Report

議会報告:議事録

TOP > 議会報告 > 議事録

189-衆-厚生労働委員会-22号 平成27年06月10日

○とかしき委員 済みません。それでは、質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 委員会、何か騒然とした中で始められましたけれども、しっかり派遣法の審議をさせていただきたいと思います。
 始まる前に一言申し上げたいのは、年金の問題も国民にとっては大変重要な問題であります。こちらの方も、与党としまして、また審議の機会を近いうちに設けていただきますよう、よろしくお願いを申し上げます。
 ということで、今回は重要法案ということで派遣法の方も付託を受けておりますので、これから質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)

○渡辺委員長 静粛にしてください。

○とかしき委員 それでは、派遣法の質問をさせていただきたいと思います。
 派遣法の審議の方は、きょうも含めればもう既に三十時間近くなってまいりまして、いろいろな形でそろそろ議論も煮詰まってきたような状況でありますけれども、幾つかこの派遣法においては矛盾点があるのではないか、そういった素朴な疑問を幾つか、審議の様子を拝見して思ったことをきょうはちょっと質問させていただきたいな、このように思います。
 ということで、派遣法の議論の中で、極端な事例を出して、さもそれが全体像のような、そういった議論が先行しておりますので、もう一度原点に立ち戻って、特にこの派遣法は、どんどん家を建て直していくように、いろいろな形で修正が加えられて、本来の意図とは違った形に、そして時代の変化に合わせて労働関係も変わってきたということで大きく変遷を遂げてまいりましたので、もともとの本来の原点に立ち戻って少し幾つかお伺いしていきたいと思います。
 まず一つ目、日本の労働の特徴というのは終身雇用が前提でありまして、これこそまさに日本の、日本型の労働形態ということで、長年維持をしてまいりました。この中で、では、派遣というのはどういった方向性を実際目指していくべきなのか。これは、常用の雇用なのか、それとも臨時的、一時的なものにすべきなのか。この法案の中にも、実はこの両方の要素が混在しているのではないかなというふうに私は思います。
 一方で、日雇い派遣を禁止しております。でも一方では、派遣を一時的、臨時的なものだとこの法律の中では定義しているわけでありますけれども、この辺の交通整理をどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。お願いいたします。

○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 今議員御指摘のとおり、この派遣労働という問題について、日本の雇用全体の中でどういう位置づけか、どういう役割を果たすのかというようなことも含めて、今回提出させていただいた法案の議論を労働政策審議会の方でも御議論いただいたというところでございます。
 そういった中で、やはり派遣労働につきましては、特に有期雇用の派遣労働については、直接雇用に比べまして雇用の安定やキャリア形成が図られにくいというような弊害もあるということで、今委員の方からもありましたけれども、派遣労働は臨時的、一時的な働き方ということで原則として位置づけた上で、派遣労働への固定化を防ぐということと、それとともに、派遣先の常用労働者を代替しないように、派遣労働の利用についても原則として臨時的、一時的なものに限るというようなことで御議論いただいたということでございます。
 ただ、一方で、この委員会でも御紹介しておりますように、派遣労働というのは多様な働き方の一つでもありますので、正社員を希望する方もおられれば、そういった臨時的、一時的な働き方として積極的に選んでおるという方もおられるので、まさに今回の派遣法の改正法案は、この両方について、正社員を希望する方については正社員の道が開けるようにということと同時に、みずからの働き方として積極的に派遣を選択している方についてはその待遇の改善を図るというようなことを、双方しっかりやっていこうということでございます。
 それから、委員御指摘がありました日雇い派遣につきましては、前回の改正で原則禁止ということにしたわけでございますけれども、こちらについては雇用期間が短いということで、やはり雇用管理が不十分であったという弊害があるということで、前回の改正でもそういった観点での原則禁止ということが盛り込まれたわけでございまして、臨時的、一時的なものと派遣労働を位置づけているということとは別の観点で規制を行っているということでございます。

○とかしき委員 ありがとうございます。
 今お答えいただいたんですけれども、このほかにもまだ同じように、幾つか私も矛盾点があるのではないかなと。
 例えば、正社員の仕事と派遣の仕事は異なって、正社員の代替にしてはいけない、こういうふうに書いてあるわけですけれども、でも、今回の派遣法は、逆に正社員を目指すように従来よりも随分配慮されているということがあります。この両方はちょっと矛盾しているように感じるんですけれども、その辺についての答弁、説明をいただけますでしょうか。

