八、こういった決議が採択をされ、そして、そうした状況を受けて本年一月末から国連の下でシリア政府と反体制派の協議が開始された、こうした事実が存在いたします。こうしたシリア政府と反体制派の協議に基づいて事態を平和的に解決していこうという努力が続けられている中での今回のG7外相会談でありました。
いずれにしましても、共同コミュニケは、これG7各国が一致をして、そしてこうした表現までは全てが認める、こうした合意に基づいてコミュニケが作成されています。今申し上げましたような昨年から今年にかけての動き、そして現状におけるシリアにおいての取組、こういったものを反映した上で各国が合意した結果が共同コミュニケであると考えております。昨年との違いについては、そういった様々な要素があり、今回の共同コミュニケにおいて昨年との違いが出てきたということだと考えます。
○大野元裕君 是非お願いしたいのは、シリアの問題はシリア人の手によってしっかりと決めていただくということが大事だと思っています。このスタンスは去年からずっと一緒だと思っていますが、他方で、シリア政権が、アサド政権が国際環境を自分たちが変えて勝利したというふうに思われないような、そういうメッセージを明確に発することだけは確実に必要だと思っていますので、そこはお願いをし、時間が、済みません、相当先ほどの件でなくなってしまったので、一点だけお伺いします。
先週、内閣委員会で、これは当時、黄川田政務官がお越しになってお答えをいただきましたが、一昨年九月、NATOのウェールズ首脳会議におきまして、サイバー上のNATO加盟国一か国に対する攻撃は、NATO憲章の五条適用、つまり集団的自衛権の適用対象となるという声明を最終的に採択をいたしました。
これについて実はお伺いしたところ、いや、ケース・バイ・ケースと書いてありますというのが当時の政務官のお答えですが、これ、集団的自衛権をNATOが行使するということは、万が一の場合我が国攻撃されるわけですから、一年半以上もほっぽっておいて、実は確認していないというんです、これもNATOに、聞いていないというんです。
そこで、きちんと聞いてくれという話をお願いを申し上げ、政務官はイエスというお答えをいただきましたので、そこで、先週の話ですからお伺いしたいんですけれども、NATO側に対して確認をし、どのようなケースで集団的自衛権の行使の対象、つまり、もしかすると我が国が攻撃されるかもしれない要件になるかということを引き出したか、教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、NATOウェールズ・サミットにおける首脳宣言においてケース・バイ・ケースだという記述があるということについて更に確認しろという御指摘をいただきました。そして、結果として確認をいたしました。
そして、御質問のNATO憲章第五条の具体的な適用範囲について確認しましたところ、NATO側の回答は、サイバー分野において全ての起こり得る事態を予見することは困難であり、どのようなサイバー攻撃が北大西洋条約第五条の援用に至るか否かについての決定はケース・バイ・ケースにて検討される、こういった回答を得ております。
○大野元裕君 一年半ほったらかしたというのがまず問題なんです。実は、僕、これNATOに二回聞きに行っています。同じ答えをもらっています。日本、攻撃されるかもしれないんですよ。それを一年半、声明を読んでそれで終わり、確認もしない、こういう対応は絶対に受け入れられないと思いますので、是非こういった機微な問題についてはしっかりと御対応いただきたいと思っています。
先ほど話が、実は審議が若干もめたこともあって、牧島先生にはお越しをいただきながら大変申し訳ございませんが、これで私の時間は終わりましたので、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○大野元裕君 おはようございます。民進党・新緑風会の大野元裕でございます。
まずもって、熊本・大分地震に際しまして、お亡くなりになられました方にお悔やみを申し上げますとともに、おけがになられた方、そして今も被害が拡大する中で多くの方々が不安な日々を過ごされておられますこと、心よりお見舞いを申し上げたいと思っています。
さて、まずその関連で少し中谷防衛大臣にお伺いをしたいんですけれども、防衛大臣、報道によりますと、今月末にフィリピン並びに東ティモールを往訪し、特にフィリピンではTC90の練習機を貸与する、こういったことについて合意する予定であったという報道がありました。その後、十八日になってからだと思いますが、これを取りやめるという報道もありました。
大臣、東ティモールあるいはフィリピン、いつ行かれるのを取りやめることを決意をされたんでしょうか。
