183-参-厚生労働委員会-7号 平成25年05月21日
〜 (略) 〜
○津田弥太郎君 検討というのはいい言葉ですけれども、本当にしっかり進めていただきたいと思います。
最後に、三つ目の項目、高齢者医療の保険者間調整の再構築と公費負担の充実が三つ目の附帯決議でございました。これ大変重要でありますが、秋葉副大臣、いかがですか。
○副大臣(秋葉賢也君) 我が国の医療保険制度におきましては、比較的所得が高くて医療費の低い現役世代は被用者保険に多く加入する一方で、退職して所得が下がり医療費が高くなる高齢期になりますと国保に加入するといった構造的な問題が御案内のとおりございます。このため、高齢者の医療を社会全体で支える観点から、七十五歳以上の高齢者につきましては現役世代からの支援金と公費で約九割を賄ってきているところでございまして、六十五歳から七十四歳の高齢者につきましても被用者保険と国保の間で保険者間の財政調整を行うといった仕組みを今日まで取ってきているところでございます。
高齢者医療制度の費用負担の在り方につきましては、これまでも医療保険部会等で関係者に御議論をいただいてきたところでございますけれども、高齢化に伴い医療費が増加する中で、被用者保険側からこれ以上の負担増は限界に来ているといった意見も出されているところでございまして、現在、国民会議におきましては医療保険制度の財政基盤の安定化や保険料に係る負担の公平の確保等を御議論いただいておるところでございまして、高齢者医療を支える仕組みの在り方についてもこうした議論をしっかりと踏まえて前向きに検討してまいりたいと考えております。
○津田弥太郎君 今回の法改正の柱は、協会けんぽに対する平成二十二年度から平成二十四年度までの財政支援措置を特例的に二年間延長する、これが肝でございます。
短期的にはこの法律における対応になるわけですが、はっきり言って、協会けんぽが二年たったらじゃえらい変わるかといったら、まあまずそういう想定はしにくいわけで、劇的にその財政状況が改善するとはとても思えないわけでございます。
この特例措置が終了した後、協会けんぽに対する国庫補助についてどう考えていくか、これ大変重要な点でございます。田村大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 今般提出させていただいている法律案でございますけれども、もう委員御承知のとおり、一三%の国庫負担を一六・四%、それから総報酬割三分の一、これを導入ということでありますが、一三%から一六・四%に国庫負担を引き上げるといいますか、これ元々本則が一六・四から二〇でありますから、そういう意味では最低限のところにもう戻すと言っていいのかも分かりませんが、これで約二千億掛かるわけであります。一方で、総報酬割三分の一導入で一千百億円、これは国庫負担部分が浮いてくるといいますか助かるわけでありますが、九百億円足りませんから、これを何とか財源を捻出いたしまして、全体として協会けんぽの支援という形になったわけでございますが、このまま続けましても、今のところ予想は二十七年度からは一〇・六%、二十八年度一〇・九%と予測されるわけであります。
もちろん、経済政策うまくいって所得が増えてくれば標準報酬月額が上がってくるわけでありまして、そうなれば若干なりとも保険料収入が増えてくるということで財政的な健全化というものが一定程度は見込まれるのかも分かりませんが、なかなかそうはいっても劇的な改善ができないわけでありまして、そう考えますと、これからの国庫補助どうするんだという議論はしっかりと考えていかなければならないというふうに思っております。
いずれにいたしましても、これは三党協議、それから国民会議、こういうところの御議論をしっかりといただかないことにはなかなか結論出てこないわけでございますし、消費税の使い道という議論にもなってこようというふうに思います。それぞれ各般の御議論をいただく中において、これから検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○津田弥太郎君 その三党協議とか国民会議が余りしっかり行われていないという情報を得ておるわけでございまして、厚生労働省としても、しっかり与党に対して、しっかり議論してくれということで進めていただきたいと思います。
さて、とかしき政務官にお聞きしたいと思います。
恐らく政務官室には被用者保険の代表者の方々がいろいろ陳情に見えているんではないかというふうに思うわけでございます。つまり、被保険者、被用者保険の保険者、この全国健康保険協会あるいは健保連、これらの皆さんが今回の法改正に対してどのような評価をされているのか、理解を得て賛成しているのか、理解を得られずに反対しているのか、端的にお答えください。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
