183-衆-厚生労働委員会-3号 平成25年03月19日
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○白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。
まず、質問の場をいただき、心から感謝を申し上げます。
私は、歯科医師として医療の現場で、また、保育園の福祉の現場、幼稚園の教育の現場で働いてまいりました。その経験をもとに少しお話をさせていただきます。
まず最初に、国民の皆様方に理解していただきたいのが、医療というものは大変なコストと労力がかかる、このことを理解していただきたいんです。
私も大学病院で、口の中のがん、いわゆる舌がんや歯肉がん、そちらの手術に携わってまいりました。
皆さん、手術室というのは大変コストがかかるんです。滅菌や消毒、そして、全ての器材を滅菌パックに入れ、また、使い捨てになるものは全てディスポのものを使います。術着や患者さんをくるむ布、グローブ、注射針、さまざまなもの、それらを使い捨てにしますし、また、捨てるときにも、医療性の感染する廃棄物として処理にお金がかかります。
また、術者も、医師や歯科医師、サポートする方は看護師さん、検査するには臨床検査技師さん、レントゲン技師さん、お薬を出すには薬剤師さんと、全てが有資格者の方々。そして、手術が終わった後も、二十四時間三百六十五日の体制でそれをサポートしなければいけない。医療というものは大変コストと労力のかかる現場である、そのように御認識をいただきたいと思います。
そして、今回、予防接種法の改正の中で、いろいろなワクチンが導入されました。その中の一つ、例に挙げさせていただきますが、子宮頸がんのパピローマのワクチンでございます。これも大変なコストがかかるものでございます。このパピローマのワクチン、ワクチン代だけでも実費で三万六千円、これは三回接種でございますが、そのたびに注射針や注射器、そして技術料を含めますと、全体で約五万円ぐらいかかります。
今回、このコスト九割を地方交付税とし、一割を実費の負担としてありますが、最近の風潮としまして、自治体ではワクチンの無料化が進んでおります。
私は、この風潮は大変問題があると思っております。なぜならば、国民の方々が、この医療やワクチンに対してどれだけのコストがかかっているかがわからなくなるからです。
今回、九割は国がしっかりと面倒を見る、一割分を、国民の皆さん、おたくのお嬢様のためにどうか実費負担をしてくれと強く訴えてもらいたいんです。
そして、大変生意気でございますが、その一割分、五千円を集めたお金に対しての使い道を少し示唆させていただきますと、今回のパピローマのワクチンは、パピローマの16と18をターゲットにしております。子宮頸がんの原因、文献によって違いますが、五〇%から七〇%の原因にヒットします。つまり、最低でも子宮頸がんの半分の原因のリスクを軽減することができますが、逆を言えば、最高でも五〇%のほかの原因が残るわけです。
つまり、子宮頸がんの検診をしなくていいわけではなく、また、ほかのSTD、いわゆる性行為によって感染する感染症、淋病とか梅毒とかエイズとかクラミジアとかC型肝炎等、さまざまあります。それらとはこのワクチンは全く関係ございません。つまり、このワクチンを接種したことによってそれらの病気が防げるという誤解を生んではいけないんです。従来どおり、やはりしっかりとした避妊具、コンドーム等の使用が一番効果的である、そういったことごとを子供たちにしっかりと説明をし、これから十年間でSTDを全て撲滅するんだ、それぐらいの思いで私は活動していきたい。
そのための予算を新しく計上するのではなくて、今回いただく一割を、省令として、そういったものに全て使ってくれと。結果的に全て子供たちのために使えばいいんですから、ワクチンにかかるコスト、そういったものもしっかりと国民の方々に理解していただくためには、私は、今回一割分は必ず国民の方々に負担をしていただきたい、そのような思いがございます。
それについて、とかしき政務官、お答えしていただけたらと思います。
○とかしき大臣政務官 おはようございます。
白須賀委員に御質問していただきまして、ありがとうございます。
先生がおっしゃいますように、本当にそういった啓蒙活動がとても大切であります。ワクチンを打ったからといって全てこの病から解き放たれるわけではありませんし、日ごろの注意を怠ってしまうとやはり病にかかるリスクがあるということをきちっとお知らせしていくこと、それはとても重要だと思います。
委員御指摘いただきましたけれども、費用負担の件に関しましては、今回の予防接種法で、個人負担、これは、経済的理由でその費用負担ができない方を除いて、実費を徴収することは今の法律上できることとされております。ただ、この徴収に関しては市区町村の判断に委ねられているというのが現状でございます。
委員御指摘のこういった啓蒙活動に国としても積極的に取り組んでいきたいと思っておりますので、御意見を参考とさせていただきます。ありがとうございます。
○白須賀委員 政務官、ありがとうございました。
私は、前政権であります野田政権の野田総理を少し尊敬しております。やはり、国民の方々の一番耳に痛いところをしっかりとうたった、そのことに関しては、他党でございますが、私は心から敬意を表しておりますし、彼にできたことが私たちにできないはずがない。ですから、そういった国民の負担は絶対に求めていくべきだと思っております。
最後になりますが、武力による侵攻、それを守ることだけが国防ではありません。未知のウイルスや未知の細菌から国民を守る医療も国防であることを強く訴えて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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○柚木委員 今、一つの機会だ、そういう御認識をおっしゃっていただきました。
本当に大きな機会だと思うんですね。これを逃しては、この間の積み上げてきた議論、そして政権がかわった、大臣が先頭に立ってやるというこのタイミングで、やはりその機会を逃したら次はない、それぐらいの認識で、我々も後押しをしますから、大臣、ぜひそこは先頭に立って取り組んでいただきたいと思うんですね。
そのための一つのツールを次の質問で申し上げたいと思うんですね。これは、ワクチン価格の透明化、適正化のための調査についてであります。
今回、国費として、この一、九という、三割から九割、ドラスチックに引き上げられるわけですね、国費の負担分が。そういった中で、御案内のように、これまでは自治体ごとに、価格交渉に本当に努力をされて、ワクチンの製剤納入価格、手技料などに差があるのも事実ですね。もちろん自治体の努力というものもあるわけですが、しかし、国費を九割投入するという段になって、やはりそこまで自治体ごとのいろいろな違い、ギャップがあるのはどうなのかという議論もあるわけです。
そこで、我々党内の小委員会でも、このワクチン価格の適正化、あるいは問診料なども含めて、これはしっかりと明記させていただきました、問題認識を。厚労省の予防接種部会でも、このワクチン価格などの実態を把握する措置を講じ、価格調査や委託契約価格などの実態調査をするよう提言しているわけですね。
大臣、この調査は今どうなっているのか。そして、では、その調査結果がいつまでに出てくるのか。その結果として、ワクチン価格、委託契約価格などの水準のあり方、公平性、公正性の観点からどのようなものを考えているのか。ぜひ、調査の期限も含めて、お答えいただきたいと思います。
○とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。
ワクチン価格の実態調査の必要性につきましては、昨年五月の予防接種部会の第二次提言で御指摘いただいております。そのために、平成二十五年度の予算案で約一千六百万円を計上させていただいております。そして、七月から八月をめどに調査が実施できるように、今準備を進めているということでございます。
以上です。
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○伊東(信)委員 それでは、せっかく予防接種法の一部を改正することとして、九割の公費の負担ということにしているわけなんですけれども、そのあたりの、いわゆる公正性という意味では、自治体によって、地方間格差どころか、本当に市町村間格差にまでなっているんですけれども、そのあたりの改善の余地というか、改善のお考えというのはどうでしょうか。
○田村国務大臣 実態、どういうような金額で流通しているかということを調査することは、これは必要だというふうには思います。一定価格を示していくということは必要だと思いますが、やはりこれは今言いました地方自治事務なんですね。ですから、国が、例えば一定価格に決めて買い上げて配るという話になると、国がこれをやらなきゃいけなくなっちゃう話でありまして、そうすると、地方厚生局をもっとふやして、それをやらなきゃいけないというような話になってくるわけですね。
御承知のように、委員はもう専門ですからよくおわかりだと思いますが、やはりこれも含めて、日本の卸を含めて流通機構というのがあるわけでありまして、そういうものを通じて価格が決まっていくわけでありますから、そうなってくると、もともとのワクチンの価格が決まっていく中で、最終的に幾らで接種をするかということになるわけでありまして、なかなかこれを一律にということは、その配送網等々を国が全部整備して配るという話になれば別なのかもわかりませんけれども、自由な競争の原理の中では、なかなかそういうふうに一律の価格というものを決めるというわけにはいかないというふうに認識をいたしております。
○伊東(信)委員 このあたりは地方自治の話になりますし、予防接種といわゆる経済効果に関しては、この後、我が党の上野議員がもっと突っ込んだ話もされますので、私の方は、今回はHPVについて、もうちょっと突っ込んだ質疑をさせていただきたいと思うんです。
お手元に資料を配らせていただいたと思うんですけれども、主要国におけるワクチンの製造販売希望小売価格ということで、HPVワクチン、子宮頸がんワクチンという名前になっておりますが、各国、サーバリックスとガーダシルという二つの種類のワクチンがございまして、このシェアが、ここには値段しか書いていないんですけれども、同じ値段なんですけれども、シェアが日本と他の先進国と逆転しているんですけれども、このあたりは何か我が国では、何かしら悪い想像をしてしまうんですけれども、何か事情があるのでしょうか。
○田村国務大臣 サーバリックスとガーダシルの、どれぐらい世界じゅうでシェアを持っているかというのはちょっと、販売業者から我々資料がないものですから、把握はしてはいないわけでありますけれども、日本の国だけ申し上げれば、サーバリックスが、これは二十四年の十二月三十一日までの出荷数量でありますけれども、六百八十四万本、ガーダシルが約百四十五万本ということで、おっしゃられるとおり、サーバリックスの方がよく使われておるということでございますが、一方で、直近の三カ月だけ見ますと、サーバリックスが二十一万本、ガーダシルが四十一万本ということで、逆転をいたしております。