○国務大臣(中谷元君) 私といたしましては、フィリピンも東ティモールも我が国の安全保障上大変重要な国でございます。特に東ティモールにつきましては、大野委員は友好議連の事務局長もされておりまして、両国の友好発展のために御尽力いただいておるわけでございますが、今週末にフィリピンと東ティモールを訪問すべく調整しておりました。
しかし、十六日の土曜日に熊本地震の本震が発生したことを踏まえまして、十八日の月曜日、両国の訪問を中止することにしたわけでございます。
○大野元裕君 大臣、フィリピン、東ティモールの重要性、全く同じ気持ちですし、大臣は特に友好議連、私、下で事務局長をやらせていただいていますが、東ティモール友好議連の会長でございますので、是非行っていただきたいという思いは正直強いです。
ただ、今、熊本・大分地震に際して二万人規模の自衛隊員があそこで必死に頑張っておられます。捜索、支援活動、本当に重要な時期だと思っています。そうだとすると、大臣、十八日ではなくて、遅くとも十六日の本震の直後には外遊の取りやめ、御自身で決断をすることが隊員に対する責任であり、そして大臣としての私は責務だろうと思いますけれども、改めていかがでございましょうか。
○国務大臣(中谷元君) この度の震災に対しましては、防衛省・自衛隊挙げて省一丸となって災害対応を実施をいたしております。十六日の深夜一時二十五分に本震と見られる地震が発生いたしまして、私は同日の深夜二時四十五分に大臣指示を発出、十七日も災害対応をいたしておりました。この両日は全力でもう精いっぱい災害対応をいたしておりました。
この出張につきましては、月曜日にもう各役所も正常な勤務をする上で相手国の国防省も平日になったということがありまして、事務的に、十八日になりまして、その日のうちに両国の国防省に正式な決定ということで連絡をしたわけでございます。
○大野元裕君 取組の是非については私、今この段階でお話しするべきものではないと思っています。ただ、大臣、是非自衛隊員のことをおもんぱかっていただきたい、これだけは是非お願いをさせていただきたいと思っています。
それと、気になっているのは、健軍、熊本の自衛隊病院なんです。防衛省からの報告の中には、今回、その熊本の自衛隊病院が果たした役割というのが含まれていなかったんです。
そこでお伺いしますが、この病院がいかなる役割を果たしたのか、また、同病院、私も実際見てきましたけれども、かつて、昭和三十年代の建築なんです、五十年ぐらいたっている建物ですけれども、同病院への被害があれば教えてください。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えいたします。
自衛隊熊本病院につきましては、一般の患者の受入れ、いわゆるオープン化された病院ではございませんので、この四月十六日付けで通知文書を発出いたしまして被災住民の方々の診療を行えるような体制といたしました。平成二十八年四月二十日の現在ですけれども、被災住民の方々約二十名、部内の患者約百八十名の診療を実施をしております。
自衛隊熊本病院の被害の状況については、病院の内壁及び廊下にひび割れ等がございまして、また、給水、トイレあるいは医療機器の一部に使用できないというような状況ではございますけれども、診療は可能でございますので、引き続き被災住民の方々の診療を行ってまいりたいと考えております。
○大野元裕君 今回の地震の深刻な状況にもかかわらず、熊本病院、私も本当懸念していたんですが、軽微な被害であったということは不幸中の幸いだったと思っていますが、是非これはしっかりお使いをいただくことが重要だと思っています。
築五十年のたった病院なんです。これ、自民党政権、防衛費拡充をしたといいながら、目立つところは確かにそのとおりですが、自衛隊病院を含めた衛生分野については、拠点化と機能の統合と称して、実は、現実には縮小、そして地域の自衛隊病院の役割を減じ、さらには自衛官の衛生への配慮をなおざりにしてきたのではないかと私は懸念していて、大臣、覚えていらっしゃいますかね、昨年の三月、この話、私、この委員会でさせていただいたこと覚えておられるかもしれません。
何と申し上げたかというと、例えば熊本の健軍の病院などを拝見すると昭和三十年代の建物なんですと、ちょっと中略いたしますけれども、要するに、何かあったとき、有事あるいは大災害があったときにこれを使おうと思っても、正直使用に堪えるものなのかどうかということは、今後考えたときに私は疑問なんですということを実は当時言っているんです。大臣、そのときに大臣は、拠点化を進める中で老朽化の状況に応じて検討していきますというふうに答弁されておられますけれども、実はその後、何の対策も講じられていません。
