171-衆-厚生労働委員会-2号 平成21年03月11日
○田村委員長 次に、とかしきなおみ君。
○とかしき委員 おはようございます。自由民主党のとかしきなおみでございます。本日は、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
本日、最初に質問させていただきますのは、循環器医療と救急医療体制についてであります。
これは、実は私の個人的な思いもありまして、私の父も九年前に亡くなりまして、そのときに循環器の病で倒れて搬送されたんですけれども、当時は救急体制が確立されていなかったために、かなり時間がかかってしまいまして、結局、それが原因で三日後に亡くなってしまいました。ということで、父も多分この辺で見ているかと思うんですけれども、自分の思いを国会議員として少しでも生かしてほしいということで、きょうはこういった形から質問をさせていただきたいと思います。
実は、舛添大臣が、私の地元に国立循環器病センターというのがございますけれども、そこを昨年の七月に、救急医療体制のことについて視察にお越しになりました。その視察で吸い上げられた声、たくさんあったかと思いますけれども、具体的に、今回の所信表明の中で政策としてどういった点を生かされているのか、ぜひその辺を教えていただければと思います。
○渡辺副大臣 お答えいたします。
昨年七月に舛添厚生労働大臣が国立循環器病センターを視察した際に、現場の医師の方々から、勤務環境が大変厳しい状況にあるとの御意見をいただいた、そのように承知をしているところであります。
このような状況に対応するために、去る三月四日の本委員会におきまして、舛添厚生労働大臣のごあいさつにおいて、勤務医の勤務環境の改善などの対策を実効性のある形で具体化していく、そういう表明をされたわけであります。
具体的には、先般成立をしました平成二十年度第一次補正予算及び二十一年度の予算案に、短時間正規雇用や交代勤務制を導入する病院に対しまして必要な経費の支援を行う、あるいは事務作業を行う医師事務作業補助者、メディカルクラーク等と言われておりますけれども、この設置あるいは養成する際に必要な経費の助成事業を行う等々を盛り込んでいるわけであります。
そのほかに、医師の養成数でございますけれども、従来の閣議決定を見直しまして、来年度、医師養成数を過去最大の八千四百八十六名にふやすということなど、総合的に病院勤務医の方々の勤務環境の改善に取り組んでいるところであります。
こうした対策を着実に実施することによりまして、今後とも、病院の勤務医の勤務環境を改善するために全力で取り組んでいきたい、そのように考えておるところであります。
〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕
○とかしき委員 ありがとうございます。
私も、実は一昨日、この質問もございますので、現地の状況はどうなっているかということで循環器病センターの方へ訪れまして、同じように視察をさせていただきました。後でちょっと循環器病のお話をさせていただきますが、先に、医療体制、特に医師不足のことについてはやはり切々と、強く訴えられたわけであります。
医師や看護師がかなり不足をしていまして、きょうもデータでお示ししましたけれども、この八から十番までが現状をあらわしているんですけれども、循環器病内科の勤務医は、六割が五人以下の体制で今行われております。当直も週一回が七割を超えて、平均睡眠時間は三時間以内、そして九割が翌日勤務ということで、通常、当直をすると大体三十六時間ずっと勤務ということで、かなり過酷な労働を強いられております。
さらに、夜当直をなさっている勤務医の先生方の年齢も、実は四十代後半から五十代がピークでありまして、仮に学校で教授になろうと、現場の当直をしないととても人員が回らない、そういう状況であるそうです。そして、ある医師は子育て中だったらしいんですけれども、家に帰ると、今度病院に出かけていくときに、子供にまた来てねと言われるぐらい、かなり家庭の中もひどい状況になっているということです。子供との接点もほとんど持てないということでかなり悲惨な状況でありまして、その悲惨な状況を見てまた新たな人材が入りにくいという、ある意味、絵にかいたような悪循環に陥っているところでありました。
舛添大臣は所信表明の中で触れていただいておりますけれども、医師の数の抑制を見直して増員していこう、これだけ危機的な状況であるので対応していこうという形で考えていただいているんですけれども、実際私も医療の現場を見ると、やはり即効性のある政策をもっと打っていかないと、医者の数をふやしていこうとしても実際に現場に出てくるのに十年以上かかってまいりますので、それではとても間に合わないという状況であります。
そして実際にお医者様の方に伺いましたところ、医師がやっている仕事も、別に医師じゃなくてもできるような仕事、例えば事務的な作業、カルテの入力ですとか、紹介の書類を書いたり、申請の書類を書いたり、そういったことも医師が指示をすればほかの人ができる業務であるということで、医師の周辺の仕事、やはり医師の仕事をトータルで見た場合、医師でなくてはいけないものと、医師の指示のもとにほかの人がサポートできる仕事をしっかり選別していくこと、これができれば大分、医師が医療行為に専念できるようになるのではないかと考えます。
そして大切なのは、そのサポートをする人材にある程度報酬をつけてあげる、これができれば比較的即効性のある政策として有用ではないかなというふうに考えました。これは要望のみとさせていただきます。
そして、循環器病センターの方に伺いましたところ、これは資料の一番から見ていただきたいんですけれども、日本の死亡率というところなんですが、今、もちろんがんが一番ではありますけれども、循環器病というふうにして考えていきますと、心臓とさらに脳卒中、この部分を両方足していきますと、実際、ほとんどがんの死亡率と変わらないぐらい死亡原因の大きな要因の一つとなっております。
さらに、がんと違いまして単一臓器が対象でありますので比較的対策がとりやすく、さらに、急性期に適切な処理があれば救命の可能性はかなり高くなってまいります。さらに、病気の知識が事前にあればかなりの確率で予防ができる。このように考えますと、循環器病対策をきっちり行っていくと、かなりの死亡率の低減が期待できるのではないかと考えられます。
