183-衆-決算行政監視委員会第三…-1号 平成25年06月21日
○勝沼分科員 おはようございます。自由民主党の勝沼栄明でございます。
本日は、河野主査、伊藤副主査、各先生方の御配慮で、このように御質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。また、田村厚労大臣、とかしき大臣政務官、政府参考人の方々におかれましても、会期末の非常に多忙な中にもかかわらずおつき合いいただき、ありがとうございます。早速質問に移らせていただきます。
私は、この職業につかせていただく前は、形成外科の医師として北海道じゅうを転々としておりました。北海道の地域医療の現状を肌で感じてわかっている、そういった自負がございます。
北海道の地域医療は今非常に深刻な状況であります。統計的には、医師数は対人口十万人当たり二百二十九人と大体全国平均と一緒なんですけれども、そのうち札幌、函館、旭川の三都市に八割近くの医師が集中している。大変地域偏在が見られます。また、医師数を面積で割った指数を、東京を一としましたら北海道は大体〇・一六でございます。また、高齢者率が三〇%を超える地域は百七十九市町村あるうちの百十一となっており、大変高齢化が進んだ地域でございます。
医師の偏在が大変進んでおりますけれども、御存じのとおり、今僕が御説明したとおり、大変広域分散型であり、高齢者率が大変高く、さらに大変厳しい冬がございますので、患者さんの移動もままなりません。そして、医療難民がどんどんふえている状況がございます。道内各市町村の首長さんにお話を伺いましても、仕事の約三分の一が医師確保に費やされている、そうおっしゃいます。
全国の自治体でも同様のことが起こっていると思いますが、政府そして厚生労働省、地域医療の現状がこれだけ逼迫している、こういった状況に対しての認識をお聞かせください。
○とかしき大臣政務官 質問ありがとうございます。
勝沼委員の御指摘のとおり、医師不足は厚労省としても大変深刻な問題である、このように受けとめさせていただいております。
その要因といたしましては大きく四つ考えられまして、まずは、委員も御指摘がありましたけれども、絶対数の医師の不足ということでございます。世界の中の日本の医師の数なんですけれども、これをOECD加重平均で見ますと二・七人、日本の場合は二・二人ということになります。ドイツが三・七人、アメリカが二・四人でありますから、先進国の中でも日本は結構医師の数がやはり相対的に少ない、人口千人当たりの数でありますけれども少ないという、絶対数が不足をしております。
そして、二つ目が医師の偏在。これも御指摘いただきましたけれども、人口十万人当たりの医師数というのを見ますと、京都府が二百八十六・二人、埼玉県が百四十二・六人ということで、約二倍程度の差が生じております。
さらに三つ目の理由が、産婦人科、小児科、外科、救急といった特定の診療科における医師が不足をしているというところが挙げられます。
そして四番目が、女性の医師の処遇が余りよろしくないということで、なかなか難しくて、出産とか育児とかを契機に離職なさってしまう方が非常に多いということで、そういったいろいろなことの複合的要因で医師不足という状況を生んでおります。
この現状をしっかり認識しまして、厚生労働省といたしましても、医師の確保にしっかり取り組んでいき、引き続きいろいろ取り組みを考えていきたい、このように思っております。
○勝沼分科員 ありがとうございます。
私も同じような認識を持っておりました。やはり、現場で働いていても、なかなかそういった声が通じないですとか、医師の頑張りだけではなかなかこういったことを改善できない、そういった思いから、手段として政治の道を選んだということもございます。