実際に熊本で地震が発生しました。地震を止めることはできません。ただ、我々が対応することはしっかりやらなきゃいけないし、自衛官の衛生も福利厚生も我々しっかりと後押ししなければなりません。そういった中で、今後、朝鮮半島の有事の際には九州は重要な拠点になっていきます。そういった問題に考えれば、やはり大臣、もう一度、自衛隊病院への予算拡充して、これまでの方針を変えて、この病院の建て替えと近代化、全体の統合、実質的な後退ですから、これを見直すべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(中谷元君) 昨年三月に大野委員の方から同様の御質問いただきました。その際、私も答弁といたしまして、近代化、また高機能化、これは必要だと認識をしていると、お答えしたとおりでございます。
改めまして、この病院の老朽化の更新の必要性、これも必要だと認識をいたしておりまして、現在、十六病院、十程度の病院に集約して質の高い病院を整備をするという方向で進めてきておりますので、改めまして、この熊本病院の件につきましても、衛生関連予算、これを拡充してまいりたいと考えております。
○大野元裕君 拡充するとの御明言、本当にありがとうございました。よろしくお願いいたします。
そして、行政機関、消防、警察とともに自衛隊が果たす役割、地域に寄り添って、被災地に対して寄り添う役割、とても大事だと思っていますので、大臣におかれましては是非とも全力でお務めを賜りたいと思っております。
その上で、フィリピンとの社会保障協定について外務大臣にお伺いをさせていただきます。
外務大臣、両国間で二重支払が防止をされる、若しくは支払期間が通算が成し遂げられること、これ、全体の流れとしては、民主党政権時代も含めてこれまで我が国が進めてきたことでございますので、これは歓迎をしたいと思っています。
その一方で、フィリピンとの社会保障協定については、フィリピン独自の与件に対する懸念も私は抱いています。そこで、そこについてちょっとお話をさせていただきたいと思うんです。
一つ目の懸念というのは、この協定が悪用をされて、例えば、我が国の年金の継続的な制度維持に今疑問も付されているじゃないですか。そのような中で、我が国の社会保障制度に対して悪影響が及ぶことがないかという点なんです。
日本人の中には老後をフィリピンで過ごしたいという者がいまして、フィリピン政府も、一定の預託金、お金を預けることによってSRRVという退職ビザを発行し老後をフィリピンで過ごす、こういうPRを一生懸命行っているんです。
個人的な話ですが、実は私の友人も、実はこの人タガログ語も英語も話せませんし海外に住んだこともないんですけれども、その彼の友人が既にこの制度を利用してセブ島にいまして、その人から話を聞いて移住を決断して準備進めているんです。彼によれば、現地の人は優しいと、しかも物価も安い、気候も良い、日本の年金で十分ぜいたくな暮らしができる。正直、いいことばっかり話し、まあいいところだけでは私はないと思いますが、いいことばかり話を聞いているために、そこで彼は決断をして準備を進めているんです。
そこで、それを前提としてつまり海外に移住する、特にフィリピンがそうやって進めているものですから、世界最強の退職プログラムなどと称して進めていますから、そこで是非少し検討したいんですが、資料のこのA4の横長の図を見ていただきたいんです。
我々、一般には二十歳で年金に入って六十歳まで年金の支払を続け、その後年金を満額受け取るということをいたします。これ、例一がそうなんですね。これ、フィリピンに住もうが住むまいが日本の年金行政には関係がないというか、満額払って満額もらうわけですから同じです。例二を見ていただくと、年金の納付期間満たさない人は、これ、フィリピンに老後過ごそうが過ごすまいが、これ残念ながら支払われませんので、これも同じでございます。そこまではいいんだと思います。
他方で、例三の場合には、今回、二十四年間しか納付を国内でしていなくても、かつて七年間仮にフィリピンで納付をしていたとすれば、この年金の納付していたものが復活したというか合算されて、両国のそれぞれの納付期間がそれぞれに定める二十五年、十年満たさなくとも、案分で相応に支給されるということに今度の協定以降なるということでまずよろしいかどうか、確認させてください。
○国務大臣(岸田文雄君) 今回の日・フィリピン社会保障協定の意義ですが、御指摘のように、この掛け捨て問題、これを解決する、これはこの意義の大変大きな一つであると考えます。
そして、この内容について御質問いただきましたが、協定発効後、これは、企業駐在員等は、両国での年金の保険期間を通算し、それぞれの年金制度での年金受給資格期間が満たされれば支払った年金保険料に見合った年金がそれぞれの年金制度から支給される、こういった制度になっております。
○大野元裕君 済みません、ちょっと質問と答えが若干ずれている。
それぞれを満たさなくても、合算して、結果として、いいです、いいです、そういうことですよね。はい、済みません。
そういった企業の方が結果として救われると、これはとてもいいことだと私も思っています。