○坂口政府参考人 今委員御指摘のように、今回、この改正法案では、今も御紹介しました常用代替、派遣先での正社員から派遣労働者への置きかえを防ぐということについては、これは従来の課題でもありましたけれども、今回についても、事業所単位の期間制限を課すということでその防止を担保しようとしておるところでございます。
 一方で、今議員の方からも御指摘がありました正社員を希望されるという方もおられますので、そういった方については、今回、直接雇用の依頼も含めての雇用安定措置の義務化であったり、あるいは教育訓練、あるいは予算措置としてのキャリアアップ助成金の活用とかというようなものも含めての正社員化も推進していこうということで政府としては考えているということでございます。
 これらの取り組みを私どもとしては両方しっかりやっていこうということで、正社員のポストを派遣に置きかえないようにするということと同時に、やはり派遣で働く方を正社員になれるように支援するという、この双方をしっかり取り組んでまいりたいということでございます。

○とかしき委員 ありがとうございます。
 派遣法の難しさというのは、このように多様な価値観を持った人たちがこの法律の適用を受けるわけでありますから、それに、なるべく多くの声に応えていく、これがこの派遣法の難しさでもあるのではないかなと思います。
 このほかに、例えば雇用の安定、派遣労働の安定、派遣切りはいけない、ここでよく叫ばれている方が多いんですけれども、そのときに、では今度は、その声を聞いて、安定性を重視していくとどうなるかというと、これは生涯派遣になっていくわけであります。では、生涯派遣は反対にいいのか、今度は派遣の固定化につながっていくのではないか、こういう相反する議論がよく出てまいりますけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。

○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 これも従前も御紹介しましたけれども、今後の働き方について派遣をどう考えるかということにつきまして、正社員として働きたいという希望と、派遣労働者として積極的に希望される方というのは、フィフティー・フィフティーと申しますか、相半ばするという形になっておりますので、やはりその方々に沿った形で我々としてもしっかり働き方の実現を図っていかなければいけないということで、双方にまた応えていかなければいけないということかと考えております。
 そういった意味で、今回も、みずからの働き方として派遣を積極的に選択されている方については、待遇の改善、キャリアアップということをしっかり図っていく。正社員を希望される方については、正社員の道が開かれるようにするということをしっかり対応していきたいと思っておりますので、今委員おっしゃいました雇用の安定という意味では、派遣という形を積極的に選ばれたとしても、処遇の改善を図るという中での派遣労働者の雇用の安定をしっかり図りながら、正社員化ということの道もしっかり対応して、派遣で働く方の希望する働き方の実現ということに重きを置いてしっかり取り組んでまいりたいと思います。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 今回の派遣法で、また議論されるんですけれども、この派遣法が施行になると正社員が派遣に切りかわっていくのではないか、こういう議論をよく耳にするわけであります。実際に、これは本当にそうなのかなと私は議論を聞いていて思うわけであります。
 派遣はどちらかというとジョブ型、派遣というのは仕事を依頼しているわけですけれども、正社員はメンバーシップ型。いきなりこの二つの間で、かなり仕事のやり方に違いがあるわけでありますけれども、これが果たして、本当に正社員と派遣の間にこれだけ簡単に大きな影響を受け合うのか。むしろ、派遣から契約社員への移行の方が促進されるのではないか、このように思います。
 実際、皆様の方にお配りさせていただいた表にもありますけれども、派遣は今二・三%ですけれども、まずは、最初は、ジョブ型の派遣から、それなりに能力のある方でということであれば次は契約社員にして、メンバーシップ型のお仕事をしていただいて、そして行く行く正社員になっていく、こういう階段を上がっていくのが割と順当な流れなのではないかな。
 ということで、今回の派遣法が施行になった瞬間に、正社員から派遣に大きく入れかわっていってしまうのではないかという議論、こういった話が出てきているんですけれども、この辺についてはどういうふうにお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

