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183-衆-厚生労働委員会-6号 平成25年04月03日


〜 (略) 〜


○宮沢(隆)委員 今、日本語という言葉が何回も出てきましたが、実は私は、ドイツに三カ月ぐらい滞在して、ある病院にずっといたことがあるんですね。そこで感じたのは、ヨーロッパだから当たり前なんでしょうけれども、言語が飛び交っているわけですね。ロシア語、アラビア語、ドイツですからフランス語も英語も全部外国語になるんですけれども、医者も看護師も、それぞれ自分の得意な外国語というのをある程度持っていまして、それで、その結果、外国人の患者がどんどん来るわけです。
 この後述べていきますが、日本の医療の産業化、要するに国際的にどんどん日本の医療を輸出していこうとかいうことをこれから考えるのであれば、日本の医療従事者、医者も看護師も、もうちょっと言語の勉強をしてもいいんじゃないか。最低限、英語ぐらいはできるようにするとか、あるいはそういう特化した病院をつくるとか、そういう発想がこれからのグローバル時代にはあってもいいんじゃないかなとはずっと思っています。
 ですので、外国から来る人たちに日本語の勉強を強いるばかりじゃなくて、あえて言えば、日本の医療従事者も外国語を勉強しようよということをちょっとここで訴えたいと思います。
 では、今お話しした医療の産業化についてちょっと質問いたします。
 産業競争力会議等で、医療をどんどん産業にしていこうよというお話をいろいろな会議でされているようなんですが、資料四に、厚労省が考える医療の国際展開というペーパーをきのうもらいましたが、これも、とかしき政務官に、この辺、ちょっと概説していただけますか。よろしくお願いします。

○とかしき大臣政務官 資料をごらんになっていただければということで、委員の方から参考資料ということで配付なさっていらっしゃる内容でございますが、説明させていただきます。
 これは、第五回の産業競争力会議で厚労省の方が配付させていただきました資料でございます。医療の国際展開についての考え方をまとめたものでございます。
 課題といたしましては、アジアや新興国などの医療や介護のニーズがすごく今高まってきているので、日本の医薬品やそして医療機器、医療技術、あとサービス、これらが全て一体となった国際展開が今とても求められております。
 このほかには、具体的には、結核とかマラリアとか、こういった治療薬、こういった薬の開発も進んでいないのが現状でございます。
 そこで、具体的な取り組みといたしましては、医療国際展開戦略室、これは仮称でございますが、これからこれを設置いたしまして、施設、病院の建設のノウハウとか、あと設備、物資、医療・介護機器、医薬品等、そして制度、技術、実際にそれをどう使っていくか、医療や介護技術、保険制度等、こういったソフトの情報も全部付加いたしまして人材交流を進めていこう、こういうふうに考えております。
 海外とは、医療、介護、そして介護サービス等、一体となった海外との連携を今後考えていこう、このように思っております。

○宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。
 医療の産業化、国際展開というのは、恐らく十年ぐらい前から、政府の方から、やるぞやるぞと言われていたように思うんですが、どうも見ていると、例えば、医療ツーリズムという言葉が一時飛び交っていましたよね。それも、きのうも、どの程度進んでいるのかなと思ってお聞きしたら、三つぐらいの病院がそういう意思を示して、ある組織の中で始まりつつあるということなんですが、質問としては、なぜそのレベルでとまっちゃっているのかというのが率直な印象なんですけれども、その理由についてはいかがでしょうか。よろしくお願いします。

○とかしき大臣政務官 お答えいたします。
 確かに、委員がおっしゃいましたように、昨年の七月から、外国人患者受入れ医療機関認証制度、これがスタートいたしまして、三つの医療機関が認証を受けた、こういった状況になっております。
 委員おっしゃいますように、医療ツーリズム、実際に動き出しているところがまだ少のうございまして、まだまだ実績が上がるような状況ではございません。
 なぜなかなか進まないのかといいますと、今、国内の方でも、やはり医師不足、地域によってはそういった課題をたくさん抱えておりまして、外国人患者さんを多く受け入れて、そして日本の医療制度がさらに崩壊してしまうようなことがないためにということで、日本の国内の医療制度を担保しつつ、海外からの患者さんを受け入れる、そういう制度のバランスをどうとっていくかということで、今、慎重に検討しながら進めさせていただくというのが現状でございます。
 以上です。

