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171-衆-消費者問題に関する特別…-10号 平成21年04月02日

○船田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。

○とかしき委員 おはようございます。自民党のとかしきなおみでございます。
 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。
 長丁場ではございますけれども、野田大臣、そして森大臣、枝野委員、小宮山委員、階委員、どうぞよろしくお願いいたします。
 消費者行政の充実強化について、消費者の視点に立った場合、消費生活センターを中心とした自治体との連携、これが不可欠であります。特に国民の方の視点から考えますと、消費者行政の組織が、上位が云々というよりは、むしろ、自分たちの身近にあるセンターがどういうふうに機能しているのか、相談をしたとききっちり対応してくれるのか、もしくは、危ないときは警告をきっちり発してくれているのか、そういった信頼の置ける窓口が身近にあることを多分望んでいらっしゃるかと思います。
 議論も大分煮詰まってまいりましたので、本日は、私もちょっと地元の消費生活センターの方に伺いまして最近ふえている事例を一つ拾ってまいりましたので、その具体例を交えながら質問させていただきたいと思います。
 以下、お話しさせていただきますのは、私の地元の大阪府吹田市の消費生活センターで伺った内容であります。
 被害者の方は、三十代のある精神的な病を抱えていらっしゃる方。最近の傾向では、こういった精神的に病を抱えた方が被害に遭う方が非常に多くなっているというふうにおっしゃっていました。内容は、過去に携帯のメールで懸賞のサイトに登録しておいたら、その後どんどんフリーメールが届くようになって、その中で、次の三つにひっかかってしまって、クレジットの決済をしてしまったそうです。
 まず一つ目、芸能人とメールができるとマネジャーから案内が来た。次は、大口の宝くじが当たっただれかさんがいて、その当せん金をあなたに譲渡したいと。その次には、不当な経営でもうけてしまった経営者の人がいて、そのお金をあなたに譲渡したいというような、ちょっと常識で考えればあり得ないお話なんですけれども、こういったことでメールにひっかかってしまいまして、その方はクレジットカードを使って決済をしたんですけれども、そのときにお母様のクレジットカードも使ったらしいんですね。そのために事件が発覚をいたしまして、そのお母様と本人が消費生活センターの方にいらして、どうしようかということで相談があったそうです。
 幸運なことにまだ口座から引き落としになる前だったので、何とか消費生活センターの方からクレジット会社の方に連絡をいたしましたら、クレジットカード会社の方は、やはり私たちには関係がないということで、それでしたら決済代行会社の方に連絡してほしいというふうに言われまして、結局決済代行業と交渉して、これは詐欺に当たるのではないかということで申し立てをしましたところ、いろいろやりとりはありましたけれども、半年ぐらいかかって一部返金に応じた。全額ではなかったそうです。
 そこで、森法務大臣にお伺いしたいんですけれども、このようなケースの場合は、これは犯罪に当たるのかどうなのか、不法なのでしょうか。その辺を教えていただけますでしょうか。

○森国務大臣 お答え申し上げます。
 犯罪の成否は、捜査機関において収集された証拠に基づいて判断される事柄ですので、この事案についてのお答えは差し控えさせていただきます。
 なお、あくまで一般論として申し上げれば、人を欺いて財物を交付させた場合には、刑法二百四十六条一項の詐欺罪が成立し得るものと承知しております。

○とかしき委員 ありがとうございます。法律上はきっとそうなるかと思います。
 このようなケース、今の具体的なケースをお話ししたのでわかると思いますけれども、不法なものと不当なものと正当なものとが何かごちゃごちゃになって、それで、その合間に消費者の方々が埋もれてしまって被害に遭うという。そして、消費者の方の権利の回復と、やはり不当にそうやって得られた利益、これを犯罪者から吐き出させる、こういったことが大切だと思うのですけれども、それについて今の制度の中ではどういった仕組みが対応できているのか、また森大臣、あわせてお答えいただけますでしょうか。