○坂口政府参考人 お答え申し上げます。
 今委員御指摘のように、派遣労働というのが仕事重視、ジョブ型の働き方ということで、正社員がどちらかというとメンバーシップ型という働き方であるというようなことかと思います。
 一方で、契約社員という方は、働き方によると、ジョブ型、メンバーシップ型、いろいろな形での、双方の要素を持ち合わせるということで考えられるのかなと思っております。
 一方で、先ほど御紹介しました今後の働き方という場面でも、派遣労働をそのまま続けたい、あるいは正社員として働きたいということのみならず、正社員以外の就業形態で働きたいという方がおられるのもそのとおりかと思っておりますので、今議員御指摘のように、直接雇用の働き方を希望するという中で、一気にそういう形で正社員になられるということになるのか、あるいは、今の正社員以外の就業形態で働きたいというような方も一部おられるのと同じような意味合いを、正社員で働きたいという方の中にもおられて、そういうワンクッション置いてというようなことも、正社員の道を目指していく過程の中で一定程度いらっしゃるのかなということは、委員御指摘のとおりかなと考えます。
 ただ、一方で、派遣労働者から契約社員に転換するという際に待遇が下がってしまうということになってはどうかということもありますけれども、そういったことにならないようにするためには、やはり、本人の希望を踏まえながら、派遣労働者の方にステップアップ、能力アップということをしっかりやっていただくということが重要かと思っております。
 今回の改正法案には、そういった方にも資するように、いろいろ計画的な教育訓練、キャリアコンサルティングというようなことを派遣会社の方にしっかりお取り組みをいただこうということも義務づけておりますので、こういった取り組みを通じて、派遣労働者の希望に応じた、委員御指摘のようなステップを踏まれるということを希望される方も含めて、そういった道がしっかり開かれるようにしてまいりたいと思います。

○とかしき委員 ありがとうございます。
 本当にここでよく議論に出てくるのが、いつも、この法律が施行になると、正社員がすごく減ってしまって、仕事を奪ってしまうのではないかとか、正社員がゼロになってしまうのではないかとか、こういった極端な議論が行われているんですけれども、こういったことはほとんど心配がないと思います。
 ということで、また次の質問をさせていただきたいと思います。
 二十六業務について、平成二十四年の改正法の附帯決議の中で、わかりやすい制度になるように、速やかに見直しの検討を開始すること、このように記されておりました。
 この二十六業務、かなり現場で今混乱が起こっているようでありまして、これは、派遣元も派遣先も結構苦しんでいる状況であります。ですから、きのうも派遣業界の皆さんと懇親する機会があったんですけれども、この二十六業務、もう何とかしてほしいという切実なる声をたくさんいただきました。
 ということで、何とかこれをわかりやすい制度にすること、そしてさらに、派遣労働への固定化を防止するという観点で、今回の改正では個人単位の期間制限が設けられたわけであります。
 実は、この個人単位の期間制限については、上限が示されて設定されているために、ある方は、その上限に達した場合の雇いどめにつながるのではないかという声がよく上がってまいります。
 この雇いどめになるんじゃないかと批判されている方々は、一方で、生涯派遣ということも主張されていて、これは、両方はちょっと矛盾しているのではないかな、一体どっちを重視なさっているのか、私には全くそこら辺がよくわからないわけであります、きょうは余りいらっしゃいませんけれども。
 また一方、二十六業務以外に従事されている方はもう既に上限があるわけでありまして、では、これらの方々の雇用不安定性に対しての手当ては必要ないのかな、こうともとれるわけであります。
 ということで、今回の改正法で設けられる雇用安定措置は、二十六業務以外の方にも雇用安定を進めるものでありますし、現在の制度よりもかなり格段に雇用安定が図られる、私はこういうふうに考えているんですけれども、どのようにお考えでしょうか。

