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183-衆-経済産業委員会-20号 平成25年06月19日


〜 (略) 〜


○國重委員 半導体の分野でも、特にこのパワー半導体というのは日本も世界のトップクラスにあると聞いておりますので、またぜひとも強力な支援をよろしくお願いいたします。
 次の質問に移ります。
 少子高齢化社会において成長産業の鍵を握っているのが、生活実感のある女性の力です。
 働きたいのに働けない女性というのは、三十代を中心に約三百四十二万人います。この現状を打開するために、まずは八十万人以上とも言われている潜在待機児童を解消する必要があります。
 今般、政府は、待機児童ゼロを目指すことを成長戦略の中に位置づけて、待機児童解消加速化プランを示されました。待機児童対策のためには、箱施設の整備とともに人、保育士の確保が非常に重要になってきますけれども、現場を歩きますと、保育士が足りないというような声を聞きます。
 お配りさせていただきました資料一にもありますとおり、実際、厚生労働省の平成二十一年度の試算でも、平成二十九年度末には全国で約七万四千人の保育士が不足する、こういう見込みが出されております。幾ら認可保育所を整備したとしても、保育士が足りないために待機児童ゼロは解消できないんじゃないかというようなことも言われておりますが、これについての認識はいかがでしょうか。

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
 委員御指摘のとおり、保育の利用拡大を図るためには、まず保育士の確保が大変重要と認識しております。
 特に、平成二十四年度の補正予算におきまして、現在勤務していない方々が六十万人以上、資格をお持ちの方のうち約七割が潜在の保育士と言われておりますけれども、この方々に一日も早く現場に戻ってきていただいて仕事をしていただくことがとても重要でありますので、保育士・保育所支援センターを創設して保育士の確保に積極的に取り組んでいこう、このように考えております。
 また、総理の方からこの四月に待機児童解消加速化プランも発表させていただきましたけれども、この中に、保育士の人材確保策ということで五つ盛り込ませていただいております。
 まず一つは、養成施設を卒業した皆さんをしっかり確保していくこと、そして、今現場で働いていらっしゃる皆さんに継続して仕事をしていただけるようにすること、そして、今お話ししましたように、潜在的な保育士の皆さんに再就職を促していくこと、さらに、資格をなるべく取っていただけるような環境を支援していく、さらに処遇改善、このようないろいろな方法に取り組みまして、保育士の確保を図っていきたい、このように考えております。

○國重委員 現在働いている保育士の方のパイには限りがありますので、今御答弁の中にもありました、資格を持っている人の七割が潜在保育士である、この潜在保育士の確保が急務になってくると思います。
 この潜在保育士が発生している理由の一つとして、保育士さんというのは、私の子供も保育所に預けておりますけれども、小さい子供はなかなか目が離せない、休憩時間もない、肉体的にも精神的にもハードな仕事であるのに、介護士さんなどと同じく、給料が低い、労働条件が悪い、待遇面での悪さ、この課題が挙げられます。
 お配りした資料二の、平成二十四年の賃金構造基本統計調査によりますと、保育士の平均給与は月額二十一万四千二百円、全職業平均の三十二万五千六百円とは十万円以上の格差があります。
 平成二十四年度補正予算で保育士等処遇改善臨時特例事業を行って、私立保育園の給与は平均七千円から最大一万円程度上昇する見込みとなっておりますが、もともとの待遇が悪いので、このような手を打ったとしても、それでも十万円の格差が残ることになってしまいます。
 保育士不足はもう既に顕在化しております。平成二十七年度に新制度がスタートするということですけれども、これを待たずに、今年度中にも、保育士等処遇改善臨時特例事業の拡充、また上乗せをすることなどによって保育士の一層の待遇改善を行っていくことが重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
 委員御指摘のとおり、保育士のこういった処遇については非常に多くの声が現場から上がっておりまして、平成二十四年度の補正予算で、保育士の処遇改善に取り組むということで、三百四十億円を計上させていただきました。
 そして、二十七年度には子ども・子育て支援新制度をスタートさせていくわけですけれども、これによって量的拡大を支えていくために、加速化プランも踏まえながら取り組みをどんどん継続していきたい。
 三百四十億円を計上したんですけれども、今後も続いていくのかという不安の声も上がっておりますので、これをきちっと継続させていって、処遇を改善していくこと、これこそが保育の環境を整えていく上では非常に重要だと考えておりますので、しっかりと優先順位をつけながら、子ども・子育て会議で、保育の環境をどういうふうにしていったらいいのかを今後検討していきたいと考えております。