○森国務大臣 まず、犯罪により取得された違法収益を剥奪するための制度でございますが、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律がございます。財産犯等の犯罪行為が組織的に行われた場合など、一般的、類型的に被害者による損害賠償請求権等の行使が困難であると認められる場合には、刑事裁判によりそれらの犯罪被害財産を犯人から没収、追徴することができることとされています。
 また、犯罪被害者に返還するための制度については、犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律に定められております。その概要は次のとおりでございます。
 まず、検察官において犯罪被害財産支給手続を開始する旨の決定をして、官報により公告するとともに、判明している被害者に通知する。次に、被害回復給付金の支給を受けようとする被害者は、申請期間内に資料を添えて検察官に申請する。そして、検察官は当該申請を審査して裁定した上、給付金を支給する。以上でございます。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 やはり、裁判所に訴えていろいろ闘っていくというのは、非常に大変なことであるということがわかるわけであります。
 こういった被害は、広くて薄くて、わざわざ裁判所に訴えるまでもないんですけれども、でもたくさんの方が被害に遭って、トータルで考えると大きな被害になっていく、こういうもので、やはり消費者の方々が泣き寝入りをしてしまうケースが多々あるかと思います。そういった被害者の方を救うために今回消費者庁の審議をしているんだと思いますけれども、やはり、このような現状を考えると、一日も早くこういった省庁ができることが必要だと考えます。
 そこで、野田大臣と衆法提出者の皆様、両方にお伺いしたいんですけれども、今お話ししたようなケースの場合に、それぞれの組織、消費者庁と消費者権利院、具体的にどういうふうに対応していただけるのか、消費者の視点で具体的にどう動いてみえるのか、教えていただけますでしょうか。

○増原副大臣 具体的ケースでございますので、私の方からお答えいたします。
 お尋ねのような事案に対しましては、地方公共団体に置かれました消費生活センター、先生御指摘のセンターでございますが、これが自治体の他の部局と連携しつつ、消費者の目線に立ってきめ細かい相談に応じ、問題解決を図る、これが基本になっております。
 そして、あわせて、これらの相談窓口等を通じて得られた情報を一元的に集約する、ここが非常に大事だと思っておりますが、これを消費者庁が行いまして、情報を適切に分析した後、これを公表し、まさに注意喚起をしまして、被害の未然防止あるいは被害の拡大防止に当たることになっております。
 具体的に申し上げますと、消費生活センターにおける苦情相談の受け付けもしくは民生委員や社会福祉協議会など福祉関係者を通じて被害の状況を把握する。次に、民生委員などを通じて契約関係書類などの必要な書類を消費者から入手いたします。そして、さらに、聞き取りと関係書類をもとに消費生活センター相談員により問題の所在と解決の方策を把握するというところだと思います。そして、相談員から直接または民生委員などを通じまして助言をする、あるいは、必要に応じセンター相談員が事業者とのあっせんを実施するということになろうと思われます。先ほど先生の言われたとおりであります。
 消費生活センター相談員から民生委員や社協に対しまして、成年後見制度などの活用により地域での見守りの継続を依頼する。また、必要があれば、法的な対応が可能な場合などでありますが、消費生活センター相談員から事業者指導担当職員に対し適切な指導を実施するほか、法テラスとかあるいは警察などの関係機関と連携をするということになろうと思います。
 苦情相談状況に応じまして、集約された、分析されました典型的なメールの内容等の情報について、消費者にわかりやすい形で迅速に公表し、注意喚起を行う、このことが大事ではなかろうかと思っております。

○小宮山(洋)議員 御質問ありがとうございます。
 消費者権利院の場合は、再三申し上げているように、全国津々浦々、どこでも消費者の権利が守られるように窓口を整備したいと思っておりますので、そこで、まず身近なところで、きちんと窓口で相談を受けられる。
 そして、私どもはしっかりと、多分、政府が考えていらっしゃるのとはけたが違う予算をここへ使いたいと思っておりますので、人員の拡充と待遇の改善、これは、そこで任期つきの国家公務員という形をとりました。私たちも、別に国家公務員にしたいと思っているわけじゃないんですが、これ以外に本当に津々浦々まで充実する方法がなかったからしておりますので、ほかのアイデアがあれば、ぜひ与党からもいただきたいと思いますが、そういう形で、以前のちょっとした相談とは違った、今回のフリーメールのような今の時代の新しい犯罪に対しても、親身に相談に応じることができます。
 そして、相談員の皆さんに伺うと、相談員の人があれしても、何だこんな、なかなか相手にしないみたいなところがあるわけですけれども、今回、相談員は消費者権利院の一員となりますので、消費者権利官、権利院の権威ある後ろ盾によりましてしっかりと交渉ができるというのが、まず当面の相談を受けたりするところです。
 それで、おっしゃったように、今政府の方でもいろいろ言われましたけれども、やはり少額で広い被害というのは、一人一人がなかなか裁判ができない。そこで、適格消費者団体がかわって行う。ただ、そのときに、やはり司法とどうかませるか、どういう支援があるかによって、その実現ができるかどうかということがございますので、今回は、消費者権利官が情報の提供ですとか訴訟の支援とかをして、適格消費者団体はなかなか今財政的にも苦しいので、国や地方公共団体が訴訟費用をちゃんと支援するようにという法文も入れてございます。
 恐らく、政府の今の御説明だと、いろいろなところから情報を集めるということですが、私どもは、地方の消費者権利局の方から、支局がございますので、そこから一元的に情報が上がりますし、その後は、消費者権利官、オンブズパーソンの支援によって適格消費者団体がかわって財産をしっかり押さえた上で、それを皆様にお返しすることができる仕組みだと思っております。

