169-衆-予算委員会第五分科会-2号 平成20年02月28日
○森主査 これにて清水清一朗君の質疑は終了いたしました。
次に、とかしきなおみ君。
○とかしき分科員 自由民主党の衆議院議員のとかしきなおみでございます。きょうはよろしくお願いいたします。
本日は、私も薬剤師でありますので、薬剤師の立場から、医薬品業界の制度についてちょっとお伺いしていきたいと思います。特に、薬業業界におきまして最近とても大きなテーマになっております、医薬品の販売制度の変更についてであります。
医薬品は、規制緩和の要求を受けまして、一般用医薬品は、リスクの程度によって差があるにもかかわらず同じような販売制度をしているということで、見直しの必要があるということになりまして、今回、平成十八年の六月に薬事法が改正されました。平成二十一年の医薬品販売制度の全面施行ということになっているわけですけれども、その準備の状況は今どのようになっているのかということをお伺いしたいと思います。
一方、準備が少しおくれているのではないかという声も聞いているんですけれども、今後のスケジュールの予定等をお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
薬事法改正の施行準備につきましては、施行時期に合わせまして、順次検討を行ってきております。
まず、一般用医薬品を第一類、第二類、第三類の三組のリスク区分に分けるための政省令改正などを昨年の四月に施行いたしております。次に、登録販売者試験制度につきまして、本年四月一日の施行に向けまして、一月三十一日に関係省令を公布したところでございます。
また、二月に入りまして、二月八日には、平成二十一年の全面施行に向けまして、残された検討事項でございます情報提供の方法や販売時に専門家がきちんと関与できる販売体制のあり方など、新しい販売制度における具体的な体制づくりや環境整備を図るための新たな検討会を設けたところでございまして、四月末をめどに検討結果をまとめたいというふうに考えております。
こういったような準備を行いまして、来年、二十一年の円滑な施行に向けて、関係者が十分な準備期間を設けられて適切な準備を進められるように、私どもとしてもきちんとやっていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございました。
新しく制度が変わりますので、やはり現場の販売をなさる方々が非常に不安に思っているところですので、ぜひ情報がしっかり行き渡るように、そしてその不安を取り除いていただけるように、なるべくその制度のPR等、現場が混乱しないように御指導よろしくお願いいたします。
特に、この制度は、今度、多分表示等も変わってまいりますので、国民にわかりやすいようにしていくことがとても大切かと思うんですけれども、国民に対してわかりやすくしていくためにはどんなことを考えていらっしゃるのか、どういう工夫を考えていらっしゃるのか、具体的にお教えいただけますでしょうか。
○高橋政府参考人 今回の改正は、一般の医薬品につきまして、より効能の高い、どちらかというとリスクもちょっとあるような一類も設けて、そのかわり、そういったものを国民に提供する、同時に、それを使うための情報もきちんと提供しなければいけないということで法改正をやったわけでございますが、国民から見てわかりやすい販売制度を構築するためということで、一般用医薬品のリスク区分に応じた表示及び陳列、それから名札などによる店舗内での専門家の識別、それから店舗における各種情報の掲示など、一般用医薬品を販売する環境を整備することとしております。
そういうことをやっていこうということでございまして、そういったことのPR、それから国民向けによくわかるようにするということをやって、わかりやすい制度にしていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
今回、リスクによって薬を分けていくというふうな制度なんですけれども、第一類医薬品は特にリスクが高いということで、販売に当たってかなり注意をしなくてはいけないのですけれども、それだから薬剤師がそこに介在してくるわけなんですが、この数が実際はとても少なくなっている状況であります。一般用医薬品は安全性を余りにも重視し過ぎているから、逆に少なくなってしまっているのではないかとも言われております。
新たな販売制度に向けて、スイッチOTCを含め、第一類の医薬品をもっとふやしていかないと、せっかくリスクによって分けたメリットが出てこないのではないかと思うんですけれども、その辺についてのお考えをお尋ねいたします。
○高橋政府参考人 医療用の医薬品を一般用医薬品に転用する、いわゆるスイッチOTCの開発促進など、効果があって安全な一般用医薬品の提供を促進する、これはセルフメディケーション推進の観点から大変重要だというふうに考えております。
ただ、これは、特に第一類はリスクが高いわけでございますので、しかも一般用医薬品ですから、医者の管理下から離れて、国民お一人お一人が御自分でその医薬品を飲む、薬剤師の、専門家の説明のもとにということでございますけれども、そういったことがございまして、医者の管理下から離れるということで、安全性の方も私どもとしては大変重視しなければいけないということはひとつ御理解を賜りたいと思います。
それで、特に一類医薬品のこれまでの推移でございますが、平成十七年十二月の医薬品販売制度改正検討部会の報告におきまして十一成分でございましたが、その後、スイッチOTCを承認したことなどから、現在、二十八成分に増加をいたしております。
それから、昨年の三月に審議会におきまして、スイッチOTCの開発を促進するために転用することが適当と考えられる成分につきまして、学会の協力を得て選定するということにいたしておりまして、現在、日本薬学会にこれにつきましての調査をお願いいたしているところでございます。
今後とも、セルフメディケーションのために、私どもとしても必要な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、店舗管理者についてお伺いしたいと思います。
店舗管理者というのはお店の管理をしていくということになるんですけれども、今回は薬剤師の人たちの業務も管理しなくてはいけないということで、ある程度薬の知識を持った人が管理者になるべきではないかというふうに考えます。ですから、店舗管理者は薬剤師が担っていくということが適当だと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。
○高橋政府参考人 御指摘の点、まさに先ほど申し上げましたように、今度の検討会でも重要な検討事項の一つということでございます。
今回の薬事法の改正におきましては、各業態を通じて管理者を置くこととしておりまして、店舗販売業の管理者の役割につきましては、従業者の監督、医薬品その他の物品管理、開設者への意見具申などということを念頭に置かれているところでございます。
この管理者につきましては、第一類医薬品を取り扱う店舗販売業の管理者ということでございますけれども、その役割などにつきまして、いろいろな意見がございます。