他方で、悪用されると困ると思うんです。これが実は例四のケースと例五の、まあ悪用と言っていいのか分かりません、法的には正当なんですけれども。
どういうケースかというと、例えば、十八年間しか日本で年金を納付していなかったと。将来、老後をフィリピンに行こうと思っていると。そのときに、早くフィリピンに行って、そこで例えば自営業で何か仕事すると。何年かやると、一一%の保険料なので向こうで払う方が安いと。そうすると、実はもらえなかったはずの日本の年金、復活するという今度制度になりますから、つまり、今まではもらえなかった年金が、日本の年金も含めて、ただしそれ案分ですよね、払った分だけです、払った分だけだけど、フィリピンでもらう分には、十分かどうかは知りませんが、少なくとも日本で過ごすよりも生活費が安いのでこの年金を当てにできるというふうになるのではないかというふうに思うんです。
そうしますと、この例四のようなケース、つまり、六十歳までに一生懸命納付しても二十五年満たない、そこでフィリピンに行って七年足した、そうすると足して二十五年なので日本からもフィリピンからもこれ案分で相応に受給されると、こういう理解でよろしいんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、基本的には委員おっしゃるとおりだと思います。
ただ、御指摘のようなケースにおいて、選択肢として、日本の年金制度においては、六十歳以降日本で支払うことによってこの受給期間を満たす、こういった選択肢もあります。その選択肢もある中で、フィリピンにおいて御指摘のような対応をされたならば通算されるということであります。
ただ、フィリピンにおける負担は日本に比べて少ない、これは御指摘のとおりだと思いますが、支払も少ない代わりに受取も少ないというのが現実であります。そういった実態の中で、様々な選択肢が、今言ったような選択肢がある、そういったことをどのように考えるかということかと思います。
○大野元裕君 おっしゃるとおりですけれども、しかしながら、定年を前にして、自分で仕事をする、フィリピンで永住するということを決断する人にとっては、一定の金額、幾らだか私には分かりません、多少安いんでしょう、それをもらうことで満足をするというふうになるのかもしれませんが。
そうすると、これは厚生労働省にお伺いをさせていただきますけれども、これ日本側で年金支払の対象とならないような、今までであれば、そういった人が途中で支払を切り上げて、仮に、あっちの方が安価だから、日本で払ってもいいんでしょうけれども、あっちの方が安価だから向こう行って払うと。そして、結局、そこから最終的にいただく年金を元手に老後の生活をフィリピンで送るということになると、ある意味、年金制度、僕らも厳しい年金制度をこれ運用していますけれども、そういったものを毀損をするというか抜け穴、抜け道になるというか、日本側の年金にも負担を強いるような状況になりかねないのではないかと思うんですが、こういったことについて厚労省は何らかの措置若しくは指導みたいなものをお考えなんでしょうか。
○副大臣(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
今回の社会保障協定は、本来保険料の二重負担の解消をするということと、あと老齢年金の基礎となる最低加入期間を満たさない場合にも両国の保険期間を通算することで受給に結び付けやすくするという、この目的が二つございます。
この目的から鑑みますと、今委員御指摘の場合ですけれども、日本において最低加入年金の要件を満たさない日本人がフィリピンに移住し、フィリピンの年金制度に加入して保険料を納付した場合には、こうした保険協定の目的に鑑みれば、その実績を日本の年金の受給するための最低加入年金期間として通算することはこれは適切であると、このように考えております。
ということで、年金制度というのは国境を越えて移動する方々にもできる限り年金を受給できるように外務省と協力していきたいと思っておりますので、引き続き社会保障協定の締結に厚労省としては取り組んでいきたいと、このように考えております。
○大野元裕君 法的には確かに適切だと私も思います。ただ、制度を考えたときに、本当にこれでいいのかというのは私は疑問なしとはしないところでありまして、特にこれから、一生懸命フィリピンPRしていますから、うちへおいでおいでと、そういう状況で、悪用とは言いません、法的には合っていますから、ただ、その本来の目的とはちょっとずれているのではないかなということは指摘をさせていただきたいと思うんですが。
今お答えいただいた中で通算をするという話がありました。実は、昨日の議論を聞いていても、フィリピン側と日本側のケース、通算していろいろ考えてみましたけれども、六十歳を超えた後には、基本的には我が国は支払うことはできますけれども義務としては終わるわけであります。フィリピン側については、六十歳を超えて支払うことが義務としてそれは求められているんでしょうか。外務省なのかな。