○とかしき委員 ありがとうございます。
 今ちょっとお伺いしていて、少し次の質問もダブって先に答えていただいたんですが、今それぞれ対応をお聞きになって、消費者庁と消費者権利院の対応があると思うんですけれども、ここの部分が私たちの方がすぐれているとか、もしくは、この部分は評価すべきだなというようなところがありましたら、ちょっとここの場で、また双方御指摘いただければということで、よろしくお願いいたします。

○増原副大臣 お答え申し上げます。
 個別事案に関連していることなので申し上げますと、民主党案につきましては、一つは消費者権利院の組織の問題があろうと思います。国の組織としてざっとやります、全国津々浦々やります、一方で、自治事務でもありますので、消費生活センターの方を引き続きやりたいというところはそのようにやっていただきますというふうにたしか答弁があったと思います。
 そういたしますと、地方自治体の他部局との連携、これが、先ほども私申し上げましたけれども、いろいろな知事部局との連携等もあるわけであります、そういったところが分断されてしまうのではないかという強い懸念を持っております。
 またさらに、被害者救済の方の面ですが、そもそも民主党の消費者団体訴訟法案における損害賠償等団体訴訟、これにつきましては、個々の消費者の意思に基づくことなく、損害賠償等団体訴訟の判決の効力が、勝訴、敗訴を問わず、除外の申し出をしなかった対象者にも及んでしまうものと理解しております。
 そういたしますと、これは、憲法上の裁判を受ける権利との関係が問題となる、さらには、そういう点もいろいろあるものですから、慎重な検討を要すると私どもは考えております。その意味で、直ちに消費者の利益の擁護及び増進につながるものと言えるかどうか疑義があるというふうに考えております。