例えば、開設者への意見具申などの役割があることなどを考えると、薬剤師を管理者とするのが自然であるという指摘もございます。また一方、この前の改正で設けました登録販売者が常勤でいて、パートの薬剤師が開業時間中切れ目なくいて情報提供や相談対応をしているような場合にあっては、従業員の監督や物品管理の役割を持つ管理者としては常勤の登録販売者とパートの薬剤師のどちらが適切か、いろいろな問題もあるんじゃないかという指摘もございまして、こうした点について、先ほど申し上げました検討会できちっと検討していきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 新しい制度が入りまして、せっかくリスクによって薬を管理していくということですから、ある程度薬の知識がある方、そして、それが常駐であるということが必須条件だと思いますので、薬剤師が店舗管理者になるようにぜひしっかりと御検討いただきたいと思います。
それでは、治験制度についてお伺いしたいと思います。
最近の治験をめぐる状況は、日本は非常に今厳しい状況にあると言われております。科学技術立国日本というふうに言っておりますけれども、なかなか国際の治験の状況からすると、日本は今外されているような傾向があるというふうに聞いております。その理由はいかがお考えになりますでしょうか。
○外口政府参考人 日本で国際共同治験が進まない原因としては、治験を実施するためにかかるコストが高いことやスピードが遅いこと等が指摘されております。
治験のコスト高の理由としては、一医療機関当たりの被験者数が少ないことや、契約や治験実施状況確認のため製薬企業担当者が多くの医療機関を何度も訪問すること、速やかに被験者を募集するために新聞広告を使用すること等が治験の経費を押し上げていると考えられております。
これらの治験実施上の課題を解決するために、平成十九年度から、新たな治験活性化五カ年計画に基づき、全国四十カ所の治験中核病院、拠点医療機関の体制整備への助成、人材育成、国民への普及啓発、依頼企業の負担軽減など、総合的な対策を進めているところでございます。
○とかしき分科員 コストとスピードが非常に今日本は劣っているということで、日本を一とすると韓国が今〇・二八。これは、韓国も実は日本と余り変わらない状況だったんですが、近年力を入れていて、かなり費用が軽減されたと言われております。シンガポールが〇・二五、欧米と比較しても日本は二倍ということで、やはり非常に費用のコスト負担が高いということで、日本のメーカーですら海外で治験を行って、そして逆輸入していった方がコスト安であるということが当たり前のようになっているということで、非常にこれは国民の最先端医療へのアクセスのおくれの一因となっておりますので、早急なる改善をお願いしたいと思います。
さらに、このスピードとコスト以外にももう一つ問題があるというふうに聞きまして、これは、データを管理するデータセンターというものが必要ではないかというふうに言われているんですが、日本にはこのデータをきっちりと管理するノウハウがないということですね。そして、症例登録に時間がかかるだけでなく、データの質も悪いと言われてしまっているのですけれども、この辺も今後の検討課題にぜひ加えていただきたいと要望させていただきます。
医薬品もちょっと大変な状況なんですが、もっと大変なのが、医療機器審査のおくれがこれもかなり深刻であるというふうに聞きます。医薬品とはまた違った状況で、いろいろ課題を抱えているかと思いますけれども、実際どのような問題を抱えているのか、そしてその対応を今後どのように具体的に考えていらっしゃるのか、お教えいただけますでしょうか。
○高橋政府参考人 かつては、医薬品、医療機器の審査は私ども本省等を中心にして行っていたわけでございますが、定員法とかいろいろな制約によりまして、なかなか大変だということで、平成十六年度に独立行政法人で医薬品医療機器総合機構を設置いたしまして、そこでの審査を始めたということでございます。
そこでのいろいろな人員の増強なども行っておりますが、このため、十六年度以降は新医療機器の承認件数は増加してきておりまして、審査期間も徐々には短くなってきております。ただ、アメリカなどとの比較をしますと、申請から承認までのすべての審査期間、これは大体五から八カ月程度長いのではないか、そんな実態ではないかというふうに考えております。
ただ、審査側が持っている期間で見ますと、日米の間でそれほど大きい違いがあるわけではございませんで、申請者の方で資料準備などに要している時間がかかっているという面もあるということはひとつ御理解賜りたいと思います。
それから、医薬品と比べて難しいポイントということになりますと、医療機器は、医薬品と異なりまして、人工血管、ペースメーカー、植え込み型人工心臓、あるいは放射線治療機器など、多くの技術分野を背景とした多種多様な製品がございまして、これは申請者にとっても審査担当者にとっても定型的な対応を大変難しくしている面があるということはひとつ御理解を賜りたいと思います。
この医療機器の審査の迅速化を図るために、これは昨年四月に革新的医薬品・医療機器創出のための五カ年戦略を関係省とともに取りまとめておりますが、それにおきまして、医療機器審査部門の人員を三十五名に増員する、あるいは医療機器の種類ごとの承認基準の策定をする、これは承認基準をつくって承認のポイントを明確化するということでございますけれども、そういった策定を進めていくという具体的な政策を盛り込んだところでございます。
また、先ほど資料準備で大変な面があるというふうに申し上げましたが、申請の前の相談を充実して、申請作業の円滑化を図りたいというふうに考えております。
こういったことで審査期間の短縮化に努めてまいりたい、かように考えております。
○とかしき分科員 ぜひ積極的な取り組みをお願いいたしたいと思います。特にこの医療機器というのは、手先の器用な日本人には比較的取り組みやすい産業の一つではないかなと思いますし、国を挙げていけば国力を高めていく上でかなりの力になる産業でもありますので、行政のこういったバックアップがかなり効果的にきいてくる業界でありますので、ぜひ積極的に応援の方よろしくお願いいたします。
次に、臨床コーディネーターのことについてお伺いしたいと思います。
非常に人材確保と育成が難しいというふうに言われておりますけれども、実際、現状はどうなのか、配置の状況はどうなっているのか、そして、課題はどこにあり、今後どういうふうに取り組んでいこうと思っていらっしゃるのか、教えてください。
○外口政府参考人 治験のスピード、コスト、質の改善のために、治験を実施する医師を補助する臨床研究コーディネーターの養成を平成十一年から日本薬剤師研修センターの協力を得ながら進めてきたところであり、平成十八年度末までに約五千人を養成してきたところであります。
しかしながら、治験を行っている医療機関においても、雇用経費の問題等から、臨床研究コーディネーターを十分確保できていないことや、国際共同治験等の高度な業務を行う能力を持つ臨床研究コーディネーターが不足している等の課題がございます。