死亡率低下に即効性が期待できる循環器疾患への国の取り組みの姿勢はどういうふうになっているのか、お知らせいただけますでしょうか。
○渡辺副大臣 委員御指摘の循環器病でございますけれども、脳卒中あるいは心筋梗塞等の疾患でありますけれども、こういう疾患を原因とする死亡割合が、先ほど御指摘もございましたけれども、我が国の死亡全体の約三割を占めているということでありまして、国民の健康を守っていくためには、これらの疾患への対策は大変重要な課題であると認識をしているところであります。
これらの疾患の発生を予防するということは大変重要でありますけれども、これは委員御存じのとおり、適度な運動、食生活の改善、あるいはたばこ対策等を軸として、健康的な生活習慣を守ることが効果的でありまして、国民の健康づくりを総合的に進める健康日本21を推進しているところであります。
また、平成二十年四月より、生活習慣病対策として、特定健診、特定保健指導を開始したところでもあります。このほか、地域において、先ほど急性期の治療が大切だというお話がありましたけれども、急性期を含む医療提供体制の整備を推進しているところであります。
これらの取り組みを通じまして、引き続き、生活習慣病の予防から医療提供体制にわたる循環器疾患の対策を総合的に進めてまいりたい、そのように考えているところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。
国の方でもいろいろ考えていただいておりますけれども、きょうは現場の声をちょっとお届けさせていただきたいと思います。
現場の方は、循環器疾患はしっかりと対応していけばかなり効果が上がるところなんですけれども、実は、対策を練ろうと思っても、現状の把握ができていないというのが一番の問題であるというふうに言われました。
といいますのは、がんの場合は、がんになった段階で登録をしますので、大体どれぐらいの人ががんに今かかっているのか、そして、それによって最終的に死に至ったのはどれぐらいなのかということが、比較的情報が集めやすい環境が整っております。
ところが、循環器に関しましては発症数を把握するすべがないということで、実際に亡くなられれば死亡率ということで死亡のデータはとれるんですけれども、どれぐらいの頻度で発症して、それがどういうふうにして死に至っているのかという生データを集めていくすべがないということで、要するに現状把握ができないので対応がしにくいということでありまして、このデータの蓄積、この辺もぜひ国のお力添えを賜りますようにお願いしたいということであります。これは要望のみにさせていただきます。
そして、先ほどから言いますように、急性心筋梗塞症、これは表三で見ていただくとわかるんですけれども、実際に心筋梗塞が起こった場合は、五二%、半分以上の方は院外で亡くなっております。外傷を除いた院外での突然死の八割が実は循環器関係であります。さらに循環器系というのは、発症から一時間がある意味、勝負ということで、この一時間の間にどれだけの医療行為が施せるか、ここが生死にかかわってまいります。
専門病院の今の状況というのは、二番目の資料なんですけれども、入院数と死亡率というところでこちらのグラフを見ていただきますと、実は死亡率はどんどん下がってきておりまして、かなり病院の中では効果が出てきて、実績が上がってきております。ですから、循環器病の疾患の死亡率を低下させようと思いますと、この院外での対応をどうしていくのか、ここが大きなポイントとなってまいります。
院外はどういったところがあるのかといいますと、大きく分けると、家の中、ふだん生活しているスペースと、何かあったときに搬送している間、この二つがあるわけです。家の中では、ふだんの予防的なこと、ふだんの個人の生活で気をつけなくてはいけないことと、万が一異常があった場合の発症直後の対策、こういったことに対応しておくこと。あとは搬送中、これは病院に搬送している間の医療機関との連携、この二つがしっかり対応がとれていくことが大切であります。
まず最初に、家の中なんですけれども、予防的に行っていく個人の対策、大体、循環器の病というのは事前に必ず体に何かしら変調が出ております。例えば高血圧ですとか不整脈であるとか、そういったことで事前にある程度健康に害が出てきて、いろいろ症状が出てきて、それが高じて大きなことになっていくわけであります。ですから、こういった事前の啓発活動、私たちが異常が起こったときにちゃんと対応する仕組みをつくっておく。そういった高血圧や不整脈を持っている方が、例えば麻痺ですとか、もしくは言語障害、そして強烈な痛みが伴った場合はすぐ救急車を呼ぶということが大切であります。
ところが、ある調査によりますと、実際に救急車を呼ぶとなると、一割ぐらいしか呼んでいないということで、こういったときは異常を感じたらすぐ救急車を依頼する。さらに、脳梗塞は最近tPAという薬、これは三時間以内に投薬すれば絶大なる効果が期待できるという薬でありますけれども、これも本当に、刻々と、対応を早くしないとやはり難しいということで、救急車に乗っていただくまでに、少なくとも一時間以内には乗ってもらう、そのためには家庭の中で異常を察知しておく、そのための啓蒙活動、啓発活動をしっかりしておくことがやはり大切であります。
最近、町中もAEDなどかなりふえてまいりましたけれども、蘇生措置が実際にとられたのはどれぐらいの確率かといいますと、実際は全体の三割でしかないということで、残念ながら、まだまだ十分に活用できている状況ではありません。さらに、先ほど言いましたように、公共施設は大体AEDは入っているんですけれども、発症するのが割と家庭の中の方が多いわけでありますから、やはり家庭の中で、どれだけ家族が見つけてあげたり対応できるか、ここが重要であると思います。ですから、こういった啓蒙活動が非常に重要であります。
さらに、搬送中に行う医療行為との連携ということで、視察をしました国立循環器病センターでは、自治体である吹田市とともに、二〇〇八年六月から新しい挑戦をしておりました。これはモバイルテレメディシンというシステムなんですけれども、このことについては資料の四番から七番で書かせていただいております。