○宮沢(隆)委員 私も、あるクリニックで中国人の方々を受け入れたことがあるんですが、それはもう現場は大変ですね。その人たちにかかりっ切りになって、言葉も、ある程度通訳は入れても、医療のことはやはりちょっと難しいので、結局、コミュニケーションがうまくいかないという現状ですね。
 これは日本人の民族性なのかもしれないんですけれども、やはり、ちょっと外国人に対してプロテクティブという面があるんじゃないかと思うんですね。ですので、先ほどの言語の話もそうなんですけれども、医療従事者だけじゃなくて、日本人全体がもうちょっとグローバリゼーションに本気で取り組むような姿勢を示さないと、この医療ツーリズムはそのうちポシャっちゃうんじゃないかと僕は思っていますね。だから、厚労省の方でもちょっと頑張っていただきたいと思います。
 あとは、先ほどもちらっと言いましたけれども、そういう外国人の患者を積極的に取り入れることができるような病院、特殊な病院を数カ所つくって、どんどん外国人の方々を呼び込んでもいいのではないかなとも思います。
 医療の産業化については、このくらいで終わります。
 きょうは盛りだくさんなので、では、次に、マイナンバー制度の医療システムへの応用について質問いたします。
 私は、現役の医者のころから、ニュージーランドの医療システムのことをちょっと聞きかじっておりまして、ニュージーランドというのは全国統一のIT医療システムを持っていまして、それによって患者さんにID番号をつけて、医者もID番号を持っている。患者さんがどこでどういう病気になっても、どこの医療機関へ行っても、すぐにこの患者のデータはクラウドのようなところからデータを取り出して、すぐに治療に入れる、患者さんの過去のデータもすぐに全部さかのぼって見られるというような話を聞きまして、非常にうらやましいと思いました。
 もう一つの効用は、医療費が節約できるらしいんですね。無駄な検査がなくなる。全部デジタル情報で保存してありますので、例えば、胸のレントゲン写真をA病院でやって、次にB病院へ移ったら同じ検査をやるというようなことがなくなる、被曝もなくなる。いいことばかりのように見えるんですね。
 今度、マイナンバー制度というのは今審議中ということなんですが、これを私は医療システムに取り込んで応用していったらいいと思ってはいるんですが、この進捗状況について、これも政務官ですか、よろしくお願いします。

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
 今審議いただいておりますマイナンバー、番号法案、こちらの方は、社会保障と税の番号ということで、税金と現金給付、ここが対象になっております。今委員御指摘いただきました現物給付であります医療等の番号、こちらの方は、残念ながら、今回は対象となっておりません。
 ですから、今後、このマイナンバー制度をどんどん発展させていって、医療との連携を検討していくことは十分考えられますし、それは、先ほどおっしゃいましたように、社会保障の費用の削減に大きく貢献すると考えられますので、今後、次の課題ということで取り組んでいこうと今考えております。


〜 (略) 〜


○堀内委員 自由民主党の堀内詔子です。
 昨年末、衆議院選において初当選させていただき、本日、初質問をさせていただきます。何とぞよろしくお願いいたします。
 本日は、子育て期の女性の就労支援についてお伺いします。
 私ごとではございますが、私自身、二児の母として子育てをしております。また、私の母、そして大正生まれの私の祖母も、それぞれ教師という仕事を続けながら四人の子供を産み育てました。祖母の生きた時代、そして母の生きてきた時代には、一家の主婦が仕事を続けていくというときには、乗り越えなければならない壁は大きく、そして多くのものがあったと、子供の立場ながら私は感じておりました。
 今回、機会を与えてくださいましたので、子供を持つ女性が仕事を続けやすい社会、子育てのために一度仕事をやめた女性が、子育てが一段落したときには再び職を得て社会参加しやすい社会になることを願いながら、質問をさせていただきます。よろしくお願いします。
 働く女性の数は近年増加し続け、社会の担い手としてますますの活躍が期待されるところです。総理の施政方針演説においても、女性の力の活用や社会参画の促進が日本の強い経済を取り戻すために必要不可欠とのお考えに基づき、仕事と家庭の両立支援と、そして仕事への復帰を応援するとの御発言がありました。
 働く女性の育児休業取得率は八七・八%と育児休業の利用は進んできてはいるものの、それでもなお、妊娠、出産に伴い退職する女性が約六割もいると言われています。もちろん、御家庭において子育てなどに専念したいという方もおられ、そうした御希望もとうといものだとも思います。けれども、一方で、子育てをしながら仕事を続けたいという希望をお持ちの方や、妊娠、出産に伴い一旦離職した女性の中にも、仕事への復帰を希望する方がいらっしゃいます。
 子育て期の女性は、子供を通じた地域とのつながりを通して多様な価値観を培っていたり、職業生活以外の経験により多様なスキルを身につける機会があるという話を聞いたことがあります。そうした能力を持った女性の方々が職場でより一層活躍できれば、御本人の希望が実現するとともに、職場にもよい効果をもたらすのではないでしょうか。
 女性が、出産後も仕事を続けたい方は続け、また、出産などで一旦離職しても、仕事への復帰を希望する方は再就職を果たし、活躍できるような社会をつくっていくことは、子育て期の方々の希望を実現するためにも、ひいては日本経済の活力を維持するためにも重要と考えますが、こうした女性の就業をめぐる現状と課題について、政府の認識をお聞かせください。