このため、平成十九年度から、新たな治験活性化五カ年計画に基づきまして、全国四十カ所の治験中核病院、拠点医療機関における臨床研究コーディネーターの確保に要する経費の補助、臨床研究コーディネーターの技能向上のための上級研修の実施等に取り組んでいるところであります。
今後とも、臨床研究コーディネーターのさらなる新規養成や技能向上、治験中核病院、拠点医療機関の臨床研究コーディネーター確保などが図られるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
それで、次は、子供向けの薬の臨床試験についてお伺いしたいと思います。
アメリカでは、原則的に子供向けの治験を義務づけているということで、子供ができるだけ早くよい薬を使えるようにという環境がある程度は整っております。ところが、日本は子供の薬の臨床試験、義務化されておりませんし、そのために、海外で認められている薬がなかなか日本に入りにくいという状況もあります。
ということで、日本において子供向けの薬の臨床試験についてどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、今後どういうふうにしていこうというふうにお考えなのか、教えてください。
○外口政府参考人 小児科領域の新薬開発におきましては、その専門性や患者さんの集めにくさ等の問題がありますことから、新たな治験活性化五カ年計画に基づき、治験の中核拠点となる医療機関を選定した中で、国立成育医療センター等小児科領域を専門とする医療機関における治験の体制整備に取り組んでいるところであります。
また、厚生労働科学研究費補助金において、小児科領域に用いるための医薬品の効能追加等を目的としたエビデンスを確立する研究を推進しております。
さらに、小児医療において必要性が高いが効能の承認を受けていない医薬品について、平成十八年三月より小児薬物療法検討会議を開催し、効能追加等のための文献的エビデンスの収集、評価等を行っているところであります。
今後とも、小児科領域における新薬等の開発の推進に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
子供向けの薬の臨床試験について、アメリカでは特に、こういう試験をした場合は、例えば特許の期間を長く認めてあげるとか、そういうインセンティブを使ってなるべく推奨していくように応援している、業界をサポートしているように伺っております。日本もそういったサポート体制を整えていって、ぜひ子供たちによりよい薬を提供できる環境を整えていっていただきたいと思います。
そこで、インセンティブのお話なんですけれども、新薬開発の業界へのインセンティブをどのようにお考えになっているでしょうか。
○外口政府参考人 医薬品産業については、産業の国際競争力の強化を図る一方で、すぐれた新薬が速やかに日本の患者さんに届けられるよう、昨年、厚生労働大臣が主催し、文部科学省、経済産業省を含む三大臣出席のもとで、産官学による革新的創薬のための官民対話を設置するとともに、革新的医薬品・医療機器の創出のための五カ年戦略を策定したところであります。
この五カ年戦略は、医薬品、医療機器に関連する研究開発のほか、承認審査の迅速化、イノベーションの適切な評価も含めた多角的な戦略を一体的に推進するものであり、研究開発分野では、関係省の連携のもとで、公的研究費の医薬品、医療機器の開発分野への重点化や、治験、臨床研究の環境整備や医療クラスターの整備等の産学官連携の研究の推進を図ることとしており、このような取り組みは産業界における新薬開発のインセンティブを高めるものと考えております。
今後も産官学の連携のもと、この五カ年戦略を着実に推進し、日本における創薬環境を整備することにより各企業における新薬開発を支援してまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
薬価の切り下げなど、医薬品業界は今非常に厳しい状況にあり、吸収合併を繰り返して、少しでも生き残るすべを今探している状況であります。その中で、研究開発費をかけて新薬を開発していく、こういうモチベーションを上げていくということがとても大切だと思いますので、インセンティブをなるべく用意して、先発医薬品がなければ後発もないわけですから、先発医薬品が出やすい環境をぜひ配慮していただきたいと思います。
例えば、新薬を開発した場合、その新薬の名前を必ずつけておいて、そして、どれが新薬だったのか、どこのメーカーの商品だったのかというのがずっと残るようにして、後発医薬品も、その名前を、冠をつけたまま後ろにメーカー名をつけていくとか、そういった名前を残していって、消費者が見ても、ああ、あそこが開発した商品だったんだなというのがわかるようにするとか、そういった、費用をかけないでも何かインセンティブをつくる方法とかもいろいろあるかと思いますので、その辺もあわせて御検討いただきたいと思います。
次に、後発医薬品についてお伺いしたいんですけれども、日本の後発医薬品使用量は海外と比べて際立って少ないと言われております。それで、今後どういうふうに取り組みをしようと思っていらっしゃるのか。もちろん、それに対して、新処方せん方式への変更によっていろいろ取り組みをなさろうとしているわけですけれども、それによってどの程度の効果が見込めるのか、その辺について教えてください。
○外口政府参考人 まず最初に、後発医薬品の普及の問題でございますけれども、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するために、平成二十四年度までに後発医薬品の数量シェアを三〇%以上にするという目標を掲げて、積極的に推進することとしております。
しかしながら、後発医薬品については、例えば、その品質、供給体制、情報提供体制に関する問題点が指摘されるなど、医療関係者等の信頼が必ずしも高いとは言えない状況にあることなども、欧米諸国に比べ、後発医薬品の普及がおくれている要因の一つとなっているものと認識しております。
このため、後発医薬品に対する国民や医療関係者の信頼感を高めるために、昨年十月に後発医薬品の安心使用促進アクションプログラムを策定し、後発医薬品の安定供給、品質確保、情報提供体制の強化等に関し、国及び後発医薬品企業が行うべき取り組みを取りまとめたところでございます。
今後、これらの施策の効果や後発医薬品のシェアの動向を十分踏まえつつ、目標達成に向け、必要な取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ぜひ、後発医薬品がマーケットに広がって、少しでも利用者がふえていくようにしていただきたいと思います。
その中で、患者さんとの信頼関係、患者さんが後発医薬品を選びやすい環境を整えていくのが重要かと思うんですけれども、そこで医師と薬剤師の連携というのが重要になってくると思います。これから処方せんの様式の変更により、患者さんの情報を医師と薬剤師がもうちょっと共有しやすい環境を整えていくことが重要だと思いますけれども、その方法として何かお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○高橋政府参考人 お話しのとおり、後発医薬品の一層の使用促進を目指して、本年四月から、後発医薬品への変更が原則として可能となるよう処方せんの様式が変更されるということから、今後は、薬剤師が患者さんと十分話し合った上で、後発医薬品を調剤する機会がふえるものというふうに考えております。