○坂口政府参考人 今委員の方から御指摘ありましたように、今回、現行制度のいわゆる二十六業務ということに着目した派遣期間制限ということの考え方、制度の違いということについて、平成二十四年の法改正のときの附帯決議も踏まえながら、やはり、そのわかりにくさの解決を図っていくということで、今回、新たに事業所単位と個人単位の期間制限という形に設けさせていただくということで御提案をしているということでございます。
 これにつきましては、今委員御指摘ありましたように、このいわゆる二十六業務で働く方につきましても、私どものアンケート調査等でも、約八六・七%の方が派遣元と有期雇用契約を結んでおられるということがございますので、審議会等の議論の中でもそうでありますけれども、やはり必ずしも雇用の安定が図られているとは言いがたいということかと思っております。
 それからまた、もう一点、このいわゆる二十六業務以外の方につきましても御指摘がございましたけれども、これにつきましては、現在も業務単位の期間制限、一年、延長して三年ということはございますけれども、ただ、そういった期間制限の上限に達しました後の派遣労働者に対する対応策ということは、現行制度ではないということがございます。
 ということで、今回につきましては、このいわゆる二十六業務該当、あるいは二十六業務以外の方も含めて、今回は、期間制限の考え方を見直すと同時に、期間制限の上限に達する派遣労働者に対して、派遣元事業主が雇用安定措置を実施することを新たにしっかり義務づけるということで、全ての有期雇用の派遣で働く方の雇用の安定についてしっかり対応してまいりたいということでございます。
    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

○とかしき委員 ありがとうございます。
 この法律は本当に私はよくできているなと思うんですね。ですから、二十六業務のわかりにくさ、これを解消するだけではなくて、多くの人に正社員になる道をつくっていこう、ステップアップの道をつくっていこう、キャリアアップの道をつくっていこう、そういう準備がされているのではないかなと思います。
 では、最近の労働環境は一体どうなっているかというと、アベノミクスの取り組みにより、景気が大分最近よくなってまいりまして、雇用は大幅に増加して、有効求人倍率も高水準を記録するということで、私は、雇用環境はかなり、ここ数年、安倍政権が誕生してから大変改善傾向にあるのではないかなと思います。
 ただ、一方、我が国はこれから高齢社会を迎えまして、労働人口が減少していくわけであります。こうなると各企業はどういうふうに考えるかというと、持続可能な成長を考えていった場合は、これは、外から新規の労働力の流入が期待できそうもないなとなると、企業とすれば、今いる人材もしくはこれから採る人材をなるべく有効活用していこう、教育訓練投資を行うことが必要になってくるであろうということで、そうなると、むしろ、臨時的な労働力をふやすよりは長期的な育成を行う正社員の重要性がこれからどんどん高まってくるのではないかなというふうに考えられます。
 正社員の重要性が高まれば、今回の法律が適用になれば、これは派遣労働者にとっても、正社員への道が開けて、ステップアップできるような取り組みがかなりきいてくるのではないかな、その辺の見解についてまたお聞かせいただければと思います。
 さらに、このような状況において、今回の法律が適用になると派遣労働者が爆発的にふえていく、こういう議論がよくなされるんですけれども、むしろこれは、派遣労働者がふえるのではなくて、ふえる可能性はそんなに高くないのではないかと私は思うんですけれども、その辺についてもお答えいただければと思います。
 以上です。

○坂口政府参考人 今委員の方から、最近の状況並びに今後の中期的な人口減少社会の中での派遣労働の今回の改正という御質問かと承知いたしました。
 まず、最近の状況ということで申し上げれば、最近の正規雇用の状況でございますけれども、まさに委員御指摘のように、例えば働き盛りの五十五歳未満で見ますと、二〇一三年から九四半期連続で、非正規から正規に移動する方が正規から非正規になる方を上回っているとか、あるいは、全体としての有効求人倍率も改善しておりますが、中でも正社員の有効求人倍率につきましては、調査開始以来の最高水準に達するというようなことで、着実に改善しているという状況にもございます。
 また、委員御指摘のように、今後、人口減少社会ということでございますので、やはり、企業あるいは産業の中でも、持続的な成長を図るためには多様な担い手の確保を図るということとともに、必要な人材を確保して、働く方一人一人の生産性を向上させるということが大事なんだろうということで考えております。
 こういった中では、やはり、不本意に非正規で働いている方の正規化を進めていくということが重要だと考えておりますし、また、先ほど委員御指摘ありましたように、企業の方にとってみても、そういった人材をしっかり確保していかなきゃいけないということで、中期的には、そういった人材の確保のためには教育訓練その他、人材への投資も非常に重要だということも含めて、正社員をふやすという動きも出てくるということは十分に考えられるのかなと考えております。
 こういった中で、そういったものを後押しするという意味でも、今回の改正法案では、派遣で働く方の正社員化の推進ということを図るための対応を幾つか盛り込んでいるということです。
 全体としての傾向が、いろいろな景気の状況等々ありますので具体的な数の動向ということについて申し上げることはなかなか難しいんですけれども、いろいろ今回の改正法案に盛り込んでいる、教育訓練の義務づけであったり正社員募集の情報提供の義務づけであったり、そういったものを通じて正社員化の推進ということが、全体としての企業の正社員化を図っていこう、人を獲得していこうという流れと相まって後押しをしっかりできればなということで考えております。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 ある意味、時代の要請を受けて今回の派遣法というのはかなり整備されているのではないかな、このように思います。
 それでは、せっかくなので、議員立法のことについてお伺いさせていただきたいと思います。
 同一労働同一賃金、これを目指すべきであるという大きな方向性を出していただいたのでありますけれども、私はこの方向性はとても理解はできるんです。
 ただ、正社員と非正規との間には、職能給や職務給といった違いとか、あと派遣労働者の場合は雇用主が異なる等々、さまざまな問題、課題があるんじゃないかな、実際運用していくにはなかなかしんどいところもあるんじゃないかなと。
 そのために、一足飛びに均等まで目指すんじゃなくて、その手前のさまざまな要素を勘案しながら、両者を近づけていくための、均等ではなくて均衡の考え方をまずは強化していくべきなんじゃないかな。その先に均等があるということで、ゴールを均等に持っていきながら、まずは手前の均衡から取り組んでいくべきである、この方が現実的な前進なのではないかな、このように考えるんですけれども、提出者の方はどのようにお考えか、お知らせいただけますでしょうか。