○國重委員 どうかよろしくお願いいたします。
 次に、全国的な保育所の量の問題のほかに、地域的な偏在の問題もあります。例えば、郊外のベッドタウンよりも、東京都内や大阪市内といった大都市部の方が保育士の給与や労働条件がいいので、ベッドタウンに住んでいる保育士が大都市部に流出して、子育て世帯が多いベッドタウンの保育士さんの確保がままならないというような状況もあるようです。
 大都市部の給料水準が高いことは一般的なことですけれども、保育士の場合は、運営費の単価が大きく影響していて、県や市を境に数万円単位で異なることもあると言われています。
 その背景には、いわゆる級地区分があるとされています。保育所運営費の国庫負担の地域区分は人事院規則の級地に準じて定められておりますが、これは国家公務員の地域手当を定めるためのものであって、必ずしも物価水準や生活圏等の地域の実態を反映したものではないとも聞きます。このようなことから、全国市長会の主張として、地域間格差が生じないよう、保育単価表における地域区分を見直すことが要望されております。
 そこでお伺いします。
 保育所運営費の国庫負担金の地域加算については、現行の国家公務員給与の級地区分に準じて定めるのではなくて、地域の実情を勘案したものにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
 保育所運営費の保育単価につきましては、保育所児童一人当たりの月額の保育費用として、地域ごとに設定させていただいております。これは、委員御指摘のとおり、国家公務員の地域手当の支給地域に準じて設定させていただいております。
 委員の御地元は大阪市ですから一五%ということで、東京都内は一八%です。そして、大阪でも地域差がいろいろありまして、一五%の下は一二%から三%まで、これは確かにおっしゃるように、都心部から少しずつ離れれば離れるほど加算が少なくなってきているのが実情であります。
 御指摘のような問題点もございますので、平成二十七年度からスタートいたします子ども・子育て支援新制度におきまして、こちらの方で、設定に当たりましては、もう一度、地域別の価格設定を行うという方向で検討させていただいております。
 関係者の御意見を十分に踏まえて、今後、方向性を定めていきたい、このように考えております。

○國重委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 最後に、この加速化プランの中にある職員用宿舎借り上げ支援については、今回、月額一戸当たり八万円の補助を行うとされており、思い切った支援であると思います。ただし、例えば一カ所だけ運営しているような、人員もいっぱいいっぱいの、余裕もない保育所に、宿舎の借り上げ、また不動産業者、保育士本人とのさまざまな事務作業を負担させるのは負担が大きいと思われます。物件は保育士が探してきて、手当的に支給する方がうまくいくんじゃないかとも思います。
 せっかくの支援制度ですので、より多くの保育士さんが利用できるようにするために、民間賃貸住宅を保育士が賃貸した場合にも住宅手当に相当する費用として本事業を適用するなど、柔軟な適用が必要になってくると思いますが、いかがでしょうか。

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
 待機児童解消加速化プランの中におきまして、保育士宿舎借り上げ支援事業を創設させていただきました。
 これは、人材確保を図るために、宿舎の借り上げを行う場合の支援を行うということで、より柔軟な取り組みをしていこうということになりまして、保育所の利用だけではなく、認定こども園の方だとか、認可保育園への移行を目指す認可外保育施設についても幅広く利用ができるということにさせていただいております。さらに、新卒者の方だけではなくて、五年以内の方についても対象にしていくということで、このように、いろいろな形で利用しやすい制度を今継続させていただいているところであります。
 一戸当たり八万円ということで、国の補助が二分の一、自治体が残り二分の一を持つ場合、さらに、施設が四分の一、自治体が四分の一と、いろいろな形で取りまぜて制度をつくらせていただいております。
 委員御指摘のように、民間のという御指摘もありますので、それも議論を踏まえまして、どういうふうにしたら保育士の皆さんの確保ができるのか、いろいろな方法を組み合わせながら知恵を絞っていきたいと思いますので、またいい御提案がございましたらよろしくお願い申し上げて、答弁とさせていただきます。

○國重委員 また前向きな検討をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 日本再生に向けて、これからが正念場。三本目の矢である成長戦略でしっかりと決定打を打っていく。そのためには、成長産業の担い手である女性、若者、中小企業を支援する支援策を強力に打ち出すメッセージを強く発信していくことが重要になってくると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
 本日はありがとうございました。


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