その際には、当然のことながら、例えば患者さんのアレルギー体質であるとかあるいは過去の薬歴などの情報を、これは患者さんのプライバシーに十分配慮しなければいけないわけですけれども、処方した医師と薬剤師が共有するよう連携を深めることは極めて重要だというふうに考えております。
私どもにおきましては、これまでも、患者さんの投薬情報の一元的管理や医薬連携の観点から、薬歴などの情報が記載された手帳を患者自身にお持ちいただいて、医師が薬を処方する際や、あるいは薬剤師が調剤する際に役立てるお薬手帳の普及に取り組んできたところでございます。
私どもといたしましては、今後、薬局における後発医薬品の選択、調剤に際しましても、このお薬手帳が積極的に活用され、大いに役立つことを期待いたしております。
なお、調剤報酬におきましても、薬剤師と医師の間での情報共有を評価する観点から、薬局において後発医薬品へ変更調剤された場合には、その処方せんを発行した保険医療機関へ情報提供することを加算の要件とする予定でございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。ぜひ連携をうまくとれるように、情報共有できるようにしていただきたいと思います。
その中で、患者のカルテも医師と薬剤師で共有できるようになっていくというのも、ぜひ今後御検討いただきたいと思います。この病気ならこの薬の方が最適であるということを、医師とはまた違った形で薬剤師が判断できるようにしていく。薬剤師も六年制になりまして、いろいろ知識をつけておりますので、こういったカルテを見ながら、お互いに違った視点で患者のことを見ていくといったことが、ひいては後発医薬品を広めていくことにもなるかと思いますので、ぜひこの点も御検討いただきたいと思います。
それでは、ちょっと違うお話をさせていただきたいと思います。
子供たちへの薬育というのも今後必要だと思います。長野県や東京都、薬剤師が積極的に教育現場に入って薬の指導、教育を行っております。アンチドーピングや禁煙活動、そして、私たちの生活の場にある化学物質とのつき合い方などを今後子供たちに教えていく機会というのが必要かと思いますけれども、国の取り組みを教えてください。
○田中政府参考人 御説明申し上げます。
大学以外の学校には、薬剤師の資格を持っておられる学校薬剤師を置くことが学校保健法において規定されておりまして、現在、約三万九千人の学校薬剤師の方がいらっしゃいます。
学校薬剤師は、その職務として、環境衛生検査に従事すること、あるいは学校で使用する医薬品等の管理に関する指導と助言を行うことのほか、必要に応じ、学校における保健管理に関する専門的事項に関して技術及び指導に従事するということになってございます。
実際、先生から御指摘ございましたとおり、学校薬剤師は、特別活動あるいは総合的な学習の時間等におきまして、その専門的知識を生かされて、児童生徒の喫煙、飲酒、薬物乱用防止ということの教育に貢献をされているという実態もございます。特に、文部科学省における薬物乱用防止のための大きな施策の柱でございます薬物乱用防止教室の開催に当たりましては、学校薬剤師の協力を得るようにというような通知もいろいろしているところでございます。
また、今後一層その役割が高まるよう、学校薬剤師が担任の方々と協力をして学校における医薬品の学習を進めていくことができるような参考資料を作成し、間もなく配付をするということになってございます。
なお、先日示されました学習指導要領の案におきましても、医薬品に関する内容が中学校においても新たに取り上げられるという状況になってございますものですから、教育現場における学校薬剤師の専門的知識の活用の場ということも今後拡大するのかなというふうに期待をしているところでございます。
○とかしき分科員 ありがとうございました。
薬害とかいろいろありますけれども、その後ろに、私は、薬は万能のものであるというふうに思われている国民の意識があるかと思います。薬は必ずリスクを伴っていることを子供の時代から教えていくことが必要かと思いますので、ぜひ積極的取り組みをよろしくお願いいたします。
それでは、パーキンソン病についてお伺いいたします。
パーキンソンは、早期に薬とリハビリの治療をすれば、進行を大幅に抑えられるというふうに言われております。しかし、今出ておりますLドーパ製剤というのは副作用が強いということで、適切な治療をせずにどんどん進行していってしまって、結局介護が必要な状況になってしまう患者もたくさんいらっしゃいます。
これに対して、最近、遺伝子治療というものが注目をされておりますけれども、これについての新たな取り組み、どういうふうに臨床試験が進んでいるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○外口政府参考人 パーキンソン病に対する遺伝子治療臨床研究につきましては、これは、ドーパミンの前駆体のLドーパをドーパミンに変換する酵素を発現させるAADC遺伝子を、線条体にアデノ随伴ウイルスをベクターとして組み込むものでございますけれども、自治医大附属病院において、平成十九年度には二名の患者さんへの投与が実施され、来年度には四名の患者さんへの投与が計画されております。
この研究におきまして、投与の二例目で脳内出血が認められ、患者さんの症状は軽快し退院しておりますけれども、また、米国での同様の臨床研究においても脳内出血が認められたとの報告があったため、現在、投与方法などの再検討を行っております。この原因としては、導入手技の問題と考えられているようでありますが、その検討後に三例目以降の臨床研究を再開する予定と承知しております。
この研究に対しまして、これまで厚生労働省としては、厚生労働科学研究費補助金により支援を行っており、来年度も継続して支援する予定であります。
厚生労働省としては、パーキンソン病に対する遺伝子治療など新たな治療方法に対して、安全性や倫理性の確保に努めながら、引き続き積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございました。
最後に、ちょっと質問時間がなくなってしまいましたので、要望を申し上げます。
脳脊髄液減少症、この問題についてお伺いしたいんですけれども、平成十九年の四月から三カ年の研究期間ということで、こころの健康科学研究事業ということで二千五百万円補助金を交付していただきました。ぜひこれは、腰痛とか目まい、足のしびれ等で、精神的なものということでよく誤解されてしまって医療機関で対応されてしまうんですけれども、この病は非常に厳しい病でございますので、この医療体制、そして今後、研究費をせっかく交付していただきましたので、効果が出るように、そして、将来は保険適用の検討も眼中に入れて研究に取り組んでいただきたく、よろしくお願い申し上げます。