○井坂議員 一足飛びに均等ではなくという御質問でありますが、現行法でも、例えばパートであれば、法律にはっきりと均等が書かれております。にもかかわらず、現実で、ではパートの方と正社員の方が本当に均等待遇かと聞かれて、そうですねと言えるような状況は、これはないというふうに考えています。
 法律で均等が明記をされていても、なお実社会では賃金水準にも大きな差がありますし、雇用の不安定性はもちろん、正規と非正規ですからありますし、また、いろいろな福利厚生の面でも大きな格差があるという現状認識のもとに、我々は、今回の法律では、まず調査も含めてこうした現実的な格差を解消しましょうということをうたっております。
 派遣に関しましては、現行法の規定が、均衡の配慮義務という、さらに均等よりいわば二段階低い状態に法律の書きぶりがとどまっていることが大変大きな問題だというふうに考えています。
 そこで、今回の我々の議員立法では、本法施行後一年以内という期限を定めて、法制上の措置を講ずることを義務づけているところであります。
 ですから、一足飛びに均等は難しいのではないかという御懸念でありますが、まずは法律に派遣でも均等としっかり明記をする、ここがむしろ現実的な最低限のスタートラインではないかというふうに我々は考えておりますし、逆に、均等と書いたから何か世の中が、いきなり均等がびちっと義務づけられて大変な混乱が起こるどころか、パートの例のようになかなかそうはならないという現実ですから、まず法律に均等をしっかり定めるというのは、むしろ最低限のスタートラインだというふうに考えております。
 もちろん、将来的な同一労働同一賃金のあり方については、これはまた各党さまざまな考え方があるというふうに思っておりますので、そこは今後の課題として、調査研究、また実態に合わせたさまざまな追加の施策ということで法律につけ加えさせていただいております。
 以上です。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 同一労働同一賃金、これはヨーロッパが今取り組んでいらっしゃいますけれども、結構ヨーロッパも、なかなか理念どおりいかなくて苦労なさっているようであります、調べてみると。
 ヨーロッパの場合は、賃金と福利厚生、この二つを分けて考えて対応なさっているようであります。
 正社員は、どちらかというと最初に取り組んでいくのはまず福利厚生の処遇、井坂議員がおっしゃいましたように福利厚生、ここをまず処遇改善をしっかり目指していこうということ。あと賃金の方は、これは、ジョブ型の派遣とメンバーシップ型の正社員の格差をどこまでが許容できるか、ここの議論を今一生懸命やっているというところで、同一労働同一賃金をうたっているヨーロッパですら、なかなか運用、今苦労しているというのが現実ではないかな。
 ただ、目指す方向性としては私はある意味正しいのではないかなというふうに思いますし、そういう意味では、十分に日本も検討する価値があるのではないかなというふうに、今回の法律を拝見させていただいて私は思いました。
 それでは、次に進めさせていただきます。もう時間がなくなってまいりましたので。
 今回の派遣法を見ていて思うんですけれども、今後、労働市場をどういうふうに持っていったらいいのか、その全体像の設計図がないまま、現実に振り回されながら今まで改正を掲げてきたのがこの派遣法だと思うんですけれども、先ほどから議論に出ていますように、派遣の話は、いろいろな多様な人たちの意見を取り入れていかなくてはいけません。派遣で働き続けたい人、正社員になりたい人もいれば、そして、みずから望んで仕事をしている人とか不本意で働いている人とか、正規がよくて非正規が悪いという議論もあったり、無期がよくて有期はだめとか、何かそんな二極論、二元論みたいなものも結構出てまいります。
 ということで、今回の派遣法というのは、どっちかにウエートをかけ過ぎないで、極端な事例ばかりを挙げて議論するのではなくて、それぞれの立場で満足度を高くしていくことが重要なのではないかな、このように思います。
 その上では、政治的な意思というのが物すごく重要になってくるなというふうに思います。
 特に我が国は、これから高齢社会に向かって、高齢者の人たちの労働力もどういうふうに生かしていったらいいのか。これはまた若い方々と違って経験が豊富であります。体力的には少し衰えてくるかもしれないですけれども、逆に経験があることによってそれが強みになる場合もあると思います。
 このシニアの方々は、逆に、派遣労働で、特殊な技能を持っている方は派遣という労働の仕方に非常にある意味向いているのかもしれません。そして、このシニアの方々も、これは私の提案なんですけれども、一人でこうやって契約するよりも、チームで仕事を請け負っていくとか、あと、若い人と一緒に仕事をするとか、こういうやり方も工夫していくすべがまだまだ私たちはあるのではないかなというふうに思います。
 そして、少子化社会でありますから、女性の働き方のそれぞれの価値観がありますから、その多様性に応えられるような準備も必要なのではないかな。
 このように、いろいろな価値観が、多様性がたくさんあるこの労働市場の中で、では私たち日本は、どういう労働環境になるのが一番理想なのか。我が国のこの今の環境の中で、どういう設計図を持っておけばいいのか。今回の改正法だけではなくて、今後、日本のあるべき労働市場のあり方みたいなものを、ありましたら総括してお伺いしたいと思います。

○山本副大臣 今おっしゃっていただきましたとおり、働き方というものが多様化しております。
 そういう中で、今回の派遣という働き方についても、おっしゃっていただきましたとおり、女性にとっては、例えば、ワーク・ライフ・バランスの実現だとか、仕事を離れた後の、いわゆる職場復帰のステップとして極めて有効だと思いますし、また、高齢者の方にとりましても、退職後の就業機会を確保するといった重要な役割を果たしてきているところでありまして、柔軟で多様な働き方を実現するものの一つとして、派遣というのは大事な働き方だと私たちは考えております。
 加えて、今回の労働者派遣制度の見直しにおきましては、不本意に派遣で働き、正社員を希望する方についてはその道が開かれるようにする、また、派遣という働き方を積極的に選択している方につきましては待遇の改善を図るなど、それぞれの選択がしっかり実現できるような内容にさせていただいたところでございまして、きょうの質疑の中でも確認をしていただいたところでございます。
 こうしたことを通じまして、政府といたしましては、女性であれ、高齢者であれ、障害者であれ、一人一人がそれぞれのライフスタイルや希望に応じて社会で活躍の場が見出せるような、そういう仕組みづくりに全力を挙げてまいりたいと考えております。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 この法律、本当に私は、一つのステップアップとしては非常によくできている法律だと思いますので、これから、その内容をきっちりと国民の皆さんに理解いただけるように力を尽くしていきたいと思います。
 ありがとうございました。