こちらの方にもいろんな御意見の方、ちょうだいしております。まず、協会けんぽの方でございますけれども、国庫補助率の割合を二〇%に引き上げるべきであると、そして少なくとも協会けんぽの保険料率は平成二十四年度に据え置くべきであるということで、今回の法律案をなるべく早期に成立させてほしいというスタンスであると、このように承知しております。
これに対しまして健保連の方はどうかということでございますけれども、後期高齢者支援金の総報酬割の延長は健保組合に国の財政負担を肩代わりさせるにすぎないということで反対のスタンスであるというふうに伺っております。
このほかにいただいている御意見といたしましては、健保連の方、積立金を活用して、当面は、来年度の二年から三年ぐらいは協会けんぽの料率を一〇%で抑えるような形を考えていってはどうかとか、国民会議における高齢者医療制度の議論の中で前期の負担構造にメスを入れるべきとか、こういった御意見もちょうだいしております。
以上です。
○津田弥太郎君 現政権としていろいろ努力をされているとは思うんですが、しかし健保連が法案に対して賛成をしていただけない、いただけていないということ、そのことは非常に重く受け止めるべきであります。
この健保連が公表した資料を見ますと、平成二十三年度において協会けんぽの平均保険料率である九・五〇%を超える保険料率の組合が百五組合ございます。これは当該健保組合の被保険者である労働者の立場でいうと、果たして組合健保の意味があるのかということになりかねないわけであります。先ほど田村大臣がおっしゃったように、全組合の約八割が赤字、赤字総額が四千三百六十三億。この赤字額は、先月に健保連がまとめた二〇一三年度の予算ベースですと、更に四千五百七十三億円に拡大する見込みだということでございます。
しかし、だからといって、じゃ解散するという手があるのか、あるいはすればいいのかという話もあるわけでございます。この一年間で解散した組合が七つ、合併消滅した組合も十二組合あるようでございます。しかし、厚生労働行政の立場において、これ以上健保組合の窮状を放置をするということは私は許されないと思います。
歴史的な経過でいうと、何とまあ生まれるはるか前の話ですが、大正十一年に現行の健康保険法が制定をされた際、健康保険組合の強制設立の規定が盛り込まれたということでございます。なぜそうなったかというと、健康保険事業の経営は政府で行うよりも自治的組合で行った方が理想的であることは欧州諸国の先例に照らして明らかであるから、被保険者五百人以上を使用するような大規模な工場や鉱山には主務大臣がその設立を事業主に強制し得ることになっているということであります。
この法案要綱に関する当時の政府委員の説明では、健康保険は、仮病、仮の病、仮病取締りの目的を達し、その他の運用の実績を上げるため、自治組合に担当させるのが一番良いことは先進国の立法例でもほとんど一致しているし、西欧の学者の意見も同様であるという説明をいたしているわけでございます。
実際にこの強制設立の事例というのは何か非常に少ないということでございますし、この被保険者の人数基準を定める政令は現在作られていないということでございます。そういう事情があったとしても、現行の健康保険法でもこの強制設立の規定そのものは依然として存続をしているわけでございます。
厚生労働大臣は、事業主に対して健康保険組合の設立を命じることができる、これは第十四条。そして、事業主が正当な理由なしに従わない場合には、負担すべき保険料額の二倍に相当する金額以下の過料に処せられる、これは第二百十八条。これ、重い規定なんですね。すごい重い規定だと思います。余りそういうところを見ている人いないんですよね。
それほどまでして健康保険組合を増やしていこうとした過去の経緯があるわけです。さらには、健康保険の原点が自治的組合である健康保険組合にあったなどという歴史的事実、これを踏まえると、健保組合についての今後の対応はしっかり考えていっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(田村憲久君) この被用者保険、いろんな御意見がそれぞれあります。政党の中でもいろんな御意見があります。自民党もそうであります。これ、保険者をもうそれこそ統合していった方がいいんじゃないかというような話もあれば、保険料率をもう協会けんぽと一緒にした方がいいんじゃないか、それはそれぞれ所得に応じてかなりの差がある、こういう中において不公平じゃないか、こういう御議論もあります。