○政府参考人(梨田和也君) お答え申し上げます。
フィリピンの社会保障法では、六十歳以下の方はその国籍を問わず強制加入という規定はございますが、六十歳を超えた場合、外国人を含めて任意で保険料が支払うことができるかということについては、明示的な規定は確認できておりません。
引き続き、この詳細については、現地と連絡を取り、確認をさせていただきたいと思っております。
○大野元裕君 昨日の実はお昼までの段階では、六十歳までに入れば六十歳以上でも支払えるって聞いていたんです。ところが、昨日夜、お電話いただいて、いや、払えませんと、逆に。六十歳を超えると支払えませんと、外国人は。フィリピン人は払えるけど外国人は払えませんと、そういうふうに伺ったんですが、そこはまず認識としてはいいんでしょうか。
○政府参考人(梨田和也君) 言葉足らずだったかもしれませんが、今議員が御指摘になったのは、フィリピンの政府関係者がそのような、要するに六十歳を超えた外国人は任意で支払うことができないという口頭での説明は受けたことをお伝えしたものだと承知しております。
一方で、それを、明文の規定上どこに書いてあるのかという根拠をまだ探し出せていないという状況でございます。
○大野元裕君 調べていただいて、口頭で聞いていただいたことは感謝いたします。
私も、お配りしましたけど、ちょっと英文ですけれども、共和国法の八二八二というのがあって、これは途中しか書いていませんけれども、セクション12というのが、三枚目でしょうか、ありますけれども、そこには、要するに百二十か月をまず払いましたと。つまり、十年間の年金を支払いましたと。(1)のところで、六十歳に達した者で、そして既に退職をしているか若しくは自営業者の場合には自営業をやめている者の場合である、若しくは六十五歳。
つまり、この間には実はあって、日本人がさっき言ったようにフィリピンに行って自営業で七年間やりますという人、六十五歳まで払うべきなのか、払わなくていいのか、あるいは払う権利があるのか、実はここからは読み取れないんです。私もいろいろこれ法律を見たところ、分からないんですよ。
先ほど申し上げたように、今御答弁いただきました、外務省からも厚生労働省からも御答弁いただきましたが、御答弁に従ってこうやって作ってみて、これを基に、例えば、ああフィリピン行きたいなと思う人もいるかもしれない、あるいは、いやいやこれは制度上おかしいなって考える人もいるかもしれない。ただ、その根拠がないというのは、これないって、ごめんなさい、見出せていませんと梨田さんおっしゃいましたけれども、見出せていないままに、つまり合算してどうなるかが分からないままに協定結んじゃったんですか。これで本当によろしいんですか。
外務大臣、本当にこれ、相手方の国内法理解していなくて、合算の状況すら分からないのに協定結んだというのは適切ですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のようなケースについてしっかり確認する、これは当然大事なことであります。
ただ、基本的な考え方として、日本からフィリピンに派遣される駐在員等が日本とフィリピン両国で年金受給資格期間を満たされなければその国で支払った年金保険料が掛け捨てになってしまう、この現実に対してしっかり対応する、このことは基本的に大変重要であると考えます。その基本的な部分に対して対応が行えるということにおいてこの協定の存在意義は大変大きいものがあります。
ただ、その現実の中で、今御指摘があったようなケースについてどうなのか、この辺は確認していく。これは相手があることでありますから、その辺につきましてもしっかり確認をし説明をする努力を併せて行う、これは大変重要なことではないかと考えます。
○大野元裕君 いや、大臣、僕、冒頭申し上げました。この協定のその趣旨の部分は賛成だと申し上げたんです、僕。賛成だと申し上げたけれども、これ、確認する相手があるって、相手があるから外務省いるんですよね、交渉されるんですよね、そうですよね。しかも、それは当然法律に従って、相手方の法律なのか規定なのかは分かりませんが、こういうことになっているから我々はこういう制度を細かいところをつくります、あるいは全体の制度ではなくて、個別の国についてはこういう法律があるからここについてはこう対処するんだというのをこれ審議するんじゃないんですか。
外務大臣、法案提出者として今の僕答弁恥ずかしいと思いますし、正直その規定がないまま我々ここで審議しろと言われても審議できませんので、そこは是非ちょっと協議してください。