これは、救急車の中にインターネットで接続したカメラを搭載してありまして、そして生データを、患者さんが今どういう状態なのかということで、心電図等、全部データで医療機関に送って、医療機関にいる人たちはその様子を見ながら、映像を見ながら的確に救命士に指示を出していく。さらに、地域の医療機関と連携をとって、どの病院に搬送したらいいのかということを相談しながら、要は、搬送しながら医療行為をしつつ、さらに医療機関の方でもきっちりと受け入れ体制を整えておくことができるという、搬送時間を非常に有効に使う手段として、これは新しいケースということで、今挑戦中であります。吹田市の方の救急車は五台全部搭載しておりまして、そして今、データを蓄積しているわけであります。
特に、こういったシステムというのは、実は吹田市というのは大阪の中でも比較的医療体制が整ったところでありますけれども、やはり地方、こういったところに非常に有効であると考えます。例えば北海道や高知、鹿児島、長崎などは搬送に二時間以上かかっているわけです。そういったところにこういった体制が非常に生きてくるのではないかと思います。
ここで質問なんですけれども、国としての予防医療の教育や、たらい回しを防ぐだけではなくて、こういった搬送中の医療行為に着目したシステムの構築、支援を国はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お示しいただきます。
○渡辺副大臣 循環器病、脳卒中とか心臓病、その最初の症状等を一般市民の方々が学んでいくということは、早目に通報ができるということで大変重要だと思っております。そういう意味で、健康日本21の中でも健康教育というものを大変重要視しておりまして、委員御指摘のように、そういう初期症状等のことを市民に対して啓発していきたいと考えております。
それから、循環器病は突然に発症することが多いわけでありますけれども、心肺停止になった場合に、現場に居合わせた一般市民により、できるだけ早く胸骨圧迫による心臓マッサージあるいはAEDの使用等を含めた心肺蘇生法が行われることが大変重要であります。脳卒中、心臓疾患の急性期の発症の場合は特に重要と考えておりまして、これに対しまして、都道府県が行う一般市民向けの応急処置に関する講習会を開く場合の支援等を行っていく、あるいは一般市民にもわかりやすい教材の開発を行っているところであります。
それから、先ほど吹田市のモバイルテレメディシンについてお話がございましたけれども、そのような患者搬送中に医療機関の医師が適切な判断を行えるよう、救急車から搬送先の医療機関に患者の映像やバイタルサイン等を転送するシステムにつきまして、現在、経済産業省と協力して、情報通信技術を活用した新たな連絡支援システムについて研究を行っているところでありまして、その結果を踏まえまして必要な施策を推進していきたい、そのように考えているところでございます。
○とかしき委員 ぜひ、積極的な取り組みの方をよろしくお願いいたします。
現在の医療体制の崩壊というのは、乱暴な言葉で言えばお金がないから、今、医療体制の崩壊が起こっていると言えると思います。
日本は国民皆保険というすばらしい制度を整えて、高度成長のときは国民の皆さんがその恩恵をこうむることができました。ところが、少子高齢社会、低成長時代を迎えて、国民皆保険の制度の維持が非常に難しくなってまいりました。国民は制度の後退は絶対許しませんので、むしろさらなるサービスのアップ、さらに、負担もなるべくならば軽減させてほしいということを望んでいるわけであります。しかし、この二つの希望を同時に満足させるというのはほぼ不可能な状況であります。
そして今の状況は、本来、国民皆保険は非常に厳しい状況にあるんですけれども、何とか継続しているように見えているのは、医療従事者の皆さんの熱意と好意によって支えられている部分が多くありました。それがいよいよ限界に達して、我慢に我慢を重ねたものがついに崩れてきてしまって今悲鳴を上げている、これが医療体制の崩壊だと考えております。
では、これを打開するにはどうしたらいいのかといいますと、やはり根本の問題でありますお金をどうするかということであります。国民の皆さんは、もうこれ以上負担をしたくないというのが本音であります。こうなると、国内からの調達というのは不可能に近い。となると、目を外に向けていくしか方法はありません。要は海外からお金を持ってくる、こういった新しい発想の転換も必要なのではないでしょうか。
日本の医療を外貨を稼げるビジネスとして育成していく、これも一つの方法だと考えます。日本に医療を受けに来てもらって、世界最高水準の医療技術と、日本人が得意とするおもてなしの精神で治療に専念をしてもらい、そして満足してそれぞれの国にお帰りいただく。例えば、日本人が得意としている食の指導も治療中に行ってもいいかもしれません。
国としてこういった新しい取り組みをしていこう、医療ビジネスとして非常に有望であるということで、シンガポールや韓国、インドなども投資を始めました。このような中、日本ブランドの付加価値があれば十分に海外の国々と闘っていける、医療ビジネスとして育てて外貨を稼ぎ、そして、その収益を国民の社会保障の費用に充てんをしていく、こういった大胆な発想の転換があってもいいのではないでしょうか。
世界の最先端を走っている超高齢社会、逆を言えば、これを逆手にとって高齢社会のノウハウを蓄積して、健康に年を重ねていって、そのソフトを充実させていく。医療がビジネスになる産業ととらえれば、将来の日本を支える基幹産業に確実に育っていくことも考えられます。
社会保障制度の安定財源の確保、これも所信表明では述べられておりますけれども、具体的にはどういった方策をお考えなのでしょうか。あと、日本の医療を、そういった外資を稼げるぐらいの基幹産業として今後育成して財源確保に充てていく、例えばこういった政策をどういうふうに評価なさいますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○外口政府参考人 最高水準の健康寿命を達成するなど大きな成果を上げてきた日本の医療、医療技術を世界に知ってもらうことは、大変重要だと思います。
また、医薬品、医療機器産業に関しては、近年、海外売上高比率が四〇%を超える企業もあり、全体として輸出額は年々増加しております。このことからも医薬品、医療機器産業は、今後、輸出産業として発展していく高い能力を持つ産業であると考えております。