ですから、これは、今言われたような何か悪いことがあるというわけではなくて、自由な競争の中でたまたまそういう結果になっておるのであろうというふうに推測をいたしております。
○伊東(信)委員 実際、この薬剤の違いといいますのは、片方が、いわゆる子宮頸がんに有用な、先ほどから御指摘ありますけれども、16型と18型に効くわけでして、もう片方が、6、11、つまりSTDである、セクシャル・トランスファー・ディジーズである尖圭コンジローマにも効くわけなんですね、6型、11型にも。
では、広く効く方がいいじゃないかというような発想でいくのか、いやいや、子宮頸がんワクチンなんだから、頸がんワクチンに特化した方がいいんじゃないかということで、国としての戦略も変わってくるんですね、ワクチンという、予防という意味では。その辺のところはどのようにお考えなのでしょうか。
○とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えさせていただきます。
現在の子宮頸がん等ワクチンの接種促進事業では、ヒトパピローマウイルスの16型と18型、こちらの方の予防効果を期待しておりますので、サーバリックスとガーダシル、どちらを使用しても差し支えないということになっております。
そして、昨年五月の予防接種部会の第二次提言におきまして、恒常的に評価、検討を今後も行っていきたいということで、これからは、複数のワクチンがある場合には、有効性の高いワクチンのみを予防接種の対象とすることもあり得ると考えております。
以上です。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
では、子宮頸がんに絞っていくという、まずそういうストラテジーということで理解させていただいたんですけれども、実際、中学校一年から高校三年生の女子を対象にしているわけなんですけれども、まず、いきなり進行がんになるわけじゃなくて、前がん病変になるわけですね。
前がんから進行がんに移行していくパーセンテージ、つまり、前がん病変をそのままほうっておけば、どれだけ進行がんになるんだというような統計というのは把握されておりますでしょうか。
○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
国内外の研究によりますと、八八%から九六%の子宮頸がんの患者からヒトパピローマウイルスが検出されております。
このヒトパピローマウイルスに感染している多くの場合は自然に消滅する、こういうふうに考えられておりますけれども、特に、感染症に至ったうちのどの程度の割合が子宮頸がんの前段階の病変をもたらすかは、今のところは明らかではございません。ですが、子宮頸がんの前段階の病変のうち高度に至った場合は、十年間で上皮内がん以上に進展する割合は約二〇%と今されております。
以上でございます。
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○上野委員 ありがとうございます。ぜひ対応いただければありがたいというふうに思います。
次に、疾病の分類のあり方についてお伺いをしたいと思います。
今、新しい改正法案では、A類、B類、それからそこに位置づけられない任意のもの。任意のものであっても、予算上の支援があるもの、ないもの、また、そもそも日本では受けられないワクチン、いろいろなカテゴリーがあるんだと思うんですけれども、そもそも、こういった分類、A類、B類のところも含めて、非常にわかりにくい、また、この分類について合理的な理由がなかなか見出せない、そういう点があるのではないかと思います。
また、受ける側、保護者の方々から見ても、なかなか、A類、B類、任意接種の違いというのが見えてこないというところがあるのではないかと思います。
また、特に任意接種というところについてでありますけれども、当然、接種をするかしないかの判断は、保護者の方々、受ける方々がいろいろな情報を踏まえて判断をするということだと思うんですけれども、そもそも、保護者の方々は、医学的な知識を持っている方もいらっしゃれば、そうじゃない方もいらっしゃる。そういった中で、当然、情報の提供はしっかりとやっていかなければいけないし、最後は、それは受けないという判断もあり得るんだとは思うんですけれども、一方で、医学的に素人も含まれる保護者の方々に受けるか受けないかの判断を委ねる、義務を委ねる、責任も委ねる、そういったことでは、なかなかこれはうまく回っていかないんじゃないかなというふうに思います。
そもそも、任意接種といったような分類、位置づけが本当に適当なのかどうかということも含めて、また、今のA類、B類、こういった分類が本当に合理的なのかどうかということも含めて、ワクチンの区分のあり方というのは結構議論があるんじゃないかなというふうに思います。
そもそも、医学的、科学的に根拠があるものであれば、しっかり国としてこれは推奨していく、また、それが明らかじゃないものについては、これはそういうものだというふうにして、複雑な分類をつくるのではなくて、もっと明確に保護者の方々に見えるような形で国が判断をしていく。保護者に委ねるのではなくて、これは受けるべきものなんだということを国がしっかりと判断をして、明確に見せていくことが本来必要なのではないかなというふうに思うんですけれども、この点、見解をお伺いしたいと思います。
○矢島政府参考人 今、疾病分類についての御指摘をいただきました。
御指摘のようなこともいろいろとあったものですから、私たちなりには、法律の中では、一類疾病、今度、改正後はA類疾病になりますが、A類疾病については、その発生及びその蔓延を予防するために、特に予防接種を行う必要がある。要するに、発生とその蔓延というものを一類、要するに改正後はA類疾病。
今度、新しくB類疾病になるわけですが、B類の方は、個人の発病またはその重症化を防止し、あわせてこれによりその蔓延の予防に資する。要するに、個人がその予防接種をすることによってその蔓延の予防に資するということを目的とするという形、一応、法律には。
でも、先生御指摘のように、ちょっとわかりづらいというような御指摘があるのかもしれません。それはまたいろいろと工夫をさせていただきまして、実際に周知徹底するときには、いろいろとその辺のところをもっとわかりやすくする必要があるかと思いますが、今度の新しい法律の中では、一応、我々、前よりはわかりやすく定義を、今回の法律改正の中ではそれを明確にさせていただいて、そのB類疾病とA類疾病の違いを法律上明記させていただいたというふうに思っています。
今後は、これによりまして、各疾病を客観的な基準で分類することが可能だというふうに考えております。
○上野委員 ありがとうございました。
もう少し申し上げたいことがあるんですけれども、ちょっと時間がないので、次に行きたいと思います。
次に、効果の周知徹底ということでお伺いをしたいと思います。
審議会の中で、七ワクチンについては進めていくべきだというふうにされたということだと思うんですけれども、一方で、世の中、一般の方々にとっては、予防接種の効果というのがなかなかまだ周知をされていない、理解をされていない点があるのではないかなというふうに思います。
そもそも平成六年に、努力義務、義務ではなくて努力義務になったということをもってして、義務接種ではないので受けなくていいんじゃないかというふうに思っておられる方もいらっしゃると聞いておりますし、また、ワクチンは副反応による事故があり得るので、自然感染の方がいいというふうにおっしゃられる方もいらっしゃる。また、自然感染の方がしっかりと免疫がつくから、むしろ感染をした方がいいんだというふうにおっしゃっている方もいらっしゃる。お医者さんでもいらっしゃったり、こういった情報が随分インターネットでも流通をしているといったような状況があるのではないかというふうに思います。
こういった状況についてどのように考えるのか、またどのように対応していくのか、お伺いをしたいと思います。
〔上川委員長代理退席、委員長着席〕
○とかしき大臣政務官 ありがとうございます。
いろいろな御意見を頂戴して、ありがとうございました。
ワクチンに関してはいろいろな考え方があるかと思いますし、実際にそうやって病気にかかって、それで免疫性を高めていった方が効果があるのではないか、そういった御意見があるのも承知しております。
ただ、今回の予防接種法では、やはり法律に定めたワクチンはしっかり接種をしていただいて、その方が予防効果が上がるということで、今回、法整備化させていただいております。
特に、この予防接種におきましては、一類の定期接種につきましては、なるべく広く、多くの方にこれを受けていただきたいと思っておりまして、対象者の方はなるべく接種を受けていただけるよう努めなければならない、こういうふうに法律の方で規定させていただいております。
接種に関してはいろいろな御意見がございますけれども、正確な知識をしっかり得ていただいて、普及啓発に努めていく、このように心がけております。
ありがとうございます。
○上野委員 ありがとうございます。
今、とかしき政務官にお答えいただいたんですが、改めてちょっと確認をしたいんですけれども、任意接種の部分、例えばおたふくとか水ぼうそうについても、これは予防接種ではなくて自然感染の方がいいというような情報がインターネット上であったりもするわけですけれども、私は、おたふく、水ぼうそう、まあ、水ぼうそうなんかは特にそうだと思うんですけれども、しっかりと予防接種を受けて防いだ方がいい。
特に水ぼうそうについては、自然感染の方がいいんじゃないかというような情報も随分あると思うんですけれども、これは、自然感染ではなくて予防接種をして防いでいく、接種率を上げていく方がいい、そういう情報をしっかりと伝えていくことが望ましい、そういう御答弁だったという理解でよろしいですか。
○とかしき大臣政務官 それで結構でございます。
○上野委員 ありがとうございました。
では、任意接種のものも含めて、しっかりと厚生労働省として、政府として、接種率を上げていく、誤った情報はしっかりと否定をしていって、予防接種の効果についてしっかりと周知をしていく、普及啓発をしていく、そのことを改めてお願いしたいと思います。
時間になりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。
一番最初の質問で、大臣にもお答えをいただきました。まさに、今回の改正は第一歩ということなんだと思います。私どももそういう思いでありまして、今回の法改正の内容を見ていると、そもそも、審議会でこうあるべきと言われた内容についても、しっかりとやっているとはなかなか言いがたい、不十分な、まさに第二歩、第三歩が必要な改正であるんだと思います。
先ほど申し上げましたけれども、何十年に一回の予防接種法の改正ということになって、これで疾病の整理が一段落して次の改正が何十年後になる、そういったことが決してないように、継続的に作業を進められて、ぜひ近いうちに、予防接種法の抜本的な、それこそ本当に抜本的な見直しをやっていただきたい。疾病の類型の見直し、費用負担のあり方、また、ワクチンの追加、それも含めて、ぜひしっかりと早急に検討をいただきたいと思うんですけれども、大臣の御決意、考え方をお伺いしたいと思います。
