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183-衆-消費者問題に関する特別…-3号 平成25年04月11日


〜 (略) 〜


○大西(健)委員 松原大臣が敷いたレールをしっかり引き継いで、これからも消費者目線に立って電気料金の問題についてもかかわっていくという強い御決意を披瀝していただいたというふうに思います。円安が進んできていて、プラスの部分もありますけれども、今後は、電気料金の値上げというのもまた起こるかもしれませんので、そのときにはぜひ、今の御決意のとおり、森大臣の御活躍を期待したいというふうに思います。
 それでは、次に、生レバーの禁止の影響という問題をちょっと取り上げたいというふうに思うんです。
 先ほど来、複数の委員からもお話が出ていましたけれども、私も、消費者行政については、もちろん、消費者の保護というのが一番重要であることは言うまでもありませんけれども、消費者側の責任ということも忘れてはならないというふうに思っています。何でもかんでもお上が過剰な規制をするということについては、私も若干の違和感というのを持っています。
 そこで、ユッケや生レバーの規制の話をしていきたいんですけれども、その前に、森大臣、今はもう食べることができませんけれども、生レバーはお好きでしょうか。

○森国務大臣 レバーは好きでございます。

○大西(健)委員 好き嫌いが分かれる食べ物でありますけれども、いまだに生レバーを食べたいという声が多く私のところにも寄せられているんです。
 そもそも、事の発端になったのは、ユッケによる食中毒の死亡事故でありました。この事故を引き起こした業者というのは、従来から法律等で定められている衛生基準等も実は守っていなかった。しかも、その業者というのは、実は、ユッケ一人前二百八十円で出していたんですね。私は、言い方は適切かどうかわかりませんけれども、消費者の側にも、二百八十円のユッケというのは大丈夫なんだろうかと思う感覚というのも必要ではないかと思いますし、この事故で被害に遭って亡くなった方は、やはりお子さんとかお年寄りなんですね。
 ですから、高齢者であったりとか、あるいは子供、それから体調の悪い人は生ものを避けるようにするというのは、消費者側の責任というのも、ある部分では、しっかりとそこは確認をしなければいけないのではないかなというふうに思います。お上が法律等で、あれを食べるな、これを食べるなというのをやり出すと、生レバーの次は、では、生ガキはどうなんだ、こういうふうにだんだんなっていくと私は思っています。
 規制を強化することというのもある部分ではやらなきゃいけないのかもしれませんけれども、消費者がみずから判断できる環境を整えることの方が私は重要ではないかというふうに思いますけれども、今の観点について、消費者担当大臣としての御見解をお聞きいたしたいと思います。

○森国務大臣 レバーの生食の禁止は、あのユッケの事件で小学生の男の子が死亡したり、五人死亡しました。それがきっかけでレバーの生食の方も禁止をされた。これは食品衛生法に基づき、昨年六月二十五日に決定されている。厚生労働省が決めたことでございますけれども、理由は、厚生労働省の方が言っているのは、レバーの内部に腸管出血性大腸菌が存在することが一部の検体から確認された一方、現時点ではレバーを安全に生食するための有効な予防策を見出せていないと、国民健康保護の観点から決定されたものということでございます。
 厚生労働省がこの点は所管をしているのでございますが、委員御指摘の、消費者がしっかりと身を守るための消費者教育、これは本当に大切なことだと思います。やはり、規制ばかりして過剰に業界に萎縮効果を与えてしまうということは消費者にとってもよいことではございませんので、そういう意味で、消費者教育推進法が施行されまして、それに基づいて消費者教育推進会議を私のもとに設置して、消費者教育を推進しているところでございます。
 加えて、私が感じているのは、やはり業界側の、仲間内で、法律で決まっている衛生手段さえもとっていないようなところには、業界内の自主規制というか、そういうものもしっかりとしてほしい。そうすると、お上がしゃしゃり出ていく必要もなくなるわけでございます。
 ですから、消費者教育の推進とそれから業界の自主規制の推進というものをあわせて行ってまいりたいと思います。