政府としては、我が国のすぐれた研究開発をもとに、革新的医薬品、医療機器の国際的開発、提供体制へ我が国が参加していくことで、医薬品、医療機器産業を日本の成長牽引役へ導くとともに、世界最高水準の医薬品、医療機器を国民に迅速に提供することを目標とする革新的医薬品・医療機器創出のための五カ年戦略を、関係省庁連携のもとに取りまとめ、現在、その着実な実施を進めているところでございます。
○とかしき委員 地方分権の時代で、実は、自治体の中にもこういった新しい取り組みをしようというところが出てきております。私の地元も、実は環境と医療というのを町づくりのテーマに掲げて、地域の人たちと医療を積極的に結びつけて、町の永続的な発展に寄与していこうという新しい試みが生まれました。
医療ビジネスを日本の基幹産業にしていこうと思うのであれば、やはりこういった自治体との連携、特に今、地方分権の時代でありますから、地域の特徴を出す一つのツールとして非常に有効だと考えます。モデル地域を決めて、その場所に集中的にみんなで資本を投下して、そして最初の助走のときだけ国の方がちょっと背中を押してあげる、そして弾みをつけて飛び出せるようにしていく。こういった時代を先読みして、やる気のある自治体、そして医療ビジネスを日本の基幹産業として積極的に取り入れる、こういったことも日本を元気にしていくことにつながると思いますので、ぜひ応援の方をよろしくお願いいたします。
それでは最後に、インターネットの薬の販売についてお伺いさせていただきたいと思います。
インターネットの薬の販売、最近はマスコミで大変話題になっておりまして、規制緩和を望むネット業界VS規制強化をもくろむ薬業関係者という構図ができ上がってしまいまして、今、大変話題を振りまいております。
しかし、これは本当にVSなんだろうかと、私は正直疑問に思っております。もしかしたら両者は同じことを言っているのではないでしょうか。どんな人でも、安全性を無視して利便性を追求する、こんなことは絶対にありません。さらに、将来、今よりもネットが社会の中に入ってくる、これを否定する人もいないわけであります。大切なのは、消費者である国民の皆さんが、薬は毒である、薬はリスクを伴うものである、こういった消費者教育が本当に行き届いているのか、ここが大切であります。
私も薬剤師の立場で意見を言わせていただくならば、薬に対する消費者教育、残念ながら、ひどくおくれているとしか言いようがありません。
最近も連日のように報道されております大麻の事件も、やはり大麻の怖さを知らないからこそ、こういったことに安易に手を染めてしまう人が出ていると思います。例えば通常の薬に対しても、家族がもらってきたから、同じ症状だからといって、処方せんもないのに家族の中で流用したり、古くなった薬を昔と同じ症状だからといって再度服用したり、さらに、大人の薬を半分にして子供に安易に飲ませてしまったり、予防と称して症状が出る前に薬を飲んでしまったりと、多くの方々がこういった間違った薬の使い方を経験しているかと思います。やはりこれも、明らかに薬の知識が欠落しているから起こることであります。
日本人は、食品に関しては非常にデリケートでありますけれども、なぜか、化学物質の濃縮版である薬に関しては非常に無頓着であります。消費者教育が行き届いていないから、現在もインターネットの薬の販売トラブルが出ているわけであります。
ネットでの薬の販売を、これだけ今話題になっておりますので、仮にこれがこの後、全部オーケーということになれば、トラブルは今よりも出てしまいまして、さらに海外から、海外は、特に問題になっておりますのがにせ薬であります。にせ薬も日本の中にどんどん入ってくる可能性があります。このように考えると、ネットで今慌てて薬を拡販してしまうことが、結局は、訴訟問題等トラブルが続出して、将来のネット業界の発展を阻んでしまうことにもつながる可能性があります。
ですから、今すべきことはVSではなくて、むしろ国も一緒になって、これをいい機会に、国民に薬のリスクをしっかりと教育していくこと、これが一番重要ではないかと思います。そして、国民にある程度薬のリスクを理解していただいた上で薬のネット販売を解禁した方が、かかわる人たちすべてがウイン・ウインの関係になる、このように考えます。薬の消費者教育、これこそ今一番私たちが取り組まなくてはいけないことではないかと思います。
それで、最後にお伺いしたいんですが、二月の六日に省令を発令いたしましたけれども、舛添大臣の指示で、二月の二十四日、検討会が開催されました。なぜこの検討会が開催されたのか、その目的はどんな真意でこれを開催なさったのか、そこをお知らせください。
さらに、インターネットの薬の販売に対して、国の方のお考えをお知らせください。お願いします。
○渡辺副大臣 委員御指摘のように、薬あるいは薬の服用に関する国民に対する啓発、教育というものは大変重要だ、そのように考えております。
さて、御質問の件でございますけれども、本年六月に施行される改正薬事法の趣旨は、いわゆる大衆薬、一般用医薬品のことでありますけれども、この販売に当たりましては、専門家が適切に情報提供を行うことにより国民の安全を確保するというものであります。施行に向けて二月に公布をした省令では、インターネット等の通信販売については、こうした法改正の趣旨が担保されないおそれがあることから、専門家の情報提供が不要な第三類の医薬品に限って販売できることとしたところであります。
一方、省令案のパブリックコメント等を通じて、薬局や店舗に行くことが困難な方から、インターネットで医薬品を購入できるようにしてほしいという意見など、さまざまな御意見をいただいたところでもあります。
このため、新しい販売制度のもとで、安全性を確保した上で、すべての国民が医薬品を適切に選択し、かつ適正に使用することができる環境づくりのために今回の検討会を開催したところであります。
その課題につきましては、薬局、店舗等では医薬品の購入が困難な場合の対応の方策、あるいはインターネット等を通じた医薬品販売のあり方などについて、幅広い関係者の間で御議論をいただくこととしたところであります。
今後、検討会の議論の動向を踏まえまして必要な方策を講じることとしたい、そのように考えているところであります。
○とかしき委員 ありがとうございました。国民の健康を守っていく、国民の皆さん自身が健康を守っていく環境、消費者教育に、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。