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○宮沢(隆)委員 よろしくお願いします。
本日は、児童虐待の話を中心に質問させていただきたいと思います。
まず、ちょっと余談ですが、織田裕二演じる「踊る大捜査線」というのは皆さん御存じだと思うんですが、その中で青島刑事の名せりふに、事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こっているんだという言葉は御存じだと思います。三カ月前まで普通の医者であった私の役目は、永田町に現場の厳しさをお伝えするのも一つの役目だと思いまして、私が脳外科医として経験した虐待事件のお話を先に少しさせていただきます。
私が救急外来にいますと、ぐったりとした二歳児を抱えた女性が入院してきました。それで、検査等で、男児の頭蓋内には急性硬膜下血腫という、血がたまっているわけですね。それで、急いで手術室に入って、メスを入れて頭蓋骨をあけて、硬膜という膜を切ると、一メーターぐらい血液と髄液のまじった液体が噴出してきまして、研修医が腰を抜かしそうになったということもありました。
そこへ、結局、警察も来まして、母親の話をよく聞いて、母親はほとんどの場合認めないんですが、徐々に、覚悟をして、少しずつ、たたいたとか揺さぶったとかというのを話し始める。これが一般的経過で、多くの小児科医、脳外科医は経験している現場であります。
今、マスコミ等で有名になっている揺さぶりっ子症候群というのがありまして、英語で言うとシェークン・ベビー・シンドロームというんですが、あやしているつもりで頭部を振って、それだけで頭の中で血管が切れて出血するんですね。そういうのを一般の方もほとんど知らない。恐らく昔はそれで脳性小児麻痺のような状態になって、あるいは亡くなったという子供がたくさんいたんじゃないかと思うんですが、今はそういう病態があるということは少しずつ認知されてきましたので、減ってはきているだろうと思います。
虐待をめぐる社会的な問題として、虐待している親は、まず、ほとんど認めようとしないということが一つ。しらを切るんですね。それから、意外とインテリの親の世帯に、多いかどうかわからないんですが、私が接している限りでは、結構しっかりとした親のように見えるんですが、でも、家庭内ではストレス等でそういうことをやってしまうという現実があります。
それで、先にちょっと現状をお知らせしたいと思いまして、資料の一を見ていただきたいんですが、ここにグラフがあります。
上の方です。最後に、六万というところへ印がしてある。平成二十三年。これは報告をしてくる件数ですね、児童相談所に問い合わせがある。これがどんどんふえている原因は、絶対数と、それから一般の方の意識がふえている、両方の要素があると思うんですが、そういうことで、とにかく、ふえていることは間違いない。
それから、下の表は、児童虐待によって子供が死亡した件数を並べてあります。第一次報告は平成十五年、一番左端から、第八次、右端まで。この丸で囲ったのは死亡した人数です。そうすると、少なくとも、どんどんふえているというのがわかります。第四次、五次については、これは十五カ月分の資料ですので、若干飛び抜けて高くなっています。
まず、こういう現実があるということを認識していただきたいと思います。
そして、資料の二は、右下の星印のついたのをごらんいただきたいんですが、虐待の相談がどういうルートで来るかということを示しているんですが、意外とばらけていて、右上から見ると、家族、近隣・知人、福祉事務所、警察、学校、その他となっていますね。十数%ずつです。左下に医療機関があるんですが、意外と少ないんですね。これは私自身もちょっと意外だったんですが、医者がどんなに頑張って通報しても、この程度しかない。逆に言うと、それほど多いということですね。
それで、資料三は、この三、四、五は厚労省からいただいた資料なんですが、この辺については厚労省の方から説明していただいた方がいいだろうと思うんですけれども、三、四、五を通じて、今の児童虐待防止の概略について、とかしき政務官ですか、よろしいですか、お話しいただいて。
○とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。
地域の児童虐待防止システムというのは、市区町村を中心に、児童相談所、警察とも連携しながら今行っているところであります。
子どもを守る地域ネットワークというものをつくられておりまして、いろいろな角度から子供の虐待をしっかりと、先ほどの資料でもございましたけれども、家族とか地域とか周りにいる人たちがしっかり連携をしながら見守っていくという体制を整えております。
○宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。これを全て口頭で説明するというのは、なかなか大変なことだと思うんですけれども。
私がレクを受けて理解したのは、平成十六年の児童虐待防止法で、市町村と児童相談所が二重構造で対応する。資料三の上の方に書いてありますね。市町村虐待相談件数が七万件、地域ネットワーク等で対処する。
このシェーマ、絵の特徴は、真ん中に市町村が入って、非常に対応が従来よりはスムーズになったということです。児童相談所というのは、この右端に、縦の欄に二百七カ所と書いてあります。
この児童相談所というのは、我々医者も、それから市町村、県、それぞれの虐待にかかわる組織が関係する、かなめの組織なんですね。この児童相談所の実態というのが、私自身も認識していませんでしたし、恐らく厚労省の方々も、最終的には都道府県管理ですので、余り現場のことは御存じないかなと思いまして、実は、昨日、都内の某児童相談所の方へ行ってヒアリングをしてきました。
そこで、簡単にサマライズしますと、年間五百人の相談を受けて、二割は虐待に該当しない。逆に言うと、八割は虐待に該当しているわけですね。
対応としては、まず、数が足りない。それは資料四の左の方にも書いてありますが、相談員の数が足りない。それから、専門職が足りない。それから、人材育成もしたいんだけれどもできない。親の見立て、子供よりも、親がまともかどうかというのを判断するのが非常に難しいそうで、その辺で非常に困惑している。あと、職員がメンタルにやられて、年一人ぐらいはやめているそうです。物すごい親が中にはいますので、すごい攻撃を受けるそうです。
都内に、その保護した子供、親のもとにとても帰せないというような子供を保護する施設が、三千人というのがあるらしいんですが、もうここは既にいっぱいで、次から次へと虐待されて来る子供を預ける場所がなくて困っている。最終的には、里親とか、そういう保護してくれるところへ回すんでしょうけれども、それが手いっぱいになっているということですね。
小児精神科医とか、そういう専門職が本当はいてくれるといいんですが、県に数人いる程度らしいです。そんな現状を聞いてきました。
それで、この辺から本格的な質問に入ります。平成二十四年四月から改正児童福祉法が施行されているようですが、資料にもありますけれども、これの効果というのは上がっているのでしょうか。お願いします。政務官ですね。
○とかしき大臣政務官 質問ありがとうございます。
児童相談所の方に、昨日、御視察いただきまして、本当にありがとうございます。自治体が中心に、今、この児童虐待の方は対応していただいておりまして、現場を見ていただいて、一番、その生の声を届けていただきますことを、本当に心からお礼を申し上げたいと思います。
今、法律、昨年の四月に、児童相談所と警察の連携を今後強化していこうということで、都道府県に対して指示が出されたということでございます。
これからその効果がどれほど上がってくるかというのが多分出てくるかと思いますけれども、平成十九年の児童虐待法の改正で児童相談所と警察との連携も強化されていまして、従来と違って、家庭の中に入っていって安全の確認等、そして、例えば家の中に入れないような場合の臨検・捜索制度、こういった権限も児童相談所はどんどん強化されてきております。それに伴いまして、援助要請の件数の方も少しずつふえてきているという傾向もございます。
ということで、今、そういった新しい法整備が整ってまいりましたので、推移を見ているというところでございます。
○宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。
今、市町村、都道府県にある程度お任せ、あるいは指示するというような答弁が多かったと思うんですけれども、各都道府県、市町村での実態がどうなっているかというのは厚生労働省として把握しているのか、あるいは、なければ、これから把握しようとするのでしょうか。その辺、ちょっと伺いたいと思います。
○とかしき大臣政務官 質問いただきまして、ありがとうございます。
現場では、都道府県、市区町村が担当しておりますけれども、もちろん、この状況については、厚労省の方には報告は全部、件数が上がってきておりまして、今の相談対応件数が、各都道府県がどういった相談が出ているのかとか、その数値の推移とか、こちらの方で把握をさせていただいております。
○宮沢(隆)委員 そうですか、私の方へは、余りそういうデータがなかったものですから。では、厚労省の方、後ほど回してください。お願いします。
あと、今回、予算のことなんですが、虐待防止の予算措置ということで、それだけにということはないだろうと思うんですけれども、どのくらいの予算を想定していて、それが足りているのか、足りていないのか、その辺のコメントをいただけますでしょうか。
○とかしき大臣政務官 二十五年度の予算では、関連予算としまして、前年度比二十六億円増の九百六十八億円を計上させていただいております。
具体的にはどんなところにこの費用を使っているかと申しますと、相談機能を強化していくということと、児童の安全確認のための体制の強化をしていこう。これは、具体的に、例えば、児童相談所の窓口で働いていたOBの方々もこの中に入っていただいたりということで体制を強化していこうというふうに考えております。
あと、虐待を受けた子供などの、福祉施設等へ一時退避なさいますけれども、これをなるべく小規模化していこうということと、地域を分散化していこう、こういったところに予算を割かせていただいております。
また、平成二十四年度の補正予算では、安心こども基金の積み増し、延長を行いまして、乳児家庭全戸訪問事業、それから養育支援訪問事業などの取り組みが実施できるように措置をさせていただいております。
以上です。
○宮沢(隆)委員 これは私の私見なんですけれども、今の児童相談所の現状を見ていると、もっとふやしてあげてもいいんじゃないかなという気はしています。
これは、厚労省内でも同じように起こっている、この間質問した、高齢者の一割負担を二割に戻そうじゃないかという話、あれで毎年二千億円使っているのであれば、こちらへ一千億円ぐらい入れるとか、そういう方法もあるんじゃないかなと思うんですね。それはもう、高齢者は恐らく文句は言いませんよね。だから、そういう言い方でうまく予算を動かしていったらいいんじゃないかなとちょっと思いました。