○小宮山(洋)議員 政府の消費者庁の法案は、再三ここで議論をしているように、地方の窓口に人件費が出せないんです。人件費を出せないで、給料を二倍にするとか人数を一・五倍にするといっても、それは四年目以降、自治事務になった場合にそれができない、三年間の基金であっても研修費しか出ない。人件費をきちんと国が担保しないでどうやって津々浦々までその窓口をつくるのか、そこが一番の問題点だと思っております。
 先ほども民生委員とかいろいろなところから情報をと言われましたけれども、それは組織立った情報ではないので、来るかもしれないし来ないかもしれない。そうじゃなくて、やはり私どものように一元的にやるべきだというふうに思っております。
 それから、団体訴訟の、消費者団体による損害賠償について、いろいろ今難点をおっしゃいましたけれども、そもそも、二年前の消費者契約法をつくったときに、私どもは損害賠償を入れた法案を出しまして、消費者団体の皆さんの、今回のこれだけ大きな消費者に視点を当てた改正をする中では、ぜひやはり予防をするだけじゃなくて、被害に遭った場合に救済して返してほしいという声がこれだけ強いわけですから。
 今御指摘のあったクラスアクション制度で、入りたくない人に手を挙げさせるということで、手を挙げなかったけれども次に訴訟をしたい人に不利益があるということは私も承知しておりますけれども、何もないよりも、まずスタートはクラスアクション制度でやりまして、先日私も申し上げましたが、将来はやはり父権訴訟と言われている行政がやるような訴訟に持っていければと私どもも思っています。
 今は立法上の壁が大き過ぎて、ですから、後で私も質問したいと思っているんですけれども、政府の方が今、二年たっても検討だけして、今回最初入れるはずだったのが入らないというのは、恐らく、その立法上の非常な壁があるからで、その壁を乗り越えるためには、多少デメリットもあるけれども少なくとも一歩前進ということで、私どもは今回の団体訴訟の法案を出しておりますので、政府の方よりも、そのことについては消費者の皆様の要望に近いと思っております。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 私も、今両方伺ってみたところ、やはり消費者の視点に立って消費者のために仕事をしていきたいという思いはすごくよく伝わって、もちろん組織上の細かいところはあるんですけれども、多分、思いは同じなのではないかなと思います。
 多分、一点大きく異なるのは、違法で収益したものをどう剥奪してくるか、ここの件に関してはちょっと大きく違うかなと思います。ただ、先ほど小宮山委員もおっしゃいましたけれども、やはり消費者の心理からすると、違法に取られたものを戻してほしいというのが気持ちとしてはあるだろうな。これをきっちり対応できなければ、モグラたたきのように被害を繰り返すことになって、泣き寝入りをしてしまう人が出てきてしまうということで、ぜひこの点は両者歩み寄っていただいて、またいいアイデア、完璧な制度はないと思うんですけれども、やはり大きなアクションを起こしていくことが私は大切だと思いますので、ぜひ両案が歩み寄っていただけたらありがたいかなというふうに思います。
 そして、今、事例でお話ししましたように、消費者行政の充実強化、特に連携の話が出てまいりましたけれども、私も、この連携の部分に関してはちょっと疑問がございまして、きょう、これからはその点について質問させていただきたいと思います。
 成功事例ということで、私もいろいろ調べてみましたら、北海道で地域消費者被害防止ネットワークというのをやっております。ここはすごく連携が上手にとれておりまして、消費生活センターと民生委員と自治会とヘルパーまで入って、そして福祉協議会、警察、関係機関の皆さんがすごくネットワークをしっかりと形成していて、情報収集や窓口の相談の内容をお互い周知徹底して、被害の未然防止、早期発見、掘り起こしということをしっかりやっております。
 私の地元の吹田市の方も聞いてみましたところ、昭和五十五年に消費生活センターを設立したんですけれども、さらにそれよりさかのぼって六年前に、行政の中に消費生活対策室というのをつくって、消費者からの苦情相談だけではなくて、事業者の指導や法の執行、そして苦情処理委員会の活用、条例などの企画立案につなげていくということで、地域における司令塔としてすごく機能していたようです。
 ところが、残念ながら、財政難の折、平成十九年に縮小になってしまいまして、生活対策課が市民生活相談室に吸収されてしまったそうなんです。するとどうなったかというと、司令塔がなくなってしまったために、非常に連携がうまくいかなくなって、なかなかうまく動かなくなってしまったというふうに、私も取材に行きましたら嘆かれてしまいました。
 ぜひ消費者庁を設立して、もう一度消費者行政が必要だということを国の方からメッセージを発信してもらって、こういった組織ができるように応援していただきたいということで、これは野田大臣にお伝えしてほしいと言われましたので、お話しさせていただきます。
 ということで、今回の地方支援策では、こうした地方の現場における連携、これをどういうふうに強化していくのかということが大切だと思います。地方自治体の中で幾つかの、先進的な成功事例というのはいっぱいあるかと思うんですけれども、ぜひこれを機会に野田大臣の口から、ここはよく頑張っているな、ここは評価してあげようよとか、そういうふうに褒めていただくと、多分、すごく背中を押されて、もっと頑張ろうと思うと思いますので、ぜひ大きな声でここで褒めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○野田国務大臣 おはようございます。よろしくお願いします。
 事前にとかしき議員から、そういうよく頑張っているところについて具体的にこの場で報告してほしい、褒めてほしいということがございましたので、必死でおさらいをさせていただきました。幾つか御紹介をしたいと思います。
 まず初めに、御指摘の北海道の取り組みというのは、消費生活センターと関係者が連携をとることで、消費者被害の未然防止、早期発見や救済につながるものでありますけれども、都道府県レベルでの同種の取り組みとすると、例えば富山県、ここでは、くらしの安心ネットとやま事業として、関係行政機関、福祉関係団体、消費者団体等によるネットワークを組織し、情報交換会の開催、市町村レベルでのネットワーク形成の支援が行われているものと承知して、大変頑張ってくださっています。
 また、市町村レベルにおきましても同じような取り組みがございまして、滋賀県の野洲市、ここでは、民生委員、ケアマネジャー、ヘルパー、保健師、訪問看護師、行政職員により庁内ネットワークを構成し、警察、社会福祉協議会、医療機関とも連携をしていただきながら、先ほどもちょっとそういうお話がありましたけれども、とりわけ高齢者や障害者などの生活弱者の方々の被害発見と救済を行っていただいています。具体的には、ネットワーク構成員が発見した消費者被害を消費生活センターに通知し、同センターが対応いたします。
 また、静岡県の焼津市では、地域包括支援センター、これによりまして見出された消費者被害を消費生活相談窓口で対応し、解決に導いた後、地域包括支援センターの社会福祉士による定期訪問をすることによって見守りを続けていただいています。
 一方、消費者からの苦情相談処理というのは、個別消費者の支援等のみならず、適切な事業者指導等のためのセンサー機能というのを果たしています。
 例えば熊本県におきましては、消費生活センターに持ち込まれた食品表示に係る苦情相談を端緒として、食品衛生法担当課とセンターが連携することにより、保健所に対する適正表示の指導の徹底が通知された結果、改善が図られた事例があると聞いております。
 このような事例のように、消費生活センターと地方公共団体のそれぞれの部局や地域の関連団体との連携協力があって、地域社会形成の一環として消費者問題への対応が展開されていることは、まさに地方自治としての消費者行政のすばらしいモデルであると思っています。
 私たちは、こういう全国のさまざまな立派に活動している方たちの事例を幅広く御紹介することで、これから頑張るというところにも励みになっていただきたいし、お手本になっていただきたいと思っています。
 消費者庁がつくられるということは、議員も私も地方議員を経験しておるのでわかると思いますけれども、大概やはり県庁とか市役所とかそういうところのカウンターパートというのは国に必ずあるわけですね。土木だと国土交通省とか、農林だと農林水産省。消費者というのは、そういう一つの窓口がなかったというところが、やはり地方自治の中でも、相談相手もいない中、いろいろと戸惑いもあったと思うんですね。これからは、国にあっては消費者庁があるから、どの都道府県、地方自治体においても、何かあったらすぐに御相談ができるし助け合える、そういう新しい行政組織ができるということをやはり期待していただいて、ますます頑張っていただきたいと願っているところであります。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 きょう、事例ということで挙げてもらったところは多分すごい喜んでいると思いますけれども、こういった頑張っているところ、今すごく連携がよくとれているところはもっともっとこれから頑張っていただけるように、そして、消費者庁のこういった議論をしていることで、国民の皆様が、ああ、私たちのことを考えているセクションができるんだということをわかっていただくにはすごく私は有益な議論だと思いますので、これから消費者の皆さんが泣き寝入りをしないように、そして相談窓口、親身になってくれるところが充実することを祈っております。
 そして、私は、せっかく連携がうまくとれているんですけれども、これが今後うまく機能していくのかどうなのか、ちょっとそこが心配で、衆法の提出者の皆さんの方にお聞きしたいんです。
 今のお話のように、いい連携がとれているところがあるんですけれども、民主党案の方を拝見いたしますと、地方権利局や支局を新たに設置して、地方公共団体の消費者行政担当課や消費生活センターを存続したまま、両者を連携しながらやっていこうというふうになっているんですけれども、これは役割分担は実際どうなる予定なのでしょうか。
 さらに、都道府県の圏内に、市区町村の管轄内に司令官というところが必要だと思うんですけれども、一体これはどこが司令官を担うことになるんでしょうか。消費者行政担当課なのか、それとも地方権利局なのか、一体どちらが司令官になるのか、その辺を教えていただけますでしょうか。