○田村委員長 次に、とかしきなおみ君。
○とかしき委員 おはようございます。自由民主党のとかしきなおみでございます。本日は、質問の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。
本日、最初に質問させていただきますのは、循環器医療と救急医療体制についてであります。
これは、実は私の個人的な思いもありまして、私の父も九年前に亡くなりまして、そのときに循環器の病で倒れて搬送されたんですけれども、当時は救急体制が確立されていなかったために、かなり時間がかかってしまいまして、結局、それが原因で三日後に亡くなってしまいました。ということで、父も多分この辺で見ているかと思うんですけれども、自分の思いを国会議員として少しでも生かしてほしいということで、きょうはこういった形から質問をさせていただきたいと思います。
実は、舛添大臣が、私の地元に国立循環器病センターというのがございますけれども、そこを昨年の七月に、救急医療体制のことについて視察にお越しになりました。その視察で吸い上げられた声、たくさんあったかと思いますけれども、具体的に、今回の所信表明の中で政策としてどういった点を生かされているのか、ぜひその辺を教えていただければと思います。
○渡辺副大臣 お答えいたします。
昨年七月に舛添厚生労働大臣が国立循環器病センターを視察した際に、現場の医師の方々から、勤務環境が大変厳しい状況にあるとの御意見をいただいた、そのように承知をしているところであります。
このような状況に対応するために、去る三月四日の本委員会におきまして、舛添厚生労働大臣のごあいさつにおいて、勤務医の勤務環境の改善などの対策を実効性のある形で具体化していく、そういう表明をされたわけであります。
具体的には、先般成立をしました平成二十年度第一次補正予算及び二十一年度の予算案に、短時間正規雇用や交代勤務制を導入する病院に対しまして必要な経費の支援を行う、あるいは事務作業を行う医師事務作業補助者、メディカルクラーク等と言われておりますけれども、この設置あるいは養成する際に必要な経費の助成事業を行う等々を盛り込んでいるわけであります。
そのほかに、医師の養成数でございますけれども、従来の閣議決定を見直しまして、来年度、医師養成数を過去最大の八千四百八十六名にふやすということなど、総合的に病院勤務医の方々の勤務環境の改善に取り組んでいるところであります。
こうした対策を着実に実施することによりまして、今後とも、病院の勤務医の勤務環境を改善するために全力で取り組んでいきたい、そのように考えておるところであります。
〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕
○とかしき委員 ありがとうございます。
私も、実は一昨日、この質問もございますので、現地の状況はどうなっているかということで循環器病センターの方へ訪れまして、同じように視察をさせていただきました。後でちょっと循環器病のお話をさせていただきますが、先に、医療体制、特に医師不足のことについてはやはり切々と、強く訴えられたわけであります。
医師や看護師がかなり不足をしていまして、きょうもデータでお示ししましたけれども、この八から十番までが現状をあらわしているんですけれども、循環器病内科の勤務医は、六割が五人以下の体制で今行われております。当直も週一回が七割を超えて、平均睡眠時間は三時間以内、そして九割が翌日勤務ということで、通常、当直をすると大体三十六時間ずっと勤務ということで、かなり過酷な労働を強いられております。
さらに、夜当直をなさっている勤務医の先生方の年齢も、実は四十代後半から五十代がピークでありまして、仮に学校で教授になろうと、現場の当直をしないととても人員が回らない、そういう状況であるそうです。そして、ある医師は子育て中だったらしいんですけれども、家に帰ると、今度病院に出かけていくときに、子供にまた来てねと言われるぐらい、かなり家庭の中もひどい状況になっているということです。子供との接点もほとんど持てないということでかなり悲惨な状況でありまして、その悲惨な状況を見てまた新たな人材が入りにくいという、ある意味、絵にかいたような悪循環に陥っているところでありました。
舛添大臣は所信表明の中で触れていただいておりますけれども、医師の数の抑制を見直して増員していこう、これだけ危機的な状況であるので対応していこうという形で考えていただいているんですけれども、実際私も医療の現場を見ると、やはり即効性のある政策をもっと打っていかないと、医者の数をふやしていこうとしても実際に現場に出てくるのに十年以上かかってまいりますので、それではとても間に合わないという状況であります。
そして実際にお医者様の方に伺いましたところ、医師がやっている仕事も、別に医師じゃなくてもできるような仕事、例えば事務的な作業、カルテの入力ですとか、紹介の書類を書いたり、申請の書類を書いたり、そういったことも医師が指示をすればほかの人ができる業務であるということで、医師の周辺の仕事、やはり医師の仕事をトータルで見た場合、医師でなくてはいけないものと、医師の指示のもとにほかの人がサポートできる仕事をしっかり選別していくこと、これができれば大分、医師が医療行為に専念できるようになるのではないかと考えます。
そして大切なのは、そのサポートをする人材にある程度報酬をつけてあげる、これができれば比較的即効性のある政策として有用ではないかなというふうに考えました。これは要望のみとさせていただきます。
そして、循環器病センターの方に伺いましたところ、これは資料の一番から見ていただきたいんですけれども、日本の死亡率というところなんですが、今、もちろんがんが一番ではありますけれども、循環器病というふうにして考えていきますと、心臓とさらに脳卒中、この部分を両方足していきますと、実際、ほとんどがんの死亡率と変わらないぐらい死亡原因の大きな要因の一つとなっております。
さらに、がんと違いまして単一臓器が対象でありますので比較的対策がとりやすく、さらに、急性期に適切な処理があれば救命の可能性はかなり高くなってまいります。さらに、病気の知識が事前にあればかなりの確率で予防ができる。このように考えますと、循環器病対策をきっちり行っていくと、かなりの死亡率の低減が期待できるのではないかと考えられます。