それから、厚労省でも政府広報として努力しているということは聞いているんですが、先ほどのシェークン・ベビー・シンドロームとか、そういう医学的知見を一般の人にももっと知識として持ってもらってもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺は何か努力をされているんでしょうか。お願いします。
○とかしき大臣政務官 ありがとうございます。
先ほど宮沢委員にも御指摘いただきました乳幼児の揺さぶられ症候群、これを防ぐために、赤ちゃんが泣きやまない場合の対処方法を啓発しようということでDVDを作成いたしまして、今、全国に配布をする予定でございます。
親にこういった必要な知識をきちっと提供させていただいて、こういった事件にならないように支援に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○宮沢(隆)委員 非常に結構だと思います。その辺の広報は、もうちょっとお金をかけて、もっとやってもいいんじゃないかと思うんですね。それは最終的に都道府県、市町村の助けになりますので。同時に、絶対数も減ってくるだろうと思います。
もう一つは、昨日の現場の児童相談員もこぼしていたんですが、いわゆる児童相談所の強制力というんですか、その辺をもうちょっと強化できるとありがたいということも言っていましたし、あとは、強制力を持っていても、なかなかそれを行使するというのは、結構、所長の判断で意外と左右されるということらしいんですね。
だから、結局、そこが際どくて、例えば、二回訪問して子供を親が玄関まで出してこなければ、もう三回目は鍵をあけさせて強制的に入るとか、それが強制力らしいんですが、その辺は、そこを逃すと一週間後に子供はもう死体になっていたとかというのが、今ニュースでぼんぼん出ているわけですね。
そこをもうちょっと、水際で大事な子供を守る方向に、強制力を強い方向に持っていってもいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○とかしき大臣政務官 先ほどもちょっとお答えさせていただきましたけれども、平成十九年の児童虐待法の改正で、児童相談所の権限は強化をされております。先ほどお答えしましたけれども、安全性確認のために解錠を伴う立ち入りとか、そういったことが強化されて、導入されております。
ということで、権限を強化され、さらにもう一つ大切なのは、警察との連携、これをどうとっていくかというのも結構重要でございます。ということで、今後も、児童相談所と警察、これがいかに密に連絡をとりながら子供の虐待を少しでも少なくしていくか、この辺に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○宮沢(隆)委員 資料一を先ほど見ていただきましたけれども、平成十九年の法律改正で、では減ってきたかというと、決してうんと減っているというわけでもないんですね。
平成十九年だから、もう随分たっているわけですので、もうそろそろ再検討して、今のそういう強制力のレベルでいいのかどうかとか、そこはちょっと考え直していただいた方がいいんじゃないかと思います。これは私の提言です。よろしくお願いします。
では、児童虐待の話はここで終わりにします。
では、がらっと話の内容は変わります。
これまたちょっとお医者さんの世界の話で申しわけないんですが、今、専門医制度というのが、どういう専門医制度のあり方がいいかというのが議論がずっと続いております。
それで、もちろんお医者さんの方が議論しているんですが、日本専門医評価・認定機構が、今やっと結論を少し出して、第三者機関をつくろうという段階になっているようなんですが、私の知り合いの某医学部長からも問い合わせがあったんですけれども、この第三者機関の運営費用とか運営メンバーとかをどのように決めていくのかという、私自身もちょっとお聞きしたいと思うんです。これは大臣になりますか。
○原政府参考人 お答えいたします。
医師の専門医制度については、多くの学会がそれぞれ独自の制度を設けて、独自の基準で専門医を決めてきたという経緯があります。その中では、必ずしも専門性がどうかという、あるいは比較ができないような形のものもございます。
そういう中で、専門医について、多くの学会が統一した基準をつくって決めていこうというような動きがあり、そういう形で社団法人日本専門医制評価・認定機構というものが設立されております。
今お尋ねの検討の部分でございますけれども、これは、私どもの方で、一昨年の十月に専門医の在り方に関する検討会というのを設けて、ことしの三月まで、計十七回、議論を重ねてまいりました。先日の三月七日に十七回目を開きまして、最終的な報告書の案を取りまとめていただいたところでございます。最終的には、若干の字句の修正等がございまして、今現在、今年度中に何とか委員の先生方の合意を得たいと考えているところでございます。
専門医制度の認定機構の方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これは、社団法人でございますので、関係する多くの学会を社員として成り立っている社団でございます。その中で、社員からの会費により運営が行われているという状況でございます。
これに対しまして、新たに考えている、第三者機関として専門医を認定していこう、こういう仕組みにつきましては、この検討会の中でも、それぞれ学会から独立した中立的な機関でやっていくべきだということで合意ができているところでございまして、その運営に当たりましては、現在あります社団法人の機構とは別につくっていくものと考えておりまして、そのために、準備の組織を来年度には立ち上げていきたいというふうに考えております。
〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕
○宮沢(隆)委員 おおむね私の理解と同じです。
そこで、私はもう一回お聞きしたいのは、今の制度評価機構では、学会が供出金を出しているということでしたね。それを第三者機関でも踏襲して、やはり学会からお金を取るのかということ。
もし独立云々というのであれば、お金は取ってはいけないんじゃないかと思うんですよね、やはり左右されるということもありますし。また、学会もお金持ちじゃありませんので、学会側にとっても、お金は取られない方がいい。その辺はいかがお考えでしょうか。
○原政府参考人 お答えいたします。
現在は第三者機関を設立する前段階でございますので、具体的に、どこからの拠出を求めるかとか、そういうことについて決まっているわけではございません。
そのために、中立性というのは先ほど申し上げましたように重要でございますので、それを保つために、その準備組織をつくろうということが今回の検討会でも提言されておりまして、その中には当然ながら医療関係者も入っていただきますけれども、その他一般の国民の方々の代表になられるような方々の意見なども含めながら、国民の目から見てもわかりやすい専門医制度をつくるために、そういうような組織をつくった上で、第三者機関に対する拠出をどこに求めるかということも、その中で検討していただくことになろうと思います。
○宮沢(隆)委員 よくわかりました。
それからもう一つ。
第三者機関の構成メンバー、いわゆる、多分理事長がいて理事が何人かいるというような形になるんだろうと思うんですけれども、そのときに、一般に、こういうお医者さんが絡む組織というのは、お医者さんの中でも教授だとか院長だとかという、そうそうたる地位の方々が並ぶというのが普通だったと思うんですけれども、私は、ちょっとそれでは片手落ちだろうと思うんですね。
まずは、やはりお医者さんでない人を入れるとか、同じ有識者といっても、うんと若い人、三十前後の方で有識者という方を入れるとか、そういう工夫をしていかないと、こういう新しい組織というのはなかなか斬新なアイデアも出てこないだろうし、進まないんじゃないかと思っていますので、ちょっと意見として取り入れていただきたいと思います。
では、この問題はこのぐらいで結構です。
最後の問題、これもちょっと衝撃的なデータなんですが、私がある精神科のドクターと雑談をしているときに言われたんですけれども、医者が毎年九十人自殺しているという話を聞いたんです。
僕はびっくりしまして、そのドクターもびっくりしていましたけれども、医学部の卒業生のほぼ一学年分、毎年ドクターが自殺している。看護婦さんとか女医さんの自殺も結構多いようなんですね。データによると、一般の自殺の一・三倍とか一・四倍とか、アメリカ、イギリスなんかではもっと多いらしいです。
結局、それの原因となっているのが過労ですね、労働環境が劣悪過ぎるということです。
それで、これについては、厚生労働省として何か解決策を考えているのでしょうか。これはどなたにお聞きしたらいいですか。よろしくお願いします。
○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
医師の自殺が多いということで、私もたまたま近くで、そういう事例が幾つか、耳に挟んだことがございまして、命を預かる大変重たい仕事でありますので、多分、過度に精神的にストレスがかかる大変な仕事で、その分、そういった形で、自殺という最悪の選択をせざるを得ないような状況に追い込まれてしまったのではないかなというふうに思います。
そこで、厚生労働省としましては、やはり働きやすい環境をつくっていくことが非常に大切である、このように考えておりまして、今、医療機関の勤務環境改善のための総合的な対策を取りまとめたところでございます。
例えば、勤務環境改善活動を促進する仕組み、システムづくりをしたりとか、あと、マンパワーの確保、先ほど委員もおっしゃっておりましたけれども、ハローワークやナースセンターの事業の連携や、短時間での正職員の活用など、こういったことを使いながらマンパワーをなるべく確保していこうということと、あとは労務管理、医療分野でのさまざまな外部の専門家チームによる医療機関の支援体制、こういったものも整えていこうというふうに考えております。
これは、医療の政策、医療機関の皆さんのこういった労働環境をよくしていかないと、やはりこれも全部患者さんにも響いてくることでありますので、厚労省としても積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
○宮沢(隆)委員 昨年の十月からということで、現場にいた者としては、もっと早く、十年か二十年前からやっていてほしかったなと思ったんですが、とにかく始めていただいただけでもよかったなという思いではあります。
現実を言いますと、私も三年前まで大学病院にいたんですが、大学病院は医者がごろごろいて、いわゆる産業医という医者もごろごろいるんですね。いるんですが、医者は、お互いに自分のことを診てもらうということは絶対しません。ほとんどしません。だから、意外と、病院の中の医者とか看護婦の勤務環境というのはブラックボックスですね。医者の不養生とよく言いますけれども、かなりそのとおりの人が多いと私は思っています。