以上です。どうもありがとうございました。
○森主査 これにて清水清一朗君の質疑は終了いたしました。
次に、とかしきなおみ君。
○とかしき分科員 自由民主党の衆議院議員のとかしきなおみでございます。きょうはよろしくお願いいたします。
本日は、私も薬剤師でありますので、薬剤師の立場から、医薬品業界の制度についてちょっとお伺いしていきたいと思います。特に、薬業業界におきまして最近とても大きなテーマになっております、医薬品の販売制度の変更についてであります。
医薬品は、規制緩和の要求を受けまして、一般用医薬品は、リスクの程度によって差があるにもかかわらず同じような販売制度をしているということで、見直しの必要があるということになりまして、今回、平成十八年の六月に薬事法が改正されました。平成二十一年の医薬品販売制度の全面施行ということになっているわけですけれども、その準備の状況は今どのようになっているのかということをお伺いしたいと思います。
一方、準備が少しおくれているのではないかという声も聞いているんですけれども、今後のスケジュールの予定等をお教えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○高橋政府参考人 お答えを申し上げます。
薬事法改正の施行準備につきましては、施行時期に合わせまして、順次検討を行ってきております。
まず、一般用医薬品を第一類、第二類、第三類の三組のリスク区分に分けるための政省令改正などを昨年の四月に施行いたしております。次に、登録販売者試験制度につきまして、本年四月一日の施行に向けまして、一月三十一日に関係省令を公布したところでございます。
また、二月に入りまして、二月八日には、平成二十一年の全面施行に向けまして、残された検討事項でございます情報提供の方法や販売時に専門家がきちんと関与できる販売体制のあり方など、新しい販売制度における具体的な体制づくりや環境整備を図るための新たな検討会を設けたところでございまして、四月末をめどに検討結果をまとめたいというふうに考えております。
こういったような準備を行いまして、来年、二十一年の円滑な施行に向けて、関係者が十分な準備期間を設けられて適切な準備を進められるように、私どもとしてもきちんとやっていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございました。
新しく制度が変わりますので、やはり現場の販売をなさる方々が非常に不安に思っているところですので、ぜひ情報がしっかり行き渡るように、そしてその不安を取り除いていただけるように、なるべくその制度のPR等、現場が混乱しないように御指導よろしくお願いいたします。
特に、この制度は、今度、多分表示等も変わってまいりますので、国民にわかりやすいようにしていくことがとても大切かと思うんですけれども、国民に対してわかりやすくしていくためにはどんなことを考えていらっしゃるのか、どういう工夫を考えていらっしゃるのか、具体的にお教えいただけますでしょうか。
○高橋政府参考人 今回の改正は、一般の医薬品につきまして、より効能の高い、どちらかというとリスクもちょっとあるような一類も設けて、そのかわり、そういったものを国民に提供する、同時に、それを使うための情報もきちんと提供しなければいけないということで法改正をやったわけでございますが、国民から見てわかりやすい販売制度を構築するためということで、一般用医薬品のリスク区分に応じた表示及び陳列、それから名札などによる店舗内での専門家の識別、それから店舗における各種情報の掲示など、一般用医薬品を販売する環境を整備することとしております。
そういうことをやっていこうということでございまして、そういったことのPR、それから国民向けによくわかるようにするということをやって、わかりやすい制度にしていきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
今回、リスクによって薬を分けていくというふうな制度なんですけれども、第一類医薬品は特にリスクが高いということで、販売に当たってかなり注意をしなくてはいけないのですけれども、それだから薬剤師がそこに介在してくるわけなんですが、この数が実際はとても少なくなっている状況であります。一般用医薬品は安全性を余りにも重視し過ぎているから、逆に少なくなってしまっているのではないかとも言われております。
新たな販売制度に向けて、スイッチOTCを含め、第一類の医薬品をもっとふやしていかないと、せっかくリスクによって分けたメリットが出てこないのではないかと思うんですけれども、その辺についてのお考えをお尋ねいたします。
○高橋政府参考人 医療用の医薬品を一般用医薬品に転用する、いわゆるスイッチOTCの開発促進など、効果があって安全な一般用医薬品の提供を促進する、これはセルフメディケーション推進の観点から大変重要だというふうに考えております。
ただ、これは、特に第一類はリスクが高いわけでございますので、しかも一般用医薬品ですから、医者の管理下から離れて、国民お一人お一人が御自分でその医薬品を飲む、薬剤師の、専門家の説明のもとにということでございますけれども、そういったことがございまして、医者の管理下から離れるということで、安全性の方も私どもとしては大変重視しなければいけないということはひとつ御理解を賜りたいと思います。
それで、特に一類医薬品のこれまでの推移でございますが、平成十七年十二月の医薬品販売制度改正検討部会の報告におきまして十一成分でございましたが、その後、スイッチOTCを承認したことなどから、現在、二十八成分に増加をいたしております。
それから、昨年の三月に審議会におきまして、スイッチOTCの開発を促進するために転用することが適当と考えられる成分につきまして、学会の協力を得て選定するということにいたしておりまして、現在、日本薬学会にこれにつきましての調査をお願いいたしているところでございます。
今後とも、セルフメディケーションのために、私どもとしても必要な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 ぜひよろしくお願いいたします。
次に、店舗管理者についてお伺いしたいと思います。
店舗管理者というのはお店の管理をしていくということになるんですけれども、今回は薬剤師の人たちの業務も管理しなくてはいけないということで、ある程度薬の知識を持った人が管理者になるべきではないかというふうに考えます。ですから、店舗管理者は薬剤師が担っていくということが適当だと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。
○高橋政府参考人 御指摘の点、まさに先ほど申し上げましたように、今度の検討会でも重要な検討事項の一つということでございます。
今回の薬事法の改正におきましては、各業態を通じて管理者を置くこととしておりまして、店舗販売業の管理者の役割につきましては、従業者の監督、医薬品その他の物品管理、開設者への意見具申などということを念頭に置かれているところでございます。