死亡率低下に即効性が期待できる循環器疾患への国の取り組みの姿勢はどういうふうになっているのか、お知らせいただけますでしょうか。
○渡辺副大臣 委員御指摘の循環器病でございますけれども、脳卒中あるいは心筋梗塞等の疾患でありますけれども、こういう疾患を原因とする死亡割合が、先ほど御指摘もございましたけれども、我が国の死亡全体の約三割を占めているということでありまして、国民の健康を守っていくためには、これらの疾患への対策は大変重要な課題であると認識をしているところであります。
これらの疾患の発生を予防するということは大変重要でありますけれども、これは委員御存じのとおり、適度な運動、食生活の改善、あるいはたばこ対策等を軸として、健康的な生活習慣を守ることが効果的でありまして、国民の健康づくりを総合的に進める健康日本21を推進しているところであります。
また、平成二十年四月より、生活習慣病対策として、特定健診、特定保健指導を開始したところでもあります。このほか、地域において、先ほど急性期の治療が大切だというお話がありましたけれども、急性期を含む医療提供体制の整備を推進しているところであります。
これらの取り組みを通じまして、引き続き、生活習慣病の予防から医療提供体制にわたる循環器疾患の対策を総合的に進めてまいりたい、そのように考えているところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。
国の方でもいろいろ考えていただいておりますけれども、きょうは現場の声をちょっとお届けさせていただきたいと思います。
現場の方は、循環器疾患はしっかりと対応していけばかなり効果が上がるところなんですけれども、実は、対策を練ろうと思っても、現状の把握ができていないというのが一番の問題であるというふうに言われました。
といいますのは、がんの場合は、がんになった段階で登録をしますので、大体どれぐらいの人ががんに今かかっているのか、そして、それによって最終的に死に至ったのはどれぐらいなのかということが、比較的情報が集めやすい環境が整っております。
ところが、循環器に関しましては発症数を把握するすべがないということで、実際に亡くなられれば死亡率ということで死亡のデータはとれるんですけれども、どれぐらいの頻度で発症して、それがどういうふうにして死に至っているのかという生データを集めていくすべがないということで、要するに現状把握ができないので対応がしにくいということでありまして、このデータの蓄積、この辺もぜひ国のお力添えを賜りますようにお願いしたいということであります。これは要望のみにさせていただきます。
そして、先ほどから言いますように、急性心筋梗塞症、これは表三で見ていただくとわかるんですけれども、実際に心筋梗塞が起こった場合は、五二%、半分以上の方は院外で亡くなっております。外傷を除いた院外での突然死の八割が実は循環器関係であります。さらに循環器系というのは、発症から一時間がある意味、勝負ということで、この一時間の間にどれだけの医療行為が施せるか、ここが生死にかかわってまいります。
専門病院の今の状況というのは、二番目の資料なんですけれども、入院数と死亡率というところでこちらのグラフを見ていただきますと、実は死亡率はどんどん下がってきておりまして、かなり病院の中では効果が出てきて、実績が上がってきております。ですから、循環器病の疾患の死亡率を低下させようと思いますと、この院外での対応をどうしていくのか、ここが大きなポイントとなってまいります。
院外はどういったところがあるのかといいますと、大きく分けると、家の中、ふだん生活しているスペースと、何かあったときに搬送している間、この二つがあるわけです。家の中では、ふだんの予防的なこと、ふだんの個人の生活で気をつけなくてはいけないことと、万が一異常があった場合の発症直後の対策、こういったことに対応しておくこと。あとは搬送中、これは病院に搬送している間の医療機関との連携、この二つがしっかり対応がとれていくことが大切であります。
まず最初に、家の中なんですけれども、予防的に行っていく個人の対策、大体、循環器の病というのは事前に必ず体に何かしら変調が出ております。例えば高血圧ですとか不整脈であるとか、そういったことで事前にある程度健康に害が出てきて、いろいろ症状が出てきて、それが高じて大きなことになっていくわけであります。ですから、こういった事前の啓発活動、私たちが異常が起こったときにちゃんと対応する仕組みをつくっておく。そういった高血圧や不整脈を持っている方が、例えば麻痺ですとか、もしくは言語障害、そして強烈な痛みが伴った場合はすぐ救急車を呼ぶということが大切であります。
ところが、ある調査によりますと、実際に救急車を呼ぶとなると、一割ぐらいしか呼んでいないということで、こういったときは異常を感じたらすぐ救急車を依頼する。さらに、脳梗塞は最近tPAという薬、これは三時間以内に投薬すれば絶大なる効果が期待できるという薬でありますけれども、これも本当に、刻々と、対応を早くしないとやはり難しいということで、救急車に乗っていただくまでに、少なくとも一時間以内には乗ってもらう、そのためには家庭の中で異常を察知しておく、そのための啓蒙活動、啓発活動をしっかりしておくことがやはり大切であります。
最近、町中もAEDなどかなりふえてまいりましたけれども、蘇生措置が実際にとられたのはどれぐらいの確率かといいますと、実際は全体の三割でしかないということで、残念ながら、まだまだ十分に活用できている状況ではありません。さらに、先ほど言いましたように、公共施設は大体AEDは入っているんですけれども、発症するのが割と家庭の中の方が多いわけでありますから、やはり家庭の中で、どれだけ家族が見つけてあげたり対応できるか、ここが重要であると思います。ですから、こういった啓蒙活動が非常に重要であります。
さらに、搬送中に行う医療行為との連携ということで、視察をしました国立循環器病センターでは、自治体である吹田市とともに、二〇〇八年六月から新しい挑戦をしておりました。これはモバイルテレメディシンというシステムなんですけれども、このことについては資料の四番から七番で書かせていただいております。