だから、労働環境をよくして解決すれば、医師の不足だとか偏在というのもかなり解決する方向に行くんじゃないかと思っていますので、このプロジェクトはぜひどんどん進めてください、応援しますので。よろしくお願いします。
では、ちょっと早いようですけれども、終わります。どうもありがとうございました。
〜 (略) 〜
〜 (略) 〜
○白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。
まず、質問の場をいただき、心から感謝を申し上げます。
私は、歯科医師として医療の現場で、また、保育園の福祉の現場、幼稚園の教育の現場で働いてまいりました。その経験をもとに少しお話をさせていただきます。
まず最初に、国民の皆様方に理解していただきたいのが、医療というものは大変なコストと労力がかかる、このことを理解していただきたいんです。
私も大学病院で、口の中のがん、いわゆる舌がんや歯肉がん、そちらの手術に携わってまいりました。
皆さん、手術室というのは大変コストがかかるんです。滅菌や消毒、そして、全ての器材を滅菌パックに入れ、また、使い捨てになるものは全てディスポのものを使います。術着や患者さんをくるむ布、グローブ、注射針、さまざまなもの、それらを使い捨てにしますし、また、捨てるときにも、医療性の感染する廃棄物として処理にお金がかかります。
また、術者も、医師や歯科医師、サポートする方は看護師さん、検査するには臨床検査技師さん、レントゲン技師さん、お薬を出すには薬剤師さんと、全てが有資格者の方々。そして、手術が終わった後も、二十四時間三百六十五日の体制でそれをサポートしなければいけない。医療というものは大変コストと労力のかかる現場である、そのように御認識をいただきたいと思います。
そして、今回、予防接種法の改正の中で、いろいろなワクチンが導入されました。その中の一つ、例に挙げさせていただきますが、子宮頸がんのパピローマのワクチンでございます。これも大変なコストがかかるものでございます。このパピローマのワクチン、ワクチン代だけでも実費で三万六千円、これは三回接種でございますが、そのたびに注射針や注射器、そして技術料を含めますと、全体で約五万円ぐらいかかります。
今回、このコスト九割を地方交付税とし、一割を実費の負担としてありますが、最近の風潮としまして、自治体ではワクチンの無料化が進んでおります。
私は、この風潮は大変問題があると思っております。なぜならば、国民の方々が、この医療やワクチンに対してどれだけのコストがかかっているかがわからなくなるからです。
今回、九割は国がしっかりと面倒を見る、一割分を、国民の皆さん、おたくのお嬢様のためにどうか実費負担をしてくれと強く訴えてもらいたいんです。
そして、大変生意気でございますが、その一割分、五千円を集めたお金に対しての使い道を少し示唆させていただきますと、今回のパピローマのワクチンは、パピローマの16と18をターゲットにしております。子宮頸がんの原因、文献によって違いますが、五〇%から七〇%の原因にヒットします。つまり、最低でも子宮頸がんの半分の原因のリスクを軽減することができますが、逆を言えば、最高でも五〇%のほかの原因が残るわけです。
つまり、子宮頸がんの検診をしなくていいわけではなく、また、ほかのSTD、いわゆる性行為によって感染する感染症、淋病とか梅毒とかエイズとかクラミジアとかC型肝炎等、さまざまあります。それらとはこのワクチンは全く関係ございません。つまり、このワクチンを接種したことによってそれらの病気が防げるという誤解を生んではいけないんです。従来どおり、やはりしっかりとした避妊具、コンドーム等の使用が一番効果的である、そういったことごとを子供たちにしっかりと説明をし、これから十年間でSTDを全て撲滅するんだ、それぐらいの思いで私は活動していきたい。
そのための予算を新しく計上するのではなくて、今回いただく一割を、省令として、そういったものに全て使ってくれと。結果的に全て子供たちのために使えばいいんですから、ワクチンにかかるコスト、そういったものもしっかりと国民の方々に理解していただくためには、私は、今回一割分は必ず国民の方々に負担をしていただきたい、そのような思いがございます。
それについて、とかしき政務官、お答えしていただけたらと思います。
○とかしき大臣政務官 おはようございます。
白須賀委員に御質問していただきまして、ありがとうございます。
先生がおっしゃいますように、本当にそういった啓蒙活動がとても大切であります。ワクチンを打ったからといって全てこの病から解き放たれるわけではありませんし、日ごろの注意を怠ってしまうとやはり病にかかるリスクがあるということをきちっとお知らせしていくこと、それはとても重要だと思います。
委員御指摘いただきましたけれども、費用負担の件に関しましては、今回の予防接種法で、個人負担、これは、経済的理由でその費用負担ができない方を除いて、実費を徴収することは今の法律上できることとされております。ただ、この徴収に関しては市区町村の判断に委ねられているというのが現状でございます。
委員御指摘のこういった啓蒙活動に国としても積極的に取り組んでいきたいと思っておりますので、御意見を参考とさせていただきます。ありがとうございます。
○白須賀委員 政務官、ありがとうございました。
私は、前政権であります野田政権の野田総理を少し尊敬しております。やはり、国民の方々の一番耳に痛いところをしっかりとうたった、そのことに関しては、他党でございますが、私は心から敬意を表しておりますし、彼にできたことが私たちにできないはずがない。ですから、そういった国民の負担は絶対に求めていくべきだと思っております。
最後になりますが、武力による侵攻、それを守ることだけが国防ではありません。未知のウイルスや未知の細菌から国民を守る医療も国防であることを強く訴えて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
〜 (略) 〜
○柚木委員 今、一つの機会だ、そういう御認識をおっしゃっていただきました。
本当に大きな機会だと思うんですね。これを逃しては、この間の積み上げてきた議論、そして政権がかわった、大臣が先頭に立ってやるというこのタイミングで、やはりその機会を逃したら次はない、それぐらいの認識で、我々も後押しをしますから、大臣、ぜひそこは先頭に立って取り組んでいただきたいと思うんですね。
そのための一つのツールを次の質問で申し上げたいと思うんですね。これは、ワクチン価格の透明化、適正化のための調査についてであります。
今回、国費として、この一、九という、三割から九割、ドラスチックに引き上げられるわけですね、国費の負担分が。そういった中で、御案内のように、これまでは自治体ごとに、価格交渉に本当に努力をされて、ワクチンの製剤納入価格、手技料などに差があるのも事実ですね。もちろん自治体の努力というものもあるわけですが、しかし、国費を九割投入するという段になって、やはりそこまで自治体ごとのいろいろな違い、ギャップがあるのはどうなのかという議論もあるわけです。
そこで、我々党内の小委員会でも、このワクチン価格の適正化、あるいは問診料なども含めて、これはしっかりと明記させていただきました、問題認識を。厚労省の予防接種部会でも、このワクチン価格などの実態を把握する措置を講じ、価格調査や委託契約価格などの実態調査をするよう提言しているわけですね。
大臣、この調査は今どうなっているのか。そして、では、その調査結果がいつまでに出てくるのか。その結果として、ワクチン価格、委託契約価格などの水準のあり方、公平性、公正性の観点からどのようなものを考えているのか。ぜひ、調査の期限も含めて、お答えいただきたいと思います。
○とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。
ワクチン価格の実態調査の必要性につきましては、昨年五月の予防接種部会の第二次提言で御指摘いただいております。そのために、平成二十五年度の予算案で約一千六百万円を計上させていただいております。そして、七月から八月をめどに調査が実施できるように、今準備を進めているということでございます。
以上です。
〜 (略) 〜
○伊東(信)委員 それでは、せっかく予防接種法の一部を改正することとして、九割の公費の負担ということにしているわけなんですけれども、そのあたりの、いわゆる公正性という意味では、自治体によって、地方間格差どころか、本当に市町村間格差にまでなっているんですけれども、そのあたりの改善の余地というか、改善のお考えというのはどうでしょうか。
○田村国務大臣 実態、どういうような金額で流通しているかということを調査することは、これは必要だというふうには思います。一定価格を示していくということは必要だと思いますが、やはりこれは今言いました地方自治事務なんですね。ですから、国が、例えば一定価格に決めて買い上げて配るという話になると、国がこれをやらなきゃいけなくなっちゃう話でありまして、そうすると、地方厚生局をもっとふやして、それをやらなきゃいけないというような話になってくるわけですね。
御承知のように、委員はもう専門ですからよくおわかりだと思いますが、やはりこれも含めて、日本の卸を含めて流通機構というのがあるわけでありまして、そういうものを通じて価格が決まっていくわけでありますから、そうなってくると、もともとのワクチンの価格が決まっていく中で、最終的に幾らで接種をするかということになるわけでありまして、なかなかこれを一律にということは、その配送網等々を国が全部整備して配るという話になれば別なのかもわかりませんけれども、自由な競争の原理の中では、なかなかそういうふうに一律の価格というものを決めるというわけにはいかないというふうに認識をいたしております。
○伊東(信)委員 このあたりは地方自治の話になりますし、予防接種といわゆる経済効果に関しては、この後、我が党の上野議員がもっと突っ込んだ話もされますので、私の方は、今回はHPVについて、もうちょっと突っ込んだ質疑をさせていただきたいと思うんです。
お手元に資料を配らせていただいたと思うんですけれども、主要国におけるワクチンの製造販売希望小売価格ということで、HPVワクチン、子宮頸がんワクチンという名前になっておりますが、各国、サーバリックスとガーダシルという二つの種類のワクチンがございまして、このシェアが、ここには値段しか書いていないんですけれども、同じ値段なんですけれども、シェアが日本と他の先進国と逆転しているんですけれども、このあたりは何か我が国では、何かしら悪い想像をしてしまうんですけれども、何か事情があるのでしょうか。
○田村国務大臣 サーバリックスとガーダシルの、どれぐらい世界じゅうでシェアを持っているかというのはちょっと、販売業者から我々資料がないものですから、把握はしてはいないわけでありますけれども、日本の国だけ申し上げれば、サーバリックスが、これは二十四年の十二月三十一日までの出荷数量でありますけれども、六百八十四万本、ガーダシルが約百四十五万本ということで、おっしゃられるとおり、サーバリックスの方がよく使われておるということでございますが、一方で、直近の三カ月だけ見ますと、サーバリックスが二十一万本、ガーダシルが四十一万本ということで、逆転をいたしております。