平成十六年開始の臨床研修医制度、それが引き金となり、医師不足、医師、科の偏在、そして地域医療の崩壊、こういったことが顕在化されたと私は認識しております。加えて、同時期に国立病院、国公立大学病院の独立行政法人化が行われ、さらに、北海道においては無給の大学院生が非常勤でありながらも地方病院で常勤扱いを受けていて保険の面倒を見てもらうとか、その病院が保険料の水増し請求をしていたという名義貸し問題が当時大々的に報道されたこともありまして、各大学病院医局が非常勤医師を地方病院から引き揚げたり、保険指定を取り消された地方病院が相次いだという事件がちょうど同時期に起こったということがありまして、より深刻化いたしました。当初、研修医が大学医局に入局しない制度開始時の二年間だけが問題とされていたものが、遷延化し、よりひどくなっております。
そこで、お尋ねいたします。
臨床研修医制度が現在の医師偏在や地域医療崩壊を招いた原因の一つであるとの御認識はございますでしょうか。
○とかしき大臣政務官 これも勝沼委員おっしゃるとおり、やはり一つの引き金になったというふうに考えております。
現在の医師臨床研修制度は、平成十六年に導入をされまして、努力義務から義務化されたものであります。これは、研修医の基本的な診察能力が向上したという効果が見られた一方で、いろいろ問題もありまして、研修医が減少しまして、医師派遣機能が低下してしまった、こういう問題を抱えてしまいまして、医師不足が加速する原因となりました。そしてもう一つは、募集定員が研修希望者の一・三倍を超える規模まで拡大したために、研修医が都市部に集中してしまった、こういった問題もございました。
このために、平成二十一年から制度の改正を図りまして、これは大きく分けて、研修プログラムの弾力化によりまして必修科目の中に地域医療を入れさせていただいたり、それから、一定規模の病院には産科とか小児科とか比較的お医者さんの不足している研修プログラムを義務づけたり、こういったこともしております。あとは、研修を受けていただく指定病院の基準を強化したりとか、研修医の募集の定員の見直しとか、こういったいろいろなことを対応させていただきまして、少し制度を改善させていただいております。
研修以外にもさまざまな要因が絡んで、先ほどおっしゃいましたように、いわゆる名義貸しの問題ですとか国公立の法人化の問題とか、こういった問題もありますので、制度を少しずつ改めつつ、いろいろな問題も改善していきたい、このように考えております。
医療体制を少しでもよりよいものにしていきたい、このように厚労省も考えておりますし、先生も現場でいろいろ経験をなさったことをもとに御提案いただけたら今後もありがたいかな、このように思っております。よろしくお願いします。
○勝沼分科員 ありがとうございます。
とにかく、地方においては、この臨床研修医制度の導入は非常に評判が悪いです。地域医療崩壊の元凶のように語られています。私も実際にそう思っていました。
というのも、私は平成十二年にちょうど医師免許を取得しまして、次の年から制度導入前の内科ローテーション研修が始まったり、そういったこともありましたので、最後のストレート入局の年となっています。医局制度の崩壊も目の当たりにしてきましたし、また、実際に制度導入当初の研修医の受け入れ、そして指導も行ってまいりました。
受け入れる側の体制もまだまだ整っていない状況ということもありましたが、九時—五時勤務で、患者さんに責任も持たないで、二年の研修期間が終わってしまえば都会に戻っていく、そんな若い子たちばかり見ていると、やはりがっかりしますし、日本の医療は大丈夫かなと本気で心配しておりました。恐らく、そういった現場の声を受けて、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、臨床研修医制度の改正が行われたと思います。
二〇〇九年二月の臨床研修制度のあり方等に関する検討会のまとめに、大学病院において臨床研修を受ける医師が大幅に減少し、若手医師が実質的に不足したことにより、大学病院の医師派遣機能が低下し、地域における医師不足問題が顕在化、加速化したので、医師の地域偏在への対応、大学病院の医師派遣、養成機能の強化、さらに研修の質の一層の向上等の観点から、研修医の募集定員及び受け入れ病院のあり方を見直す、こう述べられておりますが、それを受けての同年四月よりの臨床研修医制度に関する省令の見直しだと思っております。
では、二度になるんですけれども、省令見直しによる臨床研修医制度改正の内容を、より具体的にお教えください。