これは、救急車の中にインターネットで接続したカメラを搭載してありまして、そして生データを、患者さんが今どういう状態なのかということで、心電図等、全部データで医療機関に送って、医療機関にいる人たちはその様子を見ながら、映像を見ながら的確に救命士に指示を出していく。さらに、地域の医療機関と連携をとって、どの病院に搬送したらいいのかということを相談しながら、要は、搬送しながら医療行為をしつつ、さらに医療機関の方でもきっちりと受け入れ体制を整えておくことができるという、搬送時間を非常に有効に使う手段として、これは新しいケースということで、今挑戦中であります。吹田市の方の救急車は五台全部搭載しておりまして、そして今、データを蓄積しているわけであります。
特に、こういったシステムというのは、実は吹田市というのは大阪の中でも比較的医療体制が整ったところでありますけれども、やはり地方、こういったところに非常に有効であると考えます。例えば北海道や高知、鹿児島、長崎などは搬送に二時間以上かかっているわけです。そういったところにこういった体制が非常に生きてくるのではないかと思います。
ここで質問なんですけれども、国としての予防医療の教育や、たらい回しを防ぐだけではなくて、こういった搬送中の医療行為に着目したシステムの構築、支援を国はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お示しいただきます。
○渡辺副大臣 循環器病、脳卒中とか心臓病、その最初の症状等を一般市民の方々が学んでいくということは、早目に通報ができるということで大変重要だと思っております。そういう意味で、健康日本21の中でも健康教育というものを大変重要視しておりまして、委員御指摘のように、そういう初期症状等のことを市民に対して啓発していきたいと考えております。
それから、循環器病は突然に発症することが多いわけでありますけれども、心肺停止になった場合に、現場に居合わせた一般市民により、できるだけ早く胸骨圧迫による心臓マッサージあるいはAEDの使用等を含めた心肺蘇生法が行われることが大変重要であります。脳卒中、心臓疾患の急性期の発症の場合は特に重要と考えておりまして、これに対しまして、都道府県が行う一般市民向けの応急処置に関する講習会を開く場合の支援等を行っていく、あるいは一般市民にもわかりやすい教材の開発を行っているところであります。
それから、先ほど吹田市のモバイルテレメディシンについてお話がございましたけれども、そのような患者搬送中に医療機関の医師が適切な判断を行えるよう、救急車から搬送先の医療機関に患者の映像やバイタルサイン等を転送するシステムにつきまして、現在、経済産業省と協力して、情報通信技術を活用した新たな連絡支援システムについて研究を行っているところでありまして、その結果を踏まえまして必要な施策を推進していきたい、そのように考えているところでございます。
○とかしき委員 ぜひ、積極的な取り組みの方をよろしくお願いいたします。
現在の医療体制の崩壊というのは、乱暴な言葉で言えばお金がないから、今、医療体制の崩壊が起こっていると言えると思います。
日本は国民皆保険というすばらしい制度を整えて、高度成長のときは国民の皆さんがその恩恵をこうむることができました。ところが、少子高齢社会、低成長時代を迎えて、国民皆保険の制度の維持が非常に難しくなってまいりました。国民は制度の後退は絶対許しませんので、むしろさらなるサービスのアップ、さらに、負担もなるべくならば軽減させてほしいということを望んでいるわけであります。しかし、この二つの希望を同時に満足させるというのはほぼ不可能な状況であります。
そして今の状況は、本来、国民皆保険は非常に厳しい状況にあるんですけれども、何とか継続しているように見えているのは、医療従事者の皆さんの熱意と好意によって支えられている部分が多くありました。それがいよいよ限界に達して、我慢に我慢を重ねたものがついに崩れてきてしまって今悲鳴を上げている、これが医療体制の崩壊だと考えております。
では、これを打開するにはどうしたらいいのかといいますと、やはり根本の問題でありますお金をどうするかということであります。国民の皆さんは、もうこれ以上負担をしたくないというのが本音であります。こうなると、国内からの調達というのは不可能に近い。となると、目を外に向けていくしか方法はありません。要は海外からお金を持ってくる、こういった新しい発想の転換も必要なのではないでしょうか。
日本の医療を外貨を稼げるビジネスとして育成していく、これも一つの方法だと考えます。日本に医療を受けに来てもらって、世界最高水準の医療技術と、日本人が得意とするおもてなしの精神で治療に専念をしてもらい、そして満足してそれぞれの国にお帰りいただく。例えば、日本人が得意としている食の指導も治療中に行ってもいいかもしれません。
国としてこういった新しい取り組みをしていこう、医療ビジネスとして非常に有望であるということで、シンガポールや韓国、インドなども投資を始めました。このような中、日本ブランドの付加価値があれば十分に海外の国々と闘っていける、医療ビジネスとして育てて外貨を稼ぎ、そして、その収益を国民の社会保障の費用に充てんをしていく、こういった大胆な発想の転換があってもいいのではないでしょうか。
世界の最先端を走っている超高齢社会、逆を言えば、これを逆手にとって高齢社会のノウハウを蓄積して、健康に年を重ねていって、そのソフトを充実させていく。医療がビジネスになる産業ととらえれば、将来の日本を支える基幹産業に確実に育っていくことも考えられます。
社会保障制度の安定財源の確保、これも所信表明では述べられておりますけれども、具体的にはどういった方策をお考えなのでしょうか。あと、日本の医療を、そういった外資を稼げるぐらいの基幹産業として今後育成して財源確保に充てていく、例えばこういった政策をどういうふうに評価なさいますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○外口政府参考人 最高水準の健康寿命を達成するなど大きな成果を上げてきた日本の医療、医療技術を世界に知ってもらうことは、大変重要だと思います。
また、医薬品、医療機器産業に関しては、近年、海外売上高比率が四〇%を超える企業もあり、全体として輸出額は年々増加しております。このことからも医薬品、医療機器産業は、今後、輸出産業として発展していく高い能力を持つ産業であると考えております。