ですから、これは、今言われたような何か悪いことがあるというわけではなくて、自由な競争の中でたまたまそういう結果になっておるのであろうというふうに推測をいたしております。
○伊東(信)委員 実際、この薬剤の違いといいますのは、片方が、いわゆる子宮頸がんに有用な、先ほどから御指摘ありますけれども、16型と18型に効くわけでして、もう片方が、6、11、つまりSTDである、セクシャル・トランスファー・ディジーズである尖圭コンジローマにも効くわけなんですね、6型、11型にも。
では、広く効く方がいいじゃないかというような発想でいくのか、いやいや、子宮頸がんワクチンなんだから、頸がんワクチンに特化した方がいいんじゃないかということで、国としての戦略も変わってくるんですね、ワクチンという、予防という意味では。その辺のところはどのようにお考えなのでしょうか。
○とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えさせていただきます。
現在の子宮頸がん等ワクチンの接種促進事業では、ヒトパピローマウイルスの16型と18型、こちらの方の予防効果を期待しておりますので、サーバリックスとガーダシル、どちらを使用しても差し支えないということになっております。
そして、昨年五月の予防接種部会の第二次提言におきまして、恒常的に評価、検討を今後も行っていきたいということで、これからは、複数のワクチンがある場合には、有効性の高いワクチンのみを予防接種の対象とすることもあり得ると考えております。
以上です。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
では、子宮頸がんに絞っていくという、まずそういうストラテジーということで理解させていただいたんですけれども、実際、中学校一年から高校三年生の女子を対象にしているわけなんですけれども、まず、いきなり進行がんになるわけじゃなくて、前がん病変になるわけですね。
前がんから進行がんに移行していくパーセンテージ、つまり、前がん病変をそのままほうっておけば、どれだけ進行がんになるんだというような統計というのは把握されておりますでしょうか。
○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
国内外の研究によりますと、八八%から九六%の子宮頸がんの患者からヒトパピローマウイルスが検出されております。
このヒトパピローマウイルスに感染している多くの場合は自然に消滅する、こういうふうに考えられておりますけれども、特に、感染症に至ったうちのどの程度の割合が子宮頸がんの前段階の病変をもたらすかは、今のところは明らかではございません。ですが、子宮頸がんの前段階の病変のうち高度に至った場合は、十年間で上皮内がん以上に進展する割合は約二〇%と今されております。
以上でございます。
〜 (略) 〜
○上野委員 ありがとうございます。ぜひ対応いただければありがたいというふうに思います。
次に、疾病の分類のあり方についてお伺いをしたいと思います。
今、新しい改正法案では、A類、B類、それからそこに位置づけられない任意のもの。任意のものであっても、予算上の支援があるもの、ないもの、また、そもそも日本では受けられないワクチン、いろいろなカテゴリーがあるんだと思うんですけれども、そもそも、こういった分類、A類、B類のところも含めて、非常にわかりにくい、また、この分類について合理的な理由がなかなか見出せない、そういう点があるのではないかと思います。
また、受ける側、保護者の方々から見ても、なかなか、A類、B類、任意接種の違いというのが見えてこないというところがあるのではないかと思います。
また、特に任意接種というところについてでありますけれども、当然、接種をするかしないかの判断は、保護者の方々、受ける方々がいろいろな情報を踏まえて判断をするということだと思うんですけれども、そもそも、保護者の方々は、医学的な知識を持っている方もいらっしゃれば、そうじゃない方もいらっしゃる。そういった中で、当然、情報の提供はしっかりとやっていかなければいけないし、最後は、それは受けないという判断もあり得るんだとは思うんですけれども、一方で、医学的に素人も含まれる保護者の方々に受けるか受けないかの判断を委ねる、義務を委ねる、責任も委ねる、そういったことでは、なかなかこれはうまく回っていかないんじゃないかなというふうに思います。
そもそも、任意接種といったような分類、位置づけが本当に適当なのかどうかということも含めて、また、今のA類、B類、こういった分類が本当に合理的なのかどうかということも含めて、ワクチンの区分のあり方というのは結構議論があるんじゃないかなというふうに思います。
そもそも、医学的、科学的に根拠があるものであれば、しっかり国としてこれは推奨していく、また、それが明らかじゃないものについては、これはそういうものだというふうにして、複雑な分類をつくるのではなくて、もっと明確に保護者の方々に見えるような形で国が判断をしていく。保護者に委ねるのではなくて、これは受けるべきものなんだということを国がしっかりと判断をして、明確に見せていくことが本来必要なのではないかなというふうに思うんですけれども、この点、見解をお伺いしたいと思います。
○矢島政府参考人 今、疾病分類についての御指摘をいただきました。
御指摘のようなこともいろいろとあったものですから、私たちなりには、法律の中では、一類疾病、今度、改正後はA類疾病になりますが、A類疾病については、その発生及びその蔓延を予防するために、特に予防接種を行う必要がある。要するに、発生とその蔓延というものを一類、要するに改正後はA類疾病。
今度、新しくB類疾病になるわけですが、B類の方は、個人の発病またはその重症化を防止し、あわせてこれによりその蔓延の予防に資する。要するに、個人がその予防接種をすることによってその蔓延の予防に資するということを目的とするという形、一応、法律には。
でも、先生御指摘のように、ちょっとわかりづらいというような御指摘があるのかもしれません。それはまたいろいろと工夫をさせていただきまして、実際に周知徹底するときには、いろいろとその辺のところをもっとわかりやすくする必要があるかと思いますが、今度の新しい法律の中では、一応、我々、前よりはわかりやすく定義を、今回の法律改正の中ではそれを明確にさせていただいて、そのB類疾病とA類疾病の違いを法律上明記させていただいたというふうに思っています。
今後は、これによりまして、各疾病を客観的な基準で分類することが可能だというふうに考えております。
○上野委員 ありがとうございました。
もう少し申し上げたいことがあるんですけれども、ちょっと時間がないので、次に行きたいと思います。
次に、効果の周知徹底ということでお伺いをしたいと思います。
審議会の中で、七ワクチンについては進めていくべきだというふうにされたということだと思うんですけれども、一方で、世の中、一般の方々にとっては、予防接種の効果というのがなかなかまだ周知をされていない、理解をされていない点があるのではないかなというふうに思います。
そもそも平成六年に、努力義務、義務ではなくて努力義務になったということをもってして、義務接種ではないので受けなくていいんじゃないかというふうに思っておられる方もいらっしゃると聞いておりますし、また、ワクチンは副反応による事故があり得るので、自然感染の方がいいというふうにおっしゃられる方もいらっしゃる。また、自然感染の方がしっかりと免疫がつくから、むしろ感染をした方がいいんだというふうにおっしゃっている方もいらっしゃる。お医者さんでもいらっしゃったり、こういった情報が随分インターネットでも流通をしているといったような状況があるのではないかというふうに思います。
こういった状況についてどのように考えるのか、またどのように対応していくのか、お伺いをしたいと思います。
〔上川委員長代理退席、委員長着席〕
○とかしき大臣政務官 ありがとうございます。
いろいろな御意見を頂戴して、ありがとうございました。
ワクチンに関してはいろいろな考え方があるかと思いますし、実際にそうやって病気にかかって、それで免疫性を高めていった方が効果があるのではないか、そういった御意見があるのも承知しております。
ただ、今回の予防接種法では、やはり法律に定めたワクチンはしっかり接種をしていただいて、その方が予防効果が上がるということで、今回、法整備化させていただいております。
特に、この予防接種におきましては、一類の定期接種につきましては、なるべく広く、多くの方にこれを受けていただきたいと思っておりまして、対象者の方はなるべく接種を受けていただけるよう努めなければならない、こういうふうに法律の方で規定させていただいております。
接種に関してはいろいろな御意見がございますけれども、正確な知識をしっかり得ていただいて、普及啓発に努めていく、このように心がけております。
ありがとうございます。
○上野委員 ありがとうございます。
今、とかしき政務官にお答えいただいたんですが、改めてちょっと確認をしたいんですけれども、任意接種の部分、例えばおたふくとか水ぼうそうについても、これは予防接種ではなくて自然感染の方がいいというような情報がインターネット上であったりもするわけですけれども、私は、おたふく、水ぼうそう、まあ、水ぼうそうなんかは特にそうだと思うんですけれども、しっかりと予防接種を受けて防いだ方がいい。
特に水ぼうそうについては、自然感染の方がいいんじゃないかというような情報も随分あると思うんですけれども、これは、自然感染ではなくて予防接種をして防いでいく、接種率を上げていく方がいい、そういう情報をしっかりと伝えていくことが望ましい、そういう御答弁だったという理解でよろしいですか。
○とかしき大臣政務官 それで結構でございます。
○上野委員 ありがとうございました。
では、任意接種のものも含めて、しっかりと厚生労働省として、政府として、接種率を上げていく、誤った情報はしっかりと否定をしていって、予防接種の効果についてしっかりと周知をしていく、普及啓発をしていく、そのことを改めてお願いしたいと思います。
時間になりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思います。
一番最初の質問で、大臣にもお答えをいただきました。まさに、今回の改正は第一歩ということなんだと思います。私どももそういう思いでありまして、今回の法改正の内容を見ていると、そもそも、審議会でこうあるべきと言われた内容についても、しっかりとやっているとはなかなか言いがたい、不十分な、まさに第二歩、第三歩が必要な改正であるんだと思います。
先ほど申し上げましたけれども、何十年に一回の予防接種法の改正ということになって、これで疾病の整理が一段落して次の改正が何十年後になる、そういったことが決してないように、継続的に作業を進められて、ぜひ近いうちに、予防接種法の抜本的な、それこそ本当に抜本的な見直しをやっていただきたい。疾病の類型の見直し、費用負担のあり方、また、ワクチンの追加、それも含めて、ぜひしっかりと早急に検討をいただきたいと思うんですけれども、大臣の御決意、考え方をお伺いしたいと思います。