○大西(健)委員 業界の自主規制というのは、私も重要な観点だというふうに思います。ただ、例えば全国焼肉協会という団体がありますけれども、残念ながら、加盟率というのは決して高くない。団体の方としては、非常に自助努力というか自浄作用というのは働かされていると思いますけれども、それ以外の企業というのがなかなか守っていないというところがあるのかなというふうに思います。
 今、厚生労働省が規制をしているというお話がありましたけれども、生レバー禁止によって今どういうことが起こっているか。皆様のお手元に新聞記事を配付させていただきました。
 これは、規制がかかるときに、こういうことが起こるだろうなというふうなことは私も思ったんですけれども、例えば裏メニューみたいな形ですね。実際にメニューに載っていないけれども、お得意様だけには出すとか、あるいは、加熱用ですよということで出しているけれども、焼かないで食べることも黙認するとか、あるいは、規制対象外になっている豚のレバーを生レバーとして出すとかということが今だんだん広がっているんじゃないかということが報道されています。
 厚生労働省、きょうは、とかしき政務官にお越しをいただいておりますけれども、厚生労働省として、こういった生レバー規制、禁止以降の実態というのをどのように把握されているのか、また、それに対してどういう問題意識をお持ちなのかについて、お答えをいただきたいと思います。

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
 生レバーのお話、先ほどから大臣からも御案内がありましたように、昨年の七月、食品衛生法に基づきまして生レバーの生食を禁止いたしました。そして、焼き肉店等を中心に立入検査を行っておりまして、加熱をしていないで提供したというところで、違反事例が一件報告されております。
 また、お話のございました豚レバーにつきましては、これは平成二十四年の十月四日に、都道府県宛てに、生レバー、豚のレバーを加熱せずに食すると、E型肝炎やサルモネラ菌、さらにカンピロバクターなどの食中毒を起こすリスクがあるということで指導をさせていただいております。
 この指導を受けまして、実態調査、一斉取り締まりを行いましたところ、生食用として提供していた八十店舗の飲食店が見つかりまして、その後、改善指導を行いまして、十店舗が生食用としての提供をやめたと報告を受けております。
 このような努力もありまして、O157のこういった腸管性出血大腸菌の感染症の患者数は減少しておりまして、今後も、事業者の皆さんの理解を求めながら、さらに、お話のございました、消費者の皆さんにもきちっとした情報提供、生食にはそれなりのリスクがあるんだということを情報発信しつつ、安全性の担保を図っていきたい、このように考えております。
 ありがとうございました。

○大西(健)委員 実態把握にも努めていただいているということもわかりましたし、これから夏にかけて、ますます食中毒が起こりやすいという季節になりますので、引き続き、またその実態というのをしっかりと把握していただきたいなというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、私は、できれば生レバーを復活できないのかなということをずっと考えていまして、実は、業界の皆さんともいろいろ連携をしながら、厚生労働省の皆さんにも、安全が確保できる方法が見つかれば解除してほしいということをお願いしてきました。
 その中で、厚生労働省さんの方も、それを受けて、ある程度御理解いただいて、今、放射線照射による殺菌効果の研究というのを、ちゃんと予算をつけて始めていただきました。これは本当にありがたいなというふうに思っているんです。
 先ほど来、放射能による食品の、消費者の理解に関して増進をするということを消費者庁でもやっておられるということなんですけれども、食品への放射線照射というのは、消費者の方の拒否感というのもあって、日本ではなかなか広く行われていないんですけれども、国際的に見ると、広く行われています。
 例えば、アメリカなんかはよくバーベキューをやりますけれども、バーベキューに使うパテを生焼けで食べてしまって食中毒になるケースがあるということで、そのパテに放射線照射をして殺菌した、そういう専用のパテが普通にスーパーで売られている。また、日本では、芽どめジャガイモといって、ジャガイモの発芽を抑えるために放射線を照射するというのはもう既に行われています。
 それから、食品ではありませんけれども、例えばお祭りとかでフランクフルトとかを売っていますけれども、あの刺している串に放射線を照射して殺菌するというようなことは行われているというふうに聞いております。
 そこで、放射線照射による殺菌効果の研究が厚生労働省の中で現在どのように行われているかについて、これは事務方からで結構ですので、御説明をいただきたいと思います。