しかし一方で、今委員がおっしゃられましたとおり、そもそもじゃ健保組合って何なんだという議論もあるわけでございまして、これは労使協調の下に自主自立で運営をしていただくと。その中において、例えば保険料率も自ら決め、保険料もしっかりと徴収をしていただきながら、一方で保健事業、健康を保つ事業、これも頑張ってやっていただく、それによって医療費の適正化等々にも資していただいて全体としての医療費を抑えていただく、こういうような役割もあるわけであります。
そういう意味からいたしますと、私は、健保組合の役割というものは大変大きなものがあるというふうに認識をいたしておりますし、事実、特定健診、特定保健指導の実施率を見ておりますと、特定健診が、健保組合は六九・七%実施しておるのに対して協会けんぽは三七・四%、特定保健指導は、一七・一%に対して協会けんぽの方でございますが一一・三%と、やはりそれなりの効果も上げていただいております。もちろん、これは保険者と企業とが近しいということもあるんだと思いますけれども、しかし、そうやって実際問題いろんな意味で効果が上がっているというところは我々も評価をさせていただきますし、健保組合の中同士での財政調整といいますか助け合いもやっておられるわけでございますから、そこに関しても一定の評価をさせていただくわけでございまして、そのような意味からいたしまして、これからもこの健保組合に対して大きな期待を我々はさせていただいておるということでございます。
○津田弥太郎君 よく分かりました。
この健保組合の果たしている役割の中で最も重要だと思っているのはこの保険者機能であることは誰も疑う人はいないだろうというふうに思います。これにより医療費の適正化にも大変貢献をしているわけでございます。
健保組合の場合も協会けんぽの場合も、従業員やその家族が健康でいる、心身ともベストで仕事をしやすくなる、当然企業の業績も上がるし、更に直接的な医療費の窓口負担も減る、これはいいことずくめであります。ここの先が違ってくるんです。健保組合の場合はそうしたことが保険料率に影響してくるわけでございます。事業主にも大きなインセンティブが働くわけであります。
したがって、協会けんぽの方はどうかというと、適用事業所数が百六十万事業所でございますから、とてもとてもこれを一々チェックをしていくということは大変なことであります。これ、一支部当たり三万四千事業所ということでございます。これ、私、前の改正のときに、当時の長妻大臣に、支部長にもっとインセンティブを与えろと、保険者機能をより発揮させる取組をした支部長にはいい評価をする、そうじゃないのは悪い評価をすると聞いたら、ボーナスでやるって当時長妻さんは言っていたんですが、とかしき政務官、私は給料もやった方がいいと思うんですが、いかがですか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
津田委員の方から平成二十二年の四月の二十七日に、当時の厚生労働大臣の長妻大臣の方に質問していただきました。
今現状どうなっているかと申しますと、協会けんぽでは、平成二十年の十月の設立当時から、実績重視とそして能力本位の人事評価制度を導入しております。そして、支部長につきましては、レセプト点検の効果の額や、そして特定健診の受診率、そして保険者の機能の向上に対する支部の成績を考慮して実績評価を実施しております。そして、その結果を年に一回の昇給と二回のボーナスに反映させていただいております。ちょっと参考までに、支部長はこれ実績評価をさせていただいておりまして、一般職員はどうなっているかといいますと、一般職員は能力評価と実績評価と両方をさせていただいております。
そして、その四十七名おります支部長の実績評価、これの状況はどうかということですが、平成二十二年の七月の昇給時から人事評価の結果を反映させており、例えば近々の平成二十四年度におきましては、これS、A、B、C、Dと五つの評価させていただいておりますが、Aが九人、Bが三十五人、Cが三人、一番上と一番下はゼロということになっているというふうに伺っております。
ということで、こういった民間の効率的な運用方法を生かしながら保険者の機能を発揮していきたいと、このように考えております。
○津田弥太郎君 よく分かりました。更に進めていただきたいと思います。
さらに、インセンティブの問題では、事業主に対するインセンティブの問題を提起をしたいというふうに思います。
事務方に健保組合に類似したインセンティブが協会けんぽでも考えられないかという話をしたんですが、何か難しいというような言い方をしているんですね。ただ、事業所ごとの平均医療費の算出というのは現在でも可能であるというふうに思います。企業の行った予防事業あるいは保健事業などと加入者の実際の医療費との因果関係に着目をして、直接間接にメリットを与える仕組みは検討できるんではないのかなというふうに考えるわけでございます。
余りこれやり過ぎると労災隠しのような問題があり得るかもしれませんので丁寧な検討が必要だと思うんですが、将来的な課題として、大臣、いかがでしょう。