政府としては、我が国のすぐれた研究開発をもとに、革新的医薬品、医療機器の国際的開発、提供体制へ我が国が参加していくことで、医薬品、医療機器産業を日本の成長牽引役へ導くとともに、世界最高水準の医薬品、医療機器を国民に迅速に提供することを目標とする革新的医薬品・医療機器創出のための五カ年戦略を、関係省庁連携のもとに取りまとめ、現在、その着実な実施を進めているところでございます。
○とかしき委員 地方分権の時代で、実は、自治体の中にもこういった新しい取り組みをしようというところが出てきております。私の地元も、実は環境と医療というのを町づくりのテーマに掲げて、地域の人たちと医療を積極的に結びつけて、町の永続的な発展に寄与していこうという新しい試みが生まれました。
医療ビジネスを日本の基幹産業にしていこうと思うのであれば、やはりこういった自治体との連携、特に今、地方分権の時代でありますから、地域の特徴を出す一つのツールとして非常に有効だと考えます。モデル地域を決めて、その場所に集中的にみんなで資本を投下して、そして最初の助走のときだけ国の方がちょっと背中を押してあげる、そして弾みをつけて飛び出せるようにしていく。こういった時代を先読みして、やる気のある自治体、そして医療ビジネスを日本の基幹産業として積極的に取り入れる、こういったことも日本を元気にしていくことにつながると思いますので、ぜひ応援の方をよろしくお願いいたします。
それでは最後に、インターネットの薬の販売についてお伺いさせていただきたいと思います。
インターネットの薬の販売、最近はマスコミで大変話題になっておりまして、規制緩和を望むネット業界VS規制強化をもくろむ薬業関係者という構図ができ上がってしまいまして、今、大変話題を振りまいております。
しかし、これは本当にVSなんだろうかと、私は正直疑問に思っております。もしかしたら両者は同じことを言っているのではないでしょうか。どんな人でも、安全性を無視して利便性を追求する、こんなことは絶対にありません。さらに、将来、今よりもネットが社会の中に入ってくる、これを否定する人もいないわけであります。大切なのは、消費者である国民の皆さんが、薬は毒である、薬はリスクを伴うものである、こういった消費者教育が本当に行き届いているのか、ここが大切であります。
私も薬剤師の立場で意見を言わせていただくならば、薬に対する消費者教育、残念ながら、ひどくおくれているとしか言いようがありません。
最近も連日のように報道されております大麻の事件も、やはり大麻の怖さを知らないからこそ、こういったことに安易に手を染めてしまう人が出ていると思います。例えば通常の薬に対しても、家族がもらってきたから、同じ症状だからといって、処方せんもないのに家族の中で流用したり、古くなった薬を昔と同じ症状だからといって再度服用したり、さらに、大人の薬を半分にして子供に安易に飲ませてしまったり、予防と称して症状が出る前に薬を飲んでしまったりと、多くの方々がこういった間違った薬の使い方を経験しているかと思います。やはりこれも、明らかに薬の知識が欠落しているから起こることであります。
日本人は、食品に関しては非常にデリケートでありますけれども、なぜか、化学物質の濃縮版である薬に関しては非常に無頓着であります。消費者教育が行き届いていないから、現在もインターネットの薬の販売トラブルが出ているわけであります。
ネットでの薬の販売を、これだけ今話題になっておりますので、仮にこれがこの後、全部オーケーということになれば、トラブルは今よりも出てしまいまして、さらに海外から、海外は、特に問題になっておりますのがにせ薬であります。にせ薬も日本の中にどんどん入ってくる可能性があります。このように考えると、ネットで今慌てて薬を拡販してしまうことが、結局は、訴訟問題等トラブルが続出して、将来のネット業界の発展を阻んでしまうことにもつながる可能性があります。
ですから、今すべきことはVSではなくて、むしろ国も一緒になって、これをいい機会に、国民に薬のリスクをしっかりと教育していくこと、これが一番重要ではないかと思います。そして、国民にある程度薬のリスクを理解していただいた上で薬のネット販売を解禁した方が、かかわる人たちすべてがウイン・ウインの関係になる、このように考えます。薬の消費者教育、これこそ今一番私たちが取り組まなくてはいけないことではないかと思います。
それで、最後にお伺いしたいんですが、二月の六日に省令を発令いたしましたけれども、舛添大臣の指示で、二月の二十四日、検討会が開催されました。なぜこの検討会が開催されたのか、その目的はどんな真意でこれを開催なさったのか、そこをお知らせください。
さらに、インターネットの薬の販売に対して、国の方のお考えをお知らせください。お願いします。
○渡辺副大臣 委員御指摘のように、薬あるいは薬の服用に関する国民に対する啓発、教育というものは大変重要だ、そのように考えております。
さて、御質問の件でございますけれども、本年六月に施行される改正薬事法の趣旨は、いわゆる大衆薬、一般用医薬品のことでありますけれども、この販売に当たりましては、専門家が適切に情報提供を行うことにより国民の安全を確保するというものであります。施行に向けて二月に公布をした省令では、インターネット等の通信販売については、こうした法改正の趣旨が担保されないおそれがあることから、専門家の情報提供が不要な第三類の医薬品に限って販売できることとしたところであります。
一方、省令案のパブリックコメント等を通じて、薬局や店舗に行くことが困難な方から、インターネットで医薬品を購入できるようにしてほしいという意見など、さまざまな御意見をいただいたところでもあります。
このため、新しい販売制度のもとで、安全性を確保した上で、すべての国民が医薬品を適切に選択し、かつ適正に使用することができる環境づくりのために今回の検討会を開催したところであります。
その課題につきましては、薬局、店舗等では医薬品の購入が困難な場合の対応の方策、あるいはインターネット等を通じた医薬品販売のあり方などについて、幅広い関係者の間で御議論をいただくこととしたところであります。
今後、検討会の議論の動向を踏まえまして必要な方策を講じることとしたい、そのように考えているところであります。
○とかしき委員 ありがとうございました。国民の健康を守っていく、国民の皆さん自身が健康を守っていく環境、消費者教育に、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ありがとうございました。