○新村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の牛のレバーに対する放射線照射による殺菌手法に関する研究につきましては、平成二十四年度、厚生労働科学特別研究事業で行っております。この事業では、放射線照射による殺菌手法などにつきまして、照射線量あるいは照射時間などに関する検討、また、発生する副産物に関する検討などの研究を実施しております。
 最終的な報告書は取りまとめ中でございますが、現時点におきましては、高い殺菌効果を有する実用可能な方法はまだ確立できていないと聞いております。そのため、実用化にはさらなる研究が必要でございますので、平成二十五年度の厚生労働科学研究においても研究を実施していくこととしております。
 その研究内容としましては、殺菌効果に影響を及ぼす要因の解析ですとか、流通する食肉の汚染レベルを十分に殺菌できる照射レベルの確定、あるいは、目的の殺菌効果が得られる照射条件における品質変化の指標の評価、あるいは、殺菌効果の判定方法の確立などにつきまして研究を進めていくことにしております。

○大西(健)委員 ありがとうございました。ぜひ、これからも研究の方をお願いしたいというふうに思います。
 最後に、焼き肉メニュー表示の適正化という、焼き肉に絡んで、また焼き肉の話なんですが、皆様、回転ずし等に行くと、最近、とろサーモンとか、とろサバとかというネタがありますけれども、とろというのは、別に、いわゆるマグロの部位のとろを指しているわけじゃなくて、脂身の多い食感というのを指して使っているんだというふうに思うんですね。同じような感覚で、焼き肉の業界では、長年、脂身の多い肉はカルビ、赤身はロースというような曖昧な使い方をずっとしてきた。ただ、それはもう商習慣としてそういうことが広く行われていた。
 ところが、二〇一〇年の秋になって、急遽、消費者庁が、リブロース、肩ロースといった部位じゃないとロースと言ってはいけないと。それ以外のもの、例えば、業界では、外ももの肉をロースとして焼き肉店で出すことは一般的に商習慣として行われていたわけですけれども、それをもしやったら、これは景品表示法違反の不当表示に当たるので、厳しく取り締まるということを急遽言い出しました。
 私は、これはちょっとナンセンスな規制じゃないかなと。どれだけの消費者が肉の部位について詳細な知識を持ち合わせていて、いや、ロースと書いてあるから、おまえ、金払ったけれども、これはもも肉じゃないか、金返せなんということを言う消費者が一体どれだけいるんだろうかというふうに思います。
 五十年以上ずっとこれでやってきたわけです。五十年以上やってきたのに、今ごろになって、急に何でこんなことを言い出すんだと。それによって業界は大混乱して、メニューを変えなきゃいけないとか、負担というのも大変なものがありました。これについて、まさにそういう商売をやられている人の不安、混乱というのを役人の皆さんはどう受けとめられているのかということを、私はどうしても感じてしまいます。
 この点について、今の私の話を聞いて、どのような御感想、御所見をお持ちになったかということで、大臣からお答えをいただければと思います。

○森国務大臣 これは、通告をいただいて調べたところ、平成二十二年の十月七日に、焼き肉メニュー表示の適正化についてということで、消費者庁が、ロース以外の部位の肉をロースというふうに、何々ロースというような感じで表示をすると消費者が誤認をするということで、景品表示法に違反するということを明確にいたしまして、業者及び消費者に対して注意喚起を行ったということでございます。
 この当時のプロセスを私は詳しく存じ上げませんけれども、表示の観点で消費者が誤認するようなことがあれば、それは是正していくべきだと思いますが、そのときに、委員が御指摘のような、業界に与える影響等も勘案して、よく業界と意見交換をしてから行うべきと思います。この当時が行われていなかったということではなくて、存じ上げませんが、今後はしっかりとそのようにしていくべきだと思います。

○大西(健)委員 ありがとうございます。
 私は、きょうは焼き肉の質問をしましたけれども、これは別に焼き肉のことにこだわっているわけじゃなくて、何を申し上げたかったかといえば、まさに、過剰な規制をすることばかりではなくて、消費者が正しい判断ができるような環境を整えていくという目線に立った消費者行政に、ぜひこれからも取り組んでいただきたいというふうに思います。
 きょうは、ありがとうございました。


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