○とかしき大臣政務官 堀内委員の初質問にお答えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 委員御指摘のように、女性の力を生かしていくことは、やはり日本経済の活力の維持に大きく貢献されます。
 ところが、残念ながら、女性は、出産のときに六割の女性が退職してしまっております。子育てに専念なさりたいという方がいらっしゃる一方、仕事と子育ての両立がなかなか難しいという場合も多く、特に課題が多いのが、中小企業においての継続就業、これが非常に難しいというふうになっております。
 また、一回離職なさって、今度は再就職をしたいという方々もいらっしゃいますけれども、非正規雇用でしか就職ができない場合も多く、仕事と家庭の両立がなかなか難しいというのが今の状況であります。
 御本人自身、ブランクの後にブラッシュアップしていただく、そういった制度も設けたり、あと、ステップアップしながら働ける環境づくりや、そして、やはり仕事と家庭の両立をしやすい職場の環境をどれだけつくっていくのか、この辺が課題と思っております。
 以上です。

○堀内委員 子育て期の女性について、仕事と家庭の両立を希望する女性も、そして、出産などに伴い一旦離職した後、再就職を希望する女性も多いこと、そして、その希望を実現するためには、克服すべきさまざまな課題があるとのお話をいただきました。ありがとうございました。
 両立が難しかった具体的な理由としては、勤務時間が合わなかった、職場に両立を支援する雰囲気がなかったなどが多いと聞きます。また、再就職についても、いざ活動を始めようとしても、どうしたらいいかわからないといった御意見も伺います。
 政府もさまざまな課題を認識しているとのお話でしたが、こうした課題について、現在政府はどのような対応を行っているのか、お聞かせください。

○とかしき大臣政務官 お答えいたします。
 まず、政府といたしましては、子育て期の女性の継続就業につきましては、まず一つ目に、短い時間でも働けるように、その制度の義務化を盛り込んだ育児・介護休業法の周知の徹底を行っております。
 そして二つ目に、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定、認定の一層の促進を進めております。
 そして三つ目に、女性を上手に活用している企業の普及、そこを頑張っている企業を表彰したりとか、そして助成制度を設けたりとか、企業の取り組みを、前向きに取り組んでいる企業の背中を押すような、そういった政策もさせていただいております。
 また、再就職の支援につきましては、全国百七十三カ所の拠点におきまして、マザーズハローワーク事業を今積極的に進めさせていただいております。効果が徐々に出始めてきております。
 以上でございます。

○堀内委員 現在の政府の対応状況についての御説明をありがとうございました。
 このような対策を講じてもなお、仕事の継続を望みつつも退職される女性や、再就職を希望しながらもなかなか実現できない女性もおられます。
 さらなる対策が必要と考えますが、大臣の御決意をぜひお聞かせください。

○田村国務大臣 子育て期の女性の方々が、やはり社会で活躍できる環境をつくることは大変重要でございます。ただでさえ少子高齢化の中で働く方々の数が減っていくわけでありますから、やはり、女性の方々は非常に優秀な方々が多いわけでありますので、そのお力をおかしいただかないとなかなか国が動いていかない。こういう状況の中で、今、とかしき政務官が言いましたとおり、さまざまなことをやってきております。
 もちろん、企業も含めて社会全体が理解をいただかなければいけない話でありまして、例えば、職場復帰するために、企業が、育児休業をしているときにいろいろな情報をその女性にしっかりと周知していくということも必要であろうと思います。
 また一方で、私、イクメン議員連盟というのをやっておりまして、育児はちゃんと男性もやろうよということでございますが、イクメンプロジェクトを進めているんですけれども、まだ取得率が低いんですね。二・六三%ぐらいでありまして、何とかこれを一三%ぐらいまで持っていきたいということで、努力をいたしております。
 そういうあらゆることを進めながら、一方で、若者・女性活躍推進フォーラムというものを官邸でもつくっていただいておりますので、こういうところでしっかりと御議論をさせていただいて、いろいろな意味での方策をこれからも講じてまいりたいというふうに思っております。