〜 (略) 〜
○勝沼分科員 おはようございます。自由民主党の勝沼栄明でございます。
本日は、河野主査、伊藤副主査、各先生方の御配慮で、このように御質問の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。また、田村厚労大臣、とかしき大臣政務官、政府参考人の方々におかれましても、会期末の非常に多忙な中にもかかわらずおつき合いいただき、ありがとうございます。早速質問に移らせていただきます。
私は、この職業につかせていただく前は、形成外科の医師として北海道じゅうを転々としておりました。北海道の地域医療の現状を肌で感じてわかっている、そういった自負がございます。
北海道の地域医療は今非常に深刻な状況であります。統計的には、医師数は対人口十万人当たり二百二十九人と大体全国平均と一緒なんですけれども、そのうち札幌、函館、旭川の三都市に八割近くの医師が集中している。大変地域偏在が見られます。また、医師数を面積で割った指数を、東京を一としましたら北海道は大体〇・一六でございます。また、高齢者率が三〇%を超える地域は百七十九市町村あるうちの百十一となっており、大変高齢化が進んだ地域でございます。
医師の偏在が大変進んでおりますけれども、御存じのとおり、今僕が御説明したとおり、大変広域分散型であり、高齢者率が大変高く、さらに大変厳しい冬がございますので、患者さんの移動もままなりません。そして、医療難民がどんどんふえている状況がございます。道内各市町村の首長さんにお話を伺いましても、仕事の約三分の一が医師確保に費やされている、そうおっしゃいます。
全国の自治体でも同様のことが起こっていると思いますが、政府そして厚生労働省、地域医療の現状がこれだけ逼迫している、こういった状況に対しての認識をお聞かせください。
○とかしき大臣政務官 質問ありがとうございます。
勝沼委員の御指摘のとおり、医師不足は厚労省としても大変深刻な問題である、このように受けとめさせていただいております。
その要因といたしましては大きく四つ考えられまして、まずは、委員も御指摘がありましたけれども、絶対数の医師の不足ということでございます。世界の中の日本の医師の数なんですけれども、これをOECD加重平均で見ますと二・七人、日本の場合は二・二人ということになります。ドイツが三・七人、アメリカが二・四人でありますから、先進国の中でも日本は結構医師の数がやはり相対的に少ない、人口千人当たりの数でありますけれども少ないという、絶対数が不足をしております。
そして、二つ目が医師の偏在。これも御指摘いただきましたけれども、人口十万人当たりの医師数というのを見ますと、京都府が二百八十六・二人、埼玉県が百四十二・六人ということで、約二倍程度の差が生じております。
さらに三つ目の理由が、産婦人科、小児科、外科、救急といった特定の診療科における医師が不足をしているというところが挙げられます。
そして四番目が、女性の医師の処遇が余りよろしくないということで、なかなか難しくて、出産とか育児とかを契機に離職なさってしまう方が非常に多いということで、そういったいろいろなことの複合的要因で医師不足という状況を生んでおります。
この現状をしっかり認識しまして、厚生労働省といたしましても、医師の確保にしっかり取り組んでいき、引き続きいろいろ取り組みを考えていきたい、このように思っております。
○勝沼分科員 ありがとうございます。
私も同じような認識を持っておりました。やはり、現場で働いていても、なかなかそういった声が通じないですとか、医師の頑張りだけではなかなかこういったことを改善できない、そういった思いから、手段として政治の道を選んだということもございます。