○階議員 お答えいたします。
 司令塔機能という場合に、二つの観点から考える必要があるというふうに思っております。
 まず一つ目は、消費生活相談、あっせんの部分で、従来の地方の消費生活センターか、あるいは我々がつくると言っているところの地方権利局あるいはその支局、両者の間でどちらが司令塔機能を担うべきかという問題が一つ。それから、地域で起きている消費者問題について事業者を規制する場合に、消費者行政の地方の部局が司令塔になるか、それとも地方権利局が担うべきか、そういう行政の部分と、二つの段階に分けるべきだと思っております。
 一つ目の、相談、あっせんの部分については、基本的には、相談を受けるという機能については主従の関係はないわけですけれども、ただ、その情報をどこが取りまとめるかという意味でのコーディネーター役というような意味合いだと思います、司令塔というよりは。そういうコーディネーターとしての役割は、やはり国が全体的な情報は管理すべきだと思いますので、そういう機能は地方消費者権利局が担うべきだというふうに考えております。
 それから、二つ目の行政機能の話ですけれども、基本的には、地方において規制の権限を持つのは都道府県の知事でありますから、その行政を執行する部分では知事が当然司令塔になる。ただ、地方消費者権利局というのは、知事だけではなくて、すべての消費者行政が適正に行われているかという監視機能も担うわけですから、その監視の部分については、地方消費者権利局が司令塔といいますか、そういうちゃんと目を光らせるという機能を担うということで、行政の部分ではそういう役割分担になるかというふうに思っております。