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○津田弥太郎君 検討というのはいい言葉ですけれども、本当にしっかり進めていただきたいと思います。
最後に、三つ目の項目、高齢者医療の保険者間調整の再構築と公費負担の充実が三つ目の附帯決議でございました。これ大変重要でありますが、秋葉副大臣、いかがですか。
○副大臣(秋葉賢也君) 我が国の医療保険制度におきましては、比較的所得が高くて医療費の低い現役世代は被用者保険に多く加入する一方で、退職して所得が下がり医療費が高くなる高齢期になりますと国保に加入するといった構造的な問題が御案内のとおりございます。このため、高齢者の医療を社会全体で支える観点から、七十五歳以上の高齢者につきましては現役世代からの支援金と公費で約九割を賄ってきているところでございまして、六十五歳から七十四歳の高齢者につきましても被用者保険と国保の間で保険者間の財政調整を行うといった仕組みを今日まで取ってきているところでございます。
高齢者医療制度の費用負担の在り方につきましては、これまでも医療保険部会等で関係者に御議論をいただいてきたところでございますけれども、高齢化に伴い医療費が増加する中で、被用者保険側からこれ以上の負担増は限界に来ているといった意見も出されているところでございまして、現在、国民会議におきましては医療保険制度の財政基盤の安定化や保険料に係る負担の公平の確保等を御議論いただいておるところでございまして、高齢者医療を支える仕組みの在り方についてもこうした議論をしっかりと踏まえて前向きに検討してまいりたいと考えております。
○津田弥太郎君 今回の法改正の柱は、協会けんぽに対する平成二十二年度から平成二十四年度までの財政支援措置を特例的に二年間延長する、これが肝でございます。
短期的にはこの法律における対応になるわけですが、はっきり言って、協会けんぽが二年たったらじゃえらい変わるかといったら、まあまずそういう想定はしにくいわけで、劇的にその財政状況が改善するとはとても思えないわけでございます。
この特例措置が終了した後、協会けんぽに対する国庫補助についてどう考えていくか、これ大変重要な点でございます。田村大臣、いかがですか。
○国務大臣(田村憲久君) 今般提出させていただいている法律案でございますけれども、もう委員御承知のとおり、一三%の国庫負担を一六・四%、それから総報酬割三分の一、これを導入ということでありますが、一三%から一六・四%に国庫負担を引き上げるといいますか、これ元々本則が一六・四から二〇でありますから、そういう意味では最低限のところにもう戻すと言っていいのかも分かりませんが、これで約二千億掛かるわけであります。一方で、総報酬割三分の一導入で一千百億円、これは国庫負担部分が浮いてくるといいますか助かるわけでありますが、九百億円足りませんから、これを何とか財源を捻出いたしまして、全体として協会けんぽの支援という形になったわけでございますが、このまま続けましても、今のところ予想は二十七年度からは一〇・六%、二十八年度一〇・九%と予測されるわけであります。
もちろん、経済政策うまくいって所得が増えてくれば標準報酬月額が上がってくるわけでありまして、そうなれば若干なりとも保険料収入が増えてくるということで財政的な健全化というものが一定程度は見込まれるのかも分かりませんが、なかなかそうはいっても劇的な改善ができないわけでありまして、そう考えますと、これからの国庫補助どうするんだという議論はしっかりと考えていかなければならないというふうに思っております。
いずれにいたしましても、これは三党協議、それから国民会議、こういうところの御議論をしっかりといただかないことにはなかなか結論出てこないわけでございますし、消費税の使い道という議論にもなってこようというふうに思います。それぞれ各般の御議論をいただく中において、これから検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
○津田弥太郎君 その三党協議とか国民会議が余りしっかり行われていないという情報を得ておるわけでございまして、厚生労働省としても、しっかり与党に対して、しっかり議論してくれということで進めていただきたいと思います。
さて、とかしき政務官にお聞きしたいと思います。
恐らく政務官室には被用者保険の代表者の方々がいろいろ陳情に見えているんではないかというふうに思うわけでございます。つまり、被保険者、被用者保険の保険者、この全国健康保険協会あるいは健保連、これらの皆さんが今回の法改正に対してどのような評価をされているのか、理解を得て賛成しているのか、理解を得られずに反対しているのか、端的にお答えください。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
こちらの方にもいろんな御意見の方、ちょうだいしております。まず、協会けんぽの方でございますけれども、国庫補助率の割合を二〇%に引き上げるべきであると、そして少なくとも協会けんぽの保険料率は平成二十四年度に据え置くべきであるということで、今回の法律案をなるべく早期に成立させてほしいというスタンスであると、このように承知しております。
これに対しまして健保連の方はどうかということでございますけれども、後期高齢者支援金の総報酬割の延長は健保組合に国の財政負担を肩代わりさせるにすぎないということで反対のスタンスであるというふうに伺っております。
このほかにいただいている御意見といたしましては、健保連の方、積立金を活用して、当面は、来年度の二年から三年ぐらいは協会けんぽの料率を一〇%で抑えるような形を考えていってはどうかとか、国民会議における高齢者医療制度の議論の中で前期の負担構造にメスを入れるべきとか、こういった御意見もちょうだいしております。
以上です。
○津田弥太郎君 現政権としていろいろ努力をされているとは思うんですが、しかし健保連が法案に対して賛成をしていただけない、いただけていないということ、そのことは非常に重く受け止めるべきであります。
この健保連が公表した資料を見ますと、平成二十三年度において協会けんぽの平均保険料率である九・五〇%を超える保険料率の組合が百五組合ございます。これは当該健保組合の被保険者である労働者の立場でいうと、果たして組合健保の意味があるのかということになりかねないわけであります。先ほど田村大臣がおっしゃったように、全組合の約八割が赤字、赤字総額が四千三百六十三億。この赤字額は、先月に健保連がまとめた二〇一三年度の予算ベースですと、更に四千五百七十三億円に拡大する見込みだということでございます。
しかし、だからといって、じゃ解散するという手があるのか、あるいはすればいいのかという話もあるわけでございます。この一年間で解散した組合が七つ、合併消滅した組合も十二組合あるようでございます。しかし、厚生労働行政の立場において、これ以上健保組合の窮状を放置をするということは私は許されないと思います。
歴史的な経過でいうと、何とまあ生まれるはるか前の話ですが、大正十一年に現行の健康保険法が制定をされた際、健康保険組合の強制設立の規定が盛り込まれたということでございます。なぜそうなったかというと、健康保険事業の経営は政府で行うよりも自治的組合で行った方が理想的であることは欧州諸国の先例に照らして明らかであるから、被保険者五百人以上を使用するような大規模な工場や鉱山には主務大臣がその設立を事業主に強制し得ることになっているということであります。
この法案要綱に関する当時の政府委員の説明では、健康保険は、仮病、仮の病、仮病取締りの目的を達し、その他の運用の実績を上げるため、自治組合に担当させるのが一番良いことは先進国の立法例でもほとんど一致しているし、西欧の学者の意見も同様であるという説明をいたしているわけでございます。
実際にこの強制設立の事例というのは何か非常に少ないということでございますし、この被保険者の人数基準を定める政令は現在作られていないということでございます。そういう事情があったとしても、現行の健康保険法でもこの強制設立の規定そのものは依然として存続をしているわけでございます。
厚生労働大臣は、事業主に対して健康保険組合の設立を命じることができる、これは第十四条。そして、事業主が正当な理由なしに従わない場合には、負担すべき保険料額の二倍に相当する金額以下の過料に処せられる、これは第二百十八条。これ、重い規定なんですね。すごい重い規定だと思います。余りそういうところを見ている人いないんですよね。
それほどまでして健康保険組合を増やしていこうとした過去の経緯があるわけです。さらには、健康保険の原点が自治的組合である健康保険組合にあったなどという歴史的事実、これを踏まえると、健保組合についての今後の対応はしっかり考えていっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(田村憲久君) この被用者保険、いろんな御意見がそれぞれあります。政党の中でもいろんな御意見があります。自民党もそうであります。これ、保険者をもうそれこそ統合していった方がいいんじゃないかというような話もあれば、保険料率をもう協会けんぽと一緒にした方がいいんじゃないか、それはそれぞれ所得に応じてかなりの差がある、こういう中において不公平じゃないか、こういう御議論もあります。