○委員長(佐藤正久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○大野元裕君 もう一度お伺いしますが、フィリピンと日本を、年金の支払期間、これを通算をするということが実は可能になる条約でありますので、この通算の仕方について、あるいは向こうの、フィリピン政府側の義務規定、支払の、これについては我々はしっかりと承知をしないと、どういう形で通算するのか、できるのか、しなければいけないのかということが分かりません。
その上でお伺いをさせていただきたいのは、どういった法的根拠に基づいてこれらの通算ができる規定、特に六十歳から六十五歳までの間の自営業の人たちが支払うべきなのか、支払わなければいけないのか、支払わなくてもいいのかということについて、私が読んだこの共和国法の限りにおいては法律に定めがないんですが、どこに規定があるか、教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) 委員の御指摘は、極めて限られたケースにおいて、六十歳以上の支払についてどう対応するのか。日本においては、御案内のとおり、六十歳以降支払いすることによって通算期間を満たす方法がある。ところが、フィリピンの部分においてどうなのかということについて確認をしたのかと、こういった御指摘だと思います。
今、先ほど梨田部長から答弁させていただきましたように、その部分について、今しっかりと法的根拠について確認をしています。
是非、こうした制度を運用する際に、その部分について確認をし、そして現状について国民にしっかり説明をし、もし注意するべきことがあるとしたら注意をしていく、こういった対応はしっかりと行っていかなければなりません。その上で全体をしっかり運営するべきものであると考えます。
○大野元裕君 我々はここで条約を審議をすることを求められています。当然、国民に対して説明するべきことについてはここで議論をし、ここで確認をし、そしてその上で我々は承認をするなりそうではないという結論を出すのは当然の話でありますので、確認をされるのであればお待ち申し上げますので、どうぞ。
○委員長(佐藤正久君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(佐藤正久君) 速記を起こしてください。
○大野元裕君 大臣、先ほど申し上げたとおり、法の規定といったものはしっかりと確認をしてからここにお出しをいただいて、国民の皆様に対して御理解をいただくための審議の場でもあるし、我々の、我が方の税金使って向こうに持っていかれるかもしれない、そういう制度になるかもしれない話ですから、やはりそこは確認をしっかり取ってからここに持ってきて議論をいただくということが筋だと思っておりますので、この、先ほど申し上げたように、大筋の制度は賛成です。はっきり言います、我々賛成です。ただ、そうではなくて、この制度を運用するに当たって外務省としての責任をしっかりとお取りをいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘いただきましたこと、大変重要なことだと思います。それについて、フィリピン政府側、あるいはフィリピン側に確認ができていなかったことは不十分であったと感じます。
是非、御指摘をしっかり踏まえて口上書を交換し、この協定が発効するまでの間にしっかり事実を確認し、国民の皆様方に必要であればしっかりと指摘を行い、現実において不都合が生じないよう、政府として万全の対応をしていきたいと考えます。
○大野元裕君 是非、発効するまでにこの点については御確認をいただくことを確実におやりをいただきたいと思っております。
大臣、少しちょっと違う観点からお伺いしますが、フィリピンという国は、親日と言われながらも、銃によって邦人殺害される件数が実は何年もの間世界の中で最大の国であります。しかも、テロとかあるいは偶然の物取りとかの犯行で邦人の方が被害に遭われるというよりも、縁故者とかあるいは近親者、従業員、こういった人たちによる犯行、その人は要するに特定をしてそれを犯行に及ぶと、こういった犯行が特徴と理解をしています。
その背景には、日本人から見れば、フィリピン人は日本人に優しいなと思いながらも、フィリピン人の側では必ずしも、もちろんそういう人もいると思います、必ずしもそう思っているわけではなくて、日本人が落とすお金や将来自分に来るであろう利益、これを期待している。そうすると、その期待が裏切られると結果として恨みになってしまう。こういうことも過去にはあったようです。
このSRRVというビザでフィリピンに渡航をし滞在をする、そういった場合に日本人が例えば不動産を持つ。この不動産、例えば私であれば私の奥さんに渡すこともできるんですが、私をフィリピンで面倒見てくれた人、これにあげることもできるんです。そういった制度が実はあって、そこでいい話ばかりを信じていると、逆に彼らが家くれるんじゃないかとか、そういったことまで実はあります。
今回の合意が結果としてフィリピンの生活を、老後の生活の元手となる年金を仮に供給すると、そういった人たちが、さっき私の友人の話しましたけれども、いいところばっかり見ていますから、そういった人が増えるようなことになる場合には、やはり決して邦人の安全上、安穏としていられる状況ではないと思うんです。
だとすると、外務大臣、お伺いしたいんですが、政府として、渡航者、特に年金生活で老後を過ごすような人たちに対する適切なアドバイス、特にこれマニラだけではないと思いますけれども、そういった別々のところに行かれる方についてもアドバイスを行う措置を強化するべきと考えますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、邦人の安全確保、これは政府にとりまして大変重要な課題であります。御指摘のように、SRRV等を利用して渡航される方、滞在される方、こういった方にもしっかりと注意喚起をし、そして安全対策を講じる、これは非常に重要であると認識をしております。
フィリピンにおきましては、危険情報、スポット情報の発出、あるいは安全対策基礎データ、安全の手引などを通じて積極的に情報発信をしているわけですが、加えて在留届の提出、たびレジへの登録、あるいは海外安全虎の巻、こうした様々な手段を通じて安全対策強化の注意喚起を行っている次第です。そして、現地の在留邦人の方々とのコミュニケーション、フィリピンの日本大使館におけるコミュニケーションということで安全対策連絡協議会あるいは安全対策セミナー、こうした開催等を通じても情報提供、注意喚起に取り組んでおります。
在留邦人の方、様々な立場で、様々な理由でそこに滞在しておられます。そうした現実の様々なケースに対応できるよう、様々な切り口からこの安全対策に万全を期していかなければなりません。SRRV利用の年金受給者を含む邦人安全対策にしっかりと取り組んでいきたいと考えます。
○大野元裕君 大臣、大臣も在外におられたことがありますからお分かりと思いますけれども、例えば商社の方とかメーカーの方とか企業で来ている人とか、あるいはマニラ、首都に住んでいる人たちは一遍に集まる機会が多かったりして割とコミュニケーションよく、あるいは様々な情報が行くんです。私もかつて外務省お世話になりましたのでやはりそういう状況ですが、やはり個人の方、特に現地の人と結婚された方とか、あるいは首都に住んでおられない方にはなかなか情報が届きにくいし、大使館側としても把握が難しい。
これは現実の問題だし、なおかつ先進国であればまだまだそうでもないかもしれないけれども、現実に銃で殺害されているのが一番多い国ですから、フィリピンなどには是非これまでの既存のツールではないところもお考えいただきたいし、例えばフィリピン、SRRVで行った方々の日本人向けのコミュニティーを向こうでつくっています。そういったところに例えば情報を流すとか、これはもう御提案でございますけれども、どれをやれとは言いませんが、是非そこは様々な形で御検討いただきたいと申し上げて、次の質問に移らさせていただきたいと思います。
大臣、まずお礼とねぎらいを申し上げますが、広島でのG7外相会議、本当にお疲れさまでした。このG7外相会議について少しお伺いをさせていただきます。
全体の評価としては、もう本当にお疲れなことだったと思いますが、日本で開催されたこと、これはもう喜ばしいと思っております。日本を取り巻く問題についてコミュニケで少し増えてきたというのは、これはもう評価します、率直に。他方で、国際社会全体の取組については、我が国が議長国としてイニシアチブを発揮できたとは評価は残念ながらできない状況だと私は思っています。この評価を述べさせていただいた上で、例えばそのうちの一つであるシリアについてお伺いをさせていただきたいんです。
昨年のリューベックにおけますG7の外相会議を、例えばコミュニケを見て、そして今年の広島の外相会議のコミュニケを比較すると、実は相当、アサド政権、現シリア政権に対する態度というのは弱くなっています。例えば昨年のG7の外相会議のコミュニケにおいては、アサド政権をきちんと明示をした上で、に対する強い非難を表明をし、人道上の責任、人権侵害、政治改革要求に耳を傾けないと言っています。そしてその上で、アサドと呼び捨てにした上で、そのアサドがテロとの闘いにおいてパートナーとはなり得ない、つまり軟着陸なんかない、パートナーとはなり得ないということを言っているんです。
ところが、今回のG7の首脳会議では、確かに、シリアの状況や人権状況等について政権の人権上の義務遵守を要請する等、これは入っています、中身は。ただ、相手が明確にされていないとか、呼び捨てにするかどうかが適切かは分かりません、ただ、相当印象として昨年よりもアサド政権に対する態度が大きく後退したように見られます。
これは外交の話ですから、もう大臣よく御存じのとおり、メッセージというのがありますからね、当然、G7としてどういうスタンスで臨んだかと。これも含めて、このような変更の理由を教えていただきたい、また、我が国が議長国としてこういった変化においていかなる役割を果たしたかを教えていただきたいと思います。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、我が国のシリア情勢に対する認識、シリアの情勢悪化の責任はこのアサド政権にあるという基本的な立場は変わっておりません。
そして、G7外相会談において昨年と今年において違いがあるのではないか、こういった指摘がありました。これはまさに、昨年、リューベックで行われましたG7外相会談から今日までの間のシリア情勢の変化、こういったことが反映されたものであると認識をしています。
昨年四月、リューベックで行われましたG7外相会談後、シリア難民を含む大量の難民、移民の欧州への流入等がありました。こうした状況に対しまして国際社会として政治的な解決が求められるということで、安保理におきましても、安保理決議二二五四あるいは二二六八、こういった決議が採択をされ、そして、そうした状況を受けて本年一月末から国連の下でシリア政府と反体制派の協議が開始された、こうした事実が存在いたします。こうしたシリア政府と反体制派の協議に基づいて事態を平和的に解決していこうという努力が続けられている中での今回のG7外相会談でありました。
いずれにしましても、共同コミュニケは、これG7各国が一致をして、そしてこうした表現までは全てが認める、こうした合意に基づいてコミュニケが作成されています。今申し上げましたような昨年から今年にかけての動き、そして現状におけるシリアにおいての取組、こういったものを反映した上で各国が合意した結果が共同コミュニケであると考えております。昨年との違いについては、そういった様々な要素があり、今回の共同コミュニケにおいて昨年との違いが出てきたということだと考えます。
○大野元裕君 是非お願いしたいのは、シリアの問題はシリア人の手によってしっかりと決めていただくということが大事だと思っています。このスタンスは去年からずっと一緒だと思っていますが、他方で、シリア政権が、アサド政権が国際環境を自分たちが変えて勝利したというふうに思われないような、そういうメッセージを明確に発することだけは確実に必要だと思っていますので、そこはお願いをし、時間が、済みません、相当先ほどの件でなくなってしまったので、一点だけお伺いします。
先週、内閣委員会で、これは当時、黄川田政務官がお越しになってお答えをいただきましたが、一昨年九月、NATOのウェールズ首脳会議におきまして、サイバー上のNATO加盟国一か国に対する攻撃は、NATO憲章の五条適用、つまり集団的自衛権の適用対象となるという声明を最終的に採択をいたしました。
これについて実はお伺いしたところ、いや、ケース・バイ・ケースと書いてありますというのが当時の政務官のお答えですが、これ、集団的自衛権をNATOが行使するということは、万が一の場合我が国攻撃されるわけですから、一年半以上もほっぽっておいて、実は確認していないというんです、これもNATOに、聞いていないというんです。
そこで、きちんと聞いてくれという話をお願いを申し上げ、政務官はイエスというお答えをいただきましたので、そこで、先週の話ですからお伺いしたいんですけれども、NATO側に対して確認をし、どのようなケースで集団的自衛権の行使の対象、つまり、もしかすると我が国が攻撃されるかもしれない要件になるかということを引き出したか、教えてください。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のように、NATOウェールズ・サミットにおける首脳宣言においてケース・バイ・ケースだという記述があるということについて更に確認しろという御指摘をいただきました。そして、結果として確認をいたしました。
そして、御質問のNATO憲章第五条の具体的な適用範囲について確認しましたところ、NATO側の回答は、サイバー分野において全ての起こり得る事態を予見することは困難であり、どのようなサイバー攻撃が北大西洋条約第五条の援用に至るか否かについての決定はケース・バイ・ケースにて検討される、こういった回答を得ております。
○大野元裕君 一年半ほったらかしたというのがまず問題なんです。実は、僕、これNATOに二回聞きに行っています。同じ答えをもらっています。日本、攻撃されるかもしれないんですよ。それを一年半、声明を読んでそれで終わり、確認もしない、こういう対応は絶対に受け入れられないと思いますので、是非こういった機微な問題についてはしっかりと御対応いただきたいと思っています。
先ほど話が、実は審議が若干もめたこともあって、牧島先生にはお越しをいただきながら大変申し訳ございませんが、これで私の時間は終わりましたので、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。