○とかしき委員 ありがとうございました。
 今お聞きしていても、やはりしっかり組織が、どちらが権限を持つのかが私もちょっと今のところは納得ができないんですね。多分、これがこのまま現場に行きますと、案件案件によって混乱が起こる可能性がありますし、あと、私も地方議員だったことでよくわかるんですけれども、国の機関と地方の自治体のいろいろな機関というのは意外に連携がうまくいっていなくて、何でうまくいかないのかなと私見ていますと、心理的なバリアが物すごくあるんですね。あちらは国の機関だからちょっと自治体としてさわってはいけないという、この心理的バリアが実はすごく大きく作用しておりまして、連携をすごく阻んでくるんですね。ですから、ある程度組織を幾つも複雑に配置してしまうということは、現場でかなり混乱が起こる。
 私もヒアリングしておりまして、連携がうまくいっていればいっているところほど、実は、消費者権利院になったときに、逆に自分たちの今までの活動が阻まれるのではないかという不安の声を結構いただきましたので、ぜひこれは民主党さんの方もその辺の配慮をしていただけるとありがたいかなというふうに思います。
 もう時間がないので、最後の一つだけ、ちょっとお伺いしたいんです。
 民主党案の三十七条についてお伺いしたいんですけれども、三十七条の中に、権利官の申し立てによって、一定期間、事業者に対して禁止または停止を命ずることができるというふうにあるんですけれども、権利官が申し立てするというのはどういう事例について申し立てを行うのか。発生する、いろいろこういった事件が発生するおそれがある場合にというふうに規定してあるんですけれども、それはどういった判断基準、手続を踏んで対応なさるおつもりなのか、ちょっとここを教えていただけますでしょうか。

○枝野議員 この条文は、まさにいわゆるすき間事案的な部分のところについての緊急対応措置でございます。
 ただ、我々の場合ですと、身体的な損害だけではなくて財産的な問題も含まれるという意味では、消費者安全法の停止等の措置とは違っている、そういった意味では広いと思っております。
 発生し、発生するおそれがある場合ということは、まさにすき間的事案に対しての対応ですので、ケース・バイ・ケースですべて状況は違っているというふうに思いますが、まさに消費者の立場に立ってこれをとめないと深刻なことになるということの判断を、ただ一般的には消費者権利官が行う組み立てにしておりますが、まさに重要ですので、合議体の五名の委員会で判断をして申し立てをする。しかも、自分たちだけの判断で、業者側にとっては、これは間違っているときは大変深刻な影響を与えますので、裁判手続を踏んで、司法の判断を踏まえて、もちろん、この司法はいわゆる仮処分的なやり方で早期に結論を出していただきますが、こういうやり方でチェックを二重にかけて濫用のないような形にした上で、ただしオールマイティーにできるようにした、こういう仕組みでございます。

○とかしき委員 ありがとうございました。風評被害とかいろいろありますので、その辺の配慮もぜひお願いしたいと思います。
 両案とも、やはり消費者の気持ちに立って組織をつくっていこうということで、私は根っこの部分は同じだと思いますので、ぜひ、一日も早く消費者の立場に立ったこういった組織ができることを、現場の皆さんも願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうはありがとうございました。