169-衆-財務金融委員会-3号 平成20年02月19日
○原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。
○とかしき委員 自由民主党のとかしきなおみでございます。
本日は、金融知識のない国民代表ということで、素朴な質問を幾つかさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
所信に対する質問の前に、先日行われましたG7についてちょっとお伺いしたいと思います。
共同声明では、世界はよりチャレンジングで不確実な局面に直面しているというふうに発表になりまして、経済のファンダメンタルズが引き続き堅固としながら、成長は短期的に減速する見込みというふうに出ておりました。ということで、アメリカの財務長官が一人一生懸命語っていらっしゃいましたけれども、どうも周りの方々と温度差がかなりあるように感じました。サブプライムローンの問題とかもアメリカ発でございまして、一刻も早く資本を安定させなければ困るというふうにアメリカはおっしゃっておりましたけれども、少しそれは空虚のような印象を私は受けました。
G7が今こういう状況になっているのは、世界経済のバランスからすると、どうも偏った国々のみの参加になっているからこのような状況になるのではないかというふうにも考えられます。中国やインドなども参加させるべきではないかという声が一部から上がっておりますけれども、まだ許可をされていないわけであります。
ということで、議長をお務めになった額賀大臣のG7の感想とか、あと今後のG7の役割とか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○額賀国務大臣 とかしき先生の御質問でございますが、先般G7の会合が東京で開かれたわけでございますけれども、先ほど来お話がありますように、アメリカのサブプライム問題に端を発する金融不安とか、その金融不安がアメリカあるいは欧州、それからアジアの国々にどういう影響をもたらすのか、そういうことが全世界から注目されている中で開かれたものでありましたから、我々も緊張しておりましたし、しっかりと議論をして、世界に対して確かなメッセージを伝えなければならない、そういう思いであのG7の会合をさせていただきました。
基本的には、とかしき先生がおっしゃるように、もともとがアメリカで起こった金融不安でありますから、アメリカが主体的に取り組んでこれを克服していってもらわなければならない。幸い、金融的に流動化対策をするとか、アメリカ国内でもそういう経済対策を講じるとか、手際よくやってきたことに対しては、我々もヨーロッパも評価をしたわけでございます。
ただ、不確かなところがありますから、これ以上もう、世界に対して安心したメッセージを上げるように、アメリカもしっかり取り組んでくれと。その場合に、私は、日本の経験を生かして、バブル経済崩壊後からアジア通貨危機後の日本の金融危機、そういったことの経験則というか教訓を踏まえて、アメリカとかヨーロッパの皆さんと一緒に議論をしました。
それは、金融機関の情報をまずよく開示すること。それから、住宅とか不動産が下がっていく中で、実態がどうなっているかということが不透明でありますから、きっちりとこれを知らせていくことが最も大事ですねと。それから、流動性を確保する、資金がいつでも調達できるようにしておくことが大事だ、日本の場合は、最終的には公的資金を出して、そして市場の安心、それから国民の安心をつくり上げたんだというような話をさせていただいたわけであります。
そういうことが、お互いに議論をした上で、アメリカもヨーロッパも日本も、それぞれの国内事情というのは違うねと。ヨーロッパはどちらかというとインフレ懸念をしている。日本の場合は、サブプライムローン問題がそんなに金融の世界に深刻な状況になっていない。だから、状況が違うから、それぞれの国がしっかりと経済対策をやってくれと。しかし、同時に、お互いが情報を共有したり意見交換を緊密にして、世界に安心したメッセージを伝えようじゃないか。金融の安定化と世界経済拡大のために、そういうメッセージを伝えさせていただいたということが一番大事だったのではないかと思っております。
それから、最後におっしゃられました、中国とかインドとか新興国をG7に入れたらどうだという話ですね。これは、前から、今回も中国とかインドネシアとか韓国の皆さん方に、アウトリーチ会合といって、最後に出ていただいて、率直に、アジアの状況だとかあるいはまたG7各国との若干の認識の差だとか、そういうことを、もう本当に率直に、堂々とみんな意見を開陳し合ってやりました。恐らく、そういうものが、今後共通の認識を持った形で、世界経済がいい形になっていけばいいなと思っております。だから、アメリカの経済がよくなる、そして新興国もアメリカの経済に足を引っ張られないようにする、そういうことを同時にやっていかなければならないということが我々の共通した認識だったのではないかな、こう思っております。
我々G7がこういう会合を続けてきたのは、やはり戦後の自由主義社会の中で、同じ経験を持ち、同じ知識を持ち、認識を持ち、そして共通のレベルの経済基盤があるという形で率直に話ができるから、こういうG7を土台にして、今後そういう新興国との交流も深めていくのがよいのではないかというふうに思っております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
これからボーダーレス社会になってまいりますので、やはり世界との連携をいかにとっていくかが重要かと思います。世界経済に影響のある国を随時参加させて今後連携をとっていく、そういった力になっていけばと思っております。
ことしは、多分、アメリカの勢力の衰退の記念の年になってしまうかもしれないというふうに、サブプライム問題の動きを見ていて考えております。ドルの実質レートは、日本以外の国ではかなり下がっていて、基軸通貨としての地位が非常に弱くなってきております。今アメリカの経済がひっくり返りそうな姿を見て、不安に感じる日本人が多いかと思いますけれども、アメリカと道連れという感覚からは脱却が必要ではないかと思います。
これは、皆様のところにも行っておりますけれども、(パネルを示す)一番最初の、GDPの三倍ということで、世界トップクラスの金融資産高。日本は金融資産高が実はかなりふえておりまして、イザナギ景気を超えて、所得は減っているんですけれども、それなのにもかかわらず個人資産はふえ続けて、現在はGDPの約三倍ということで、千五百五十五兆円にも達するということで、所得の三割を貯蓄に回しております。異常な低金利が続いているのにもかかわらず、金融資産を高回りで運用しないで、大半を銀行に塩漬け状態にしているというのが現在の状況であります。
では、世界の中で見てみると、こちらの表なんですけれども、表を見てみますと、世界の中で実際にどういうふうな運用実績になっているかなんですけれども、日本はこの十年間で運用、わずか二一%しか資産が伸びておりません。資産の残高は大きいんですけれども、運用が二一%。フランスは八七%伸ばしておりまして、イギリスが七九%、米国は七七%ということで、非常に大きな伸びになっているわけであります。
ということで、このように資産運用、日本はバブル期の前までは比較的金利が高くて、それで資産価値を高めておりましたけれども、バブル期以降、各国が資産運用の路線に走っていったのに、日本は塩漬けにしたためにこのように大きな差が出てしまったわけです。
ということで、なぜ日本人はこの千五百兆もの金融資産を持っておきながら金融資産の運用ができていないのか。想定される原因とその対策を、ぜひ渡辺大臣にお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も先月、ダボス会議に行ってまいりました。そこでシンポジウムに出席をいたしまして、アンカップリングは可能かというテーマだったのでございますが、まさに今とかしき委員御指摘の、日本の家計における富を活用すれば、アメリカ経済が減速したとしても、いわゆるデカップリングが不可能とは言えないのではないかという議論を展開してきたところでございます。
なぜこれだけの富を塩漬けにしているのか。御指摘のように、半分が預貯金であります。ソブリン・ウエルス・ファンドというのが今大変注目を集めていますが、世界じゅうのソブリン・ウエルス・ファンドをかき集めてきても、たかだか三百兆円なんですね。塩漬け預貯金だけで、その倍以上あるわけであります。したがって、この家計の富を、もっとリスクをとれる、そういう世界に回すことができたならば、恐らく日本経済はもっと活性化していくことは明白でございます。平成時代に入りまして、長らくデフレ経済が続いた、名目成長率がゼロ近辺にあってきたというのが、やはりリスク過敏症の一つの原因ではなかろうかと思います。
それと同時に、長い目で見ますと、こうした間接金融の世界にお金を流し込むというのはいつごろから起こったかという歴史的な背景を考えてみますと、やはり戦時体制のもとで直接金融から間接金融に劇的に転換をしてきたという背景があるのではないでしょうか。まさにこうした問題を解決していくことこそ、構造改革の大きな柱でなければならないと考えるところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございました。
私も、この千五百五十五兆円の個人資産、これは巨大な水がめでもありますので、やはりこれをいかに揺らして市場にお金を出してくるか、ここが大切ではないかなと思います。この水がめを揺らすパワーというのが、多分、心理的な問題が今非常に大きいのではないかと思います。日本人の中では非常に不安感が今広がっているんですけれども、この不安感を取り除かないと、経済政策を打っても不発に終わるのではないかと思います。
そこで、なぜ日本人が資産運用ができないのか。済みません、パネルの数が多過ぎて失礼いたしました。非常に、資産運用ができない理由、私は、大きく二つあると思います。
まず一つ目は、バブル期以降、失敗体験を踏んでしまって、超消極的な閉塞状態に陥ったということでございます。八〇年代までは、資産をほっておいても価値がふえて、持ち家を持っていれば一億円を超えた。九〇年代前半までは金利八%、戦後平均でも大体五・五%ということで、資産価値はほっておいても大きくなっていったわけです。
しかし、バブル崩壊以降は、これは非常に債務超過になっていたということで、もう失うのは嫌だ、安全でなければだめだということで、このグラフをごらんになっていただくとわかるんですけれども、バブルの時期を境に安全性志向が非常に高くなっていって、収益性が非常に軽視される、そういう流れになってしまいました。ということで、日本人は、安全でなければだめだということで、ちょっとでも利回りのいいものがあると、何かイカサマなのではないかと思うような心理が働くまでになってしまいました。
そして、さらに二番目には、バブルの後遺症で安全性にシフト、減らなければいいということで、さっき言いましたように収益性から安全性にシフトしてしまったという、この二つの、消極的な失敗体験とバブルの後遺症、安全重視、この辺が大きな理由で運用できないのではないか、このように考えているわけでございます。
そこで、実際その資産が一体だれのところに一番行っているのかというところで、これは各国の資産の状況をグラフにしたものなんですけれども、日本とアメリカとイタリアを比較させていただきました。日本が非常に不思議な国になっているのがこれを見るとよくわかるんですけれども、日本というのは死に至る直前に皆さん一番資産がふえているという状況になっております。そして、アメリカ、イタリアは引退するとだんだん資産が減っていくのが普通の状態なんですけれども、なぜか日本人は、老後が心配といいながら、上流クラスになってあの世に旅立っていくという非常に不思議な状況になっているわけです。
さらに、アンケートをしてみると、日本人十人のうち九人までが老後に不安を抱えている。もっと言いますと、若い人たち、四十代の人たちが老後が不安、さらに貯蓄がないから不安である、このように言っているわけでございます。
さっき飛ばしてしまったグラフを一個使いますけれども、こちらもそうなんですけれども、なぜ若い人がそんな不安になるのかといいますと、若い人たちは今、子育て世代の三十代、四十代が非常に負債が多くなって、そして資産が急にふえてくるのは高齢者ということになっております。ですから、日本は、使いたいときに全然お金がなくて、そして使いたくなくなった、購買意欲が落ちたときに一番お金持ち、そういう状況になって、そして亡くなる前の資産の平均が、大体三千五百万円を持ったままあの世に旅立つという非常に不思議な状況になっているわけでございます。
ですから、海外から見れば、これは資産をいっぱい持っているから、さぞかしゆとりのある生活をしているのだろう。さらに年金も、問題にはなっておりますけれども、世界トップクラスの年金でございます。さらにそれを証明するのは、日本人は年金の三〇%を貯蓄に回しているということで、ある意味、非常にゆとりのある生活をしているんですけれども、なぜか不安感だけは抜群でございまして、非常に不安を抱えている、こういう状況に陥っているわけでございます。
そこで質問なんですけれども、何でこんなに国民の中に不安が広がっているのか、この処方せんをいかがお考えなのかということで、内閣府の梅溪大臣官房審議官にお伺いいたします。
○梅溪政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の不安につきましては、短期的側面、それから中長期的側面、両方から考えることが必要であると思います。
短期的な側面につきましては、我が国の景気は回復基調が続いていると見ていますけれども、一方で弱さを抱えているところでございます。具体的には、賃金が伸びない中で個人消費がおおむね横ばいで推移していること、改正建築基準法施行の影響もあって住宅建設が依然低い水準にあることなどです。これに加え、アメリカのサブプライム住宅ローン問題を背景とする金融資本市場の混乱、アメリカ経済の減速、さらには原油価格の高騰が生じていることから、我が国の景気の先行きについては下振れリスクが高まっていると見ております。
賃金の伸び悩みに関しましては、景気回復の果実が家計に十分波及し、国民が景気回復を実感できるよう、この回復を息長く持続させるための政策運営を行うとともに、職業能力訓練の充実、最低賃金の遵守、引き上げなどの施策に積極的に取り組んでまいります。また、改正建築基準法施行の影響については、国土交通省において対策が講じられていることから、今後回復すると見込まれます。原油価格高騰の影響につきましては、昨年末に対策を取りまとめており、きめ細かな対応を図ることとしております。
続きまして、中長期的な不安でございますけれども、我が国は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化に伴う社会保障費の増大や内外経済の構造的な変化、地球環境問題などの難しい課題に直面しております。このような状況が国民の間に閉塞感を生み、将来への明るい展望を持つことを困難にしていると考えられます。
このため、経済政策におきましては、第一に内需主導の経済を強化すること、第二に、世界により開かれた国とすることにより、アジアや資源国を含む多様な経済との連携を強化することが重要と考えます。
こうした観点から、成長力を強化するための新たな成長戦略について、経済財政諮問会議で精力的に審議を進めているところであり、今春を目途に具体化し、直ちに実行してまいります。そして、可能なものについては、迅速に検討し実行してまいります。
また、経済財政諮問会議に「構造変化と日本経済」専門調査会を設置し、世界的な分業構造や資金循環の変化など、日本経済の質的な変化を点検し、我が国経済を取り巻く新しい環境のもとで目指すべき経済構造の視点について、六月を目途に取りまとめ、提示することといたしております。
以上のような取り組みを進めてまいる所存でございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。
内向き、下向き、後ろ向きということで、ちょっと具体的なお話がいただけなかったんですけれども、今後のことで、内向き、下向き、後ろ向き、今、日本の経済は、何かコップの中のあらしのような状況で、世界とは全く違う動き方をして非常に鎖国的な経済になってしまっているということで、日本はその中で、この十年間で世界と全然違う経済状態になってしまっているわけでございます。
そこで、私がちょっと提案したいなというのは、ことし日本は、グローバル投資家として、海外投資元年とするぐらいの勢いでいくべきではないか、こういうふうに考えております。
日本国民の利回りは、今二・一%。アメリカは約六%。オーストラリアに至っては一一%。そして、世界に分散しているアメリカのホワイトカラーの人たちは、八%から一〇%の利回りで運用をしているわけでございます。ということで、日本は、世界一長寿国でありますから、やはり長期リターンが最大化する運用方法を国としても研究していく、そういったサポートをつくっていく制度がこれから必要ではないかと思います。
そこで、景気を回復するには、私はもう一個提案したいのは、金利を上げていってほしいということです。景気がよくないときには、金利を抑えてマネーサプライをふやすというのが従来のやり方であります。消費意欲を喚起して設備投資を促す、これが従来のやり方でした。そして、日本は、この常識に従って低金利政策と超金融緩和政策、これをいたしましたけれども、残念ながらそんなに効果があったとは言えないわけでございます。
多分これは、ケインズ経済も崩壊して、閉じられた国家の中の論理だけではもう通用しなくて、今のようにいろいろな国が行き来する、経済が世界じゅうとリンクしているボーダーレス経済の中ではこういった論理は通用しないということで、やはり金利を上げて、世界からお金を集めて、そして経済的にアップしていく、こういった方法を今後考えていくべきではないかと思います。
特に、日本の場合は、家計から失われた利子所得、これは十四年間で二百八十三兆円と言われております。企業の利子の負担分は二百六十四兆円減少した。ということは、個人の利息分を企業に転化した、そういうような状況になっているわけです。ですから、こんな状況では消費が伸びないのも当たり前でございます。そして、労働分配率を上げるという方法もありますけれども、では、給料を上げろと言っても、これはちょっと今の状態では困難でございます。
そこで、金利を、例えば一%上げれば十五兆円、二%なら三十兆円、四%なら六十兆円の個人資産がふえてくる。そして、利息分ぐらいは使おうか、こういう気持ちになればどんどん経済が活性化してくる、こういう方法があるのではないかと思います。
そこで、この最後のパネルなんですけれども、これは、金利を見ると今三種類の国に分けられるのではないかと思います。一番目が、高金利のだめな国、一〇%から二〇%。これは明らかに信用がないわけです。当然、世界から投資のお金は集まってまいりません。そして二番目は、低金利でだめな国、〇から一%。金利を上げてしまったら病が一気に噴出してしまうのではないかということでおびえている状況ですね。そして三番目が、強い国ということで、金利四から九%。金利を上げて世界からお金を集めてこよう、こういう状況になるわけです。当然、日本は今二番目に入っているわけです。そして、二番目の国は、三番目の国の、投資の国の草刈り場になってしまっているということです。
ですから、日本は今、金利を上げて、お金が富を生むような、そういった思い切った政策転換をしていくべき。今こそ、景気が不景気だ、不景気だと言われて何となく縮こまっているときこそ、金利を上げていく、そして個人の資産をふやしていくようにつながっていく、そういった方策に打ち出ていく方向がいいのではないかと思うんですけれども、金利政策について、金利を上げるという政策としての選択肢は今後あるのかどうか、その辺を日銀の稲葉理事にお伺いしたいと思います。
○稲葉参考人 経済の活性化のために金利を引き上げてはどうかというお尋ねでございます。
確かに、金利を引き上げますと、金融資産を多く保有している人々にとりましては利子所得の増加につながりますし、また、お話がありましたように、海外からの資金の流入も、そうでない場合に比べれば増加するという筋合いにございます。
しかし、一方、経済や物価の情勢に見合わない水準に金利を設定いたしますと、投資の収益性を害してしまうなど、前向きの経済活動にとってはかえって悪影響をもたらすこともおそれとしてございます。
そういうことでございますので、今後とも金融政策については、その効果と副作用とをよく踏まえた上で、物価安定のもとで息の長い成長が続くように適切に運営していくことが大事なことではないか、このように考えております。
○とかしき委員 ありがとうございます。
ぜひ今後、長い視点で、金利を上げていく、その方向性を御検討いただきたいと思います。
質問が一個飛びましたけれども、最後に申し上げたいのは、心理的な不安をどう解消していくのか。今、日本人は、不安という分厚いコートを着て非常に縮こまっている状況なんですけれども、やはり今こそ、太陽の光を届けてコートを取り除いてあげる、これが有効ではないかと思っております。ぜひこの心理の部分にヒットした政策を今後どんどん積極的に展開していただきたく、そのことをお願い申し上げて、質問を終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。
○原田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。とかしきなおみ君。
○とかしき委員 自由民主党のとかしきなおみでございます。
本日は、金融知識のない国民代表ということで、素朴な質問を幾つかさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
所信に対する質問の前に、先日行われましたG7についてちょっとお伺いしたいと思います。
共同声明では、世界はよりチャレンジングで不確実な局面に直面しているというふうに発表になりまして、経済のファンダメンタルズが引き続き堅固としながら、成長は短期的に減速する見込みというふうに出ておりました。ということで、アメリカの財務長官が一人一生懸命語っていらっしゃいましたけれども、どうも周りの方々と温度差がかなりあるように感じました。サブプライムローンの問題とかもアメリカ発でございまして、一刻も早く資本を安定させなければ困るというふうにアメリカはおっしゃっておりましたけれども、少しそれは空虚のような印象を私は受けました。
G7が今こういう状況になっているのは、世界経済のバランスからすると、どうも偏った国々のみの参加になっているからこのような状況になるのではないかというふうにも考えられます。中国やインドなども参加させるべきではないかという声が一部から上がっておりますけれども、まだ許可をされていないわけであります。
ということで、議長をお務めになった額賀大臣のG7の感想とか、あと今後のG7の役割とか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○額賀国務大臣 とかしき先生の御質問でございますが、先般G7の会合が東京で開かれたわけでございますけれども、先ほど来お話がありますように、アメリカのサブプライム問題に端を発する金融不安とか、その金融不安がアメリカあるいは欧州、それからアジアの国々にどういう影響をもたらすのか、そういうことが全世界から注目されている中で開かれたものでありましたから、我々も緊張しておりましたし、しっかりと議論をして、世界に対して確かなメッセージを伝えなければならない、そういう思いであのG7の会合をさせていただきました。
基本的には、とかしき先生がおっしゃるように、もともとがアメリカで起こった金融不安でありますから、アメリカが主体的に取り組んでこれを克服していってもらわなければならない。幸い、金融的に流動化対策をするとか、アメリカ国内でもそういう経済対策を講じるとか、手際よくやってきたことに対しては、我々もヨーロッパも評価をしたわけでございます。
ただ、不確かなところがありますから、これ以上もう、世界に対して安心したメッセージを上げるように、アメリカもしっかり取り組んでくれと。その場合に、私は、日本の経験を生かして、バブル経済崩壊後からアジア通貨危機後の日本の金融危機、そういったことの経験則というか教訓を踏まえて、アメリカとかヨーロッパの皆さんと一緒に議論をしました。
それは、金融機関の情報をまずよく開示すること。それから、住宅とか不動産が下がっていく中で、実態がどうなっているかということが不透明でありますから、きっちりとこれを知らせていくことが最も大事ですねと。それから、流動性を確保する、資金がいつでも調達できるようにしておくことが大事だ、日本の場合は、最終的には公的資金を出して、そして市場の安心、それから国民の安心をつくり上げたんだというような話をさせていただいたわけであります。
そういうことが、お互いに議論をした上で、アメリカもヨーロッパも日本も、それぞれの国内事情というのは違うねと。ヨーロッパはどちらかというとインフレ懸念をしている。日本の場合は、サブプライムローン問題がそんなに金融の世界に深刻な状況になっていない。だから、状況が違うから、それぞれの国がしっかりと経済対策をやってくれと。しかし、同時に、お互いが情報を共有したり意見交換を緊密にして、世界に安心したメッセージを伝えようじゃないか。金融の安定化と世界経済拡大のために、そういうメッセージを伝えさせていただいたということが一番大事だったのではないかと思っております。
それから、最後におっしゃられました、中国とかインドとか新興国をG7に入れたらどうだという話ですね。これは、前から、今回も中国とかインドネシアとか韓国の皆さん方に、アウトリーチ会合といって、最後に出ていただいて、率直に、アジアの状況だとかあるいはまたG7各国との若干の認識の差だとか、そういうことを、もう本当に率直に、堂々とみんな意見を開陳し合ってやりました。恐らく、そういうものが、今後共通の認識を持った形で、世界経済がいい形になっていけばいいなと思っております。だから、アメリカの経済がよくなる、そして新興国もアメリカの経済に足を引っ張られないようにする、そういうことを同時にやっていかなければならないということが我々の共通した認識だったのではないかな、こう思っております。
我々G7がこういう会合を続けてきたのは、やはり戦後の自由主義社会の中で、同じ経験を持ち、同じ知識を持ち、認識を持ち、そして共通のレベルの経済基盤があるという形で率直に話ができるから、こういうG7を土台にして、今後そういう新興国との交流も深めていくのがよいのではないかというふうに思っております。
○とかしき委員 ありがとうございました。
これからボーダーレス社会になってまいりますので、やはり世界との連携をいかにとっていくかが重要かと思います。世界経済に影響のある国を随時参加させて今後連携をとっていく、そういった力になっていけばと思っております。
ことしは、多分、アメリカの勢力の衰退の記念の年になってしまうかもしれないというふうに、サブプライム問題の動きを見ていて考えております。ドルの実質レートは、日本以外の国ではかなり下がっていて、基軸通貨としての地位が非常に弱くなってきております。今アメリカの経済がひっくり返りそうな姿を見て、不安に感じる日本人が多いかと思いますけれども、アメリカと道連れという感覚からは脱却が必要ではないかと思います。
これは、皆様のところにも行っておりますけれども、(パネルを示す)一番最初の、GDPの三倍ということで、世界トップクラスの金融資産高。日本は金融資産高が実はかなりふえておりまして、イザナギ景気を超えて、所得は減っているんですけれども、それなのにもかかわらず個人資産はふえ続けて、現在はGDPの約三倍ということで、千五百五十五兆円にも達するということで、所得の三割を貯蓄に回しております。異常な低金利が続いているのにもかかわらず、金融資産を高回りで運用しないで、大半を銀行に塩漬け状態にしているというのが現在の状況であります。
では、世界の中で見てみると、こちらの表なんですけれども、表を見てみますと、世界の中で実際にどういうふうな運用実績になっているかなんですけれども、日本はこの十年間で運用、わずか二一%しか資産が伸びておりません。資産の残高は大きいんですけれども、運用が二一%。フランスは八七%伸ばしておりまして、イギリスが七九%、米国は七七%ということで、非常に大きな伸びになっているわけであります。
ということで、このように資産運用、日本はバブル期の前までは比較的金利が高くて、それで資産価値を高めておりましたけれども、バブル期以降、各国が資産運用の路線に走っていったのに、日本は塩漬けにしたためにこのように大きな差が出てしまったわけです。
ということで、なぜ日本人はこの千五百兆もの金融資産を持っておきながら金融資産の運用ができていないのか。想定される原因とその対策を、ぜひ渡辺大臣にお伺いしたいと思います。
○渡辺国務大臣 私も先月、ダボス会議に行ってまいりました。そこでシンポジウムに出席をいたしまして、アンカップリングは可能かというテーマだったのでございますが、まさに今とかしき委員御指摘の、日本の家計における富を活用すれば、アメリカ経済が減速したとしても、いわゆるデカップリングが不可能とは言えないのではないかという議論を展開してきたところでございます。
なぜこれだけの富を塩漬けにしているのか。御指摘のように、半分が預貯金であります。ソブリン・ウエルス・ファンドというのが今大変注目を集めていますが、世界じゅうのソブリン・ウエルス・ファンドをかき集めてきても、たかだか三百兆円なんですね。塩漬け預貯金だけで、その倍以上あるわけであります。したがって、この家計の富を、もっとリスクをとれる、そういう世界に回すことができたならば、恐らく日本経済はもっと活性化していくことは明白でございます。平成時代に入りまして、長らくデフレ経済が続いた、名目成長率がゼロ近辺にあってきたというのが、やはりリスク過敏症の一つの原因ではなかろうかと思います。
それと同時に、長い目で見ますと、こうした間接金融の世界にお金を流し込むというのはいつごろから起こったかという歴史的な背景を考えてみますと、やはり戦時体制のもとで直接金融から間接金融に劇的に転換をしてきたという背景があるのではないでしょうか。まさにこうした問題を解決していくことこそ、構造改革の大きな柱でなければならないと考えるところでございます。
○とかしき委員 ありがとうございました。
私も、この千五百五十五兆円の個人資産、これは巨大な水がめでもありますので、やはりこれをいかに揺らして市場にお金を出してくるか、ここが大切ではないかなと思います。この水がめを揺らすパワーというのが、多分、心理的な問題が今非常に大きいのではないかと思います。日本人の中では非常に不安感が今広がっているんですけれども、この不安感を取り除かないと、経済政策を打っても不発に終わるのではないかと思います。
そこで、なぜ日本人が資産運用ができないのか。済みません、パネルの数が多過ぎて失礼いたしました。非常に、資産運用ができない理由、私は、大きく二つあると思います。
まず一つ目は、バブル期以降、失敗体験を踏んでしまって、超消極的な閉塞状態に陥ったということでございます。八〇年代までは、資産をほっておいても価値がふえて、持ち家を持っていれば一億円を超えた。九〇年代前半までは金利八%、戦後平均でも大体五・五%ということで、資産価値はほっておいても大きくなっていったわけです。
しかし、バブル崩壊以降は、これは非常に債務超過になっていたということで、もう失うのは嫌だ、安全でなければだめだということで、このグラフをごらんになっていただくとわかるんですけれども、バブルの時期を境に安全性志向が非常に高くなっていって、収益性が非常に軽視される、そういう流れになってしまいました。ということで、日本人は、安全でなければだめだということで、ちょっとでも利回りのいいものがあると、何かイカサマなのではないかと思うような心理が働くまでになってしまいました。
そして、さらに二番目には、バブルの後遺症で安全性にシフト、減らなければいいということで、さっき言いましたように収益性から安全性にシフトしてしまったという、この二つの、消極的な失敗体験とバブルの後遺症、安全重視、この辺が大きな理由で運用できないのではないか、このように考えているわけでございます。
そこで、実際その資産が一体だれのところに一番行っているのかというところで、これは各国の資産の状況をグラフにしたものなんですけれども、日本とアメリカとイタリアを比較させていただきました。日本が非常に不思議な国になっているのがこれを見るとよくわかるんですけれども、日本というのは死に至る直前に皆さん一番資産がふえているという状況になっております。そして、アメリカ、イタリアは引退するとだんだん資産が減っていくのが普通の状態なんですけれども、なぜか日本人は、老後が心配といいながら、上流クラスになってあの世に旅立っていくという非常に不思議な状況になっているわけです。
さらに、アンケートをしてみると、日本人十人のうち九人までが老後に不安を抱えている。もっと言いますと、若い人たち、四十代の人たちが老後が不安、さらに貯蓄がないから不安である、このように言っているわけでございます。
さっき飛ばしてしまったグラフを一個使いますけれども、こちらもそうなんですけれども、なぜ若い人がそんな不安になるのかといいますと、若い人たちは今、子育て世代の三十代、四十代が非常に負債が多くなって、そして資産が急にふえてくるのは高齢者ということになっております。ですから、日本は、使いたいときに全然お金がなくて、そして使いたくなくなった、購買意欲が落ちたときに一番お金持ち、そういう状況になって、そして亡くなる前の資産の平均が、大体三千五百万円を持ったままあの世に旅立つという非常に不思議な状況になっているわけでございます。
ですから、海外から見れば、これは資産をいっぱい持っているから、さぞかしゆとりのある生活をしているのだろう。さらに年金も、問題にはなっておりますけれども、世界トップクラスの年金でございます。さらにそれを証明するのは、日本人は年金の三〇%を貯蓄に回しているということで、ある意味、非常にゆとりのある生活をしているんですけれども、なぜか不安感だけは抜群でございまして、非常に不安を抱えている、こういう状況に陥っているわけでございます。
そこで質問なんですけれども、何でこんなに国民の中に不安が広がっているのか、この処方せんをいかがお考えなのかということで、内閣府の梅溪大臣官房審議官にお伺いいたします。
○梅溪政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の不安につきましては、短期的側面、それから中長期的側面、両方から考えることが必要であると思います。
短期的な側面につきましては、我が国の景気は回復基調が続いていると見ていますけれども、一方で弱さを抱えているところでございます。具体的には、賃金が伸びない中で個人消費がおおむね横ばいで推移していること、改正建築基準法施行の影響もあって住宅建設が依然低い水準にあることなどです。これに加え、アメリカのサブプライム住宅ローン問題を背景とする金融資本市場の混乱、アメリカ経済の減速、さらには原油価格の高騰が生じていることから、我が国の景気の先行きについては下振れリスクが高まっていると見ております。
賃金の伸び悩みに関しましては、景気回復の果実が家計に十分波及し、国民が景気回復を実感できるよう、この回復を息長く持続させるための政策運営を行うとともに、職業能力訓練の充実、最低賃金の遵守、引き上げなどの施策に積極的に取り組んでまいります。また、改正建築基準法施行の影響については、国土交通省において対策が講じられていることから、今後回復すると見込まれます。原油価格高騰の影響につきましては、昨年末に対策を取りまとめており、きめ細かな対応を図ることとしております。
続きまして、中長期的な不安でございますけれども、我が国は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化に伴う社会保障費の増大や内外経済の構造的な変化、地球環境問題などの難しい課題に直面しております。このような状況が国民の間に閉塞感を生み、将来への明るい展望を持つことを困難にしていると考えられます。
このため、経済政策におきましては、第一に内需主導の経済を強化すること、第二に、世界により開かれた国とすることにより、アジアや資源国を含む多様な経済との連携を強化することが重要と考えます。
こうした観点から、成長力を強化するための新たな成長戦略について、経済財政諮問会議で精力的に審議を進めているところであり、今春を目途に具体化し、直ちに実行してまいります。そして、可能なものについては、迅速に検討し実行してまいります。
また、経済財政諮問会議に「構造変化と日本経済」専門調査会を設置し、世界的な分業構造や資金循環の変化など、日本経済の質的な変化を点検し、我が国経済を取り巻く新しい環境のもとで目指すべき経済構造の視点について、六月を目途に取りまとめ、提示することといたしております。
以上のような取り組みを進めてまいる所存でございます。
○とかしき委員 ありがとうございます。
内向き、下向き、後ろ向きということで、ちょっと具体的なお話がいただけなかったんですけれども、今後のことで、内向き、下向き、後ろ向き、今、日本の経済は、何かコップの中のあらしのような状況で、世界とは全く違う動き方をして非常に鎖国的な経済になってしまっているということで、日本はその中で、この十年間で世界と全然違う経済状態になってしまっているわけでございます。
そこで、私がちょっと提案したいなというのは、ことし日本は、グローバル投資家として、海外投資元年とするぐらいの勢いでいくべきではないか、こういうふうに考えております。
日本国民の利回りは、今二・一%。アメリカは約六%。オーストラリアに至っては一一%。そして、世界に分散しているアメリカのホワイトカラーの人たちは、八%から一〇%の利回りで運用をしているわけでございます。ということで、日本は、世界一長寿国でありますから、やはり長期リターンが最大化する運用方法を国としても研究していく、そういったサポートをつくっていく制度がこれから必要ではないかと思います。
そこで、景気を回復するには、私はもう一個提案したいのは、金利を上げていってほしいということです。景気がよくないときには、金利を抑えてマネーサプライをふやすというのが従来のやり方であります。消費意欲を喚起して設備投資を促す、これが従来のやり方でした。そして、日本は、この常識に従って低金利政策と超金融緩和政策、これをいたしましたけれども、残念ながらそんなに効果があったとは言えないわけでございます。
多分これは、ケインズ経済も崩壊して、閉じられた国家の中の論理だけではもう通用しなくて、今のようにいろいろな国が行き来する、経済が世界じゅうとリンクしているボーダーレス経済の中ではこういった論理は通用しないということで、やはり金利を上げて、世界からお金を集めて、そして経済的にアップしていく、こういった方法を今後考えていくべきではないかと思います。
特に、日本の場合は、家計から失われた利子所得、これは十四年間で二百八十三兆円と言われております。企業の利子の負担分は二百六十四兆円減少した。ということは、個人の利息分を企業に転化した、そういうような状況になっているわけです。ですから、こんな状況では消費が伸びないのも当たり前でございます。そして、労働分配率を上げるという方法もありますけれども、では、給料を上げろと言っても、これはちょっと今の状態では困難でございます。
そこで、金利を、例えば一%上げれば十五兆円、二%なら三十兆円、四%なら六十兆円の個人資産がふえてくる。そして、利息分ぐらいは使おうか、こういう気持ちになればどんどん経済が活性化してくる、こういう方法があるのではないかと思います。
そこで、この最後のパネルなんですけれども、これは、金利を見ると今三種類の国に分けられるのではないかと思います。一番目が、高金利のだめな国、一〇%から二〇%。これは明らかに信用がないわけです。当然、世界から投資のお金は集まってまいりません。そして二番目は、低金利でだめな国、〇から一%。金利を上げてしまったら病が一気に噴出してしまうのではないかということでおびえている状況ですね。そして三番目が、強い国ということで、金利四から九%。金利を上げて世界からお金を集めてこよう、こういう状況になるわけです。当然、日本は今二番目に入っているわけです。そして、二番目の国は、三番目の国の、投資の国の草刈り場になってしまっているということです。
ですから、日本は今、金利を上げて、お金が富を生むような、そういった思い切った政策転換をしていくべき。今こそ、景気が不景気だ、不景気だと言われて何となく縮こまっているときこそ、金利を上げていく、そして個人の資産をふやしていくようにつながっていく、そういった方策に打ち出ていく方向がいいのではないかと思うんですけれども、金利政策について、金利を上げるという政策としての選択肢は今後あるのかどうか、その辺を日銀の稲葉理事にお伺いしたいと思います。
○稲葉参考人 経済の活性化のために金利を引き上げてはどうかというお尋ねでございます。
確かに、金利を引き上げますと、金融資産を多く保有している人々にとりましては利子所得の増加につながりますし、また、お話がありましたように、海外からの資金の流入も、そうでない場合に比べれば増加するという筋合いにございます。
しかし、一方、経済や物価の情勢に見合わない水準に金利を設定いたしますと、投資の収益性を害してしまうなど、前向きの経済活動にとってはかえって悪影響をもたらすこともおそれとしてございます。
そういうことでございますので、今後とも金融政策については、その効果と副作用とをよく踏まえた上で、物価安定のもとで息の長い成長が続くように適切に運営していくことが大事なことではないか、このように考えております。
○とかしき委員 ありがとうございます。
ぜひ今後、長い視点で、金利を上げていく、その方向性を御検討いただきたいと思います。
質問が一個飛びましたけれども、最後に申し上げたいのは、心理的な不安をどう解消していくのか。今、日本人は、不安という分厚いコートを着て非常に縮こまっている状況なんですけれども、やはり今こそ、太陽の光を届けてコートを取り除いてあげる、これが有効ではないかと思っております。ぜひこの心理の部分にヒットした政策を今後どんどん積極的に展開していただきたく、そのことをお願い申し上げて、質問を終わりとさせていただきます。
ありがとうございました。