〜 (略) 〜
○宮沢(隆)委員 よろしくお願いします。
本日は、児童虐待の話を中心に質問させていただきたいと思います。
まず、ちょっと余談ですが、織田裕二演じる「踊る大捜査線」というのは皆さん御存じだと思うんですが、その中で青島刑事の名せりふに、事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こっているんだという言葉は御存じだと思います。三カ月前まで普通の医者であった私の役目は、永田町に現場の厳しさをお伝えするのも一つの役目だと思いまして、私が脳外科医として経験した虐待事件のお話を先に少しさせていただきます。
私が救急外来にいますと、ぐったりとした二歳児を抱えた女性が入院してきました。それで、検査等で、男児の頭蓋内には急性硬膜下血腫という、血がたまっているわけですね。それで、急いで手術室に入って、メスを入れて頭蓋骨をあけて、硬膜という膜を切ると、一メーターぐらい血液と髄液のまじった液体が噴出してきまして、研修医が腰を抜かしそうになったということもありました。
そこへ、結局、警察も来まして、母親の話をよく聞いて、母親はほとんどの場合認めないんですが、徐々に、覚悟をして、少しずつ、たたいたとか揺さぶったとかというのを話し始める。これが一般的経過で、多くの小児科医、脳外科医は経験している現場であります。
今、マスコミ等で有名になっている揺さぶりっ子症候群というのがありまして、英語で言うとシェークン・ベビー・シンドロームというんですが、あやしているつもりで頭部を振って、それだけで頭の中で血管が切れて出血するんですね。そういうのを一般の方もほとんど知らない。恐らく昔はそれで脳性小児麻痺のような状態になって、あるいは亡くなったという子供がたくさんいたんじゃないかと思うんですが、今はそういう病態があるということは少しずつ認知されてきましたので、減ってはきているだろうと思います。
虐待をめぐる社会的な問題として、虐待している親は、まず、ほとんど認めようとしないということが一つ。しらを切るんですね。それから、意外とインテリの親の世帯に、多いかどうかわからないんですが、私が接している限りでは、結構しっかりとした親のように見えるんですが、でも、家庭内ではストレス等でそういうことをやってしまうという現実があります。
それで、先にちょっと現状をお知らせしたいと思いまして、資料の一を見ていただきたいんですが、ここにグラフがあります。
上の方です。最後に、六万というところへ印がしてある。平成二十三年。これは報告をしてくる件数ですね、児童相談所に問い合わせがある。これがどんどんふえている原因は、絶対数と、それから一般の方の意識がふえている、両方の要素があると思うんですが、そういうことで、とにかく、ふえていることは間違いない。
それから、下の表は、児童虐待によって子供が死亡した件数を並べてあります。第一次報告は平成十五年、一番左端から、第八次、右端まで。この丸で囲ったのは死亡した人数です。そうすると、少なくとも、どんどんふえているというのがわかります。第四次、五次については、これは十五カ月分の資料ですので、若干飛び抜けて高くなっています。
まず、こういう現実があるということを認識していただきたいと思います。
そして、資料の二は、右下の星印のついたのをごらんいただきたいんですが、虐待の相談がどういうルートで来るかということを示しているんですが、意外とばらけていて、右上から見ると、家族、近隣・知人、福祉事務所、警察、学校、その他となっていますね。十数%ずつです。左下に医療機関があるんですが、意外と少ないんですね。これは私自身もちょっと意外だったんですが、医者がどんなに頑張って通報しても、この程度しかない。逆に言うと、それほど多いということですね。
それで、資料三は、この三、四、五は厚労省からいただいた資料なんですが、この辺については厚労省の方から説明していただいた方がいいだろうと思うんですけれども、三、四、五を通じて、今の児童虐待防止の概略について、とかしき政務官ですか、よろしいですか、お話しいただいて。
○とかしき大臣政務官 御質問ありがとうございます。
地域の児童虐待防止システムというのは、市区町村を中心に、児童相談所、警察とも連携しながら今行っているところであります。
子どもを守る地域ネットワークというものをつくられておりまして、いろいろな角度から子供の虐待をしっかりと、先ほどの資料でもございましたけれども、家族とか地域とか周りにいる人たちがしっかり連携をしながら見守っていくという体制を整えております。
○宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。これを全て口頭で説明するというのは、なかなか大変なことだと思うんですけれども。
私がレクを受けて理解したのは、平成十六年の児童虐待防止法で、市町村と児童相談所が二重構造で対応する。資料三の上の方に書いてありますね。市町村虐待相談件数が七万件、地域ネットワーク等で対処する。
このシェーマ、絵の特徴は、真ん中に市町村が入って、非常に対応が従来よりはスムーズになったということです。児童相談所というのは、この右端に、縦の欄に二百七カ所と書いてあります。
この児童相談所というのは、我々医者も、それから市町村、県、それぞれの虐待にかかわる組織が関係する、かなめの組織なんですね。この児童相談所の実態というのが、私自身も認識していませんでしたし、恐らく厚労省の方々も、最終的には都道府県管理ですので、余り現場のことは御存じないかなと思いまして、実は、昨日、都内の某児童相談所の方へ行ってヒアリングをしてきました。
そこで、簡単にサマライズしますと、年間五百人の相談を受けて、二割は虐待に該当しない。逆に言うと、八割は虐待に該当しているわけですね。
対応としては、まず、数が足りない。それは資料四の左の方にも書いてありますが、相談員の数が足りない。それから、専門職が足りない。それから、人材育成もしたいんだけれどもできない。親の見立て、子供よりも、親がまともかどうかというのを判断するのが非常に難しいそうで、その辺で非常に困惑している。あと、職員がメンタルにやられて、年一人ぐらいはやめているそうです。物すごい親が中にはいますので、すごい攻撃を受けるそうです。
都内に、その保護した子供、親のもとにとても帰せないというような子供を保護する施設が、三千人というのがあるらしいんですが、もうここは既にいっぱいで、次から次へと虐待されて来る子供を預ける場所がなくて困っている。最終的には、里親とか、そういう保護してくれるところへ回すんでしょうけれども、それが手いっぱいになっているということですね。
小児精神科医とか、そういう専門職が本当はいてくれるといいんですが、県に数人いる程度らしいです。そんな現状を聞いてきました。
それで、この辺から本格的な質問に入ります。平成二十四年四月から改正児童福祉法が施行されているようですが、資料にもありますけれども、これの効果というのは上がっているのでしょうか。お願いします。政務官ですね。
○とかしき大臣政務官 質問ありがとうございます。
児童相談所の方に、昨日、御視察いただきまして、本当にありがとうございます。自治体が中心に、今、この児童虐待の方は対応していただいておりまして、現場を見ていただいて、一番、その生の声を届けていただきますことを、本当に心からお礼を申し上げたいと思います。
今、法律、昨年の四月に、児童相談所と警察の連携を今後強化していこうということで、都道府県に対して指示が出されたということでございます。
これからその効果がどれほど上がってくるかというのが多分出てくるかと思いますけれども、平成十九年の児童虐待法の改正で児童相談所と警察との連携も強化されていまして、従来と違って、家庭の中に入っていって安全の確認等、そして、例えば家の中に入れないような場合の臨検・捜索制度、こういった権限も児童相談所はどんどん強化されてきております。それに伴いまして、援助要請の件数の方も少しずつふえてきているという傾向もございます。
ということで、今、そういった新しい法整備が整ってまいりましたので、推移を見ているというところでございます。
○宮沢(隆)委員 どうもありがとうございました。
今、市町村、都道府県にある程度お任せ、あるいは指示するというような答弁が多かったと思うんですけれども、各都道府県、市町村での実態がどうなっているかというのは厚生労働省として把握しているのか、あるいは、なければ、これから把握しようとするのでしょうか。その辺、ちょっと伺いたいと思います。
○とかしき大臣政務官 質問いただきまして、ありがとうございます。
現場では、都道府県、市区町村が担当しておりますけれども、もちろん、この状況については、厚労省の方には報告は全部、件数が上がってきておりまして、今の相談対応件数が、各都道府県がどういった相談が出ているのかとか、その数値の推移とか、こちらの方で把握をさせていただいております。
○宮沢(隆)委員 そうですか、私の方へは、余りそういうデータがなかったものですから。では、厚労省の方、後ほど回してください。お願いします。
あと、今回、予算のことなんですが、虐待防止の予算措置ということで、それだけにということはないだろうと思うんですけれども、どのくらいの予算を想定していて、それが足りているのか、足りていないのか、その辺のコメントをいただけますでしょうか。
○とかしき大臣政務官 二十五年度の予算では、関連予算としまして、前年度比二十六億円増の九百六十八億円を計上させていただいております。
具体的にはどんなところにこの費用を使っているかと申しますと、相談機能を強化していくということと、児童の安全確認のための体制の強化をしていこう。これは、具体的に、例えば、児童相談所の窓口で働いていたOBの方々もこの中に入っていただいたりということで体制を強化していこうというふうに考えております。
あと、虐待を受けた子供などの、福祉施設等へ一時退避なさいますけれども、これをなるべく小規模化していこうということと、地域を分散化していこう、こういったところに予算を割かせていただいております。
また、平成二十四年度の補正予算では、安心こども基金の積み増し、延長を行いまして、乳児家庭全戸訪問事業、それから養育支援訪問事業などの取り組みが実施できるように措置をさせていただいております。
以上です。
○宮沢(隆)委員 これは私の私見なんですけれども、今の児童相談所の現状を見ていると、もっとふやしてあげてもいいんじゃないかなという気はしています。
これは、厚労省内でも同じように起こっている、この間質問した、高齢者の一割負担を二割に戻そうじゃないかという話、あれで毎年二千億円使っているのであれば、こちらへ一千億円ぐらい入れるとか、そういう方法もあるんじゃないかなと思うんですね。それはもう、高齢者は恐らく文句は言いませんよね。だから、そういう言い方でうまく予算を動かしていったらいいんじゃないかなとちょっと思いました。
それから、厚労省でも政府広報として努力しているということは聞いているんですが、先ほどのシェークン・ベビー・シンドロームとか、そういう医学的知見を一般の人にももっと知識として持ってもらってもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺は何か努力をされているんでしょうか。お願いします。
○とかしき大臣政務官 ありがとうございます。
先ほど宮沢委員にも御指摘いただきました乳幼児の揺さぶられ症候群、これを防ぐために、赤ちゃんが泣きやまない場合の対処方法を啓発しようということでDVDを作成いたしまして、今、全国に配布をする予定でございます。
親にこういった必要な知識をきちっと提供させていただいて、こういった事件にならないように支援に努めてまいりたいと考えております。
以上です。
○宮沢(隆)委員 非常に結構だと思います。その辺の広報は、もうちょっとお金をかけて、もっとやってもいいんじゃないかと思うんですね。それは最終的に都道府県、市町村の助けになりますので。同時に、絶対数も減ってくるだろうと思います。
もう一つは、昨日の現場の児童相談員もこぼしていたんですが、いわゆる児童相談所の強制力というんですか、その辺をもうちょっと強化できるとありがたいということも言っていましたし、あとは、強制力を持っていても、なかなかそれを行使するというのは、結構、所長の判断で意外と左右されるということらしいんですね。
だから、結局、そこが際どくて、例えば、二回訪問して子供を親が玄関まで出してこなければ、もう三回目は鍵をあけさせて強制的に入るとか、それが強制力らしいんですが、その辺は、そこを逃すと一週間後に子供はもう死体になっていたとかというのが、今ニュースでぼんぼん出ているわけですね。
そこをもうちょっと、水際で大事な子供を守る方向に、強制力を強い方向に持っていってもいいんじゃないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。
○とかしき大臣政務官 先ほどもちょっとお答えさせていただきましたけれども、平成十九年の児童虐待法の改正で、児童相談所の権限は強化をされております。先ほどお答えしましたけれども、安全性確認のために解錠を伴う立ち入りとか、そういったことが強化されて、導入されております。
ということで、権限を強化され、さらにもう一つ大切なのは、警察との連携、これをどうとっていくかというのも結構重要でございます。ということで、今後も、児童相談所と警察、これがいかに密に連絡をとりながら子供の虐待を少しでも少なくしていくか、この辺に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○宮沢(隆)委員 資料一を先ほど見ていただきましたけれども、平成十九年の法律改正で、では減ってきたかというと、決してうんと減っているというわけでもないんですね。
平成十九年だから、もう随分たっているわけですので、もうそろそろ再検討して、今のそういう強制力のレベルでいいのかどうかとか、そこはちょっと考え直していただいた方がいいんじゃないかと思います。これは私の提言です。よろしくお願いします。
では、児童虐待の話はここで終わりにします。
では、がらっと話の内容は変わります。
これまたちょっとお医者さんの世界の話で申しわけないんですが、今、専門医制度というのが、どういう専門医制度のあり方がいいかというのが議論がずっと続いております。
それで、もちろんお医者さんの方が議論しているんですが、日本専門医評価・認定機構が、今やっと結論を少し出して、第三者機関をつくろうという段階になっているようなんですが、私の知り合いの某医学部長からも問い合わせがあったんですけれども、この第三者機関の運営費用とか運営メンバーとかをどのように決めていくのかという、私自身もちょっとお聞きしたいと思うんです。これは大臣になりますか。
○原政府参考人 お答えいたします。
医師の専門医制度については、多くの学会がそれぞれ独自の制度を設けて、独自の基準で専門医を決めてきたという経緯があります。その中では、必ずしも専門性がどうかという、あるいは比較ができないような形のものもございます。
そういう中で、専門医について、多くの学会が統一した基準をつくって決めていこうというような動きがあり、そういう形で社団法人日本専門医制評価・認定機構というものが設立されております。
今お尋ねの検討の部分でございますけれども、これは、私どもの方で、一昨年の十月に専門医の在り方に関する検討会というのを設けて、ことしの三月まで、計十七回、議論を重ねてまいりました。先日の三月七日に十七回目を開きまして、最終的な報告書の案を取りまとめていただいたところでございます。最終的には、若干の字句の修正等がございまして、今現在、今年度中に何とか委員の先生方の合意を得たいと考えているところでございます。
専門医制度の認定機構の方でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これは、社団法人でございますので、関係する多くの学会を社員として成り立っている社団でございます。その中で、社員からの会費により運営が行われているという状況でございます。
これに対しまして、新たに考えている、第三者機関として専門医を認定していこう、こういう仕組みにつきましては、この検討会の中でも、それぞれ学会から独立した中立的な機関でやっていくべきだということで合意ができているところでございまして、その運営に当たりましては、現在あります社団法人の機構とは別につくっていくものと考えておりまして、そのために、準備の組織を来年度には立ち上げていきたいというふうに考えております。
〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕
○宮沢(隆)委員 おおむね私の理解と同じです。
そこで、私はもう一回お聞きしたいのは、今の制度評価機構では、学会が供出金を出しているということでしたね。それを第三者機関でも踏襲して、やはり学会からお金を取るのかということ。
もし独立云々というのであれば、お金は取ってはいけないんじゃないかと思うんですよね、やはり左右されるということもありますし。また、学会もお金持ちじゃありませんので、学会側にとっても、お金は取られない方がいい。その辺はいかがお考えでしょうか。
○原政府参考人 お答えいたします。
現在は第三者機関を設立する前段階でございますので、具体的に、どこからの拠出を求めるかとか、そういうことについて決まっているわけではございません。
そのために、中立性というのは先ほど申し上げましたように重要でございますので、それを保つために、その準備組織をつくろうということが今回の検討会でも提言されておりまして、その中には当然ながら医療関係者も入っていただきますけれども、その他一般の国民の方々の代表になられるような方々の意見なども含めながら、国民の目から見てもわかりやすい専門医制度をつくるために、そういうような組織をつくった上で、第三者機関に対する拠出をどこに求めるかということも、その中で検討していただくことになろうと思います。
○宮沢(隆)委員 よくわかりました。
それからもう一つ。
第三者機関の構成メンバー、いわゆる、多分理事長がいて理事が何人かいるというような形になるんだろうと思うんですけれども、そのときに、一般に、こういうお医者さんが絡む組織というのは、お医者さんの中でも教授だとか院長だとかという、そうそうたる地位の方々が並ぶというのが普通だったと思うんですけれども、私は、ちょっとそれでは片手落ちだろうと思うんですね。
まずは、やはりお医者さんでない人を入れるとか、同じ有識者といっても、うんと若い人、三十前後の方で有識者という方を入れるとか、そういう工夫をしていかないと、こういう新しい組織というのはなかなか斬新なアイデアも出てこないだろうし、進まないんじゃないかと思っていますので、ちょっと意見として取り入れていただきたいと思います。
では、この問題はこのぐらいで結構です。
最後の問題、これもちょっと衝撃的なデータなんですが、私がある精神科のドクターと雑談をしているときに言われたんですけれども、医者が毎年九十人自殺しているという話を聞いたんです。
僕はびっくりしまして、そのドクターもびっくりしていましたけれども、医学部の卒業生のほぼ一学年分、毎年ドクターが自殺している。看護婦さんとか女医さんの自殺も結構多いようなんですね。データによると、一般の自殺の一・三倍とか一・四倍とか、アメリカ、イギリスなんかではもっと多いらしいです。
結局、それの原因となっているのが過労ですね、労働環境が劣悪過ぎるということです。
それで、これについては、厚生労働省として何か解決策を考えているのでしょうか。これはどなたにお聞きしたらいいですか。よろしくお願いします。
○とかしき大臣政務官 お答えさせていただきます。
医師の自殺が多いということで、私もたまたま近くで、そういう事例が幾つか、耳に挟んだことがございまして、命を預かる大変重たい仕事でありますので、多分、過度に精神的にストレスがかかる大変な仕事で、その分、そういった形で、自殺という最悪の選択をせざるを得ないような状況に追い込まれてしまったのではないかなというふうに思います。
そこで、厚生労働省としましては、やはり働きやすい環境をつくっていくことが非常に大切である、このように考えておりまして、今、医療機関の勤務環境改善のための総合的な対策を取りまとめたところでございます。
例えば、勤務環境改善活動を促進する仕組み、システムづくりをしたりとか、あと、マンパワーの確保、先ほど委員もおっしゃっておりましたけれども、ハローワークやナースセンターの事業の連携や、短時間での正職員の活用など、こういったことを使いながらマンパワーをなるべく確保していこうということと、あとは労務管理、医療分野でのさまざまな外部の専門家チームによる医療機関の支援体制、こういったものも整えていこうというふうに考えております。
これは、医療の政策、医療機関の皆さんのこういった労働環境をよくしていかないと、やはりこれも全部患者さんにも響いてくることでありますので、厚労省としても積極的に取り組んでいきたい、このように考えております。
○宮沢(隆)委員 昨年の十月からということで、現場にいた者としては、もっと早く、十年か二十年前からやっていてほしかったなと思ったんですが、とにかく始めていただいただけでもよかったなという思いではあります。
現実を言いますと、私も三年前まで大学病院にいたんですが、大学病院は医者がごろごろいて、いわゆる産業医という医者もごろごろいるんですね。いるんですが、医者は、お互いに自分のことを診てもらうということは絶対しません。ほとんどしません。だから、意外と、病院の中の医者とか看護婦の勤務環境というのはブラックボックスですね。医者の不養生とよく言いますけれども、かなりそのとおりの人が多いと私は思っています。
だから、労働環境をよくして解決すれば、医師の不足だとか偏在というのもかなり解決する方向に行くんじゃないかと思っていますので、このプロジェクトはぜひどんどん進めてください、応援しますので。よろしくお願いします。
では、ちょっと早いようですけれども、終わります。どうもありがとうございました。
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