○堀内委員 ありがとうございました。
 一人でも多くの女性が笑顔で働き続けられるような社会の実現をお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○輿水委員 ありがとうございます。
 まさに、発達障害の各地域で取り組まれているこの中で、やはり人材。どういった人材がその一人一人を理解して、適切に対応していくのか。組織とか制度と同時に、人材の育成が非常に重要になってくると思います。その辺もしっかりとフォローしていただきながら、一人一人がしっかりと社会で活躍できるような環境をつくっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に、攻めの介護事業の推進について伺いたいと思います。
 二〇〇〇年にスタートした介護保険制度は、二〇〇五年に介護サービス利用から介護予防へと大きく政策の転換をいたしました。そして、昨年度の改定で、診療と介護報酬が同時に改定され、施設介護から在宅介護への移行を進めながら、団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年に向け、住みなれた地域で医療や介護などを受けられる地域包括ケアシステムの構築を目指すとしています。
 今後重要なことは、医療と介護の連携を強化し、介護の人材の確保とサービスの質の向上を進めながら、高齢者一人一人がより健康的で、より活動的な生活を続けられるような介護や生活支援の提供であると思います。
 そのために、さまざまな介護サービスを推進する中で、今の制度の中では、いろいろなサービスの計画を立てて、具体的に取り組んでいる、そういったことに対していろいろな加算をしたりしている、そういったことはあるんですけれども、それ以上に、実際、いろいろなサービスの目的は、その介護の状態を維持したりあるいは改善をしていく、そういった目的があると思うんですけれども、その成果が出たかどうか。
 その成果に対してのそういった適切な評価と判断をしながら、本気というか、どこも一生懸命やっていると思うんですけれども、いろいろな形で丁寧に一人一人に対応しながら、そういう具体的な取り組み、計画だけではなく、成果まできっちり出している事業者を評価し、そういったところに新たな加算なども進めることによって、当然、その介護施設にいる方の健康状態が改善されると同時に、優良な施設が地域に育てられる、このように思います。
 そのような、計画とか取り組みだけではなく、成果というところも十分見ながら、何らかの施策等は検討できないのかどうなのか、お伺いしたいと思います。

○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
 委員御指摘のとおり、介護の質、そしてその評価、それをどう今後生かしていくかという非常に重要な点だと思われます。
 ということで、厚労省といたしましても、サービスの質の評価をしっかりしていこうということになりまして、平成二十五年度からデータ収集を行っております。要介護認定のデータとレセプトのデータを一元的に収集して、分析して、介護保険にかかわる状況がどうなっているのか、それをまずデータベースを構築して、そしてそれから評価を行っていこう、今そのように考えております。
 今後も、これらの取り組みをどんどん進めてまいりまして、介護サービスの質の向上、そして国民の皆様に安心して利用していただけるような制度になるように頑張っていきたいと思っております。
 ありがとうございました。

○輿水委員 ありがとうございます。
 まさに、地域の介護、私も地元でそういった施設の方と触れ合う中で、本気で成果を出そうとすると、今のルールの中ではなかなかやり切れない。
 例えば訪問介護にしても、新人の方が入ってきました。当然、一人で行くという前提でなっているんですけれども、新人の方のときには二人以上でついて、しっかりとしたその方の指導をして、受けられる方も満足がいくサービスが受けられるように見届けて、そして進めていく。その分が全部、施設管理者というか、その負担になっている。でも、そういったところは成果を出している。そういったところをしっかりと評価できるような、そんな環境をつくっていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 最後に、再生医療の安全かつ迅速な実用化の取り組みについて伺います。
 さきのこの委員会でも、再生医療を進めるための法案も全会一致で成立をし、また、田村大臣の所信表明においても、我が国で最先端の研究が進められているiPS細胞は、日本発のイノベーション創出の可能性に富んだ技術であり、一刻も早い再生医療の実用化を進めるために、安全面、倫理面に配慮しつつ、予算面での支援と制度面での対応を進めていくと述べられております。
 いよいよ、ここからが勝負であると思います。日本の最先端の研究開発の成果をどのように実用化に結びつけていくか。細胞の摘出、保管、培養、投与、経過措置など、個々の工程の技術革新とあわせて、再生医療の実用化を担保する世界標準となるような再生医療の安全基準を日本が生み出していく。また、それに沿った形であらゆる工程をしっかり整備していくことによって、その実用化がなされるものと思います。
 いよいよ、この再生医療の分野で新たなる成長を狙う日本として、まさに世界標準となる再生医療の安全基準、こういったものを生み出すための積極的な取り組みが必要と考えますが、この点についての大臣の見解を伺います。


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