平成十六年開始の臨床研修医制度、それが引き金となり、医師不足、医師、科の偏在、そして地域医療の崩壊、こういったことが顕在化されたと私は認識しております。加えて、同時期に国立病院、国公立大学病院の独立行政法人化が行われ、さらに、北海道においては無給の大学院生が非常勤でありながらも地方病院で常勤扱いを受けていて保険の面倒を見てもらうとか、その病院が保険料の水増し請求をしていたという名義貸し問題が当時大々的に報道されたこともありまして、各大学病院医局が非常勤医師を地方病院から引き揚げたり、保険指定を取り消された地方病院が相次いだという事件がちょうど同時期に起こったということがありまして、より深刻化いたしました。当初、研修医が大学医局に入局しない制度開始時の二年間だけが問題とされていたものが、遷延化し、よりひどくなっております。
そこで、お尋ねいたします。
臨床研修医制度が現在の医師偏在や地域医療崩壊を招いた原因の一つであるとの御認識はございますでしょうか。
○とかしき大臣政務官 これも勝沼委員おっしゃるとおり、やはり一つの引き金になったというふうに考えております。
現在の医師臨床研修制度は、平成十六年に導入をされまして、努力義務から義務化されたものであります。これは、研修医の基本的な診察能力が向上したという効果が見られた一方で、いろいろ問題もありまして、研修医が減少しまして、医師派遣機能が低下してしまった、こういう問題を抱えてしまいまして、医師不足が加速する原因となりました。そしてもう一つは、募集定員が研修希望者の一・三倍を超える規模まで拡大したために、研修医が都市部に集中してしまった、こういった問題もございました。
このために、平成二十一年から制度の改正を図りまして、これは大きく分けて、研修プログラムの弾力化によりまして必修科目の中に地域医療を入れさせていただいたり、それから、一定規模の病院には産科とか小児科とか比較的お医者さんの不足している研修プログラムを義務づけたり、こういったこともしております。あとは、研修を受けていただく指定病院の基準を強化したりとか、研修医の募集の定員の見直しとか、こういったいろいろなことを対応させていただきまして、少し制度を改善させていただいております。
研修以外にもさまざまな要因が絡んで、先ほどおっしゃいましたように、いわゆる名義貸しの問題ですとか国公立の法人化の問題とか、こういった問題もありますので、制度を少しずつ改めつつ、いろいろな問題も改善していきたい、このように考えております。
医療体制を少しでもよりよいものにしていきたい、このように厚労省も考えておりますし、先生も現場でいろいろ経験をなさったことをもとに御提案いただけたら今後もありがたいかな、このように思っております。よろしくお願いします。
○勝沼分科員 ありがとうございます。
とにかく、地方においては、この臨床研修医制度の導入は非常に評判が悪いです。地域医療崩壊の元凶のように語られています。私も実際にそう思っていました。
というのも、私は平成十二年にちょうど医師免許を取得しまして、次の年から制度導入前の内科ローテーション研修が始まったり、そういったこともありましたので、最後のストレート入局の年となっています。医局制度の崩壊も目の当たりにしてきましたし、また、実際に制度導入当初の研修医の受け入れ、そして指導も行ってまいりました。
受け入れる側の体制もまだまだ整っていない状況ということもありましたが、九時—五時勤務で、患者さんに責任も持たないで、二年の研修期間が終わってしまえば都会に戻っていく、そんな若い子たちばかり見ていると、やはりがっかりしますし、日本の医療は大丈夫かなと本気で心配しておりました。恐らく、そういった現場の声を受けて、先ほど先生もおっしゃいましたけれども、臨床研修医制度の改正が行われたと思います。
二〇〇九年二月の臨床研修制度のあり方等に関する検討会のまとめに、大学病院において臨床研修を受ける医師が大幅に減少し、若手医師が実質的に不足したことにより、大学病院の医師派遣機能が低下し、地域における医師不足問題が顕在化、加速化したので、医師の地域偏在への対応、大学病院の医師派遣、養成機能の強化、さらに研修の質の一層の向上等の観点から、研修医の募集定員及び受け入れ病院のあり方を見直す、こう述べられておりますが、それを受けての同年四月よりの臨床研修医制度に関する省令の見直しだと思っております。
では、二度になるんですけれども、省令見直しによる臨床研修医制度改正の内容を、より具体的にお教えください。
〜 (略) 〜