しかし一方で、今委員がおっしゃられましたとおり、そもそもじゃ健保組合って何なんだという議論もあるわけでございまして、これは労使協調の下に自主自立で運営をしていただくと。その中において、例えば保険料率も自ら決め、保険料もしっかりと徴収をしていただきながら、一方で保健事業、健康を保つ事業、これも頑張ってやっていただく、それによって医療費の適正化等々にも資していただいて全体としての医療費を抑えていただく、こういうような役割もあるわけであります。
そういう意味からいたしますと、私は、健保組合の役割というものは大変大きなものがあるというふうに認識をいたしておりますし、事実、特定健診、特定保健指導の実施率を見ておりますと、特定健診が、健保組合は六九・七%実施しておるのに対して協会けんぽは三七・四%、特定保健指導は、一七・一%に対して協会けんぽの方でございますが一一・三%と、やはりそれなりの効果も上げていただいております。もちろん、これは保険者と企業とが近しいということもあるんだと思いますけれども、しかし、そうやって実際問題いろんな意味で効果が上がっているというところは我々も評価をさせていただきますし、健保組合の中同士での財政調整といいますか助け合いもやっておられるわけでございますから、そこに関しても一定の評価をさせていただくわけでございまして、そのような意味からいたしまして、これからもこの健保組合に対して大きな期待を我々はさせていただいておるということでございます。
○津田弥太郎君 よく分かりました。
この健保組合の果たしている役割の中で最も重要だと思っているのはこの保険者機能であることは誰も疑う人はいないだろうというふうに思います。これにより医療費の適正化にも大変貢献をしているわけでございます。
健保組合の場合も協会けんぽの場合も、従業員やその家族が健康でいる、心身ともベストで仕事をしやすくなる、当然企業の業績も上がるし、更に直接的な医療費の窓口負担も減る、これはいいことずくめであります。ここの先が違ってくるんです。健保組合の場合はそうしたことが保険料率に影響してくるわけでございます。事業主にも大きなインセンティブが働くわけであります。
したがって、協会けんぽの方はどうかというと、適用事業所数が百六十万事業所でございますから、とてもとてもこれを一々チェックをしていくということは大変なことであります。これ、一支部当たり三万四千事業所ということでございます。これ、私、前の改正のときに、当時の長妻大臣に、支部長にもっとインセンティブを与えろと、保険者機能をより発揮させる取組をした支部長にはいい評価をする、そうじゃないのは悪い評価をすると聞いたら、ボーナスでやるって当時長妻さんは言っていたんですが、とかしき政務官、私は給料もやった方がいいと思うんですが、いかがですか。
○大臣政務官(とかしきなおみ君) お答えさせていただきます。
津田委員の方から平成二十二年の四月の二十七日に、当時の厚生労働大臣の長妻大臣の方に質問していただきました。
今現状どうなっているかと申しますと、協会けんぽでは、平成二十年の十月の設立当時から、実績重視とそして能力本位の人事評価制度を導入しております。そして、支部長につきましては、レセプト点検の効果の額や、そして特定健診の受診率、そして保険者の機能の向上に対する支部の成績を考慮して実績評価を実施しております。そして、その結果を年に一回の昇給と二回のボーナスに反映させていただいております。ちょっと参考までに、支部長はこれ実績評価をさせていただいておりまして、一般職員はどうなっているかといいますと、一般職員は能力評価と実績評価と両方をさせていただいております。
そして、その四十七名おります支部長の実績評価、これの状況はどうかということですが、平成二十二年の七月の昇給時から人事評価の結果を反映させており、例えば近々の平成二十四年度におきましては、これS、A、B、C、Dと五つの評価させていただいておりますが、Aが九人、Bが三十五人、Cが三人、一番上と一番下はゼロということになっているというふうに伺っております。
ということで、こういった民間の効率的な運用方法を生かしながら保険者の機能を発揮していきたいと、このように考えております。
○津田弥太郎君 よく分かりました。更に進めていただきたいと思います。
さらに、インセンティブの問題では、事業主に対するインセンティブの問題を提起をしたいというふうに思います。
事務方に健保組合に類似したインセンティブが協会けんぽでも考えられないかという話をしたんですが、何か難しいというような言い方をしているんですね。ただ、事業所ごとの平均医療費の算出というのは現在でも可能であるというふうに思います。企業の行った予防事業あるいは保健事業などと加入者の実際の医療費との因果関係に着目をして、直接間接にメリットを与える仕組みは検討できるんではないのかなというふうに考えるわけでございます。
余りこれやり過ぎると労災隠しのような問題があり得るかもしれませんので丁寧な検討が必要だと思うんですが、将来的な課題として、大臣、いかがでしょう。
〜 (略) 〜