この管理者につきましては、第一類医薬品を取り扱う店舗販売業の管理者ということでございますけれども、その役割などにつきまして、いろいろな意見がございます。
例えば、開設者への意見具申などの役割があることなどを考えると、薬剤師を管理者とするのが自然であるという指摘もございます。また一方、この前の改正で設けました登録販売者が常勤でいて、パートの薬剤師が開業時間中切れ目なくいて情報提供や相談対応をしているような場合にあっては、従業員の監督や物品管理の役割を持つ管理者としては常勤の登録販売者とパートの薬剤師のどちらが適切か、いろいろな問題もあるんじゃないかという指摘もございまして、こうした点について、先ほど申し上げました検討会できちっと検討していきたいというふうに考えております。
○とかしき分科員 新しい制度が入りまして、せっかくリスクによって薬を管理していくということですから、ある程度薬の知識がある方、そして、それが常駐であるということが必須条件だと思いますので、薬剤師が店舗管理者になるようにぜひしっかりと御検討いただきたいと思います。
それでは、治験制度についてお伺いしたいと思います。
最近の治験をめぐる状況は、日本は非常に今厳しい状況にあると言われております。科学技術立国日本というふうに言っておりますけれども、なかなか国際の治験の状況からすると、日本は今外されているような傾向があるというふうに聞いております。その理由はいかがお考えになりますでしょうか。
○外口政府参考人 日本で国際共同治験が進まない原因としては、治験を実施するためにかかるコストが高いことやスピードが遅いこと等が指摘されております。
治験のコスト高の理由としては、一医療機関当たりの被験者数が少ないことや、契約や治験実施状況確認のため製薬企業担当者が多くの医療機関を何度も訪問すること、速やかに被験者を募集するために新聞広告を使用すること等が治験の経費を押し上げていると考えられております。
これらの治験実施上の課題を解決するために、平成十九年度から、新たな治験活性化五カ年計画に基づき、全国四十カ所の治験中核病院、拠点医療機関の体制整備への助成、人材育成、国民への普及啓発、依頼企業の負担軽減など、総合的な対策を進めているところでございます。
○とかしき分科員 コストとスピードが非常に今日本は劣っているということで、日本を一とすると韓国が今〇・二八。これは、韓国も実は日本と余り変わらない状況だったんですが、近年力を入れていて、かなり費用が軽減されたと言われております。シンガポールが〇・二五、欧米と比較しても日本は二倍ということで、やはり非常に費用のコスト負担が高いということで、日本のメーカーですら海外で治験を行って、そして逆輸入していった方がコスト安であるということが当たり前のようになっているということで、非常にこれは国民の最先端医療へのアクセスのおくれの一因となっておりますので、早急なる改善をお願いしたいと思います。
さらに、このスピードとコスト以外にももう一つ問題があるというふうに聞きまして、これは、データを管理するデータセンターというものが必要ではないかというふうに言われているんですが、日本にはこのデータをきっちりと管理するノウハウがないということですね。そして、症例登録に時間がかかるだけでなく、データの質も悪いと言われてしまっているのですけれども、この辺も今後の検討課題にぜひ加えていただきたいと要望させていただきます。
医薬品もちょっと大変な状況なんですが、もっと大変なのが、医療機器審査のおくれがこれもかなり深刻であるというふうに聞きます。医薬品とはまた違った状況で、いろいろ課題を抱えているかと思いますけれども、実際どのような問題を抱えているのか、そしてその対応を今後どのように具体的に考えていらっしゃるのか、お教えいただけますでしょうか。
○高橋政府参考人 かつては、医薬品、医療機器の審査は私ども本省等を中心にして行っていたわけでございますが、定員法とかいろいろな制約によりまして、なかなか大変だということで、平成十六年度に独立行政法人で医薬品医療機器総合機構を設置いたしまして、そこでの審査を始めたということでございます。
そこでのいろいろな人員の増強なども行っておりますが、このため、十六年度以降は新医療機器の承認件数は増加してきておりまして、審査期間も徐々には短くなってきております。ただ、アメリカなどとの比較をしますと、申請から承認までのすべての審査期間、これは大体五から八カ月程度長いのではないか、そんな実態ではないかというふうに考えております。
ただ、審査側が持っている期間で見ますと、日米の間でそれほど大きい違いがあるわけではございませんで、申請者の方で資料準備などに要している時間がかかっているという面もあるということはひとつ御理解賜りたいと思います。
それから、医薬品と比べて難しいポイントということになりますと、医療機器は、医薬品と異なりまして、人工血管、ペースメーカー、植え込み型人工心臓、あるいは放射線治療機器など、多くの技術分野を背景とした多種多様な製品がございまして、これは申請者にとっても審査担当者にとっても定型的な対応を大変難しくしている面があるということはひとつ御理解を賜りたいと思います。
この医療機器の審査の迅速化を図るために、これは昨年四月に革新的医薬品・医療機器創出のための五カ年戦略を関係省とともに取りまとめておりますが、それにおきまして、医療機器審査部門の人員を三十五名に増員する、あるいは医療機器の種類ごとの承認基準の策定をする、これは承認基準をつくって承認のポイントを明確化するということでございますけれども、そういった策定を進めていくという具体的な政策を盛り込んだところでございます。
また、先ほど資料準備で大変な面があるというふうに申し上げましたが、申請の前の相談を充実して、申請作業の円滑化を図りたいというふうに考えております。
こういったことで審査期間の短縮化に努めてまいりたい、かように考えております。
○とかしき分科員 ぜひ積極的な取り組みをお願いいたしたいと思います。特にこの医療機器というのは、手先の器用な日本人には比較的取り組みやすい産業の一つではないかなと思いますし、国を挙げていけば国力を高めていく上でかなりの力になる産業でもありますので、行政のこういったバックアップがかなり効果的にきいてくる業界でありますので、ぜひ積極的に応援の方よろしくお願いいたします。
次に、臨床コーディネーターのことについてお伺いしたいと思います。
非常に人材確保と育成が難しいというふうに言われておりますけれども、実際、現状はどうなのか、配置の状況はどうなっているのか、そして、課題はどこにあり、今後どういうふうに取り組んでいこうと思っていらっしゃるのか、教えてください。
○外口政府参考人 治験のスピード、コスト、質の改善のために、治験を実施する医師を補助する臨床研究コーディネーターの養成を平成十一年から日本薬剤師研修センターの協力を得ながら進めてきたところであり、平成十八年度末までに約五千人を養成してきたところであります。
しかしながら、治験を行っている医療機関においても、雇用経費の問題等から、臨床研究コーディネーターを十分確保できていないことや、国際共同治験等の高度な業務を行う能力を持つ臨床研究コーディネーターが不足している等の課題がございます。
このため、平成十九年度から、新たな治験活性化五カ年計画に基づきまして、全国四十カ所の治験中核病院、拠点医療機関における臨床研究コーディネーターの確保に要する経費の補助、臨床研究コーディネーターの技能向上のための上級研修の実施等に取り組んでいるところであります。
今後とも、臨床研究コーディネーターのさらなる新規養成や技能向上、治験中核病院、拠点医療機関の臨床研究コーディネーター確保などが図られるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
それで、次は、子供向けの薬の臨床試験についてお伺いしたいと思います。
アメリカでは、原則的に子供向けの治験を義務づけているということで、子供ができるだけ早くよい薬を使えるようにという環境がある程度は整っております。ところが、日本は子供の薬の臨床試験、義務化されておりませんし、そのために、海外で認められている薬がなかなか日本に入りにくいという状況もあります。
ということで、日本において子供向けの薬の臨床試験についてどのような取り組みを行っていらっしゃるのか、今後どういうふうにしていこうというふうにお考えなのか、教えてください。
○外口政府参考人 小児科領域の新薬開発におきましては、その専門性や患者さんの集めにくさ等の問題がありますことから、新たな治験活性化五カ年計画に基づき、治験の中核拠点となる医療機関を選定した中で、国立成育医療センター等小児科領域を専門とする医療機関における治験の体制整備に取り組んでいるところであります。
また、厚生労働科学研究費補助金において、小児科領域に用いるための医薬品の効能追加等を目的としたエビデンスを確立する研究を推進しております。
さらに、小児医療において必要性が高いが効能の承認を受けていない医薬品について、平成十八年三月より小児薬物療法検討会議を開催し、効能追加等のための文献的エビデンスの収集、評価等を行っているところであります。
今後とも、小児科領域における新薬等の開発の推進に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
子供向けの薬の臨床試験について、アメリカでは特に、こういう試験をした場合は、例えば特許の期間を長く認めてあげるとか、そういうインセンティブを使ってなるべく推奨していくように応援している、業界をサポートしているように伺っております。日本もそういったサポート体制を整えていって、ぜひ子供たちによりよい薬を提供できる環境を整えていっていただきたいと思います。
そこで、インセンティブのお話なんですけれども、新薬開発の業界へのインセンティブをどのようにお考えになっているでしょうか。
○外口政府参考人 医薬品産業については、産業の国際競争力の強化を図る一方で、すぐれた新薬が速やかに日本の患者さんに届けられるよう、昨年、厚生労働大臣が主催し、文部科学省、経済産業省を含む三大臣出席のもとで、産官学による革新的創薬のための官民対話を設置するとともに、革新的医薬品・医療機器の創出のための五カ年戦略を策定したところであります。
この五カ年戦略は、医薬品、医療機器に関連する研究開発のほか、承認審査の迅速化、イノベーションの適切な評価も含めた多角的な戦略を一体的に推進するものであり、研究開発分野では、関係省の連携のもとで、公的研究費の医薬品、医療機器の開発分野への重点化や、治験、臨床研究の環境整備や医療クラスターの整備等の産学官連携の研究の推進を図ることとしており、このような取り組みは産業界における新薬開発のインセンティブを高めるものと考えております。
今後も産官学の連携のもと、この五カ年戦略を着実に推進し、日本における創薬環境を整備することにより各企業における新薬開発を支援してまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございます。
薬価の切り下げなど、医薬品業界は今非常に厳しい状況にあり、吸収合併を繰り返して、少しでも生き残るすべを今探している状況であります。その中で、研究開発費をかけて新薬を開発していく、こういうモチベーションを上げていくということがとても大切だと思いますので、インセンティブをなるべく用意して、先発医薬品がなければ後発もないわけですから、先発医薬品が出やすい環境をぜひ配慮していただきたいと思います。
例えば、新薬を開発した場合、その新薬の名前を必ずつけておいて、そして、どれが新薬だったのか、どこのメーカーの商品だったのかというのがずっと残るようにして、後発医薬品も、その名前を、冠をつけたまま後ろにメーカー名をつけていくとか、そういった名前を残していって、消費者が見ても、ああ、あそこが開発した商品だったんだなというのがわかるようにするとか、そういった、費用をかけないでも何かインセンティブをつくる方法とかもいろいろあるかと思いますので、その辺もあわせて御検討いただきたいと思います。
次に、後発医薬品についてお伺いしたいんですけれども、日本の後発医薬品使用量は海外と比べて際立って少ないと言われております。それで、今後どういうふうに取り組みをしようと思っていらっしゃるのか。もちろん、それに対して、新処方せん方式への変更によっていろいろ取り組みをなさろうとしているわけですけれども、それによってどの程度の効果が見込めるのか、その辺について教えてください。
○外口政府参考人 まず最初に、後発医薬品の普及の問題でございますけれども、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に資するために、平成二十四年度までに後発医薬品の数量シェアを三〇%以上にするという目標を掲げて、積極的に推進することとしております。
しかしながら、後発医薬品については、例えば、その品質、供給体制、情報提供体制に関する問題点が指摘されるなど、医療関係者等の信頼が必ずしも高いとは言えない状況にあることなども、欧米諸国に比べ、後発医薬品の普及がおくれている要因の一つとなっているものと認識しております。
このため、後発医薬品に対する国民や医療関係者の信頼感を高めるために、昨年十月に後発医薬品の安心使用促進アクションプログラムを策定し、後発医薬品の安定供給、品質確保、情報提供体制の強化等に関し、国及び後発医薬品企業が行うべき取り組みを取りまとめたところでございます。
今後、これらの施策の効果や後発医薬品のシェアの動向を十分踏まえつつ、目標達成に向け、必要な取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ぜひ、後発医薬品がマーケットに広がって、少しでも利用者がふえていくようにしていただきたいと思います。
その中で、患者さんとの信頼関係、患者さんが後発医薬品を選びやすい環境を整えていくのが重要かと思うんですけれども、そこで医師と薬剤師の連携というのが重要になってくると思います。これから処方せんの様式の変更により、患者さんの情報を医師と薬剤師がもうちょっと共有しやすい環境を整えていくことが重要だと思いますけれども、その方法として何かお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
○高橋政府参考人 お話しのとおり、後発医薬品の一層の使用促進を目指して、本年四月から、後発医薬品への変更が原則として可能となるよう処方せんの様式が変更されるということから、今後は、薬剤師が患者さんと十分話し合った上で、後発医薬品を調剤する機会がふえるものというふうに考えております。
その際には、当然のことながら、例えば患者さんのアレルギー体質であるとかあるいは過去の薬歴などの情報を、これは患者さんのプライバシーに十分配慮しなければいけないわけですけれども、処方した医師と薬剤師が共有するよう連携を深めることは極めて重要だというふうに考えております。
私どもにおきましては、これまでも、患者さんの投薬情報の一元的管理や医薬連携の観点から、薬歴などの情報が記載された手帳を患者自身にお持ちいただいて、医師が薬を処方する際や、あるいは薬剤師が調剤する際に役立てるお薬手帳の普及に取り組んできたところでございます。
私どもといたしましては、今後、薬局における後発医薬品の選択、調剤に際しましても、このお薬手帳が積極的に活用され、大いに役立つことを期待いたしております。
なお、調剤報酬におきましても、薬剤師と医師の間での情報共有を評価する観点から、薬局において後発医薬品へ変更調剤された場合には、その処方せんを発行した保険医療機関へ情報提供することを加算の要件とする予定でございます。
○とかしき分科員 ありがとうございます。ぜひ連携をうまくとれるように、情報共有できるようにしていただきたいと思います。
その中で、患者のカルテも医師と薬剤師で共有できるようになっていくというのも、ぜひ今後御検討いただきたいと思います。この病気ならこの薬の方が最適であるということを、医師とはまた違った形で薬剤師が判断できるようにしていく。薬剤師も六年制になりまして、いろいろ知識をつけておりますので、こういったカルテを見ながら、お互いに違った視点で患者のことを見ていくといったことが、ひいては後発医薬品を広めていくことにもなるかと思いますので、ぜひこの点も御検討いただきたいと思います。
それでは、ちょっと違うお話をさせていただきたいと思います。
子供たちへの薬育というのも今後必要だと思います。長野県や東京都、薬剤師が積極的に教育現場に入って薬の指導、教育を行っております。アンチドーピングや禁煙活動、そして、私たちの生活の場にある化学物質とのつき合い方などを今後子供たちに教えていく機会というのが必要かと思いますけれども、国の取り組みを教えてください。
○田中政府参考人 御説明申し上げます。
大学以外の学校には、薬剤師の資格を持っておられる学校薬剤師を置くことが学校保健法において規定されておりまして、現在、約三万九千人の学校薬剤師の方がいらっしゃいます。
学校薬剤師は、その職務として、環境衛生検査に従事すること、あるいは学校で使用する医薬品等の管理に関する指導と助言を行うことのほか、必要に応じ、学校における保健管理に関する専門的事項に関して技術及び指導に従事するということになってございます。
実際、先生から御指摘ございましたとおり、学校薬剤師は、特別活動あるいは総合的な学習の時間等におきまして、その専門的知識を生かされて、児童生徒の喫煙、飲酒、薬物乱用防止ということの教育に貢献をされているという実態もございます。特に、文部科学省における薬物乱用防止のための大きな施策の柱でございます薬物乱用防止教室の開催に当たりましては、学校薬剤師の協力を得るようにというような通知もいろいろしているところでございます。
また、今後一層その役割が高まるよう、学校薬剤師が担任の方々と協力をして学校における医薬品の学習を進めていくことができるような参考資料を作成し、間もなく配付をするということになってございます。
なお、先日示されました学習指導要領の案におきましても、医薬品に関する内容が中学校においても新たに取り上げられるという状況になってございますものですから、教育現場における学校薬剤師の専門的知識の活用の場ということも今後拡大するのかなというふうに期待をしているところでございます。
○とかしき分科員 ありがとうございました。
薬害とかいろいろありますけれども、その後ろに、私は、薬は万能のものであるというふうに思われている国民の意識があるかと思います。薬は必ずリスクを伴っていることを子供の時代から教えていくことが必要かと思いますので、ぜひ積極的取り組みをよろしくお願いいたします。
それでは、パーキンソン病についてお伺いいたします。
パーキンソンは、早期に薬とリハビリの治療をすれば、進行を大幅に抑えられるというふうに言われております。しかし、今出ておりますLドーパ製剤というのは副作用が強いということで、適切な治療をせずにどんどん進行していってしまって、結局介護が必要な状況になってしまう患者もたくさんいらっしゃいます。
これに対して、最近、遺伝子治療というものが注目をされておりますけれども、これについての新たな取り組み、どういうふうに臨床試験が進んでいるのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○外口政府参考人 パーキンソン病に対する遺伝子治療臨床研究につきましては、これは、ドーパミンの前駆体のLドーパをドーパミンに変換する酵素を発現させるAADC遺伝子を、線条体にアデノ随伴ウイルスをベクターとして組み込むものでございますけれども、自治医大附属病院において、平成十九年度には二名の患者さんへの投与が実施され、来年度には四名の患者さんへの投与が計画されております。
この研究におきまして、投与の二例目で脳内出血が認められ、患者さんの症状は軽快し退院しておりますけれども、また、米国での同様の臨床研究においても脳内出血が認められたとの報告があったため、現在、投与方法などの再検討を行っております。この原因としては、導入手技の問題と考えられているようでありますが、その検討後に三例目以降の臨床研究を再開する予定と承知しております。
この研究に対しまして、これまで厚生労働省としては、厚生労働科学研究費補助金により支援を行っており、来年度も継続して支援する予定であります。
厚生労働省としては、パーキンソン病に対する遺伝子治療など新たな治療方法に対して、安全性や倫理性の確保に努めながら、引き続き積極的な支援を行ってまいりたいと考えております。
○とかしき分科員 ありがとうございました。
最後に、ちょっと質問時間がなくなってしまいましたので、要望を申し上げます。
脳脊髄液減少症、この問題についてお伺いしたいんですけれども、平成十九年の四月から三カ年の研究期間ということで、こころの健康科学研究事業ということで二千五百万円補助金を交付していただきました。ぜひこれは、腰痛とか目まい、足のしびれ等で、精神的なものということでよく誤解されてしまって医療機関で対応されてしまうんですけれども、この病は非常に厳しい病でございますので、この医療体制、そして今後、研究費をせっかく交付していただきましたので、効果が出るように、そして、将来は保険適用の検討も眼中に入れて研究に取り組んでいただきたく、よろしくお願い申し上げます。
以上です。どうもありがとうございました。